10月23日〜29日のドイツのニュース

10月23日(月)

(ベルリン)キリスト教民主同盟総書記のルプレヒト ポーレンツは就任後わずか
6ヶ月で辞任した。同党党首アンゲラ メルケルは彼と一緒に記者会見にのぞみ、
彼は先頭に立つというよりは橋渡しをする人であって、総書記向きではなかったと
語った。メルケルはポーレンツに感謝し、ノルトライン・ヴェストファーレン州の
州議会議長代行ラオレンツ マイアーを後継者に指名した。社会民主党と緑の党は
ポーレンツ辞任によってメルケルの指揮能力が損なわれた、と見ている。

     その他のニュース
・既婚男性は今後兵役を免れることになりそうだ。連邦国防省の記
者発表では、将来すでに結婚している兵役義務者の召集拒否は認め
られることになる。この規定は、早ければ2002年から発効し、同性
愛のカップルにも適用される、とのことである。
・連邦労働相リースターと民主社会党議員団長クラオスは年金改革
案について話し合ったが、予想通り意見の溝は埋まらなかったもの
の、この話し合いは有意義だったと評した。専門家同志がドイツ東
部の年金の水準を引き上げることについて話し合いを行なうことに
なった。政府と野党の間で計画されていた年金問題の会談にはキリ
スト教同盟の反対で、民主社会党は参加できなかった。
・イスラエル首相バラクと右翼保守派の野党首脳シャローンは連立
政権構想で合意できなかった。会談は火曜日も行なわれる。シャロ
ーンの属するリクード党の情報によれば、シャローンはバラクの提
案を特に和平政策に関して全く不十分である、と判断している。同
党はパレスチナとの交渉に実質的な影響力を維持することを要求し
ている。同党の政権参加によって近東和平交渉は後退するのではな
いか、という疑いをバラクは表わした。バラク政権は和平政策のた
め7月から国会で過半数割れを起こしている。


10月24日(火)

(ベルリン)キリスト教民主同盟党首アンゲラ メルケルは新総書記にノルトライ
ン・ヴェストファーレン州議会副議長ラオレンツ マイアーを就任させることで、
党内の人事問題に関する議論を終えたいと考えている。メルケルは、ルプレヒト 
ポーレンツの後継である彼を中心に今後の州議会選挙と2002年連邦議会選挙の準
備をしていく、と語った。またマイアー就任は党の方針の変更ではなく、(与党と
の)対決の新しい形である、とも語った。いくつかの情報によれば、彼は総書記指
名をはっきりと受け入れた模様である。マイアーの指名は11月20日シュトゥット
ゥガルトで行なわれる小党大会で承認される見込みである。

     その他のニュース
・連邦政府はドイツ経済研究所の秋の景気判断で政策の妥当性が認
められた、と見ている。蔵相アイヒェルは、経済の安定性を目指し
た財政政策に同研究所は賛意を示した、と語った。この景気動向の
判断によれば、来年の経済成長は2.7%から3%で、景気の停滞の原因
は主として原油価格の高騰である。
・極右のユダヤ人や外国人の市民に対する暴力行為は、今や「ほと
んどテロ行為と言える傾向」にある、とドイツユダヤ人中央評議会
議長シュピーゲルは語った。50年以上にわたるドイツ連邦共和国の
歴史の中で、過去から正しい教訓を学んできたのか疑っている、と
彼は語った。内務大臣シリーは改めて極右政党ドイツ国家自由党の
政治活動禁止の方針を確認した。
・セルビア国会はようやく暫定内閣の組閣に賛成した。ミロシェヴ
ィッチ態勢崩壊後、12月23日の総選挙まで暫定内閣が必要とされて
いた。セルビア民主野党とセルビア革新運動からなる政府に、元大
統領ミロシェヴィッチの社会党も参加することになった。社会党の
ミニッチが首相になる。首相代理にはセルビア民主野党とセルビア
革新運動から一人ずつ就任することになるが、その決定には同意が
必要である。暫定内閣は33人の大臣からなり、3党で椅子を分け合
っている。ミニッチはこの内閣の最重要課題は、日常生活の正常化
である、と語った。


10月25日(水)

(ベルリン)連邦議会はイスラエルと連帯を強化していくことを確認した。外務大
臣ヨシュカ フィッシャー(緑の党)と社会民主党、キリスト教民主同盟・キリス
ト教社会同盟の報道官は、近東紛争に関してはイスラエルの存立を危機にさらすよ
うな妥協をすることはできない、と声明を出した。社会民主党の国会議員ゲルト 
ヴァイスキルヒェンは、イスラエルの地図を消し去ろうとするものは、ドイツの抵
抗を受ける、と語った。キリスト教民主同盟の議員カール ラーマースは、イスラ
エルとの連帯はパレスチナ人との仲介を行なうことを含んでいる、との私見を述べ
た。フィッシャーは、ドイツはパレスチナ国民の正当な利益を守ることを支援する
が、パレスチナ国家は対立の中ではなく平和状態でのみ建国されうる、と強調した。
フィッシャーはドイツ政府が両者の仲介を行なう可能性を否定した。そうなればド
イツ軍に対する要求が過大なものになるからである。重要なのは暴力が過激になる
のを押さえることで、そのためには首相シュレーダーが近々行なう近東訪問が有益
であろう、と語った。

