11月27日〜12月3日のオーストリアのニュース

11月27日(月)

一般高等中学校の教員は12月5日に警告ストライキを行なう。これ
は月曜夜に決定された。オーストリア公勤務労働組合の議長団の承
認を経て、火曜午後に正式の決定になる。
「若手教員の保護」が一般高等中学校労働組合の目標である。つま
り若い教員が翌年も職につけるよう保証することを労働組合は求め
ている。しかし教育大臣エリザベト ゲーラーはすでに、この問題
については話し合いの余地がある、と匂わせている。もしこの交渉
で歩み寄りが見られなければ、次の手段を講ずる、と組合員ヤンテ
ィッチュは語った。

     その他のニュース
・外来診療の有料化は延期される見込みである。事務次官ワネック
の報道官が月曜夜、1月1日からの料金導入は可能性が低い、と発表
した。火曜日の新聞によれば患者は3月1日から病院の紹介で外来診
療を受ける場合には150シリングを、直接外来に行く場合には250
シリングを支払うことになる。


11月28日(火)

国民議会では5日間の予算案の審議が水曜日に2日目を迎える。問題
になっているのは「軍事」分野と「経済および労働」の分野である。
2001年予算の採決は12月6日に行なわれる予定である。野党の賛成
で、「公勤務およびスポーツ」の部分は国民議会の第2読会で火曜
夜に可決された。副首相スサネ リース・パサー(自由党)が担当
する分野の予算は8億シリング増えて11億シリングになった。

     その他のニュース
・水曜日に初めていわゆるスパイ疑惑に関する捜査状況の公式報告
が行なわれる。主任上級検察官シンドラーとウィーン検察の主任ウ
ェツアーは11時から記者会見に臨みスパイ疑惑に関連する質問に答
える。「フォルマット」誌によれば、元自由党党首ハイダーとウィ
ーン自由党党首のカバスに不利になる中間報告書がある、とのこと
である。一方自由党の弁護士はハイダーのスパイ疑惑に関する捜査
の今後に楽観的な態度をとっている、とも同誌は報じている。


11月29日(水)

国民議会では予算案の審議が続けられる。「教育、科学、文化」分
野と「外交」分野が木曜日には取り上げられる。すでに本会議の審
議は3日目である。2001年予算は12月6日に決定される予定であ
る。
教育大臣エリザベト ゲーラー(国民党)の予算案に関する討論は、
12月5日に予定されている一般高等中学校教員による警告ストライ
キを背景に行なわれる。野党は教育分野での予算削減に強硬に反対
している。特に2000年の人件費の凍結と教員数の削減が含まれて
いる。教育・文化の予算は今年に比べて10億シリング増えて771億
シリング、科学の予算は20億シリング増えて316億シリングになる
模様である。学費の導入によって、国の収入は15億シリングになる。

     その他のニュース
・木曜日にウィーンではナチ時代の「アーリア化(ユダヤ人の財産
の没収)」の被害者の賠償問題の交渉が始まる。オーストリアはす
でに1億5千万ドルを没収された賃貸物件と家財の賠償のために用意
した、との声明を出している。オーストリア側はこれは国が支出で
きる限界であるとしているが、犠牲者側はより多くの賠償金を求め
ている。


11月30日(木)

首相ウォルフガング シュッセルは、日曜日に行なわれるブルゲン
ラント州議会選挙に関して、「決着をつける時が来た。選挙は政治
がどのように評価されるかに応じて、票がばらけるために行なわれ
るものだ」と語った。ブルゲンラント銀行で起ったような事態を罰
しないのであれば、政治はいったいどんなことを手本にすればいい
のか。「有権者が気がつかなければ、私たち政治家が何をしても意
味がない。」変化の時代が来たのだ。このように首相は有権者に訴
えた。

