7月10日〜1月16日のドイツのニュース

7月10日

(ベルリン)ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーとイラン大統領モハマド ハタ
ミは人権問題に対する考え方は異なるが、両国のより密接な協力関係、特に経済分
野での協力関係を押し進めていくことで合意した。シュレーダーはベルリンでのハ
タミとの会談の後、両国関係は今後、実質的に新しいものになる、と語った。ハタ
ミは協力関係にはいろいろなものが考えられる、と語った。二人は意見の対立があ
ることも認めた。ドイツ政府筋によれば、それは人権問題である。約7千人のイラ
ンの反対派がベルリンでデモを行なったが、大きな問題は起こらなかった。

     その他のニュース
・労働同盟は税制改革を早急に実施することに賛成した。首相シュ
レーダーと産業界と労働組合の代表は、6回目の会談を行ない、経
済成長を次の段階へ持続させるためにあらゆることを行うことにな
り、そのために被雇用者と企業の納税額を軽減することを優先する
ことになった。今回の合意文書には野党に対して、連邦参議院でこ
の改革案に賛成するように、という文言は盛り込まれなかった。
・独経済大臣ミュラーの予想では、インターネットは数年後には、
ドイツの好景気を支える最も重要な柱になる。このいわゆるニュー
エコノミーはドイツが長期間の経済成長を行なう機会と数千の新し
い職場を作り出す、と彼は語った。税制改革が早く行なわれた場合
には、年3%の経済成長と2002年には失業者が300万まで減る、とも
語った。
・年金改革に関する対立で政府と野党の対立はますます激しさを増
した。首相シュレーダーは野党キリスト教民主同盟とキリスト教社
会同盟に今後も話し合いに応ずるように求めた。両野党の要求に首
相は理解を示さなかった。キリスト教民主同盟党首のメルケルは、
首相は年金問題全体を解決することに関心を持っていないと非難し
た。


7月11日

(ベルリン)ドイツ大統領ヨハネス ラオはイランに民主化を推し進めるように求
めた。彼はイラン大統領のモハマド ハタミとベルリンでの会食の席で、法治主義、
人権の擁護、報道の自由、少数派の保護が平和と豊かさに続く最善の道であり、イ
ラン政府は政治的、社会的、経済的な構造を変えるという名誉ある挑戦に取り組も
うとしている、とラオは語った。ハタミはベルリン訪問の二日目の終わりに、ドイ
ツの企業にイランの投資を増やすように求めた。ハタミとの会談は新たなデモを引
き起こした。警察はおよそ40人の亡命イラン人を、連邦議会に入り込もうとした件
で逮捕した。

     その他のニュース
・ウクライナのEUとの関係と東ヨーロッパ諸国の経済改革を話し合
う第3回ドイツ・ウクライナ協議は、火曜日にライプツィッヒで始
まった。協議の主題は相互の貿易拡大と、ドイツの投資拡大とエネ
ルギー政策になる予定である。
・社会民主党と緑の党の年金改革案の命運は、金曜に行なわれる連
邦参議院での決着にまかされることになった。大連立が行なわれて
いるブレーメン、ブランデンブルク、ベルリンではそれぞれ閣議が
行なわれ、各地方議会で投票を行ない、賛成するかどうかを決める
ことになった。社会民主党と民主社会党が与党のメクレンブルク・
フォアポメルン州ではまだ決定が下されていない。社会民主党と自
由民主党が与党のラインラント・プファルツ州は自由民主党が改革
案に反対しているので、棄権することになった。ただし金曜日まで
に決定を変える可能性も残されている。
・キリスト教民主同盟の不正資金疑惑は元管理責任者であったテー
アリンデンに及んだ。彼は究明委員会で証言拒否をしたにもかかわ
らず、罪に問われない、と裁判所は判断を下した。


7月12日

(ベルリン)移民問題委員会は現行の亡命権を再検討することになる。内務大臣オ
ットー シリーはベルリンで行なわれた専門家の会議の冒頭で、独立した委員会の
任務には「禁止事項」はない、と語った。政党、協会、労働組合などを代表する
22人の専門家が、元連邦議会議長リタ ズュースムート(キリスト教民主同盟)
を委員長として、一年以内に新しい外国人政策に関する提案を行なうことになって
いる。彼女を委員長にすることに関してはキリスト教民主同盟の内部では激しい議
論が行なわれていた。同党は移民に関する委員会で発言する意志があり、シリーの
作ったこの委員会に彼女が参加したことには口をはさまなかった。