     その他のニュース
・イスラエル軍とパレスチナ軍の将校はイスラエルとガザ地区の間
のエレス国境検問所で会談を行なった。報道によれば、両者は4週
間前にパレスチナ人居住区で始まった流血の衝突沈静化のために努
力する意志を固めている。これに先立ち、パレスチナ大統領アラフ
ァトはイスラエル首相バラクの特使と会談した。一方ベツレヘム近
郊ではパレスチナ人とイスラエル兵の間で銃撃戦が再び行なわれた。
・首相シュレーダーは2年の任期の中間報告を肯定的な形で行なっ
た。政府は財政政策で正しい方向に進路転換をした、と彼は経済団
体の催しで語った。これは産業界の議長ヘンケルの批判演説に応え
たものである。
・憲法擁護庁長官フロムは、ドイツの極右勢力が暴力を行使する可
能性が高まっていることを、「パトカーを呼ぶ」程緊急になってい
る、と評した。右派勢力の中でテロの前兆が見られる、と連邦議会
内務青年委員会で極右の高まりに関して発言した。


10月26日(木)

(シュヴェーリン)連邦政府は極右政党ドイツ国家民主党の活動禁止に関する合意
をできるだけ広く集める努力を行なっており、大きな成果をあげた。各州首相はシ
ュヴェーリンで会談を行ない、連邦憲法裁判所への動議提出に過半数が賛成した。
ヘッセン州とザールラント州は反対票を投じた。それに先立ち、ヘッセン州とザー
ルラント州を除く各州内務大臣もドイツ国家民主党の禁止動議提出を勧めた。この
動議は金曜日には連邦参議院に提出される予定である。計画によれば、各州議会は
11月10日にこの議案を裁決することになっている。

     その他のニュース
・アビジャンのラジオ局によれば、西アフリカのコートジボアール
の最高裁は、大統領選の勝者バグボを着任させた。彼の支持者と元
首相ワタラ支持者の間で激しい市街戦が行なわれ、少なくとも36人
が死亡した。元首相ワタラは、自分が大統領選出馬を許されなかっ
たため、バグボの勝利を認めていない。ワタラはドイツ大使館に保
護を求めていた。
・イラクが原油輸出を停止するかもしれないと発表したため、原油
価格は1バレル32ドルの水準に再び値上がりした。バグダッドから
の情報では、イラクは11月1日から米ドルではなく、ユーロで支払
うことを求めている。アメリカはこの提案を拒否している。
・英国の保守党による前政権は牛の病気BSEの危険性に関して長年
嘘をついていた。現労働党政権は、BSEによりクロイツフェルト・
ヤコブ病の変種にかかった市民に対する補償を行なうことを計画し
ている。


10月27日(金)

(ベルリン)女性がついに軍務につくことが認められる。連邦議会は基本法修正に
賛成し、それによって連邦国防軍は完全に女性に対して門戸を開いた。しかし兵役
は女性には課されない。今回の基本法修正には社会民主党、キリスト教民主同盟・
キリスト教社会同盟、緑の党、自由民主党が賛成した。全政党が、女性に男性と同
じ権利を与えるための一歩である、との演説を行なった。
国会は他にも憲法の修正を行ない、ドイツ市民が外国へ引き渡されることは許され
ない、という規定を廃止した。

     その他のニュース
・連邦政府は3年目を迎え、経済政策が成果を収めているという中
間報告を出した。ドイツの経済状況はここしばらくなかったほど好
調である、と蔵相アイヒェルは国会での政府報告で語った。 彼は
今年は3%、来年は2.75%の経済成長が見込まれるという経済研究所
の指摘を引用した。野党はこの経済成長は政府の政策によるもので
はない、と批判した。
・国連事務総長アナンは、ユーゴスラヴィア新大統領コシュトゥニ
ツァからユーゴの国連加盟に関する公式の書簡を受け取り、この申
請は現在法務委員会で検討されている、と国連報道官は語った。同
委員会は国連総会と安全保障理事会で公式に受け入れを勧める必要
がある。ユーゴの国連加盟は社会主義体制の崩壊後認められていな
かった。欧州安保協力機構は、ユーゴの再加盟を認める準備を行な
っていことを認め、それには正式の加盟申しこみが必要である、と
語った。
・西アフリカのコートジボアールで昨日流血をともなう衝突が起っ
たが、政治情勢は正常化しつつある。新大統領バグボとの会談後、
野党の指導者ワタラは、自分の党RDRはしばらく連立政権には参加
しないが、バグボの新政府は承認する、と語った。一方民主党
PDCIの総書記ドナ・フォロゴはバグボとの会談後、同党は政府に
参加する、と語った。首都アビジャンは平静を取り戻し、空港の閉
鎖も解除された。RDR支持者と社会主義政党FPIの支持者の間で起
った衝突で40人以上が死亡した。


