1月1日〜7日のドイツのニュース

1月1日(月)

(ワシントン・エルサレム)パレスチナ大統領ヤセル アラファトはおそらく火曜
日にアメリカ大統領ビル クリントンと近東和平会談について話し合うため、ワシ
ントンに出発する、とアメリカ政府とパレスチナ政府が二人の電話会談後に発表し
た。和平条約をめぐる努力には月曜日に爆弾攻撃によって暗雲がたれ込めていた。
イスラエルの海岸沿いの町ネタニヤで少なくとも30人が怪我をおった。閣僚の中
にはパレスチナ人に報復攻撃を行なうと発言するものもいた。西ヨルダンランドで
は再び小規模の戦闘が生じ、通信社によればその際4人のパレスチナ人が殺された。
急進派のユダヤ人はいくつかの村を封鎖した。日曜日にイスラエル兵によって殺害
されたファタハの政治家の葬儀がトゥルカレムで行なわれ、7万人ほどが出席した。

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・オランダのフォレンダムで開かれた大晦日のパーティで起きた火
事で、少なくとも8人の若者が火災の犠牲となり、1人が生命の危機
にある。観光客が集まるカフェがよる炎に包まれ、60人以上の参加
者が重傷を負い、病院に収用されている。建物の4階のクリスマス
用の飾りつけから出火したものと思われる。
・専門家たちはドイツ国内でクローン技術の医療目的での使用許可
と人間の胚細胞の利用に反対する声明を出した。人間の胚細胞を材
料として製造し利用することは倫理的に許される範囲を越える、と
9人の科学者が見解を発表した。この9人はみな連邦議会の医療研究
委員会の委員である。クローン技術の医療目的での使用に許可を与
えるべきだという発言を行なうと、学問上の誠実さと矛盾する、な
ぜなら、実現の可能性が少ない希望を持たせてしまうからだ、と彼
らは書いている。
・連邦政府は米国とイスラエルが国際刑事裁判所に関する条約に署
名したことを歓迎した。法務大臣ドイブラー・グメリンは、全世界
の独裁者と大量殺戮者に対処するために重要な一歩であり、米国と
イスラエルが署名したことで、この条約成立に大きな影響がある、
と語った。米国は兵士や政府の代表者が訴えられる可能性があるこ
とを懸念している。イスラエルは、この条約で占領地域での入植が
戦争犯罪とみなされる可能性があるとして批判している。新しい刑
事裁判所はデン ハーグに置かれ、大量殺人、戦争犯罪、人権に対
する犯罪を裁き、個人に対しても処罰を与えることができることに
なっている。


1月2日(火)

(ベルリン)連邦国防軍の歴史上初めて女性が火器を使用する軍務に着いた。連邦
全体で244人の若い女性兵士が兵営に入った。今まですでに4千7百人の女性が連
邦国防軍に所属しているが、彼女達は衛生兵および軍楽隊に属している。統合幕僚
長ハラルト クーヤトはラジオ番組で、女性は戦力として充実している、と語った。
連邦議会と連邦参議院は昨年女性を兵器を使用する部門すべてで男性同様に採用で
きるように基盤を整備していた。

