7月31日〜8月6日のドイツのニュース

7月31日

(フィラデルフィア)アメリカ共和党は4日間に渡って選挙にむけた党大会を開始
し、テキサス州知事ジョージ W. ブッシュを大統領候補とした。2千人以上の代表
者が、ブッシュが穏健派保守的共和党員としての特徴を打ち出し、民主党の候補副
大統領ゴアと断固として対決するという、選挙綱領にも賛成した。堕胎法案や同性
愛者の権利を認めるかどうかという問題に関しては、この綱領ははっきり保守的な
見解をとっている。党大会会場周辺では数千人が貧困層とホームレスの権利を求め
てデモを行なった。

     その他のニュース
・保守派リクード所属のもと閣僚カツァフがイスラエルの新大統領
に選出された。2度目の投票で過半数を獲得し、政府側の候補者元
大統領ペレスを破った。今回の選挙結果は首相バラクの敗北である
との評価もある。バラクは新大統領と協力していくと語った。一方
バラクに対する不信任案は50対50で否決された。
・コンコルド墜落から一週間経ったが、フランス当局はこの惨事の
経過を明確にできていない。政府の調査委員会は、この捜査は当初
から困難であり、確実、あるいはほぼ確実なのは、車輪が爆発した
こと、炎と障害がエンジンに発生したことである。しかし正確には
事故の経緯ははっきりしていない、と発表した。
・外国人とホームレスに対する暴力事件が増加する中、政府は極右
に対する取り締まりを行なう意志を固めた。内務大臣シリーは内務
省、法務省、青年問題省次官が、今後の対処を話し合うことになっ
た、と発表した。一方アイゼナーハの区(簡易)裁判所はアフリカ
人2人に暴行を加えた3人の極右に逮捕状を出した。残りの一人は教
育施設に送られた。


8月1日

(ベルリン)ドイツの各州は各地に定着している右翼のテロ活動と対決するため、
一層緊密な協力を行なっていくことになった。幾つかの州内務省は、今後はより厳
しく極右の責任を追及し、今までよりも積極的に若者に対する啓蒙を行なっていく、
と方針を語った。そのほか、暴力事件を起こした右翼のデータベースを作ることも
計画されている。ユダヤ人施設の警備も強化されることになる。政府の最新調査に
よれば、右翼も多様化し、その犯罪も再び完全に増加している。火曜日にも警察は
数多くの右翼による襲撃を報告している。また憲法擁護庁の権限強化を求める声も
強まっている。政府情報部は極右の勢力を過小評価しているという非難を、事実で
はないと否定した。

     その他のニュース
・デュッセルドルフでの爆破事件は世界大戦の時の手榴弾で行われ
ていた。同種の手榴弾は現在蚤の市で爆発しないように形で売られ
ている。犯人はそれを改造した模様である。デュッセルドルフ市は
犯人逮捕の謝礼を12万マルクにあげたが、今のところ決定的な証拠
は見つかっていない。
・キリスト教民主同盟CDUの不正献金疑惑の鍵を握る二人の人物、
同党の元会計責任者キープと武器商人シュライバーは来年法廷で釈
明しなければならなくなった。アウクスブルクの主任裁判官は、脱
税、買収、ならびに詐欺と背任の幇助の疑いでシュライバーを起訴
する、と発表した。一方、キリスト教民主同盟に対する献金との関
係でキープに対する脱税幇助の件は起訴できず、個人の所得税脱税
疑惑だけ追求される。
・アジア人や東ヨーロッパ人など、外国人コンピュータ技術者に対
するグリーンカードの発行がようやく始まった。労働許可を求める
人は予想ほど多くはない。ボンの職業紹介センターにはいままでお
よそ1万9千件の問い合わせがあった。グリーンカードの申請に二の
足を踏む企業も多い。


8月2日

(ベルリン)ドイツ政府は極右政党ドイツ国家民主党NPDを禁止する提案に懐疑的
である。政府報道官ウーヴェ・カルステン ハイエはベルリンで、現在行なわれて
いる議論は、極右の暴力に反対する社会の反対運動を盛り上げるという、本来の課
題とずれかねない、と語った。一方同党の禁止に賛成か反対化をめぐる政治的な論
争は広がりを見せている。バイエルン州内務大臣ギュンター ベックシュタイン
(キリスト教社会同盟CSU)は禁止を求める活動を進めているのに対し、内務大臣
会議議長であるノルトライン・ヴェストファーレン州内務大臣フリッツ ベーレン
ス(社会民主党SPD)は、そのような措置にはあまり意味がないと考えており、政
党禁止には基本的には反対である、と語った。