10月28日(土)

(デュッセルドルフ)3万人以上がデュッセルドルフとカッセルで極右の暴力に反
対するデモに参加した。100人を越える極右が参加した両市でのネオナチの行進が
そのきっかけになっている。デモ隊の周辺では暴力行為が発生した。警官隊が大規
模に投入された。デュッセルドルフの集会ではノルトライン・ヴェストファーレン
州首相ヴォルフガング クレメントとドイツユダヤ人中央評議会の議長、パオル 
シュピーゲルが極右に警戒するよう訴えた。シュピーゲルは、ネオ・ナチのテロを
路上や広場で許してはならない、と語った。

     その他のニュース
・新聞報道によれば、ドイツの好景気でさしあたり国の税収は増加
する模様。今年だけで連邦と各州は、最新の見積もりよりも110か
ら150億マルク多くの税金を集める。来年も100億マルク程度の増
収が予想される。11月10日には労働共同体が最新の数字を発表す
る。
・首相シュレーダーは近東の武力衝突の即時停止を訴え、和平交渉
を続行するために欠かせない前提である、とカイロで語った。彼は
ドイツ人としてそしてヨーロッパ人としてこの地域の住民と有権者
に対して、和平交渉再開と近東での平和実現に関心を寄せている、
と明言した。彼はエジプト大統領ムバラクの仲介で行なわれた近東
危機回避首脳会談を高く評価し、ムバラクは近東の和平交渉で最も
重要な仲介人であると語った。
・散発的な混乱はあったものの、大きな衝突はなくコソヴォの第1
回地方選挙が国際監視団の管理のもと行なわれた。看板がなかった
ため多くの投票所では混乱が生じた。いくつかの地域では国連が投
票を行なうよう呼びかけた。選挙に候補者を送った政党はすべてコ
ソヴォ独立を支持している。世論調査によれば、アルバニア系の穏
健派のルゴヴァ率いる民主連合が最大の政党になる可能性がある。
多くのセルビア人は選挙をボイコットしている。セルビア新政府は
この投票を厳しく非難している。選挙の第1回結果発表は月曜日に
行なわれる予定である。


10月29日(日)

(ベイルート)連邦首相ゲアハルト シュレーダーは近東訪問の2番目の国レバノ
ンでも、この地域で対立している両者に暴力の行使を終わらせるよう要請した。リ
ビア首相ラフィク ハリリとの会談後、夕方ベイルートでシュレーダーは、緊迫し
た情勢をやわらげ、シャルム エル シェイクでの合意を遵守することが必要だ、
と語った。レバノン側と彼はイスラエルとパレスチナが再び同じ交渉のテーブルに
つくためのあらゆる提案を支援していく、ということで合意した。シュレーダーは
レバノンができるだけ早くEU準加盟国になれるように後押しすることを約束した。

     その他のニュース
・パレスチナ人はアラファトの言葉に従って、イスラエル軍占領部
隊に対する蜂起を続行する模様である。アラファトは演説で、エル
サレムがパレスチナ国家の首都となり、パレスチナの旗がたなびく
まで、この蜂起は続く、と語った。日曜日には西ヨルダンランドで
イスラエル兵1人、ナブルスでパレスチナ人2人が射殺された。その
他にも死者がでている。
・コソヴォ第1回地方選挙が国際的な監視のもと行なわれ、穏健派
アルバニア人のルゴヴァの民主連合が勝利を収めた。中立の選挙監
視人は、この党がこの地域の首都プリスティナを含む主要都市で過
半数を集めた、と報じている。投票には一部で混乱はあったものの、
大きな騒ぎはなかった。セルビア人多数が選挙をボイコットした。
ユーゴ新大統領コシュトゥニツァは公式発表を出し、ユーゴは今回
のコソヴォ地方選挙の結果を承認しない、と語った。ユーゴ政府は
追放されたセルビア人のこの地域への帰還を望んでいる。
・ロシア大統領プーチンはEUとロシアの首脳会談に参加するため、
フランスに到着した。会談は月曜から始まり、EUの東方拡大が話し
合われる。EUとの話し合いを一ヶ所で集中的に行ないたい、とプー
チンは以前から求めていた。また彼は、ロシアはヨーロッパの国で
あり、貿易の3分の1以上はEU諸国と行なっている、と語った。


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