11月27日〜12月3日のドイツのニュース

11月27日(月)

(ベルリン)動物性飼料の使用禁止の緊急命令が発令できなかったのを受けて、政
府と飼料業界の間で話し合いが行なわれ、合意が結ばれた。連邦農業大臣カール・
ハインツ フンケは動物性飼料使用の製造業者からの出荷を即時停止する、と語っ
た。水曜日から動物性飼料の使用を禁止するという緊急命令が計画されていたが、
連邦法務省から異論がでて中止になった。そこで同じ効果を持つ法案が承認される
ことになっており、早ければ土曜日に発効する。ドイツで初めて見つかったBSEに
汚染された牛を飼っていた農場では、すべての牛が緊急屠殺された。EU保健理事
デヴィッド バーンはドイツ政府を批判して、過去BSEからの消費者保護に余りに
努力を怠っていた、と語った。首相ゲアハルト シュレーダーはこの非難を退け、
BSE問題に対してはヨーロッパとしての対処法を探すよう求めた。

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・米国大統領選で、民主党候補ゴアはフロリダの選挙結果を否認し
た。ゴアの弁護士は、郡裁判所に手作業による集計が認められなか
ったことに関して、異議を申し立てた。公式結果ではブッシュがゴ
アを537票引き離している。これによりブッシュが選挙人の過半数
を獲得し、12月18日に正式に大統領になる予定である。
・アメリカの富豪で投資家のカーク カーコリアンはダイムラー・
クライスラー社を相手取って90億ドル以上の損害賠償訴訟を起こし
た。ダイムラー社とクライスラー社は1998年に合併したが、ダイム
ラー社長シュレンプはクライスラー社の株主をだました、というも
のである。株主以外には、この合併は対等合併ではないと報道され
ていた。
・自由民主党連邦議長のゲアハルトは党内で議論を巻き起こしてい
るが、過半数の賛成で連邦議会議員団長に再選された。彼は1998年
からこの職についている。彼は党内の反対勢力に改めて、自分の人
格に関する議論を止めるように求めた。これに先立ち自由民主党は
2002年の連邦議会選挙に向けた連立計画を否認していた。


11月28日(火)

(エルサレム)イスラエル国会は選挙を前倒しして実施することを過半数の賛成で
決定した。それに先立ち首相エフド バラクは、国会解散と選挙の早期実施を行な
う、と声明を出していた。日程は数日後には決定される、と彼は野党が提案した国
会解散動議に関する国会討論の際に語った。これによって首相バラクは投票での敗
北を免れた。野党は午後には、緊急事態対策内閣の組閣を呼びかけるバラクの意向
を拒否していた。一方パレスチナ人とイスラエル軍との衝突は自治区内で続いてい
る。

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・連邦議会は動物性飼料の全面禁止法案を委員会の審議に回した。
政府の計画ではこの法律は土曜日に発効の予定である。これにより
動物性飼料の使用と輸出入が禁止される。動物性飼料の中の蛋白質
がBSEをひき起こすと見られている。農相フンケの見積もりでは牛
肉の処理でおよそ10億マルクの損失になる。一方ドイツの牛肉市場
は冷え込んでいる。屠殺場では短縮操業が行なわれている。
・2001年予算に関する議論が始まった。野党側は連立政府の財政
および労働市場政策はうまく機能せず、そのためゆるやかになった
経済成長に再びブレーキをかけることになる、と非難した。蔵相ア
イヒェルは、与党は財政政策は確かで、「赤字からの脱出」の方針
を続行する、と語った。2001年予算案は総額4770億マルクで、
今年より0.4%少なくなっている。
・ザクセンのゼブニッツで起ったヨーゼフ(6歳)の事件で、捜査
当局はイラク系ドイツ人の彼がネオナチによって屋外プールで溺死
させられたとする証拠を見つけられない。両親が名を挙げた目撃者
は以前の供述を変え、審問の結果、目撃者は誰も実際には事件を目
撃していないことがわかった、 と検察は発表した。


11月29日(水)

(ベルリン・ブリュッセル)EU委員会は動物性飼料の全ヨーロッパでの禁止を行
なって、牛肉の疫病BSEの蔓延を防止しようとしている。EUの購入者保護の担当
委員デイヴィッド バーンは、肉および骨を使った飼料の使用禁止を来年1月1日
から当面6ヶ月禁止する、と発表した。その他、生後30ヶ月以上の牛はすべて、
BSE検査をうけてから食用に供されることになる。ドイツで起ったBSE汚染に対し、
連邦首相シュレーダーは連邦議会で農業の根本的改革を要請し、購入者重視の農業
を行なわなければならない、と語った。連邦議会農業委員会は動物性飼料の使用禁
止の緊急法案に賛成した。

