7月17日〜7月23日のドイツのニュース

7月17日

(マニラ)ドイツ人の人質レナーテ ヴァラートはフィリピンのイスラム系過激派
の暴力から12週間ぶりに解放された。ゲリラのグループアブ サヤフは彼女をホー
ロ島でフィリピンで交渉団に引き渡した。彼女の夫ヴェルナーと息子マルクは39名
の人質とともにまだ過激派の手の中にある。この解放のために身代金が支払われた
かどうかは不明である。マニラの交渉団筋の話では、誘拐犯は約200万マルクを手
に入れた、とのことであるが、フィリピン政府はこれを否定しおり、ドイツ政府は
これについて言及しようとはしなかった。

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・ナチ時代の元強制労働者に対する1年半にわたる補償交渉は最終
的に決着した。核となっているのは、独政府と独企業が100億マル
クの基金を作り、米政府は独企業が賠償訴訟を起こされないように
対処することになる。およそ150万人の強制労働者に対する第一回
の支払いはクリスマス前には始まることになっている。
・税制改革に関する投票での敗北を受けてキリスト教民主同盟とキ
リスト教社会同盟の内部では様々な意見が巻き起こっている。キリ
スト教民主同盟の内部では責任の所在を明確にし、打撃がこれ以上
広がらないように措置を講じているが、キリスト教社会同盟では新
しい政治戦略が求められている。両党からなる統一会派は今後は連
邦参議院で過半数の議席を占めているということをあてにできなく
なった、とキリスト教社会同盟の州首脳であるグロースは語った。
・イギリス女王エリザベス2世のドイツ訪問が英国大使館公邸での
食事で始まった。その席には首相シュレーダー、外相フィッシャー、
連邦参議院議長ビーデンコプフがいた。女王はフィリップ公ととも
に火曜日にブランデンブルク門の近くにある新しいイギリス大使館
の建物の落成式を行なう。


7月18日

(ワシントン)イスラエルとパレスチナの間で行なわれている首脳会談は最終局面
を迎えた。当初の計画では会談が終了する時間が近づいているが、キャンプ デイ
ヴィッドの両国交渉団からは相反する話が聞かれている。パレスチナは既に妥協を
検討しており、イスラエルが統治権をエルサレム周辺の西ヨルダンのユダヤ人居住
地区にまで広げることにパレスチナは同意しているようだ、一方出席者はパレスチ
ナにはアラブ人が住む郊外に対する支配権を委ねることを認める意向だ、とイスラ
エルに近い側は報道している。アメリカ大統領ビル クリントンは日本で行なわれ
るG-8首脳会談へまもなく出発しなければならないが、そのため会談は集中して迅
速に行なわれた。
公式にはクリントンは予定を守っているが、外相マデリン オルブライトはロンド
ン訪問の計画を中断した。

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・ロシアと中国は、アメリカがミサイル迎撃システムを開発するな
らば、対抗措置を講ずると、露大統領プーチンは北京訪問で語った。
両国は共同宣言でアメリカの軍事力の優位と新しい核兵器開発に警
鐘を鳴らした。また両国は貿易に関する取り決めに署名した。
・キリスト教民主同盟は年金改革に関する政府の提案を協議する場
に参加することを公に表明した。今まで同党は、(旧東ドイツ共産
党である)民主社会党が参加するのであれば、参加しないとしてい
た。
・英国女王エリザベス2世はベルリンで新しい英国大使館の建物の
落成式に臨んだ。外相フィッシャーは、ドイツは英国がヨーロッパ
の未来にできるだけ積極的に貢献していくことを望んでいる、今日
問題になっているのはどの国が主導権を握るかということではなく、
どうすればヨーロッパ諸国が経済の世界化の中で自らの居場所を確
保することが出来るか、またどのようにすれば民主主義を安定して
確保できるかということである、と語った。
・ドイツ大統領ラオと首相シュレーダーはドイツユダヤ人中央評議
会の創立50周年にお祝いの言葉を述べた。ラオはドイツが再び国際
機関の中で、他国と同じ権利を持つ構成員になれたのは、ユダヤ人
のおかげである、と感謝の言葉を述べた。シュレーダーは同評議会
を「なくてはならない道徳のお手本」であると語った。同評議会議
長のシュピーゲルは外国人排斥や人種差別に接すると、ドイツには
がっかりする、と語った。


