12月25日〜31日のドイツのニュース

12月25日(月)

(ローマ)教皇ヨハネ パウロ 2世は5万人以上を前にして、ローマのペテルス
広場で、伝統的なクリスマスの教書とあまねく全世界に祝福の言葉を述べた。教皇
は59カ国語で全世界の人々が明るいクリスマスを迎えられるように、と述べた。
演説で彼は特に近東とインドネシアで起っている暴力を厳しく非難した。彼は聖地
エルサレムで起こっている、暴力で人々が血を流し、和平への努力が無に帰してい
る情勢を憂慮している、と語った。その他に彼は、人間は積極的な安楽死と堕胎に
よって人の生死を決める裁判官となっている、と批判した。
ドイツのプロテスタント教会とカトリック教会の首脳はクリスマス教書で平和と、
弱者との連帯と人間の尊厳の擁護を訴えた。

     その他のニュース
・クリスマスのお祝いで、ドイツのカトリックとプロテスタントの
両教会は、人間の尊厳を進歩の犠牲にしないように、という警告を
発した。同時に両教会は冷静さ、協力、弱者との連帯、平和を呼び
かけた。ドイツカトリック司教会議長レーマンは人生の始まりと終
わりの時点での人間の尊厳が脅かされている、と語った。一方プロ
テスタント教会会議議長コックは、病人や介護の必要な人のために
人材を投入してもそれを十分評価しないマスコミを批判した。
・セルビア議会選挙で民主政党連合セルビア民主野党が勝利を収め、
次期首相に指名されたジンジッチは元大統領ミロシェヴィッチを法
廷に引きずり出す意向を固めた。ミロシェヴィッチはセルビアでの
腐敗、犯罪、選挙妨害、死刑命令の責任をとらねばならない、とジ
ンジッチは語った。選挙は90%以上の集計が終わり、250議席の内
170以上を民主セルビア野党が獲得する可能性がある。ミロシェヴ
ィッチの社会党は第2党、超国家主義党が第3党であるである。独
首相シュレーダーはジンジッチの勝利を祝い、改革をドイツが援助
することを約束した。
・イスラエル首相バラクとパレスチナ大統領アラファトは、近東の
事態打開を目指す米国の提案に、冷淡な反応を取っている。アラフ
ァトは、この提案は今までの疑念を晴らすものではない、と語った。
バラクはイスラエル政府はまだ詳細な話し合いを行なっていない、
と語った。米国の提案は、エルサレムの分割を含んでおり、東エル
サレムのアラブ人居住区と神殿の丘はパレスチナの、神殿の丘の麓
とユダヤ人、キリスト教徒が住む旧市街の区域はイスラエルの支配
下に置く、というもののようである。


12月26日(火)

(北京)中国では3百人以上の人がショッピング・レジャーセンターの大火事で死
亡した。少なくとも2百人はディスコの客で、炎にまかれて死亡した、と中国の国
営通信社が報道した。洛陽にあるこの建物の中には労働者多数が集まっていた。当
局の発表によれば、火は修理作業が行なわれていた地下室で発生し、4階建てのこ
の建物全体に広がった。一方当局は報道管制を引いている。
中国では経済発展が始まってから劇的な速度で火事の数が増え、1999年だけで
40%増加し18万件発生し、2千7百人が死亡した。

