11月20日〜26日のドイツのニュース

11月20日(月)

(ガザ市)近東ではイスラエル人の乗るスクールバス爆破以降情勢が緊迫している。
報復としてイスラエル軍はロケット弾をガザ市に打ち込んだ。この攻撃で、パレス
チナ警察司令部とパレスチナ大統領ヤセル アラファトが属するファタハの建物に
命中した、と通信各社は伝えている。パレスチナ側の報道によればこの攻撃で約
60人が怪我をした。
スクールバスの爆破は月曜日朝にガザ地区で発生し、2人が死亡した。

     その他のニュース
・日本の国会では首相森に対する不信任案が否決された。投票には
数時間かかったが190人が賛成、237人が反対した。党内の反森派が
投票前には不信任案の支持を撤回していた。4月の就任以来森は数
々の言葉による失態を演じ、自由民主党内からも激しい批判を受け
ていた。
・ペルー大統領フジモリは正式に辞任を発表した。ペルーを10年間
にわたって支配してきた彼は、国会に文書で辞任願いを提出した。
フジモリ辞任の背景には、贈収賄疑惑が紛糾したことがある模様で
ある。ペルー国会はすでに免職手続きを行なった。4月に行なわれ
る選挙まで誰がペルーの指導者になるのかは不明である。
・フロリダ最高裁でアメリカ大統領選の行方を決する聴聞が始まっ
た。3つの郡で行なわれている手作業による票の再集計を最終結果
に算入するべきかどうかが問題になっている。民主党は、ゴア候補
が再集計でフロリダでぎりぎりブッシュ候補を上まわり、大統領職
につくことを期待している。一方共和党は手作業による集計は法律
違反であると看做している。


11月21日(火)

(エルサレム)西ヨルダンランドとガザ地区でパレスチナ人とイスラエル軍の間で
火曜日より激しい衝突が起こった。通信社の報道によると、少なくとも5人のパレ
スチナ人が死亡した。ガザ地区では、イスラエル人の運転手が銃撃で渋滞である。
イスラエルはパレスチナ人に対し過剰な暴力をふるっている、とエジプトは非難し、
大使をテル アヴィヴから召還した。この措置をアラブ諸国は一致して歓迎したが、
イスラエルはこれを残念だ、とした。パレスチナ自治当局は、月曜日に行なわれた
ガザ市へのロケット砲での攻撃後、警官への発砲禁止命令を解除した。パレスチナ
自治区でイスラエル兵による攻撃からデモ隊を守るため、警官の武器携帯を許可し
た、と自治政府総書記アハメド アブドゥル ラヒムは語った。

     その他のニュース
・米国大統領選から2週間経ち、国民は結果を左右するフロリダ州
最高裁の決定を緊張して待っている。裁判官の協議は続いており、
決定の公表をいつ行なうかはまだ明らかにされていない。裁判官は
3つの郡で行なわれている手作業による集計を選挙結果に含めるか
どうかを決めなければならない。
・国連環境保護会議は予定の期間を3日残して進展が止まっている。
EUは、国連が提案している温室効果ガス放出の削減案を拒否した。
この計画では、森林面積と農業が二酸化炭素を減らす要因として扱
われている。EUの主張は、この提案では米国は今までより多くの温
室効果ガスを放出できるようになる、というものである。150を越
える国の代表が参加しているデン ハーグでのこの会議では、今ま
でのところ、意見の一致を見ていない。
・EU各国の農業大臣は来年から、緊急検査を行なって、牛の疫病
BSEとの戦いを協力して進めていくことに決めた。この計画によれ
ば、30ヶ月以上飼育されて屠殺された牛の肉はすべて来年7月から
調査されることになる。EUはこれにかかる費用を負担する意向であ
る。その他EU各国は、BSEに対処するために共同で措置をとり、特
定の国の孤立を避けることを決めた。しかし専門家は絶対的な予防
措置はない、と強調した。


11月22日(水)

(エルサレム)近東で起っている暴力沙汰はますます激しさと頻度を高めている。
パレスチナ過激派によると思われる爆破事件が定期バスを標的に行なわれ、北イス
ラエルの町ハデラでは少なくとも2人が死亡し、その他に37名が怪我をした。イス
ラエル警察はイスラム過激派ハマスの影をこの爆破事件に見ている。首相エフド 
バラクはパレスチナ自治政府当局がこの責任をとるように、と求めた。パレスチナ
自治政府はこの事件への関与を否定している。ガザ地区ではイスラエル兵が4人の
パレスチナ人を射殺した。イスラエル側によれば、大統領ヤセル アラファト率い
るファタハの軍事司令官と3人の民兵が逮捕に抵抗したため射殺された、とのこと
である。パレスチナ側はこれは市民を処刑したものである、と語った。