     その他のニュース
・金属産業労働組合は政府に、年金改革案を見直さなければ「暑い
秋」になる、と警告した。同組合幹部シュミトヘナーは年金の水準
を下げすぎている、と批判した。社会民主党と緑の党、自由民主党
は水曜日に、キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟抜きで、労
働大臣リースターの年金改革案を討議した。9月中ごろにこの法案
は国会に提案される予定である。
・政府はイランのハタミ大統領訪問を両国関係の重要な転機である
と評価した。ハタミ政権下で行なわれているイランの民主化は、ド
イツにとっても極めて危険な地域に人権、平和、安定をもたらす好
機であり、外交手段を通じてイランを国際社会に取り込むことが大
切である、と外相フィッシャーは語った。ハタミはドイツ訪問の最
後にヴァイマルで自らの改革の方針を理解するように求めた。その
前には大統領ラオと、両国の詩人ハフィスとゲーテにささげる記念
碑の除幕式を行なった。
・イスラエルの閣僚タミールは、パレスチナの首都を東エルサレム
に建設したいという、パレスチナの要求を拒否した。彼はエルサレ
ムは決して分割されない、とテレヴィの取材で語った。一方パレス
チナ側の報道官は、イスラエルはパレスチナ難民に対する義務を果
たしておらず、交渉の雰囲気をぶち壊しにしている、と語った。一
方米大統領クリントンの報道官は、この首脳会談はいい雰囲気で始
まったと強調している。クリントン、イスラエルのバラク首相とパ
レスチナのアラファト大統領は、会談を決裂させないように、情報
を外に漏らさないことで合意した。


7月13日

(ボン)計画中の税制改革案に関する連邦参議院の投票を目前に控えて、州議会の
うち一つで過半数を取れる見込みが出てきた。首相ゲアハルト シュレーダーは木
曜日夜ボンで社会民主党が与党の州の州首相と会談を行なった。ノルトライン・ヴ
ェストファーレン州代表の中では連邦参議院の投票の前に金曜日に、議員たちがキ
リスト教民主同盟とキリスト教社会同盟が拒否した税制改革案をあくまで通すこと
が可能かどうか話し合いを行なうつもりであった。特に注目を集めたのが大連立を
行なっているベルリン、ブランデンブルク州、ブレーメンと社会民主党と自由党が
与党のラインラント・プファルツ州と社会民主党と民主社会党が連立政権を組んで
いるメクレンブルク・フォアポメルン州である。政府筋からは、大蔵大臣ハンス 
アイヒェルが、税制改革に賛成を得るため、中流階級のために数十億マルク分の修
正を行なうことを視野に入れている、との情報もある。

     その他のニュース
・近東首脳会議でイスラエルとパレスチナは合意を行なう意志があ
るということを強調した。イスラエル首相バラクの報道官は、イス
ラエル代表団は合意をしないうちは会議を立ち去らない、と発表し
た。つまり、主要な対立点で両者に歩み寄りが見られた、というこ
とである。西ヨルダンのユダヤ人居住地とされている地域をパレス
チナに引き渡すことになる。ただしこの会談の詳細は公表されてい
ない。ホワイトハウスは、火曜日から行なわれている会談では、難
しい論点を除外してはいない、と強調した。
・フィリピンのホーロ島の誘拐事件が平和裏に解決できる望みが高
まってきた。外相フィッシャー、フランスとフィンランドの外相は
大統領エストラーダから、実力行使して人質を解放しないという約
束を取りつけた。彼らは身代金の支払いは拒否している。
・ドイツの旅客機がウィーン空港に緊急着陸した件で当局は事故の
原因を究明しようと努力している。今までの情報では、燃料不足が
飛行機の出力不足を招いたということになっている。つまり、乗務
員が燃料に関して誤った情報を持っていたことになる。今後は飛行
記録とヴォイス レコーダーの分析を行なうことになる。この飛行
機は150人の乗客を乗せて、滑走路の隣に着陸し、大惨事をかろう
じて免れていた。


7月14日

(ボン)連邦参議院は連立政権が提案した税制改革案を議決した。キリスト教民主
同盟・キリスト教社会同盟は反対していたが、社会民主党とキリスト教民主同盟が
連立政権をくんでいるブランデンブルク州、ベルリン、ブレーメンと社会民主党と
自由民主党が連立を組んでいるラインラント・プファルツ州、社会民主党と民主社
会党が連立しているメクレンブルク・フォアポメルン州は蔵相ハンス アイヒェル
の税制改革案に賛成した。同時に議決された最高税率を42%に引き下げるという補
足事項が、賛成を得る上で決定的な役割を果たした。税制改革は予定通り2001年
1月1日に発効する。

     その他のニュース
・首相シュレーダーは連邦参議院が税制改革に賛成したことで、今
後の経済発展のための前提ができたと評価した。また失業者数も減
少するだろう、と彼は強調した。蔵相アイヒェルは、政党の垣根を
越えて理性的な判断を下す連立州政府が、ドイツに投資することは
外国企業にとっても利益につながる状況を作り出してくれた、と語
った。経済界の代表者は大きな一歩だと語ったが、さらに政府に外
国為替相場を安定させ、今後の税の軽減のために財政政策のうえで
のゆとりを作り出すように求めた。
・連邦議会のキリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟の統一会派
の長であるメルツは、現連立政権の税制改革に賛成した連邦参議院
の投票は、同統一会派にとって政治的敗北を意味する、と語った。
改革への道を作ったキリスト教民主同盟の地方政治家は、同党に損
害を与えた、同党の新執行部は新しい出発を行なう努力をまた行な
わなければならない、また自分は辞任しない、とも語った。同党党
首メルケルも、この結果は彼の責任ではないし、今回の税制改革に
は同党の意向が反映されている、とも語った。
・連邦参議院は政府が提案していたグリーン・カード法案を可決し
た。これによって8月1日からEUに加盟していない国々の情報工学の
技術者2万人までが、ドイツでの就労許可を与えられることになる。
5年の滞在期間が認められている。


