7月24日〜7月30日のドイツのニュース

7月24日

(ベルリン)キリスト教民主同盟党首アンゲラ メルケルは同党の反対党戦略をめ
ぐる議論は終わりであると宣言した。ベルリンで開かれた同党の幹部による危機対
策会議の後、彼女は未来を見つめ、過去の失敗を繰り返さず、内容のある問題を優
先して取り上げるように要請した。彼女は懸命に同党の独自の勢力を現実的に判断
するように求めた。同時に政府の方針に必ず反対する戦略を終わりにし、基本的に
同党は税制改革と年金改革に関しては政府に歩み寄る準備がある、と強調した。し
かし同党は政府の譲歩も期待している、とも語った。

     その他のニュース
・キリスト教民主同盟に近いコンラート アーデナウアー財団で見
つかった文書は、首相府から紛失した文書ではない可能性が高まっ
た。特別調査員のヒルシュによれば、捜している文書の90%はすで
に発見済みである。一方政府の報道官ハイエは同財団は怪しい、と
発表した。ヒルシュはロイナ社の売却と鉄道会社の社員住宅の問題
と今回発見された文書は関係がない、と発表した。
・カトリックの司教区(ドレスデン・マイセン、エアフルト、マグ
デブルク、ヴュルツブルク)は教会や修道院でのナチ強制労働者の
使用に関して調査を受け入れた。調査結果は数週間で出される予定
である。
・キャンプ デイヴィッドでの近東首脳会談で、すべての参加国は
24時間態勢で問題を今後も話し合うことで合意した。アラファト大
統領筋によれば、話し合いは難しい局面にさしかかっており、どの
論点でもまだ意見の一致は見られていない、とのことである。

     おまけのニュース
・福島の原子力発電所で、再び事故が発生した。放射線を帯びた油
が漏れ出した後、原子炉が停止したが、住民には危険はない、と発
表された。金曜日にも同じ発電所の別の原子炉が地震の後に送電を
停止していた。


7月25日

(パリ)シャルル ド ゴール空港を飛び立った直後、超音速旅客機コンコルドが
墜落し、113人が死亡した。100人のエール フランスの乗客のほぼすべてがドイ
ツ人であった。乗客、乗務員の他に、コンコルドの機体の一部が落下したホテルに
いた4人が犠牲になった。エール フランスによれば、事故機のエンジンに損傷が
あったが、この事故は何機かのコンコルドで発見された主翼の亀裂とは無関係であ
る、とのことである。同機はドイツの旅行の主催者ダイルマンがチャーターしたも
ので、クルージングをするためにニュー ヨークへ休暇中の客を運ぶことになって
いた。パリのドイツ大使館とベルリンの外務省は事故対策ティームを作った。首相
ゲアハルト シュレーダーとアメリカ大統領ビル クリントンは犠牲者の家族にお
悔やみの言葉を述べた。

     その他のニュース
・近東首脳会談は失敗に終った。大統領クリントンは、この2週間
の交渉で進展はあったもののイスラエルとパレスチナの間で協定を
結ぶことは出来なかったと語り、平和会談決裂の主要な原因として、
エルサレムをめぐる対立をあげ、イスラエルよりもパレスチナ側が
あまり合意に乗り気ではなかった、と語った。両国は交渉決裂の責
任は相手にあると主張している。しかし対立点も含めて、出来るだ
け速やかに交渉を再会する意志があり、その際にはアメリカは重要
な交渉仲介者であるとも語っている。ガザでは数百人のパレスチナ
人が反イスラエルの戦いを訴えてデモを行なった。
・首相シュレーダーは夏休み明けに年金改革を実現することに自信
を覗かせている。彼は、野党キリスト教民主同盟とキリスト教社会
同盟に年金改革の話し合いに参加し、財政状況のよくない州にも負
担が増える追加措置を要求しないように求めた。また今期中に失業
者数を減らし、遺伝子技術法案の国会通過をはかると語った。また
外国人差別の問題と極右の破壊活動にも取り組むとも強調した。
・ドイツとユーゴスラヴィアのモンテネグロ共和国は、ユーゴスラ
ヴィアの憲法改正は大統領ミロシェヴィッチの権力拡張につながる
と批判した。この改正は受け入れられないと外相フィッシャーは語
った。モンテネグロ大統領デュカノヴィッチはミロシェヴィッチは
モンテネグロを挑発している、と語った。7月初めの憲法改正でミ
ロシェヴィッチは少なくとももう一期大統領を務めることができる
ことになった。