7月19日

(ワシントン)アメリカのキャンプ デイヴィッドで行なわれている近東首脳会談
は、終了を数時間後に控えてなお突破口を見いだせない。イスラエル首相エフド 
バラクはパレスチナ大統領ヤセル アラファトに、妥協を受け入れるようにという
内容の「最終」要請を伝えた。仲介役のアメリカ大統領クリントンに対する書簡の
中で、バラクはパレスチナに関して苦言を呈していた。その書簡では、この歴史的
な好機での失敗が引き起こす「悲劇的な結果」の責任はパレスチナにある、と書か
れている。パレスチナ側は、両国間には「相変わらず深い溝」がある、と語った。
しかしクリントンの報道官は、バラクが帰国すると言って脅した、という報道を否
定した。対立点はエルサレムの今後の地位をめぐるものであると見られている。

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・連邦議会議長ティールゼはキリスト教民主同盟の不正献金疑惑で、
同党にあらたに650万マルクの罰金を課した。彼は同党に、元首相
コール受け取っていた匿名の献金220万マルクの返還を求めた。ま
た活動報告に献金を記載しなかったため、同党は今年国からの政党
助成金430万マルクを削減された。2月にはすでにティールゼはヘッ
セン州同党の秘密資金口座の件で4100万マルクの罰金を課していた。
これに対して同党は訴訟を起こしている。
・政府は(不動産の)賃貸借法改正案を作成した。最大の変更点は、
家賃の値上げの上限を3年で30%から20%に引き下げた点と、解約
通告期間が12ヶ月から6ヶ月に短縮された点である。貸し主側から
も借り手側からも批判が出ている。
・ナチの犯罪に対するギリシアとの補償交渉で、政府はドイツ人が
アテネに持っていた財産の差し押さえに公式に抗議を行なった。裁
判所の執行官は水曜日にドイツ考古学研究所に対する差し押さえを
行ない、一週間前にはアテネのゲーテ協会に対しても差し押さえを
行なっていた。ギリシアの裁判所はドイツに対してナチ親衛隊が
1944年にディストモ村で行なった虐殺の遺族に総額5600万マル
クの支払いを命ずる判決を下していた。当時200人以上が殺された。
ドイツはこの判決を認めておらず、1960年の賠償取り決めで解決し
たと指摘した。


7月20日

(東京)日本で行なわれる世界経済首脳会談(サミット)ではドイツ首相ゲアハル
ト シュレーダーは主要工業国の中にロシアを含めるよう努力する意向である。ド
イツ代表団の発表では、そのためには、ロシア大統領ウラディミール プーチンの
行なっている改革が進むことが必要である。いわゆるG7とロシアの会談は金曜日
に沖縄で始まる。会談の中心テーマは貧しい国に対する負債の免除である。その他
に国際紛争の起きている地域についても話し合いが行なわれる。

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・日本の東部で大きな自信があった。当局の情報によれば、この地
震はマグニチュード6.1で、震源は東京の北150キロの太平洋であっ
た。犠牲者や被害はまだ報告されていない。
・パレスチナ側の発表では、アメリカの近東首脳会談では今までの
ところ前進は見られなかった。イスラエルとパレスチナの代表団は
争点に関して全く合意できなかった。主要な争点はエルサレムの今
後の地位をめぐるものであると見られている。パレスチナ側はエル
サレムの東部を自らの首都にしたいが、イスラエルはエルサレム分
割に抵抗している。イスラエル側からは、日曜日までに突破口が見
いだせなければ、首相バラクは出発する、とのことである。木曜日
夜に両国は急いで、首脳会談を今後も続けることを決めた。
・1944年7月20日はヒトラー暗殺失敗の日であるが、その日を記念
して連邦議会議長ティールゼは対ナチ抵抗運動をたたえ、極右の撲
滅を呼びかけて、沈黙する多数派がドイツで起こっていることに対
して自分に関りがないことだという態度を取るようなことが決して
あってはならない、と語った。
・国連事務総長アナンは加盟諸国に対し、武力衝突の防止を十分行
なっていないことを非難した。将来国連は武力対立が起こらないよ
うにするために全力を上げる、とニュー・ヨークの安全保障理事会
で語った。それには国連軍の予防的投入のほかに、対立の原因、民
主主義の不在や社会正義の欠如といった未開発の原因の除去などが
含まれると言った。


7月21日

(沖縄)主要工業国7ヶ国は、国際金融体制の改革と最貧国に対する大幅な債務免
除を行なうために、世界的な経済発展を役立てる。ドイツ首相ゲアハルト シュレ
ーダーは沖縄で行われた経済首脳会談で、債務免除が最後に成果を上げるというこ
とがドイツにとっては重要である、と強調した。首脳会談参加者は、資金洗浄にた
いし戦いを挑む、との決意も述べた。彼らは、資金洗浄にたいして厳しい態度をと
らない国に対して制裁を科す、というそれぞれの大蔵大臣の提案を承認した。