     その他のニュース
・インドネシアでは少数派のキリスト教の教会の爆破が相次ぎ、少
なくとも14人が死亡、95人が怪我をした。これを受け極めて厳しい
安全対策が取られている。この措置と、イスラムのラマダンが水曜
日に終わることで、これ以上の暗殺はなくなるものと思われる。首
都ジャカルタでは警察と軍の導入で、キリスト教会とモスクの両方
を守っている。大統領ワヒドは全土で起っているキリスト教会襲撃
を非難していた。
・パレスチナは、米国大統領クリントンの新しい近東和平計画を検
討する必要がある、と申し入れた。パレスチナ首脳部はおそらく水
曜日までは決定を下すことはない、と政府の代表は語った。イスラ
エル首相バラクは、米国の提案の受け入れの準備が出来ていること
を示唆した。バラクはパレスチナ側の態度を見てから、提案にどの
ように答えるかを決めるものとみられている。イスラエルの報道に
よれば、米国の提案の問題点は二つで、エルサレム問題とパレスチ
ナ人難民の帰国の問題である。
・ブランデンブルク州の都市グーベンで3人の若い極右が20歳のア
ジア系の外見をしたドイツ人を襲撃した。被害者は背中をナイフで
さされた。被害者と一緒にいた19歳の若者は顔に傷をおった。この
3人の極右は逮捕された。その中には、11月にアルジェリア人の亡
命者ベン ヌーイを追いかけ死亡させた事件の裁判で、200時間の
公共奉仕の判決を受けた19歳の男が含まれていた。この事件で州裁
判所は青少年犯罪で最高3年の刑を下していた。


12月27日(水)

(エルサレム)イスラエルとパレスチナの首脳会談がエジプトで開かれる直前に、
アメリカの和平計画受け入れに対する疑惑が生じた。提案を受け入れることはパレ
スチナ人の国家の運命を危険にさらすことを意味する、と情報省大臣ヤセル アベ
ド ラボーは語った。パレスチナ大統領のヤセル アラファトはそれに先立ちアメ
リカ大統領ビル クリントンに計画の詳しい説明を求めていた。アメリカ政府の提
案は木曜日に計画されていたイスラエル首相エフド バラクとアラファトのシャル
ム エル シェイクでの会談の中心であった。バラクは会合前に提案された計画に
ついて態度を表明することになっている。

・ユーゴスラヴィア大統領コシュトゥニツァは、元大統領ミロシ
ェヴィッチに対する刑事訴追を緊急には行なわないことになった。
セルビアではこの問題を扱うためには法治国家、司法、自由な報
道がまだ成熟していない、と語った。また復讐や正義よりも食べ
物に対する欲求を優先している人もいる。モンテネグロ共和国の
独立に関しては、首相ジュカノヴィチに最大限の譲歩を行なう準
備があると請け合った。その際コシュトゥニツァは、以前ミロシ
ェヴィッチが独立運動に圧力をかけるために利用していたモンテ
ネグロ駐留の軍隊の人事改革を行なうように求めた。
・ソーセージ類の虚偽の表示が水曜日バイエルン州、ザクセン・
アンハルト州、ベルリンで不安を巻き起こしている。食品検査で
牛肉使用という表示がされていないのに、実際には使用されてい
る例が見つかった。バイエルン州厚生大臣シュタムは監視を強め
る、と発表した。ザクセン・アンハルト州とベルリン市では多く
のそのような商品が見つかった。ベルリン市当局は、生産者は制
裁を覚悟するように、との声明を出した。
・緑の党は2003年以降環境税の税率を上げるという計画を立て
ているが、それは社会民主党から激しい抵抗に会っている。ライ
ンラント・プファルツ州首相ベックは、環境税がドイツで省エネ
ルギーの技術を発展させるきっかけになるとしても、環境税の税
率を上げ続けることは望んではいない、と語った。野党キリスト
教民主同盟、キリスト教社会同盟は、首相シュレーダーが緑の党
の要求を強く拒否するよう望んでいる。緑の党の党首ミュラーは
2003年以降も環境税の改革を推し進めて行く、と語った。


12月28日(木)

(ワシントン・エルサレム)アメリカ大統領ビル クリントンはイスラエルとパレ
スチナにあらためて妥協を行なうよう呼びかけた。両国は今までなかったほど和平
条約を結べるような状態にある、とクリントンは語り、同時に今後の会談は、対立
する両国が提案を受け入れて初めて意義を持つのだ、と語った。その前、和平交渉
が速やかに進む望みは減っていた。イスラム過激派の2度の攻撃を受け、ガザ地区
でイスラエル兵2人が殺され、テル アヴィヴではバスに載った少なくとも14人が
怪我をした。これに対し、イスラエルは西ヨルダンランドとガザ地区を封鎖した。
エジプトのシャルム エル シェイクで予定されていた首脳会談はそれより前から
中止になっていた。

