１０月１６日〜２２日のドイツのニュース
１０月１６日（月）
（ローマ）北イタリアの大洪水でイタリア政府は緊急事態を宣言した。アオスタタ
ール、ピエモント、リグリアでは15人が行方不明である、と民間救援活動組織が
報じた。12人が洪水で命を落とした。スイスのヴァリス郡では今までに3人の遺体
を見つけ出した。同郡のゴンド村では生き埋めになった女性の救出作業が行なわれ
ているが、生存の兆候は二日前からなくなっている。数千人が家を失った。スイス
南部のその他いくつかの谷あいの地域では、土石流で外部との交通が遮断されてい
る。マジョーレ湖の水位は最高を記録し、ロカルノ旧市街にあふれ出した。
その他のニュース
・長時間に及ぶ交渉と外国の仲介の努力にもかかわらず、近東緊急
首脳会談は予断を許さない状況にある。参加各国外相はどの解決案
でも合意できず、今後もう一回会談を開くことになる、と参加国は
語った。緊急事態に米大統領クリントン、エジプト大統領ムバラク、
ヨルダン国王アブドゥラ、国連事務総長アナンが夜遅く話し合いを
持った。西ヨルダンランドとガザ地区で首脳会談反対のデモを行な
っていたパレスチナ人の13歳の少年と、警官一人がイスラエル兵士
に殺された。目撃者によれば60名以上が怪我をした。
・エジプトのシャルム エル シェイクでの首脳会談中に、イスラ
エルのパレスチナ人居住区では新たに衝突が起こり、死者と怪我人
を出した。数千人のパレスチナ人が西ヨルダンランドとガザ地区で
は、アラファト大統領の首脳会談参加に反対する抗議行動を行ない、
蜂起を呼びかけた。
・（コシュトゥニツァ支持の）セルビア民主主義野党連合と（元大
統領ミロシェヴィッチの）社会党は協力して暫定政権を作り、セル
ビア共和国の議会選挙を12月23日に前倒しで行なうことで合意した。
社会党はそれまで首相をだし、野党連合とドラスコヴィッチが率い
る政党セルビア改革運動は副首相を出すことになっている。内務、
大蔵、法務、報道の4つの問題は共同で対処することになる。
１０月１７日（火）
（シャルム エル シェイク）イスラエルとパレスチナはパレスチナ人居住区での
暴力的対立を終わらせることで合意した。エジプトのシャルム エル シャイクで
の近東首脳会談後両国の名前でアメリカ大統領ビル クリントンは、イスラエル首
相エフド バラクとパレスチナ大統領ヤセル アラファトが公式に暴力を行使しな
いように、という呼びかけに応じた、と発表した。その他に両国は、その地域での
緊張を緩和するため、緊急措置をとることも発表された。調査委員会が一連の衝突
で死亡した100名以上を調査することになっている。アメリカ政府と協力して、和
平交渉が続行できるかどうかを今後2週間以内に結論を出すことにもなった。
ヨーロッパではこの合意は近東和平交渉再開の好機と評価されている。しかしパレ
スチナ急進派はこの合意を拒否している。
その他のニュース
・近東危機回避首脳会談での合意にもかかわらず、また新たな衝突
が西ヨルダンランドとガザ地区で発生した。ガザ地区ではイスラエ
ルへ通じる道を突破しようとしたパレスチナ人が死亡した。ベツレ
ヘムでもパレスチナ人とイスラエル軍が長時間の市街戦を行ない、
数人が怪我をした。ナブルス近郊ではユダヤ系住民がパレスチナ人
を射殺した。
・イタリアとスイスの洪水で、救助隊はさらに遺体を収容した。あ
わせて28人が死亡し、その他多数の行方不明者が出ている。スイス
ではローヌ川は平常水位に戻ったが、イタリアではポー川の水位が
徐々に上昇している。イタリア当局はポー川流域に住む2万人に避
難を命じた。この規模の洪水は6年ぶりである。ドイツはイタリア
に対して橋の修理などのために援助を行なった。
・英国での鉄道事故で少なくとも4人が死亡し、26人が怪我をした。
警察は、鉄道会社に対して脅迫があり、テロの可能性がある、と見
ている。ロンドン・リーズ間の快速列車がロンドンの北50キロハッ
トフィールド近くで原因不明の脱線事故を起こした。事故当時列車
は時速160キロ以上で走っていた。
１０月１８日（水）
（エルサレム）西ヨルダンランドとガザ地区では衝突が散発的に発生しているが、
イスラエルとパレスチナはエジプトで行なわれた危機解決のための首脳会談で結ば
れた休戦協定を履行し始めた。パレスチナ人居住区の境界とガザ地区にある空港の
封鎖は解かれた。パレスチナ人居住区にあるすべての町の封鎖も解除された。自治
都市ナブルス近郊から軍は戦車の一部を引きあげた。パレスチナ自治政府は、パレ
スチナ人によって今後は暴力が一切行使されることはない、という声明を発表した。
大統領ヤセル アラファトのファタハの軍事指導者と急進派ハマスの代表は共に、
イスラエルとの戦闘を続行する、と予告している。
その他のニュース