     その他のニュース
・アメリカ単独のミサイル迎撃システムに反対する声が上がってい
る中、アメリカとロシアは短距離迎撃ミサイルによる防御システム
の共同開発をする意向である、と沖縄でクリントン大統領とプーチ
ン大統領が発表した。その中で他の国も開発に参加することも検討
する、と述べられている。一方米国政府高官はこのミサイル迎撃シ
ステムの開発を続けるかどうか最終決定は出ていない、と語ってい
る。
・ドイツ政府はロシアに総額80億マルクの負債の返還を求めていく。
その協定は来週には署名される。ロシアの負債は単なる借り換えで
あって、返済免除はされない、と首相シュレーダーは語った。ドイ
ツに対するロシアの負債は400億マルクを越えている。
・エルサレムの将来の地位をめぐる対立はキャンプ デイヴィッド
で行われている近東首脳会談の現在の最大の争点である。イスラエ
ルのバラク首相はアメリカの妥協案に賛成した模様である。それに
よれば、イスラエルとパレスチナは東エルサレムの一部を共同で統
治することになっている。他のアラブ系の地区は全面的にパレスチ
ナの支配に委ねられることになる。しかしバラクの顧問はイスラエ
ル側のこの譲歩を否定している。


7月22日

(東京)G8の話し合いで、インターネットを使って世界中に平等な機会を作り上
げることが、目標とされた。「地球規模の情報社会に関する沖縄憲章」の中で、
「デジタル文盲」を作り出さない努力をすることが謳われている。G8各国には中
でも、費用があまりかからない情報伝達会社を提供することが義務づけられた。ド
イツ首相ゲアハルト シュレーダーは同時に、情報技術の試験的な計画が貧困の撲
滅という側面を持ちうるということに理解を求め、アフリカ諸国に対する関税免除
といった貿易上の措置と同じく欠くことの出来ないものだ、と語った。世界貿易新
協定や最貧国の負債免除などの数多くの個別の問題に関してはG8諸国は合意でき
なかった。

     その他のニュース
・ヒューポフェラインス銀行がオーストリア銀行の業務と合併する
と発表した。合併はいくつかの段階を経て行なわれ、最終的には株
券交換を行なうとのことである。両行はこの合併計画の詳細を月曜
日の記者会見で説明する。オーストリア最大の銀行のドイツ第2位
の信用銀行が合併することで、資産総額6430億ユーロ、従業員6万
5千人の会社が誕生する。
・全政党の政治家たちがカトリック教会に対し、ナチ時代の強制労
働に対する責任を正当に評価し、賠償基金に資金を提供するように
求めた。この基金を主導する政府代表ラムスドルフは、カトリック
教会も責任を負うべきであり、プロテスタント教会はすでに責任を
みとめ、1千万マルクを提供した、と語った。
・ボン検察庁は党の不正資金疑惑の渦中にある元首相コールに対す
る捜査を、過料の支払いと引き換えに、中止するかどうか決定を出
していない。この訴訟の間コールの資産状況に変化はない、と主席
検事ケーニヒは語った。雑誌報道によれば、約20万マルクの過料を
支払えば捜査は中止され、また検察はコールの背信の容疑に自信を
持ってはいるが、生じた損害はすでに彼が金集めをすることで埋め
合わせがついているので、捜査は終了させたい、と考えている。


7月23日

(フルダ)フルダ大司教のヨハネス ドューバが日曜夜に心臓発作
で亡くなった。70歳であった。彼はドイツローマカトリック協会の
保守派を強く擁護する一人であった。彼は最近、カトリック内部で
も認める動きのある妊娠中絶と同性愛者の結婚に反対する議論を行
なった。ドイツ司教会議の議長カール レーマンとドイツ政府は彼
の死を悼む言葉を述べた。

     その他のニュース
・バーデン・ビュルテンベルク州の社会民主党は同州同党党首ウー
テ フォークト(35歳)を2001年の州議会選挙の筆頭候補者にする
ことに決めた。同州ではキリスト教民主同盟と自由民主党が与党で
ある。前回の選挙では社会民主党は25.1%しか投票を獲得できず、
州議会選挙としては最低の結果であった。
・キリスト教民主同盟元党首ショイブレと元会計責任者バオマイス
ターは、新聞報道によれば、一時的に捜査対象からはずされること
になりそうである。二人は武器商人シュライバーの10万マルクの献
金に関する相反する証言を行なったが、検察庁はそれを再検討する
機会を与えたい、と考えている。
・首相府から消えた首相府元長官ボールの文書が、キリスト教民主
同盟に近いコンラート アーデナウアー 財団の文書庫から発見さ
れた。ボールの議員としての活動や、首相府から個人的な立場から
得られた文書がある、と同財団は発表した。政府特別調査委員のヒ
ルシュは8月に調査を行なう予定である。


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