     その他のニュース
・デュッセルドルフでの爆破事件の容疑者(34歳の実業家)を警察
は拘禁した。検察は、この男は極右の活動との関連で容疑者として
浮上したのではない、と発表したが、有力な手掛かりについては言
及しようとしなかった。新聞報道によれば、手榴弾はTNT火薬を使
ったもので、この火薬は国防軍でも使われている。
・イスラエル首相バラクはパレスチナ政策が原因となってさらに二
人の閣僚を失うことになった。外相レヴィは、エルサレムの一部を
パレスチナの支配下に置くことに抗議して辞任した。国会では分裂
している野党は、第一回の読会では選挙の前倒しを求め、過半数を
得たが、さらに投票を行なう必要があるので、バラクは10月終わり
までは政権にとどまることができる。彼は平和条約を結ぶためこの
期間を利用する意向である。
・アメリカ共和党は大統領候補者ジョージ W. ブッシュをフィラ
デルフィアの党大会で盛大に出迎えた。到着の際、彼はアメリカに
とって前向きで希望に満ちた演説を行なった。彼は木曜日夜に公式
に大統領候補者に選出される。彼が勝利した場合、共和党は兵力と
アメリカ政府の世界にたいする威信を強める政策を取る。


8月3日

(ベルリン)極右政党ドイツ国家民主党NPDを禁止する動議はますます可決の見込
みが減ってきた。政府が拒否がしているだけでなく、州の多くも憲法裁判所へ訴え
られた場合に勝算がないと見ている。それに対し、ベルリン市内務大臣エッカルト
 ヴェルテバッハ(キリスト教民主同盟CDU)は、右翼のデモをブランデンブルク
門等の象徴性の高い場所で禁止するため、集会禁止を定める厳しい法律を成立させ
るよい機会である、と見ている。金属産業労働組合IG Metallは、外国人排斥に反
対して団結するよう呼びかけた。外国人排斥の動きが再びいくつかの町で起こって
いる。

     その他のニュース
・警察はデュッセルドルフでの手榴弾による爆破事件の犯人たちを
捜査中である。最初に疑われた34歳の軍事品商は、7時間の尋問を
受けた後、アリバイがあったので釈放された。彼は前科があったも
のの、極右とはつながりがなかった。50人体制で捜査を行なってい
る、と検察は発表した。
・キリスト教民主同盟元会計責任者ズィープは、武器商人シュライ
バーの多額の献金に関して法廷で証言することになる。アオグスブ
ルク検察は、ズィープを個人の脱税疑惑だけで処理するという、ア
オグスブルク地方裁判所の決定に不服を唱え、それに応えた。検察
はサウジ・アラビアに対する武器輸出とシュライバーのキリスト教
民主同盟に対する多額の献金の関係が解明されると考えている。同
党は今までこの資金を何のために、誰から受け取ったのかを説明し
ていない。
・月曜日にニジェール川のデルタで武装した若者に人質に取られた
165人のシェル社の労働者たちは、約束の解放を待っている。木曜
日に解放の予定であったが、この約束は今のところ守られていない。
一方シェル社は、現地の政治指導者たちと誘拐犯の要求に関して交
渉することで合意した。取り上げられるのは若者が働く場所と同社
が採掘する石油の保障問題である。会談は8月15日に行われる予定
である。


8月4日

(ベルリン)右翼の暴力が増大する中、政府が極右ドイツ国家民主党NPDを禁止す
る動議を提出する可能性が高まってきた。連邦と州の共同作業班の中では、憲法裁
判所にこのような動議を提出して判断を下してもらうべきであるとする動きがある、
と政府報道官ウーヴェ・カルステン ハイエは語った。政党を禁止するためには法
律上高い障害が設けてあるが、これも実際には乗り越え可能であることを、作業班
は証明するつもりだとのことである。政府は今まで、特にバイエルン州から強い要
求が出ていた国家民主党の禁止を拒否してきた。水曜日にはハイエはまだ、禁止す
る十分な理由がない、と発言していた。

     その他のニュース
・ヘッセン州キリスト教民主同盟CDUの不正資金疑惑の解明の途上
で、同州首相コッホに対する新たな疑惑が浮上してきた。同党の会
計検査人は、活動報告書に記載されている貸付金の日付の改竄を知
っていたら、自分は活動報告書を認めなかった、と証言した。コッ
ホは1月には、同党のスイスの銀行口座にある隠し資金を貸付金と
して支出したということを認めていたが、この貸し付けの日付が改
竄されていた。同党と自由民主党FDPの賛成で委員会はその後、こ
の問題に関するすべての書類の押収を要請することを決定した。
・病院は将来病室にベッドが1つあるいは2つしかない部屋の追加料
金を徴収することが出来なくなる。連邦通常裁判所は、保険の対象
になる価格は設備にふさわしいものでなければならない、という判
断を下した。病室が特別な設備を備えていなくても、個室の場合
(基本料金135マルクの)最高80%、二人部屋では30%までの追加料
金を取ることが認められている。
・内務大臣シリーは上級公務員の賃金体系を変更する計画を立てて
いる。それによれば結婚給付金月180マルクは廃止し、それに代わ
って、子供の多い家族に対する割り増し金を増やす意向である。こ
の計画に同業組合や労働組合は強く抗議している。