・イスラエル元首相ぺレスはルートヴィッヒ財団の賞を受けること
になった。大統領ラオはハンブルク市役所でペレスを和平のために
常に妥協せず努力を行なった、将来像を持った人物と評価した。同
財団の代表ヴィラヴィチェンチオは、イスラエルとパレスチナの和
解をめぐる努力を行なったことを受賞の理由としてあげた。
・首相シュレーダーは第3回アジア・ヨーロッパ会議に出席のため
ソウルに出発した。金曜日に始まる首脳会談では、欧州と経済成長
を再開したアジアの地域の間の協力関係の今後の道筋をつけること
になっている。EU諸国首脳は日本と中国を含む東南アジアと東アジ
ア諸国10ヶ国との永続的な協力関係の礎を作りたい、としている。
・連邦内閣は気候保全のための行動計画を作成した。それによれば、
二酸化炭素の排出量を2005年までに1990年と同じ水準になるよう
25%削減することが目標になっている。この計画の核になっている
のは、エネルギー節約と鉄道交通の充実である。環境大臣トリティ
ンは、政府は経済界と、二酸化炭素といわゆる温室効果ガスの排出
を自発的に義務づけることに合意した、と述べた。これによって京
都合意を満たすための十分な措置になる、としている。
１０月１９日（木）
（ヴィースバーデン）元連邦内務大臣でヘッセン州キリスト教民主同盟党首マンフ
レート カンターは同党の不正資金疑惑に関して州首相ローラント コッホを擁護
した。コッホは他のヘッセン州同党首脳同様に海外の隠し資産の存在を知らされて
いなかった、とカンターはヘッセン州議会の究明委員会で語った。この海外の口座
の背景にはフリック疑惑があり、彼は資金がこの疑惑にさらされるのを避けようと
したのだ、と語った。1983年にスイスに送金された2千億マルクの大部分はフリ
ック疑惑の間に解散した資金洗浄組織として利用された国民連合の資産である、と
説明した。
その他のニュース
・国連人権委員会は、パレスチナ人居住区での衝突の際、イスラエ
ル軍がとった行動に関し、同国を厳しく非難した。アラブ諸国と中
国、キューバが提案した決議文は19対16で可決された。17ヶ国は留
保した。EU諸国はこの決議を一方的であるとして拒否していた。こ
の決議文にはイスラエルは人権に対する犯罪を犯した、と非難され
ている。
・近東危機回避のための首脳会談で合意に至ったイスラエルとパレ
スチナの休戦を実現するための努力は困難をきわめている。ナブル
ス近郊での銃撃戦でイスラエル、パレスチナ双方に1人ずつの死者、
20人以上の怪我人がでた。その他にもガザ地区、西ヨルダンランド
でも新たな衝突が報告されている。両国はお互いの行動を非難し合
っている。
・25年前ウィーンで行なわれたOPECの会議の襲撃事件は、元テロリ
ストハンス・ヨアヒム クラインの情報によれば、リビアの支援に
よるものであった。クラインはフランクフルトの州裁判所で、武器
とOPEC会議の警備状況に関する情報はリビアから得た、と語った。
加えて彼は、自分がイラクの警護官を射殺したという情報は誤りで
ある、とも語った。検察は彼を殺人事件3件の共犯と殺人未遂事件3
件の容疑で訴えている。この事件ではイラクの警護官のほかにウィ
ーンの警官1人とリビアの使節団1人が殺害された。
１０月２０日（金）
（エルサレム）パレスチナ人とイスラエル人の対立は再び激化している。西ヨルダ
ンランドとガザ地区で新たに流血の衝突が起こり、少なくとも9人のパレスチナ人
のデモ隊が殺害された。イスラエル政府は再び戦車と戦闘用ヘリコプターを再び投
入した。また和平交渉の中断したい、と発表した。イスラエル政府報道官は、パレ
スチナ人はシャルム エル シェイクで合意した停戦を実行に移すために48時間
の猶予があったが、相変わらず流血の事態が発生し、パレスチナ自治政府は紛争解
決のためにほとんど何も行なっておらず、それゆえイスラエルは和平交渉を一時中
断したい、と語った。パレスチナ側は、イスラエルは自治都市の封鎖を完全には解
除していない、と再び非難した。
その他のニュース
・連邦と各州の内務大臣は懸案になっている極右政党ドイツ国家民
主党の活動禁止動議について来週木曜日までに会議を行なうことを
決めた。連邦内務大臣シリーは、同党が憲法を敵視しているという
点では、党派を超えて意見が一致したが、キリスト教民主同盟政権
の州のいくつかでは法的な問題に関してさらに検討が必要である、
と語った。
・キリスト教民主同盟党首メルケルと総書記ポーレンツは党の抜本
的な改革を呼びかけた。同党が歩んできた道を今後も歩むことはで
きない、何度でも新たな考え方を導入しなければならない、と彼女
はゴスラーで行なわれた同党創立50周年記念式で語った。ポーレン
ツは、同党員の権利と影響力を強めることに賛成した。