     その他のニュース
・連邦厚生省は、BSEとの取り組みが不十分であったという非難を、
根拠がないと退けた。同省報道官は、専門家の審議会の見解を理解
できない、と語った。審議会は同省の管轄下にある研究機関は狂牛
病汚染対策を十分に行なっていなかった、という声明を出していた。
農家の代表ゾンライトナーは政治に責任があると批判した。キリス
ト教民主同盟、キリスト教社会同盟の会派長メルツは書簡で、BSE
事件はこの件に責任のある閣僚数人は力不足であることを明らかに
した、と語った。
・自由民主党の首脳人事をめぐる争いで、同党首ゲアハルトは自分
がトップの座を得たいと強調し、同党を国民的政党にすることに反
対する方針を示した。通信社の報道によれば、彼は2002年の総選挙
まで党の基本方針を幹部に送り、その中で彼と総書記ヴェスターヴ
ェレは同党の人事争いを今週中に決着させるつもりである、と語っ
た。ノルトライン・ヴェストファーレン州自由党党首のメレマンは
ゲアハルトを批判して彼は成果を上げていない、と語った。
・パレスチナ大統領アラファトと米国大統領クリントンはアメリカ
の近東和平計画を話し合った。この会談では、クリントンが提案し
た計画を詳しく説明された。それによれば、エルサレムの神殿の丘
に対するイスラムの聖域に対する主権をパレスチナが有する代わり
に、パレスチナ人難民すべてが帰国する権利を断念することになる。
パレスチナはこの点で慎重な態度をとっている。この3カ月間の紛
争で約360人が死亡し、そのほとんどはパレスチナ人である。


1月3日(水)

(ワシントン)イスラエルに引き続き、パレスチナもアメリカ大統領ビル クリン
トンが提案した近東紛争解決のための妥協案に留保つきながら同意した。ホワイト
ハウス報道官は、両者とも仲介案を今の所受け入れており、それぞれの解釈が一致
する努力を行なわなければならない、と語った。また、これは前進ではあるが、ま
だやらねばならないことも多い、とも語った。ホワイトハウスでの2回の話し合い
後、若干の遅れはあったものの、パレスチナ大統領ヤセル アラファトとの合意は
達成された。イスラエルの決定は夕方国防会議での決定を受けて行われた。木曜日
にワシントンで会談を行なうための代表団が出発するとのことである。

     その他のニュース
・アメリカの発券銀行、連邦準備銀行FRBは基準金利を下げた。翌
日ものの金利は0.5%と下げて、6.0%になった。連邦は公定歩合を
0.25%下げて、5.75%とした。
・ドイツ株はアメリカの基準金利の低下を受けて、値上がりした。
ドイツ株式指標DAXは145ポイントあげて、6,435となった。また
新市場の主要銘柄からなるNEMAX50は、ほんの数分でマイナス6%
からほぼ5%プラスに転じ、2,642ポイントで引けた。ユーロの交
換レートは下落した。ヨーロッパ中央銀行は基準レートを1ユーロ=
0.9530ドルに設定していたが、現在は1ドル=2マルク0523となっ
た。
・自由民主党党首ゲアハルトは総書記ヴェスターヴェレを後継党首
として提案した。交替の時期についてはまだ公表されていない。新
聞のインタヴューで、彼は2002年の連邦議会選挙をヴェスターヴェ
レと協力して戦っていく、と語った。二人は3月の党大会でヴェス
ターヴェレがゲアハルトと対決するかどうかを話し合うために、ヴ
ィースバーデンでで会談を行なっていた。この会談の結果、土曜日
にシュトゥットガルトで自由民主党の3首脳会談が行われることに
なっている。


1月4日(木)

(ハンブルク)自由民主党総書記グイード ヴェスターヴェレが同党主に就任する
ことになった。現在党首を務めるヴォルフガング ゲアハルトは職を譲り、5月の
党大会でヴェスターヴェレを後継者として推薦する意向である。ただし連邦議会議
員団長は今後もゲアハルトが務める。これは数ヶ月間にわたる自由民主党の人事争
いの結果、木曜日に二人がハンブルクで行なったばかりの緊急会談で決まったもの
である。ゲアハルトは記者会見で、自分は極めて重要な決断を下した、と語った。
ヴェスターヴェレは計画していた世代交代の一部で合意した、と語った。二人は来
年の連邦議会選挙で与党に復帰するために、今後も協力して行くことを約束した。