7月15日

(ベルリン)社会民主党と緑の党が提案した税制改革案が連邦参議院を通過して、
キリスト教民主同盟は敗北したが、同党主アンゲラ メルケルは深刻な党分裂の責
任をとると語った。7月中に彼女は党幹部を招集して、同党陣営の敗北の結果につい
て話し合う意向である。彼女は具体的に名前を挙げなかったが、金曜日に同党の方
針からはずれる行動を取った、政治家たちを党内の団結を壊したと非難した。キリ
スト教民主同盟とキリスト教社会同盟の会派のリーダーであるフリードリヒ メル
ツは、この税制改革の一部分を(憲法にあたる)ドイツ基本法の平等な取り扱いの
要請に反するものだ、と再び批判した。

     その他のニュース
・年金改革をめぐる対立の中で、民主社会党がこの協議に加わるの
であれば、キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟は話し合いか
ら抜ける、と言って脅した。同会派長代理ベーマーは、同会派は民
主社会党との協議を全く行なう気がない、と語った。首相シュレー
ダーはメクレンブルク・フォアポメルン州の民主社会党に税制改革
案を連邦参議院の投票で賛成に回るように要請したが、その際同党
を年金改革の話し合いに参加させるという提案を行なっていた。雑
誌報道によれば、蔵相アイヒェルはキリスト教民主同盟・キリスト
教社会同盟の年金改革案と対決する計画である。
・南フィリピンのホーロ島での誘拐事件で交渉団代表はまもなく14
人のヨーロッパ人の人質は解放されるという見通しを語った。解放
は2週間以内に行なわれるかもしれない。金曜日には二回目の人質
解放(マレーシア人)が行なわれたが、まだ39人が人質のままであ
る。
・キャンプ デイヴィッドでの近東首脳会談はイスラエル側の見解
では、2週間ほど続くかもしれない。イスラエルの内政の危機に際
して首相バラクが外国に滞在できるぎりぎりの期間である、と報道
官は語った。両国の交渉団は週末には水の配分などの実務的な問題
を協議する意向である。イスラエルの報道機関は、この交渉はます
ます困難になっていると見ている。外交筋は両国の基本的な立場に
変化があったという兆しはない、という見解が示された。


7月16日

(マニラ)交渉団によれば、フィリピンの誘拐犯たちは今週中に人質のうち何人か
をさらに解放する、とのことである。およそ3ヶ月前から人質になっているヨーロ
ッパ陣の観光客のうち少なくとも一人が数日中に解放される、とフィリピン政府の
交渉団長がアヴェンタハードが日曜日に語った。彼によれば、現在誘拐犯の要求の
一覧表を作っているところで、特にホーロ島の社会福祉事業のための援助が求めら
れており、南フィリピンのイスラム国家の独立はもう要求に入っていない。アブ 
サヤフと自称するグループは人質一人あたり100万ドルの身代金を要求している。

     その他のニュース
・新聞報道によれば、北朝鮮はドイツのと外交関係樹立に関心を示
している。北朝鮮外務大臣代理のパクはできるだけ早い時期にこの
問題を話し合いたい、ドイツに対する扉はいつも開かれている、と
彼は平壌でキリスト教民主同盟の連邦議会議員代表団に語った。現
在ドイツは平壌に商工代表部をおいているだけである。
・アメリカは近東首脳会談で水曜日までに成果を出したいとしてい
る。水曜日には米大統領クリントンはG8首脳会談で日本に出発する。
大統領報道官は、現在は集中した話し合いが必要であり、西ヨルダ
ンでユダヤ人とパレスチナ人の間で起こっている武力衝突に関する
話し合いが中心になっている。この衝突では12人が怪我をした。テ
ル アヴィヴでは数千人の右翼がバラク首相の政治方針に反対して
デモを行なった。
・税制改革案に賛成したことで、自由民主党は政治的にはキリスト
教民主同盟・キリスト教社会同盟とはんzれて、ますます社会民主
党よりになっていくだろう、という見込みを社会民主党連邦議会議
員団のシュトルックは語った。今後の年金改革案についての話し合
いでもその方針が示されるだろうとも語った。一方バイエルン州首
相でキリスト教社会同盟の党首シュトイバーはベルリン、ブランデ
ンブルク州、ブレーメンでのキリスト教民主同盟の裏切りについて
党首メルケルを改めて非難して、このような規模の裏切りがあった
のでは成果を上げることはできない、と語った。


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