・EUとアジア諸国は南北朝鮮の接近に協力することで合意した。第
3回アジア・ヨーロッパ会議で参加各国は、両朝鮮が今後も平和と
安全のために努力を続けるよう鼓舞した。韓国大統領キムは首相シ
ュレーダーとの会談でドイツが北朝鮮と外交関係を樹立する準備を
進めていることを歓迎した。またこの会議では経済の世界規模かに
反対する人と警官の衝突が起こり、怪我人多数がでた。
１０月２１日（土）
（フランクフルト アム マイン）クリストフ ダオム（46歳）は麻薬使用で陽
性反応が出た。彼のサッカーの監督としての経歴は取りあえず終わることになった。
ドイツサッカー協会は速やかに彼と協議を行ない、彼はナショナルティームの新監
督には選ばれないことを発表した。また目下ダオムを雇っているブンデスリーガの
ティーム、レヴァークーゼンは彼との縁を打ち切った。ダオム自身が依頼した毛髪
分析を行なったのはケルンの法医学研究所で、彼が麻薬を使用していたという結論
を出した。彼は分析結果に疑問を持っており、再検査を行なって結果を否定したい、
と個人的な声明を出した。先週彼は何度もマスコミに麻薬の不正使用と売春で取り
上げられてきた。彼はこれらの疑惑に激しい反論を行なっていた。
バイエルン ミュンヘン サッカークラブの支配人ウーリ ヘーネスはダオムの過
去の麻薬使用疑惑をほのめかし、彼をナショナルティームの監督にすることに疑問
を挟んでいた。
その他のニュース
・労働組合は全国で政府が計画している年金改革案に反対する抗議
活動を行なった。集会、デモ、ビラまきに約2万人の人が参加した。
金属産業労働組合長のツヴィッケルは改革案の修正を求め、年金水
準を手取り収入の61%に引き下げる案は受け入れられない、それで
は労働者の大半の年金は社会扶助と同じ程度になってしまう、と語
った。その他に使用者は個人老齢年金の創設に参加しなければなら
ない、とも語った。労働大臣リースターは、妥協をする余地はある
が、それにはこの提案が財政的に可能であることが必要だ、と語っ
た。
・キリスト教民主同盟の不正資金疑惑で、首相府元長官ボールは新
たな疑惑をかけられている。「シュピーゲル」誌によれば、彼は
1998年の連邦議会選挙での敗北後、指示に反して自分の事務所から
職務に関する書類を持ちだし、同党に近いアーデナウアー基金に預
けていた。これには1991年2月の連邦公安委員会の会議の秘密文書
が含まれており、戦車のサウジ・アラビアへの輸出に関する賄賂に
関する情報が書かれていた。
・ドルトムント中心部で1万人を越える人々が極右のパレードに反
対する平和的なデモを行なった。集会でノルトライン・ヴェストフ
ァーレン州首相クレメントは、外国人や少数派に対する暴力を教唆
する輩に対し立ちあがるよう求め、極右政党ドイツ国家民主党の活
動禁止を支持した。その後、6百人のネオナチが警官多数に守られ
るようにして、行進を行なった。
１０月２２日（日）
（エルサレム・カイロ）イスラエルはパレスチナとの和平交渉を無期限に中止した。
イスラエル首相エフド バラクはこの措置によって、カイロで行なわれたアラブ諸
国首脳会談で、今回の流血をともなう衝突の原因はすべてイスラエルにある、とさ
れたことに応えた。アラブ首脳はパレスチナ人の安全のために国連軍の出動を要請
し、自治区に10億米ドルの緊急援助を約束した。同時にアラブ連合は和平交渉を
続行する意志である。パレスチナ人居住地域での衝突はあいかわらず続いている。
ガザ地区で発生した新たな衝突では、4人のパレスチナ人が死亡し、その中には14
歳の少年も含まれていた。
その他のニュース
・アルジェリアの作家アッシア ジェバー（64歳）がドイツの書籍
販売業の平和賞を受賞した。彼女はアルジェリア市民戦争で拷問に
かけられ、暗殺された人々の声を表現した。彼女は、自分の作品で
人間の暖かさと連帯感を捕らえたいと思っている、と語った。同賞
はドイツでもっとも名誉ある賞の一つである。授賞式はフランクフ
ルトのパウロ教会で行なわれ、大統領ラオも出席する。
・キリスト教民主同盟党首メルケルは、党に本題の話し合いに集中
するように求めた。移民問題をめぐる議論が人事問題になってはい
けない、とコブレンツで行なわれた青年部の会合で語った。国会議
員団長メルツは、ドイツへの移民問題を選挙の争点にすることに賛
成しているが、彼はこの点で多くの人に批判されている。
・ドイツの保険医は連邦厚生大臣フィッシャーの意見を受け入れ、
決算報告を透明化することにした。連邦保険医協会は、患者に今後
治療の経費を文書で通知することを仕事の一部とする、という提案
を行なった。保険医は不正な請求を行なっているという批判を受け
ているが、それについてはまだ結論が出ていない、とも語った。