8月5日

(ベルリン)連邦政府は極右の暴力犯に対し、連邦国境警備隊BGSを投入を強化す
る意向である。内務大臣オットー シリーは雑誌「シュピーゲル」に、人々に国か
らの保護があると言うことを目にみえる形で示すため、国境警備隊を危険な地域に
派遣するかもしれない、と語った。同誌によれば、その外にヴィデオによる駅の監
視を広げていく、とのことである。また、首相府長官フランク・ヴァルター シュ
タインマイアーを座長とする次官会議で極右暴力犯に対する国境警備隊派遣の強化
を行なうことに合意がなされた、とも伝えている。
ドイツ警察労働組合は、国境警備隊は州警察の人材不足を補う「特殊警察」ではな
いのだから、持ち分を越えて出動させることがないように、と警告した。

     その他のニュース
・警察は大挙出動し、テューリンゲン州での100人を越えるとみら
れる極右を逮捕し、それによって禁止されているにもかかわらず、
ヴァイマル近郊でのバート ベルカで予定されていた国家民主党
NPDのデモを阻止した。その外にもオーバーバイエルンのフライラ
シンクでも警察はデモを阻止した。ニーダーザクセン州のトステッ
トでは警察が極右のデモ参加者とそれに反対する人達のデモが衝突
するのを防止した。デュッセルドルフではおよそ2千人が極右に反
対するデモに参加し、先日爆破事件が起きた地下鉄駅で黙祷をささ
げた。
・元首相コール(キリスト教民主同盟CDU)は、すでに判明したも
のの他に、不正に集めた資金およそ2百万マルクを使用していた。
検察庁はシュピーゲル誌の報道が正しいと確認した。それによれば、
この資金はドイツ東部に同党を作るために用いられたのではなく、
選挙資金と世論調査の資金として用いられた。コールは、匿名の資
金提供者から同党のドイツ西部の組織がお金を受け取っていたこと
を隠したことはない、と語った。
検察は、同党が長年コールの資金集めに基づいて虚偽の活動報告を
作成し、国庫から多すぎる補助金を得ていたことから、コールの詐
欺を立件できるのではないかと考えている。
・警察の非公式発表によれば、フィリピンのホーロ島で人質となっ
ている人達の解放は8月中にも行われる見通しがでてきた。誘拐犯
は数日後に、南アの夫婦、マレーシア人3人、フィリピン人2人を釈
放すると発表した。3週間後には、ゲッティンゲンのヴァラート親
子を含め、他の人質も解放の予定である。


8月6日

(ベルリン)連邦議会は夏休み明けに極右問題を話し合う。連邦議会内政委員会幹
部のウーテ フォークトは新聞に、国会は方針を決定しなければならない、という
意見を自分は持っており、10月なかばまでに全会派の共同提案を行なう準備を進め
ている、と語った。強制移住者の政府側委員ヨッヘン ヴェルトは、外国人排斥に
対する行動計画を進めるよう各市や地方自治体に要請した。彼は強制移住者に対し
ても、最近外国人排斥の暴力の犠牲者が発生したことを憂慮している、と語った。
ゲーラ市のレストランでで日曜日に5人の極右が二人のパキスタン人を殴りつけた。
犯人は逮捕された。

     その他のニュース
・プロテスタント教会に引き続き、カトリック教会もナチの強制労
働者に賠償金を支払う活動に参加する意志を表明した。司教会議の
報道官は、補償をするのは当然であると考えている、と語った。8
月28日の司教会議でどの程度の額を支払うかを決めることになって
いる。プロテスタント教会は数週間前に1千万マルクの支払いを決
めている。
・広島で55年前の世界最初の核爆弾の犠牲者の追悼式に約5万人が
参加し、核兵器の完全な廃絶を要求した。平和公園での追悼式で首
相森は、核爆弾を世界中から廃絶するという5月の核拡散防止条約
に署名した国々の告示を歓迎した。日本は核爆弾の犠牲になった唯
一の国である。広島へのアメリカの核爆弾投下により14万人が死亡
し、およそ8万人が今までに後遺症でなくなった。
・イランの改革勢力は激しい反発を受けている。同国の宗教界の最
高実力者ハメネイ師は国会で、出版法緩和を阻止し、改革派の提案
は不法であり、国益に反すると評した。彼はこの問題の話し合いを
打ち切った。その後国会議員の間で騒ぎがおきたが、その参加者の
多くは改革派に属する人であった。保守的な出版法に基づき、改革
派よりの新聞の閉鎖が命じられた。また改革派のハッサン ユセフ
ィ・アシュケヴァリは土曜日にヨーロッパから帰国したところを逮
捕された。


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