     その他のニュース
・ウィーンで木曜に2日間の日程で「アーリア化」の被害者に補償
を行なうための会談が始まった。会談の参加者は始まる前には打ち
解けない雰囲気であった。アメリカ側の交渉人財務省副長官のアイ
ゼンシュタットは会談前に首相シュッセルと会談し、興味深い話し
合いを行なった、とだけ語った。


12月1日(金)

自由党は、スパイ疑惑に関して予審判事シュテファン エアダイを
批判の標的にした。金曜日には同党国会議員団長ペーター ウェス
テンターラーが先頭にたって批判を行なった。エアダイが予断にと
らわれている、と彼は批判し、エアダイは調査を引き伸ばそうとし、
手続きの進み具合を公表しすぎている、と語った。
ウェステンターラーは、元自由党党首イエルク ハイダーの護衛官
ホルスト ビンダーのところで発見された告発文書がねつ造された
ものだと暴露することで、予審判事に対する批判が正当であるとし
ている。「一握りの赤の上級役人が、政権与党の自由党に止どめを
刺すという戦略的な目的を遂行しようとしているように見える」と
彼は語った。

     その他のニュース
・ピーパー出版とインゲボルク バハマンの兄弟は、ザルツブルク
の自由党がインゲボルク バハマンから借用したキャッチフレーズ
「人間に真実は期待できる」を掲げて火曜日に党の催しを開いたこ
とに、文書で抗議した。彼らはこの言葉が党大会に使用されること
を知らされていなかった。彼らは「自由党の主張とバハマンの作品
や人格が一致しないため、この催しとは距離をとっていた」と語っ
ている。


12月2日(土)

アメリカ大統領ビル クリントンはイスラエル首相バラクに、近東
の武力衝突の原因究明を行なっているパレスチナ人に協力するよう
に求めた。バラクとの45分間にわたる電話会談でクリントンは、ア
メリカはイスラエルとパレスチナが交渉の席に戻る準備をしている
ことを強調した、と大統領府の報道官は発表した。
土曜日もまた西ヨルダンランドとガザ地区で死者が発生した。イス
ラエル兵が2人のパレスチナ人を射殺した。武装イスラム勢力ハマ
スはさらにイスラエル軍に痛烈な攻撃を加える、と予告した。

     その他のニュース
・チリの元独裁者ピノチェト(85歳)は土曜日自分に対する法的措
置に対して控訴した。彼はサンチアゴ デ チリの控訴裁判所に起
訴と自宅拘留に反対する訴訟を起こした、と弁護士は公表した。捜
査判事グスマンは金曜日にピノチェトを起訴し、ピノチェトは自宅
拘留された。捜査判事はピノチェトには1973年のいわゆる死の隊
商事件で70人以上の死に責任がある、としている。軍幹部は国家安
全保障理事会の召集を要求をしているが、政府はそれは無理である
と退けた。


12月3日(日)

フランス外相でEU理事会議長のユベール ヴェドリーヌは日曜夕方
EUの会議で、EUの拡大を前にEU改革の問題点に関して、まだ解決
案は見つかっていない、と認めた。EU委員会の規模と構成をめぐる
対立で、日曜日には何の進展もなく、参加国はそれぞれの立場を変
えなかった、と語った。
オーストリアを含む3ヶ国が、新たな国が加盟した後EU委員会の規
模を縮小することに反対し、フランスとEU加盟国の多数が2005年と
10年の2段階で行政委員の削減を行なおうとしている。これによっ
て、EU拡大後も当局の権限を残そう、というわけである。

     その他のニュース
・オーストリアは、12月21日にワシントンで、ナチ時代の「アーリ
ア化」の被害者の補償に関する包括的な提案を行なうことになる。
この提案は被害者の代理人にとっては喜ばしいものではないかもし
れない、とオーストリアの特別大使スーハリパはインタビューに答
えて語った。「私たちの提案は、被害者側から求められていること
の中に含まれているものばかりです。つまり、オーストリアの立場
からもこの提案を評価しなければなりません。私は、改善の余地が
ある、とは言われないと信じています。」


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