     その他のニュース
・連邦農業省は牛肉の汚染BSE対策でさらにいくつかの規定を作っ
た。動物性飼料の使用禁止にくわえて、同省は蛋白質を含む飼料、
添加物、混ぜ物の販売を1月1日から禁止する緊急命令を発した。
またソーセージの不正な表示が発覚したことに厳しい措置をとる、
とも発表した。今回のBSE問題で、今までは農業省、厚生省、研究
省、経済相がそれぞれ担当していた消費者保護を一括して扱うよう
に求める声が高まっている。
・ドイツの市民権を得た外国人の数は1999年はおよそ30%増え、
14万3千3百人になった。連邦統計局によれば、この増加は、ドイ
ツに住むトルコ人およそ10万4千人がドイツ人になることを選択し
たためである。これによってトルコ系住民の数は外国人全体の28%
であるが、市民権を持つ外国人の中では3分の1を占めることになっ
た。今年からは新しい国籍法が発行して、連邦政府は帰化するよう
促している。
・連邦大蔵大臣アイヒェルは、国防軍の航空機を使用したという批
判に反論し、彼は私的な用事でベルリンとフランクフルトを往復し
たのではないと主張した。キリスト教民主同盟は彼を批判して、空
軍機をヘッセン州で行なわれた社会民主党の会議に出席するために
利用したのであって、彼の職務とは無関係である、としている。


12月29日(金)

BSE危機の進行に伴い、抜き取り検査が行なわれているソーセージ類の成分表示に
虚偽の記載があるものが見つかる州がますます増えている。ほとんどすべての州で
虚偽の表示が見つかっており、その中には記載に反して牛肉を使用した製品を含ん
だものもある。バイエルン州では、BSEと闘うために管理をより強め、調査範囲を
広げることにしている。農業大臣フンケは、4月以降この問題に関して、BSEがド
イツでも発生する可能性があるという得ていたという情報を否定している。

     その他のニュース
・連邦首相シュレーダーは新年のあいさつで、ドイツ市民に牛肉汚
染BSEとの戦いを継続して行くと約束した。彼は右翼の暴力的な活
動家に対して厳しい警告を発した。
・近東和平交渉はまた暗礁に乗り上げた。イスラエル首相バラクは
テレヴィで、パレスチナが神殿の丘の統治権を持つことを認めるよ
うな和平条約には決して署名しない、との声明を出した。パレスチ
ナ大統領アラファトの顧問はパレスチナが神殿の丘に対する権利を
有しているとの主張を強調した。これと同時にパレスチナ人居住区
での緊張は高まっている。バラクはすでにこの地域を封鎖している。
・グーベンで外国人に対して襲撃を繰り返した事件を受け、検察は
拘留状を再び要請した。今まで逮捕されていなかった二人の容疑者
も逃走の危険がある、と検察は発表した。一方極右の犯罪者に対す
る刑量が議論されている。法務大臣ドイブラー・グメリンはドイツ
の司法はあまりに手ぬるいと考えている。ノルトライン・ヴェスト
ファーレン州内務大臣ベーレンスと連邦議会議長ティールゼは極右
対策を徹底して続けるように求めた。


12月30日(土)

(ベルリン)連邦政府BSE問題の新しい代理人ヘッダ フォン ヴェーデルはBSE
危機の解決に向けて連邦と州が協力して弱点を補い、必要な対処を行なう方針であ
る。それにあたっては購入者の保護が最優先される、と彼女はテレヴィ番組で語っ
た。連邦会計検査院長官でもある彼女は、科学者、農家、商業、購入者保護の専門
家に議論してもらうつもりだ、と語った。
ベルリンでは農業大臣カール・ハインツ フンケは、購入者保護を担当するEU委
員デイヴィッド バーンの批判を退けた。EUは3月にすでにドイツではBSEの危険
が指摘する研究をフンケに届けていた、とバーンは語っていた。