7月26日

(パリ)パリ近郊でのコンコルドの墜落はエンジンの故障が原因である可能性があ
る。このエンジンは離陸前に交換されていた。操縦士に対する指示には、離陸直前
に逆噴射用の部分を交換したと書かれていた、とエール フランスは発表した。操
縦室内での会話の第一回目の分析では、操縦士は離陸状態でこのエンジンは故障し
ていると報告し、緊急着陸を行なおうとしたが、その直後機体はパリ郊外ゴネスに
墜落したことが分かった。ドイツ人休暇客96人を含む109名すべてと地上にいた
4人が死亡した。
政府はハノーファーの万博会場で行われた全キリスト教会参加の礼拝で犠牲者を追
悼した。ゴネスでは葬儀が行なわれ、大統領ジャック シラクと多くの遺族が参加
した。

     その他のニュース
・近東首脳会談は失敗に終ったが、イスラエルとパレスチナはさら
に和平条約を結ぶ努力を行なう。パレスチナ大統領アラファトは9
月13日まで交渉を継続すると語った。イスラエル首相バラクは、米
特別大使が数週間後に近東を訪問して解決の糸口を探ることになっ
ている、と語った。アラファトは空港で多くの人の出迎えを受けた
のに対し、バラクは少数の支持者に迎えられたに過ぎなかった。
・大銀行同士の合併が再び暗礁に乗り上げた。ドレスデン銀行とコ
メルツ銀行の交渉は最終的に決裂した。決裂の原因はドレスデン銀
行側に言わせれば、両行の評価の食い違いである。コメルツ銀行は
単独で進む道を選んだ。労働組合は、職場が確保されるという点で、
この交渉の決裂を歓迎している。
・新聞「フランクフルター アルゲマイネ」は8月1日から旧正書法
に戻ることになる。同紙の主張は次の通りである。新正書法がドイ
ツ語を学びやすくも、ドイツ語の共通性を強めもしないし、住民の
90%は旧正書法を私的な文書では用いている。また多くの出版社は
新正書法に屈伏しているわけでもない。実際の活字メディアでは公
式の正書法を自分たち独自の基準に改めて用いているところも少な
くない。
ドイツ言語文学学会は、出版社などがいろいろな表記法を用いてい
るが、それは障害を減らすことはあるが、いろいろあるため混乱を
巻き起こす、という宣言を出した。同学会は同紙の挑戦をいいこと
だと評価しており、国際委員会とドゥーデン社に改定を始めるよう
にと、うながした。エアランゲンの言語学者テオドール イクラー
の評価に従えば、同紙の決定により正書法改革は失敗に追い込まれ
た。


7月27日

(デュッセルドルフ)破片爆弾の爆発でドュッセルドルフでは9人が怪我をした。
警察の情報では。男性一人と妊娠中の女性が生命の危機にある。その女性は赤ん坊
を亡くした。爆発は地下鉄の通路で起こった。この爆破事件の動機について警察は
今のところ何の発表も行なっていない。ノルトライン・ヴェストファーレン州副首
相ミヒャエル フェスパーは、犠牲者の多くは外国人むけのドイツ語講座の参加者
であった、と語った。

     その他のニュース
・コンコルド墜落の犠牲者の追悼礼拝に、千人を越える遺族と政治
家が参加した。ドイツ政府を代表して、外務大臣フィッシャーと運
輸大臣クリムトが出席した。礼拝はいろいろな宗派の聖職者によっ
てドイツ語とフランス語で行なわれた。最新情報では、事故機のエ
ンジンには問題はなく、車輪も引っ込めてはいなかった、とのこと
である。
・フィリピンのホーロ島で25日間人質となっていた「シュピーゲル」
誌の記者ローレンツ(47歳)は解放された。同誌の発行元が独自に
交渉を行い、フィリピンの交渉団は彼を人質に取ったグループとは
接触していなかった。身の代金を支払ったかどうかは明らかにされ
ていない。
・ドイツとNATO6ヶ国(フランス、スペイン、英国、イタリア、ベ
ルギー、トルコ)は計画中の新型エアバスA400Mを全部で225機、軍
用機として購入する意向である。同機は2007年に引き渡される予定
であるが、値段はまだはっきりしていない。ドイツは最高の73機購
入の予定である。


7月28日

(デュッセルドルフ)デュッセフドルフで発生した爆破事件は恐らく外国人とユダ
ヤ教の信仰を持つ人々を狙ったものであった。検察庁の発表では、捜査はその方針
で行われるとのことである。爆弾を仕掛けた犯人が誰であるか、手がかりとなる証
拠は今のところない。爆弾による暗殺事件で、木曜日に旧ソ連出身の9人、そのう
ち6人はユダヤ人であるが、そのうちの何人かはひどい怪我をした。内務大臣オッ
トー シリーは、犯人を迅速に逮捕し、出来るだけ厳しく処罰しなければならない、
と語った。ユダヤ中央評議会はこの暗殺事件に驚きを示したが、軽率な推測を行な
わないよう戒めた。