     その他のニュース
・フロリダでの大統領選挙の投票の再集計をめぐる争いの中で、共
和党候補ブッシュは連邦最高裁に提訴した。ブッシュはフロリダ州
最高裁の下した、手作業での再集計を含めた結果を最終結果として
尊重する、という決定に反対している。民主党は再集計の結果、ブ
ッシュ候補の得票と接近するという期待を持っている。マイアミ・
デイド郡の選挙管理委員会は、日曜日までに65万4千票を再集計す
ることは不可能であるため、集計を止めた。
・ペルーでは暫定大統領パニアグアが国連元事務総長デクエヤルを
首相に任命した。前任者フジモリ大統領は、辞表を提出したが、拒
否され、道徳的に不適格であるという理由で、国会が罷免していた。
4月にはペルーで選挙が行なわれ、7月終わりには新政府に職務が移
されることになっている。
・文化国務大臣ナオマンは職を辞し、雑誌「ディ ツァイト」の共
同編集者になる意志を固めた。政府の報道官は木曜午前に記者会見
を開き、ナオマンと首相シュレーダーが出席すると発表した。後任
にはミュンヘン人の文化担当官ニーダ・リュメリンの名が上がって
いる。


11月23日(木)

(バルセロナ)社会党の政治家エルネストリュチが暗殺されて2日経ち、バルセロ
ナではおよそ100万人が参加してバスク地下組織ETAのテロに反対するデモが行な
われた。抗議のデモは首相ホセ マリア アスナール、リュチの前任者フェリペ 
ゴンザレス、その他の有力政治家が先導して市の中心部を行進した。すべての民主
政党と労働組合がこの抗議活動に参加を呼びかけた。リュチ( 63歳)は火曜日自
宅車庫の奥で射殺された。

     その他のニュース
・ドイツは戦争と大量殺戮で揺れ動いた中央アフリカのルワンダと
の関係改善を行なう。アフリカ訪問中の外務大臣フィッシャーは首
都キガリで、会談では主にこの国の民主化するための支援について
話し合った、と語った。フィッシャーはこの前にアンゴラとブルン
ジを訪問していた。
・アメリカ大統領選で、民主党はフロリダ最高裁に、マイアミ・デ
イド郡の1万750票の手作業による集計を続けるよう要求していたが、
訴えは却下された。選挙管理委員会は、投票用紙すべてを改めて検
討するためには期限の日曜日まででは時間が足りない、ということ
を理由に手作業による集計を中止させていた。共和党は、手集計の
結果を採用しないようにと、連邦最高裁に訴えている。
・EUとEU加盟希望13ヶ国は、EU拡大を迅速に進めていく意志を確
認した。そのためにニースでのEU首脳会談で重要な決定を行ない、
今後の方針を決めなければならない、とEU拡大問題担当理事のフェ
アホイゲンは語った。EU15ヶ国の政府代表は、次回首脳会談でこれ
に必要な機構上の問題の改革にけりを付ける意志を示した。


11月24日(金)

(ワシントン)アメリカ大統領選結果をめぐる法廷闘争の終わりは見えてこない。
アメリカ最高裁は、共和党の告訴に関して口頭弁論を開始することを決めた。共和
党はフロリダ州での手作業による票の再集計結果を考慮に入れないように求めてい
る。法廷がこの告訴を受け入れた場合、民主党候補アル ゴアは協和党候補ジョー
ジ W. ブッシュの勝利の取り消しを求める予定である。再集計をすれば自分の方が
過半数をとる、と期待している。機械集計によれば6百万票のフロリダ州ではブッ
シュがゴアより930票多く集めている。