     その他のニュース
・連邦国防軍は民営化が進む中でも、政治家の飛行機利用は軍の仕
事としておきたい意向である。大蔵省の情報によれば、蔵相アイヒ
ェルの国防軍機の使用をめぐる議論と、計画中の部分民営化とは無
関係である。アイヒェルは1月17日に連邦議会予算委員会で、違法
に軍の飛行機を使用したという疑いを晴らす意向である。
・右翼の犯罪行為の数は今年ドイツ東部では西部の約3倍であった。
ケルンの連邦憲法擁護庁によれば、全国で暴力も辞さない事件が増
加している。今年10月31日までに極右の暴力事件は昨年と比べて
14%増加した。特に右翼の政治宣伝のためにインターネットを悪用
した事件に当局は警告を発している。
・イスラエルとパレスチナの今後の和平交渉の進展が望めなくなっ
て、パレスチナのファタハは土曜日にイスラエル軍占領区で暴力を
さらに強めて行くよう呼びかけた。彼らは同時にアメリカが出して
いるイスラムとユダヤ教の聖地神殿の丘に関する主権を分割すると
いう提案も拒否した。イスラエルとパレスチナ自治政府は金曜日に
この提案をすでに拒否していた。和平交渉は秘密裏に行なわれるこ
とになる。パレスチナ側からは、議会の議長コレイとアラファトの
経済顧問サラムが米国代表と和平計画について話し合うために、ワ
シントンに旅立った、という情報がある。


12月31日(日)

(ベルリン)新年を迎えるとドイツは多くの法改正が行なわれる。特に重要なのは
個人の経済状況に関するものである。2001年からドイツの市民は税制改革の第一
段階として、全体で450億マルクの減税を受ける。それに対し、自動車運転者と電
気使用者は環境税として90億マルクを支払わなければならない。燃料の値上がり
対策として、1日から通勤に対する手当てが執行される。今までの自家用車による
通勤に対する手当70ペニッヒが、すべての交通機関に対しても適用され、11キロ
以上は80ペニッヒとなる。さらに法改正で、ドイツ国防軍では女性も火器を使用
する任務につけることになる。

     その他のニュース
・連邦首相シュレーダーは肯定的な2000年の総括を行なった。彼
は新年の演説で、経済の順調な成長を強調し、ドイツの産業と生産
は国際市場で最近なかったほどの競争力をつけている、と語った。
現政権の特別な功績として失業の減少を挙げ、前年より50万もの職
場を作りだした、と語った。また将来の課題としてEU拡大を挙げ、
これは国益に適っている、とも語った。
・EU理事会の議長国は新年の月曜日に、フランスからスウェーデン
に変わる。スウェーデン首相ペーションはEUの東方拡大を最も重要
で歴史的な挑戦である、と見ている。外相リンドは、すでに6月中旬
にイエーテボリで開かれるEU首脳会談で新規加盟の具体的な日程が
示されるのではないか、という期待を述べた。3月にストックホル
ムで行なわれる特別首脳会談では失業問題、環境政策をめぐる論争
が行なわれる予定である。
・近東紛争は再び激化している。ユダヤ過激派は、パレスチナ人が
民族主義派のラビと婦人を銃殺し、夫妻の5人の娘の内何人かが重
傷をおった事件の報復を行なう、と予告した。イスラエル首相バラ
クは、犯人には責任を取らせる、と確約した。ファタハは今後の蜂
起のための武器を買うための寄付金をつのり、現在聖戦のさなかで
ある、との声明を出した。この前にイスラエル兵はパレスチナ自治
政府の厚生省の首脳であったファタハ幹部を射殺していた。EU外務
代表のソラーナはこの地域を訪問し、月曜日にはバラクと会談を行
なう。


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