     その他のニュース
・外相フィッシャーは70年代に警官隊を襲ったことを公式に謝罪し
た。彼は政治対立で暴力という手段を用いたのは「大きな誤り」で
あり、訴訟の後彼は暴力とは距離をとった、と語った。彼は辞任要
求を拒否した。野党キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟の代
表者が彼の行動に対して厳しい批判をぶつけていた。とくにバイエ
ルン州内務大臣ベックシュタインは、フィッシャーには外務大臣は
勤まらない、と語っていた。
・NATOはバルカン半島への兵力投入後、ガンで死亡する兵士の数が
増加している件が、劣化ウラン弾との関係があるかどうかをようや
く火曜日に話し合うことにした。NATO加盟数ヶ国からは事態の速や
かな解明が求められていた。スペインと英国は検査を行なうよう求
めている。キリスト教民主同盟はコソヴォに派遣されたドイツ兵の
うち118名しか健康調査が行なわれていない、と非難している。
・アラブ連合は米国の和平提案を拒絶した。カイロで開かれた特別
会議に参加した各国外相は、エルサレムの神殿の丘に関する高権と
パレスチナ人難民のイスラエルへの無条件での帰国を要求している
パレスチナ大統領アラファトを支持した。イスラエル政府はこの二
つの要求をあらためて拒否した。アラファトはガザ市で米国クリン
トン大統領の任期の終わりまで2週間あり、その間に和平条約を結
ぶ希望を持っている、と語った。


1月5日(金)

(ベルリン)NATOはアメリカ製劣化ウラン弾とバルカン半島に投入された兵士に
発生した癌との関連を調査する意向を固めた。総書記ジョージ ロバートソンは、
アメリカ製劣化ウラン弾で攻撃を行なったコソヴォとボスニアの攻撃目標の一覧を
できるだけ速やかに作成することを約束した。イタリアではバルカン半島に派遣さ
れた兵士から今まで6件の癌が発生し、その内の5例は白血病である。ドイツ国防
軍もバルカン半島に派遣され、白血病になった一人の兵士の症例を再調査している。
アメリカ国防相の情報によれば、今のところ弱い放射性物質を含む弾薬の使用と病
気の間に関連がある証拠はない、とのことである。

     その他のニュース
・BSE危機を受け、政府は購買者保護対策のため、自然農法と狂牛
病への安全対策を広めて行くことにした。厚生大臣フィッシャーと
農業大臣フンケが連邦議会の農業委員会と厚生委員会の共同会議で
対策の法案を提案した。フンケは飼料、家畜、食料に対する監視を
強め、違反者にはより厳しい処罰を行ない、いわゆる抗生物質を使
った成長促進剤の使用を禁止し、肉の販売の過程を透明化すること
を提案した。フィッシャーは生後24ヶ月に達した屠殺牛の検査を
行ないたい、と語った。
・初代ドイツ連邦共和国首相でキリスト教民主同盟の党首であった、
アーデナウアーの生誕125年を記念する党派を越えた催しが行なわ
れた。政治家や教会の代表が、彼は偉大で先見の明がある政治家で
あると評価し、第二次世界大戦後のドイツ再建と、西ヨーロッパへ
仲間入りしたこと、フランスとの和解は彼の名前なしには語れない、
と語った。彼は1917年から33年までケルン市長、49年から63年まで
首相を務め、67年に91歳で亡くなった。
・自由民主党党首ゲアハルトと同党総書記ヴェスターヴェレの権力
争いが終わり、他の同党幹部は安心し、この結果を大筋で歓迎して
いる。


1月6日(土)

(プリスティナ)世界保健機構WHOはコソヴォ戦争後セルビア地域で白血病の発生
が増加していないことを確認した。WHOがプリスティナに派遣した使節団の情報に
よれば、ウラン弾をNATOが使用した1998年以降、当地の病院も白血病患者の数
は増えたことを記録していない、とのことである。スペインとイタリアでは、バル
カン半島に派遣された兵士の中から癌にかかった例が数件報告されている。ドイツ
国防軍の推定によれば、ドイツ兵の白血病の症例はバルカンへの派遣が原因ではな
い、とのことである。連邦議会倫理委員会議長マルゴット フォン レネッセは、
癌を引き起こすと疑われているウラン弾の危険性について徹底的に究明するよう要
請した。

