4月10日〜4月16日のドイツのニュース

4月10日

アンゲラ メルケルが新しいキリスト教民主同盟の党首に就任した。エッセンで行
なわれた同党の全国党大会で、代表者は45才の今まで総書記を務めていたこの女
性にほぼ96パーセントの賛成でヴォルフガング ショイブレの後任に選んだ。大政
党の党首を女性が務めるのは初めてのことであり、ドイツ東部出身者としても初め
てのことである。エッセンでは総書記と会計主任も新しく選ばれた。総書記にはル
ーペルト ポーレンツが88.25パーセントの賛成で選ばれた。会計主任には、元銀
行の支配人で、99パーセントの賛成を得たウルリッヒ カルテリエリが今後党財政
に取り組むことになる。そのほかにも執行部の4人の代表者が選ばれた。一番高い
得票を得たのはバーデン・ヴュルテンベルク州の文部大臣アネッテ シャヴァーン
でほぼ88パーセントが賛成であった。元国防大臣フォルカー リューエは58.5パ
ーセントで一番低い支持であった。


     その他のニュース
・首相シュレーダーは原子力発電所の廃止に関する話し合いで、エ
ネルギー産業に夏休みまで話し合いを延期することにした。話し合
いの焦点は原発の運転期間で、政府は30年、電力業界は35年を主張
している。
・朝鮮戦争が始まってほぼ50年たって、南北朝鮮は初めて首脳会談
を行なうことに同意した。
・ロシア外相イワノフはチェチェン紛争に関してEUはロシア政府に
対して圧力をかけたり、最後通牒を発したりしないようにと語った。
彼はチェチェン紛争はロシア政府の問題であって、国際組織の協力
があれば解決できると語った。一方EU外相はEUはロシアとプーチン
大統領のパートナーであると強調した。

     おまけのニュース
日本も最貧国の負債をすべて免除する方針である。他のG7諸国はす
でに全額の免除を決めていたが、日本はいままで90パーセント程度
を主張していた。日本政府は世界銀行に総額2億ドルの特別資金を、
貧困脱出のために提供することを発表した。


4月11日

キリスト教民主同盟は極めて若い首脳陣を擁して、中道国民政党として2年後の政
権復帰を目指す。新党首アンゲラ メルケルは同党の全国党大会の締めくくりで代
表者たちに、出発の号令をかけた。それに先立ち党大会は全員一致でいわゆる「エ
ッセン宣言」を採択した。この宣言では同党は中道国民政党と自己規定しており、
保守的、キリスト教の立場での社会的、自由主義的な信念は党のもう一つの価値観
であるとしている。バイエルン州首相でキリスト教社会同盟の党首エドムント シ
ュトイバーは来賓として演説を行ない、一緒に政敵と戦おうと呼びかけ、両党を対
立させようと試みても、それは失敗する運命にあるのだ、と語った。

     その他のニュース
・キリスト教民主同盟と自由党のヘッセン州連立政府は、(選挙の
無効の決定による)州政府の罷免を認めないように求めて、連邦憲
法裁判所に対する訴えを起こすつもりである。キリスト教民主同盟
の不正資金が選挙に使われていた、という疑いが野党から出されて
いる。
・EUはドイツに西ドイツ州立銀行に対し禁止されている援助を行な
ったと告発した。ノルトライン・ヴェストファーレン州は160万マ
ルクの援助を同行に対して行なったが、それを返還するように求め
ている。
・ドイツ東部の建築業に携わる32万5千人の賃金表交渉は行き詰ま
っている。労使双方は2回目の交渉で合意に達することができず、
また成果なく中断することになった。労働組合側はドイツ西部での
決定を話し合いのベースにしたいのに対し、使用者側は何も決まっ
ていない状態から話し合いをしたいとしている。


4月12日

雑誌報道によれば、キリスト教民主同盟の不正献金疑惑で元首相ヘルムート コー
ルは同党元財務委員ヴァルター ライスラー・キープの書簡によって窮地に追い込
まれている。それによれば、コールにあてた武器商人カールハインツ シュライバ
ーの手紙にはドイツ製戦車のサウジアラビアへの輸出に関して書かれている、との
ことである。
一方、連邦議会議長ヴォルフガング ティールゼはキリスト教民主同盟に文書で同
党の財政の実態をさらに解明するように求めた。ガオク機関は、報道機関が情報を
手に入れる前から、コールがシュタージ(旧東ドイツ秘密警察)が自分に関して集
めた資料を見ることができたと思われる、と発表した。不正献金疑惑に関する盗聴
記録は最近公にされた。木曜日には調査委員会は、この事件に関して今までで最も
重要な証人元キリスト教民主同盟党首ヴォルフガング ショイブレを迎えることに
なる。

     その他のニュース
・ヨーロッパ中央銀行は1999年の年次報告を行ない、通貨統合後最
初の年の総括を行ない、肯定的な評価を下した。一年間を平均して
のインフレ率は1パーセントをやや上まわる程度であり、同行の収
支決算上の損失は2億4700万ユーロ(4億8000万マルク)であった。
・ベルリン市政府の教育政策に反対して1万2千人の教員がストライ
キを行なった。その他多くの生徒やその両親たち5万人もブランデ
ンブルク門前で行なわれたデモに参加した。教員の週一時間の労働
時間延長に反対している。さらに若い教員の採用も求めている。
ドレスデンでは8千人の警官とその他の公務員が西側並みの給与を
求めてデモを行なった。東部の公務員は西部と比べて1.5時間労働
時間が長いのに、収入は86.5パーセントしかない。
・ドイツ政府とEUは飢餓に苦しんでいるエチオピアに対し第一回目
の援助物資を行なうのと同時に、戦争を行なっているアフリカの角
に位置する(アフリカ東部の)国々に対する政治的な圧力を強めて
いる。