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・首相シュレーダーは国会で、野党はドイツの経済状況を悲観的に
捉えている、と非難した。彼は今年の経済成長は3%であり、失業率
も下がったのは政府の努力の結果である、と語った。野党キリスト
教民主同盟・キリスト教社会同盟の党派長メルツは、統計上の操作
が行なわれていると批判した。予算案の審議で、シュレーダーは年
金改革がこの任期中に行なう重要課題であるとも語った。水曜の国
会ではこの他に移民政策がとりあげられ、亡命権改革の可能性はな
い、と与党は語った。
・米国大統領選挙から4週間経っても、結果をめぐる法廷闘争は終
わる兆しがない。金曜日には連邦最高裁が、ブッシュ側が主張して
いる、フロリダ州での手作業による再集計は法律違反であるという
訴えの、口頭弁論を行なう。フロリダ州の法廷では土曜日に両党が、
民主党の再集計を続行するようにという訴えに関する意見を述べる
ことになっている。
・イスラエル野党の代表シャローンは国会議員選挙で、首相バラク
と対決する意志を固め、次のように語った。バラクは再選を確実に
するため、平和条約締結に向けていかなる代償も厭わないつもりだ
が、彼との対決によってパレスチナ人へのこれ以上の譲歩を阻止し
たい。バラクが提唱する挙国一致政府が成立する可能性はなく、自
分は新たな連立交渉の準備を行なっている。選挙は来年5月の予定
である。イスラエル兵との銃撃戦が起り、4人のパレスチナ人が死
亡した模様である。


11月30日(木)

(ベルリン)連邦議会は全政党の賛成で、いわゆる狂牛病を防止するための動物性
飼料の使用禁止の緊急法案を可決した。この法案は土曜日には発効することになっ
ている。これにより、豚や鳥を含めすべての家畜に対して動物性飼料の使用が禁止
される。今までは牛、羊、山羊などの反芻動物にだけ適用されていた。
連邦と州は、来週からすべての生後30ヶ月以上の屠殺された牛に狂牛病の検査を行
なうことですでに合意していた。

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・EU獣医委員会は加盟15ヶ国すべてでの動物性飼料の禁止を目指し
ていたが、合意には至らなかった。専門家全員がBSEの拡散を防止
する今回の措置に賛成するには至らなかった。月曜日にEU農業担当
者の特別会議が開かれ、そこで決定することになった。
・ドイツとフランスは、EUで行なわれる今後の投票の重要性に関し
て異なる意見を持っている。仏大統領シラクは、人口が多いためEU
閣僚理事会でドイツはフランスをより多くの票を持つ、という考え
方に強く反対している。ドイツは8千2百万人、フランスは6千万人
弱の人口を持つ。今まで各領理事会では両国とも10票ずつ持ってい
た。
・イスラエル首相バラクはパレスチナとの平和条約を提案した。そ
れによればエルサレムの帰属問題は3年間棚上げにすることになっ
ている。バラクは、パレスチナ人は自前の国家を持つことになり、
パレスチナ人居住区の中のユダヤ人の入植地はイスラエルのものに
なる、と語った。しかしパレスチナ側はこの提案を全面的に拒否し、
エルサレム問題と難民問題の解決を要求した。エルサレムの今後の
地位が和平協定の最大の争点である。イスラエルは、この町は分割
できないとしているのに対し、パレスチナ側はアラブ系住民が住む
東側をパレスチナ国家の首都とすることを望んでいる。


12月1日(金)

(ベルリン)ドイツは牛の疫病BSEの発生を押さえるため、動物性飼料使用の全面
禁止と屠殺牛肉のBSE検査を全面的にかつ迅速に行なう。この検査は来週水曜から
始まり、生後30ヶ月を過ぎた牛すべてに義務づけられ、この検査をうけていない
牛肉の販売は出来なくなる。すでに土曜日から反芻動物に対する動物性飼料の使用
は全面的に禁止される。ドイツで初めてBSEに侵された牛肉が見つかって1週間目
の今日、各州は動物性飼料の使用を一致して可決した。月曜にはEU農業大臣がEU
全体での動物性飼料の使用禁止を決定する意向である。

     その他のニュース
・アメリカ最高裁は大統領選の結果に関する公聴会を開始した。共
和党はフロリダ州の手作業による再集計は法律違反であると認めさ
せようとしている。フロリダ州最高裁の決定で、共和党のブッシュ
候補と民主党のゴア候補の得票差は小さくなった。民主党は数千票
が無視されていることを理由に、選挙結果を受け入れていない。最
高裁の判決は来週には出るものと予想されている。
・チリの元独裁者ピノチェトは故国で裁判を受けなければならない
ことになった。彼には反対派の殺害の責任がある、と起訴状には記
されており、拘留が求められている。今までピノチェトは誘拐に関
して捜査が行なわれてきていた。政府は裁判所の決定に迅速に対処
した。
・ドイツとロシアはロシアの以前からの負債の一部をドイツとロシ
アの企業が共同で返済する意向を固めた。首相シュレーダーはロシ
ア首相カシヤノフとの会談後、必要な調査を行なう、と語った。ロ
シアはドイツにソ連時代からのものを含めて約400億マルクの負債
がある。全体で880億マルクの負債をロシアは抱えている。