     その他のニュース
・独首相シュレーダーはロシア大統領プーチンとの私的な会談を行
なった。プーチン夫妻はシュレーダー夫妻とモスクワで正教式のク
リスマスを祝った。政治会談は公式には計画に入っていないが、EU
東方拡大、近東情勢、ロシアの負債返還の延期要求などが話し合わ
れる可能性がある。ドイツはロシアの負債返還延期を拒否している。
ドイツ政府はロシアは海外からの負債を全額返還することを前提と
している、と発表した。
・連邦政府のBSE危機への対処は相変わらず批判にさらされている。
この問題の委員フォン ヴェーデルは、所轄省間および所轄省内で
の意志の疎通が複雑過ぎ、また時間がかかりすぎている、と発言し
た。シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州、ニーダーザクセン州、
バイエルン州当局は4件のBSE感染の原因を解明する努力を行なって
いるが、問題になったニーダーザクセン州の農家では動物性飼料は
使用していなかったため、仔牛に与えた牛乳が感染源である可能性
が出てきている。
・連邦政府は暴力的な極右と組織犯罪に対処するため、共犯証人規
定を計画している。これは犯罪を犯したが、例えば武器捜索などで
協力をした人に、裁判官が特典を与えることができるようにするも
のである。そのほかに、活動から足を洗うことを望む右翼の活動家
のために、新しい未来の展望を与えられるような、離脱計画を作る
ことになる。


1月7日(日)

(マインツ)連邦国防大臣ルドルフ シャルピングはバルカン半島でのウラン弾に
よってドイツ兵が白血病にかかったとは見ていない。彼はテレヴィ番組で、連邦国
防軍兵の白血病発病はボスニアへの派遣が原因かどうか疑わしく、調査からはそれ
が原因であるとは思えない、と語った。国防軍は1999年7月のコソヴォ派兵以前
にNATO軍からウラン弾の危険について警告を受けていた。報道官によれば、部隊
は予防措置をとるよう命令を受けていた。ヨーロッパNATO軍では今まで、いわゆ
る「バルカン症候群」約20例が公表されている。

     その他のニュース
・首相シュレーダーの私的なモスクワ訪問の最中、ロシア大統領プ
ーチンは旧ソ連時代の負債の完全な返還を約束した。両首脳は個人
的に接触を保ち続ける約束を交わした。シュレーダーはロシアの負
債の免除は拒否し、ロシアは経済的には負債を返す力が十分ある、
と語った。ロシアは約1千億マルクの借金があり、そのうち430億
マルクはドイツからのものである。
・BSE危機を受け、12の連邦州は牛の遺伝子情報銀行を作ることに
した。ザクセン・アンハルト州の農業大臣ケラーは、この情報銀行
はドイツ全体、ヨーロッパ全体を網羅して初めて意味を持つ、と語
った。社会民主党総書記ミュンテフェリングは政府のBSE対策の不
備を認め、この問題は過小評価され一貫した対処が行なわれなかっ
た、と語った。バイエルン州では飼料の中に動物性の物質が含まれ
ているかどうかあらためて調査が行なわれた。
・ユダヤ人犠牲者組織「要求会議」は政府と産業界に、元ナチス強
制労働者に対し約束した賠償金の最初の一部を支払うよう求めた。
同会議の運営委員ブロズィックは、それに必要なお金はすでに集ま
っており、ドイツの産業界は米国大統領クリントンとのこれ以上の
訴訟は起こさせないという約束を信じてよい、と語った。ドイツ政
府は1月24日に予定されているこの問題に関するアメリカの裁判所
での判決を待つことにしている。


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