4月13日

キリスト教民主同盟元党首ヴォルフガング ショイブレは同党元会計主任ブリギッ
テ バオマイスターをあらためて非難した。連邦議会の調査委員会でショイブレは
武器証人カールハインツ シュライバーが10万マルクの資金を提供したという情
報は誤りであると語った。封をされた封筒に入ったお金はまず彼自身が受け取り、
その後直接元会計主任に回されて、帳簿に記入するように求めたと、ショイブレは
語った。それに対しバオマイスターは宣誓供述書で、自分がまずお金を受け取り、
それをショイブレに渡したことを認めている。元会計主任に対する尋問には曖昧な
点が残っている。元首相ヘルムート コールは、献金で自分の政策が左右されたと
いう疑惑をあらためて否定した。


     その他のニュース
・外国人のコンピュータ技術者を期限を区切ってドイツに迎え入れ
るという政府の計画が、連邦議会で議論の的になっている。野党キ
リスト教民主同盟のリュトガーは反グリーンカードキャンペーンを
行なっているが、労働大臣リースターはその発言を扇動的だと批判
している。どの会派も移民法の改正の必要性は認めているが、自民
党が提案した移民の最大数を決めるという改正案は他の党の反対で
成立しなかった。
・連邦議会は動物保護を国の目標として憲法にあたる基本法に入れ
ることを否決した。
・ドイツはエチオピアの飢餓による犠牲者に2500万マルク相当の食
料と医薬品を提供することにしている。


4月14日

連邦議会は全会派の賛成でナチ時代の強制労働と奴隷労働の賠償を議会で審議する
ことにした。ドイツは100億マルクの資金で「記憶、責任、未来」基金を設立し、
ナチ時代の犯罪行為に対する道徳的な責任がドイツにあることを認める意志を示し
ている。今まで千社以上のドイツの企業がすでに資金を提供することを宣言してい
る。首相ゲアハルト シュレーダーは連邦議会で産業界に対し、この賠償基金にも
っと積極的に参加するように求めた。この基金に関する法律は夏前に議決されるこ
とになっている。この法案が可決されれば、年内に第一回のナチの犠牲者に対し、
賠償金の支払いが行なえることになる。


     その他のニュース
・エネルギー産業のフィーアクViagとフェーバVeba、RWEとVEW
は合併を計画しているが、前者の合併には大幅な譲歩が必要である
とEUのカルテル庁が、後者の合併は今のところ認められないとドイ
ツのカルテル庁が発表した。
・マネスマン コンツェルンは同社の技術部門アテックスを178億
マルクでジーメンスとボッシュからなる企業連合に売却することに
した。この入札にはテュッセン・クルップも参加していた。
・300万人以上の公務員に対する賃金表の交渉は5月5日まで延期さ
れた。労使間にかなりの隔たりがあるとシリー内相は語った。最大
の争点はドイツ東西の賃金格差をなくすことと5パーセントの賃上
げ要求である。


4月15日

強力な通貨安定策を求める声をうけつつ、主要工業国七ヶ国の大蔵大臣と発券銀行
長の春の会議が始まった。この会議ではアメリカ株式市場の暴落に対する対処法も
話し合われる。ドイツ連邦銀行総裁のエルンスト ヴェルテケは、この暴落でパニ
ック行動を取る理由はなく、外国為替相場に対する直接的な影響もない、と語って
いる。さらに彼はドイツ人は、個人の資産をあまり株式に投資していないので、い
ずれにせよこの成り行きを冷静に見ることができる、とも語っている。
ダウ・ジョーンズ株価指数は金曜日には5.7パーセント下がった。ナスダックの技
術関連株の指数は10パーセント近く下がった。その他にこの会談の主要な議題とし
ては、世界の最貧国に対する債務返還の免除の提案とロシア情勢がある。

     その他のニュース
・インターネット接続業者T・オンラインの株は1株27ユーロで売
り出される。ドイツ テレコムはこの株は26から32ユーロの間にな
ると言っていた。
・六つの主要経済研究所は今年のドイツの経済成長は2.8パーセン
トと予測している。その理由として賃上げ交渉がほどほどで決着し、
預金金利も適切で、ユーロが弱いことをあげている。不安なのはイ
ンフレの危険性があることであるとされている。
・環境大臣トリティンはキリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟
ぬきで原子力発電所廃止の話し合いを行なう意向である。両党は原
子力発電からの撤退に反対の意向である。


4月16日

抗議行動の中、IMFと世界銀行の春の会談が始まった。会談参加者は警察に守られ
てワシントンのIMFに集まった。約1万人のデモ隊がバリケードを築いて集まって
いた。彼らはIMFと世界銀行を、豊かな国の利益を代表し、第三世界の貧困をより
ひどいものにしていると非難している。ドイツ大蔵大臣ハンス アイヒェルは第
一回目の会談が終わった後、ユーロの交換レートは来月にはヨーロッパの景気回復
の兆しをうけて、改善するだろうと語った。この会議の今後の主題は財政組織の改
革と最貧国の債務免除である。

     その他のニュース
・健康保険加入者数百万人が来年から著しく高い負担をしなければ
ならなくなる。
・ジンバブエでは白人所有の農場の不法な占拠をめぐり、暴力をと
もなう対立がエスカレートしている。
・ドイツユダヤ人中央評議会の議長シュピーゲルはナチ強制労働者
に対する迅速な賠償の支払いを求めた。


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