     その他のニュース
・BSE問題が発生して以来初めて、ドイツで育った家畜からも狂牛
病が見つかった。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州で屠殺された
牛肉とアゾレス諸島向けに輸出する牛肉が問題になっている。連邦
厚生大臣フィッシャーは牛肉の管理の改善を行なう、と発表した。
農業大臣フンケは、生後3ヶ月以上の牛肉にBSEの緊急検査を行なう、
と語った。首相シュレーダーは月曜日に動物性の飼料の使用の全面
禁止を決定する模様である。
・右翼過激派の示威行動が激化していることから、連邦および各州
の内務大臣はボンで開かれた会議で、歴史的および文化的に価値の
ある場所での彼らの活動を禁止することに決めた。これによりブラ
ンデンブルク門のような場所でのデモは不可能になる。この他この
会議ではボスニアからの避難民に対する滞在許可の延長も決められ
た。
・連邦政府はザクセン州捜査当局に、6歳の少年ヨーゼフの死の原
因を迅速に解明するように要請した。ネオナチの影響を受けている
と思われる、2人の男と女1人に、このイラク系ドイツ人の少年を
1997年にゼプニッツの屋外プールで虐待し溺死させたという疑い
がかけられている。ドレスデン検察は共同殺人の疑いもある。3年
前には警察は事故として扱っていた。


11月25日(土)

(ボン)動物性飼料はドイツでは基本的には禁止される。いわゆる狂牛病と見られ
る肉がドイツでも発見されて、農業省は緊急命令を出し、来週水曜にこの命令は発
効する。その他に危機対策本部は、BSEにかかっている危険が高いため動物性飼料
の輸出入を即時禁止することで合意した。まだドイツでは今後、安全性をより確保
するためにできるだけ多くの屠殺肉の検査を広範囲に行なうことになる、と農業省
は発表した。ドイツ農民組合長ゲルト ゾンライトナーは、今回のBSE問題の責任
の大半はEUにある、EU当局はイギリスで起ったこの病気を真剣に受け止めず、い
いかげんな対処をした、と語った。

     その他のニュース
・ドイツ鉄道は最近発覚した多額の負債のために、今後15年間の雇
用者数を半減しなければならないかもしれない。経営顧問会社の報
告によれば、2015年の鉄道労働者の数は12万人となる見込みであ
る。ドイツ鉄道の報道官は、遠距離鉄道の機関士と列車乗務員の大
幅な削減をめぐる報道の時と同じで、この数字にはコメントをした
くない、としている。
・失脚したユーゴスラヴィア元大統領ミロシェヴィッチは過半数の
賛成を得て、セルビア社会党党首に再選された。ベオグラードの通
信社B-92によれば、85%の代議員が賛成した。ミロシェヴィッチ
はコソヴォ紛争の際の犯罪容疑でデン ハーグの戦争国際裁判所に
訴えられている。彼のほかに候補者はいなかった。
・ペルーでは首相デクエヤルの新政府が就任した。暫定大統領パニ
アグアが15名の大臣を土曜日に任命した。パニアグアと新政府は来
年4月の国会議員と大統領選挙まで、この国を指導することになっ
ている。


11月26日(日)

(キール)ドイツ産の牛肉にBSEの疑いが生じていたが、この疑惑が確認された。
シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州首相ハイデ ジモーニスによれば、連邦ウィル
ス性疾患研究所の調査でレンツブルク・エッケンフェルデ郡産の牛肉のBSEの疑い
が確認された。その農家では160頭すべての牛が殺され、焼かれざるを得なかった。
11月29日からはドイツでは動物性飼料の使用が全面的に禁止される。その他に動
物性飼料の輸出入が禁止され、BSEの緊急検査が広範囲に行なわれることになって
いる。連邦と各州の農業省と厚生省の危機対策委員会がボンで開かれ、以上の対策
で合意した。

     その他のニュース
・6歳の少年ヨーゼフの殺害容疑で逮捕された3人は極右とのつなが
りを持っていなかった、とドレスデン検察は確認した。しかし連邦
検察は、彼らは極右の背景を持っていたためこの事件を起こしたの
かどうか、調査している。
・労働組合トランスネットは、ドイツ鉄道の大規模解雇に反対する
運動を行なう、と同組合長ハンセンは組合の大会で演説し、ストラ
イキも辞さない構えを示した。ドイツ鉄道社長メードルンは12万人
の削減案に関する報道を事実無根として否定した。彼は、同社は財
政の健全化が進まなかった場合、2005年までに4百万マルクの損失
がでるとし、その主な原因は、大規模計画に資金がかかりすぎるで
ある、と語った。
・ルーマニアでは大統領と国会議員の選挙が行なわれた。第1回集
計では元共産党員で以前の大統領イリエスクが約37%の票を集め優
位に立っている。第2位は27%を獲得した極端な国家主義者大ルー
マニア党のトドールである。どの候補者も過半数に達しなかった
場合、12月10日の決選投票が行なわれる。国会議員選挙ではイリ
エスクの社会民主党が大ルーマニア党をリードしている。公式結果
は火曜日に発表される。


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