     その他のニュース
・公式発表によれば、火曜日にパリ郊外で墜落したコンコルドは、
車輪がパンクし、その影響でエンジンが火を噴いたと考えられる。
まだ断定は出来ないが、炎は恐らくエンジンの外部から入ってきた
ものと思われる。またホテルの瓦礫の中からまた遺体が発見され、
犠牲者は114人になった。
・EUが任命したオーストリアの政治情勢を評価する委員会は、金曜
日に同国政府と会談を行なった。委員会は元フィンランド大統領ア
ハティサリ、元スペイン外相オレハ、ドイツの国際法学者フローヴ
ァインからなっている。この委員会の報告書は九月に作成が予定さ
れており、それによってEU14ヶ国のオーストリア制裁がを解除する
かどうかが決まることになっている。
・ロシア大統領プーチンとロシア経済界の代表は、数ヶ月にわたる
対立をといて、協力していくことで合意した。90年代に行われた国
営企業の民営化は間違っていなかった、と官庁はみている、とプー
チンは請け合った。また彼は民間企業が役所や法律の力を借りて、
他の競争相手より有利な地位を確保しようというならば、それは受
け入れられない、とも語った。


7月29日

(ベルリン)デュッセルドルフでの爆破事件をうけて、内務大臣オットー シリー
は右翼の暴力に対抗する追加措置について各州と協議すると発表した。外務大臣ヨ
シュカ フィッシャーは、犯人や動機はまだはっきり分からないが、この犯行の背
後には外国人に対する憎しみがあると推測できる、と個人的な見解を述べた。シリ
ーとフィッシャーを初めとする政治家たちは、極右の犯罪者に法律を厳しく適用す
るように求めている。憲法擁護庁長官ハインツ フロムの意見では、極右の暴力が
産み出す脅威はまだ過小評価されており、極右の状況を見ると、このような殺害は
ますます頻繁に計画されている。

     その他のニュース
・デュッセルドルフの爆破事件では、金属片やプラスチックの破片
を入れた自家製のパイプ爆弾が使用された。今まで同じような爆発
物が使用されたという記録はない。怪我人の数は10人に増えた。
・4年前の資産家レームツマが誘拐事件の容疑者ドラッハはアルゼ
ンチンからハンブルクに連れ戻された。ドラッハは犯人引き渡しの
対象になって2年以上アルゼンチンで捕まっていたが、今回フール
スビュッテル刑務所に収監された。共犯の二人はすでに刑期を終え
ている。身代金はごく一部だけが返却されている。
・パレスチナ大統領アラファトは9月13日に計画されているパレス
チナ国家の建国を考え直す意向である。彼は仏首相ジャスパンと会
談を行ない、その後で友人の助言を検討して、時期については考え
直すと語った。彼は、今回の建国は1999年5月のオスロ条約に従っ
て計画されたものである、という点を再確認させた。


7月30日

(テル アヴィヴ)キャンプ デイヴィッドでの近東首脳会談が失敗に終わってほ
ぼ一週間がたち、イスラエルとパレスチナは再び交渉を始めた。西ヨルダンのエリ
コでの会談でははっきりした成果は上がらなかったが、両者は数日後にさらに交渉
を行なうことで合意した。パレスチナ大統領ヤセル アラファトは9月13日に計画
されているパレスチナ国家建国声明を延期する可能性があると示唆した。アメリカ
大統領ビル クリントンはアラファトに、建国の日を9がつ13日にすることに固執
するのであれば、その責任をとるようにといつになく強い調子で迫っていた。

     その他のニュース
・イスラエル外相レヴィは水曜日までに「国が一体となった政府」
が作り上げられた場合にだけ、その職にとどまると放送で語った。
他の閣僚も首相バラクに、保守派のリクド派を政府に迎え入れるよ
うに求めていた。月曜日に彼はまた不信任動議を突きつけられる。
現在彼は国会で過半数をおさえていない。
・ドイツユダヤ人中央評議会議長シュピーゲルは、ドイツには極右
の暴力を防止する措置が欠けていると批判した。彼は特に学校で若
者に対する啓蒙が行なわれていないと語った。一方法務大臣ドイブ
ラー グメリンと環境大臣トリティンはドイツには新種の極右が誕
生していると警告している。ザクセン・アンハルト州首相ヘプナー
は、極右を軽視している政治家が多い、と語っていた。
・EUのいわゆる「3賢人」が第一回オーストリア訪問の最後に、制
裁解除を進言するかどうかはまだ決まっていない、と語った。彼ら
の調査は、オーストリアの少数派の置かれている状況と政府の見解
を調べることであった。


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