12月2日(土)

(ハノーファー)ニースで行なわれるEU首脳会談を前にして、ドイツ首相ゲアハ
ルト シュレーダーとフランス大統領ジャック シラクはEU改革に対し異なる見
解を表明し、そのすき間を埋めることはできなかった。会談後シュレーダーは、来
週木・金曜の首脳会談は失敗しない、との確信を述べ、両者とも十分な成果を挙げ
ることを望んでいる、と語った。ドイツとフランス政府間には特に将来のEU閣僚
理事会の票の分配が懸案になっている。ドイツ政府は、ドイツの人口に応じたより
大きな票の配分を要求している。シラクは、フランスより2千3百万人人口が多い
ドイツがより多くの票を持つことに厳しく反対している。

     その他のニュース
・米国大統領選をめぐる法廷闘争で、問題になっている1万4千票の
手作業による再集計に関して、フロリダの地方裁判所が審理を始め
た。今のところマイアミ・デイド郡とパーム ビーチ郡で有効な票
の多くが選挙結果に取り入れられておらず、多くの無効票が結果に
入っている、と民主党側は主張している。両地域とも民主党の支持
者が多い地域である。共和党側はこの要求を拒否しているが、再集
計が認められた場合には、この両郡のすべての投票用紙を集計しな
おすことを検討している。その他3つの郡の170万票の再集計も求
めていた。
・イスラエル首相バラクはアメリカに対し、パレスチナと和平条約
を結ぶ準備ができていると強調した。電話で米国大統領クリントン
はバラクに、最近パレスチナ自治区で起っている武力衝突の原因を
根本的に調査するように要求し、両国が首脳会談に臨むように望ん
でいる、とホワイトハウス報道官は発表した。西ヨルダンランドの
ラマラでは1人のパレスチナ人が射殺された。
・連邦政府は動物性飼料の禁止法を発効の数時間後に修正した。そ
れによれば農家は将来も食用油脂のような動物性油脂の一部を仔牛
の飼料に使用できることになった。ドイツ連邦共和国史上最も迅速
に成立したこの法律は土曜日に発効した。農相フンケは対応のまず
さを批判され、省内の組織替えを行なうと発表したが、辞任は拒否
した。


12月3日(日)

(エルサレム)アメリカの要求を受け入れ、イスラエルはパレスチナ人の蜂起の原
因とその経過の究明を外国と共同で行なうことに合意した、と発表した。調査委員
会は2週間後にイスラエルに到着する予定である、と首相エフド バラクは発表し
た。委員会の長は、アメリカ元上院議員ジョージ ミッチェルが務める。彼は北ア
イルランド紛争の仲介役も務めた。イスラエルは、調査委員会が活動を行なう条件
として、占領地域が平静さと秩序を取り戻すことをあげている。イスラエルの態度
が変わったのは、クリントンとバラクの45分間にわたる電話会談が行なわれたた
めである。

     その他のニュース
・ドイツは、EU閣僚理事会の票の配分の改革と、それにつながるド
イツの立場の再評価に固執している。外相フィッシャーは、フラン
スよりドイツが多くの票を持つことは威信の問題ではなく、今後の
票の配分をにらんだ妥協案はまだできていないが、ニースでは決定
がくだされるだろう、と発言した。
・社会民主党首脳は、牛肉のBSE汚染に関連する分野に対する国か
らの補助要請を却下した。蔵相アイヒェルとノルトライン・ヴェス
トファーレン州首相クレメントは新聞のインタヴューに答えて、国
は財政的に支援をできる状態にはない、と語った。アイヒェルと首
相シュレーダーは消費者に向けて、健康な肉が欲しければ、それに
ふさわしい金額を支払わなければならない、と語った。教育研究相
ブールマンは、BSEの人間に対する影響を扱う専門家会議を12月
14日に行なう、と発表した。
・オーストリアのブルゲンラント州の地方議会選挙で、国政レヴェ
ルでの与党国民党と自由党は敗北を喫した。現在のところ国政での
野党社会民主党が得票を2%のばし、46.6%を獲得しており、新首相
を出す機会を得た。緑の党は初めてブルゲンラント州議会に進出し
た。国民党は35.3%、自由党は1.9%減らして12.6%となった。自由
党はシュタイアーマルク州の10月の選挙でも敗北していた。


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