1月15日〜21日のドイツのニュース

1月15日(月)

(サン サルバドル)中米での大地震から2日たち、エル サルヴァドルだけで5
百体以上の遺体が掘り出された。当局の報道では、首都サン サルヴァドル郊外の
サンタ テクラでは400体を越える遺体が見つかっている。そこでは地震後の地滑
りで多くの家屋が倒壊した。数千人が今なお行方不明である。内外の救助隊が休み
なく生存者を捜索している。ドイツ政府は3百万マルクの緊急援助を準備し、救助
の専門家と赤十字をエル サルヴァドルに派遣した。首相ゲアハルト シュレーダ
ーは大統領フランシスコ フローレスに弔意を伝えた。

     その他のニュース
・農家の大規模な抗議を受けているが、購買者保護も担当する農業
大臣キューナストは、1頭でもBSEの例が見つかった場合一緒に飼
育されている牛すべてを殺すという立場を変えていない。しかし市
場保護のため、40万頭の牛を購入するという連邦の計画は白紙に
戻った。オルデンブルクでは約5千人のニーダーザクセン州の農家
が抗議活動を行なった。ドイツ全体で見つかった狂牛病は14例に
増えた。バイエルン州では7例目が確認された。
・NATO19ヶ国の主要な軍事医療関係者が集まり、ウラン弾が引き
起こした可能性がある病について検討している。バルカンに派遣さ
れた兵士がかかっている重い病気に関する情報交換が主要な目的で
ある。この地域でNATOはウラン弾を戦車を破壊する兵器として使
用していた。このウラン物質が放射線と危険な成分が白血病のよう
な病気を引き起こしている、と予想されている。NATOはウラン弾
が白血病の原因になることを否定しているが、今後も調査を続ける
ことを決定した。
・イスラエルはユダヤ人居住者が死亡した後再びガザ地区を封鎖し
た。月曜午前、ガザ地区で行方不明になっていた住民が死体で発見
された。イスラエルのラジオ局は、パレスチナ人によって拉致され
殺害された、と伝えている。イスラエル首相バラクはこれを和平交
渉への応答である、と見ている。ユダヤ人過激派は復讐のためパレ
スチナ人の家数件に放火した。西ヨルダンランドの村セイラムでは
イスラエル兵が投石を行なったパレスチナ人一人を射殺した模様で
ある。


1月16日(火)

(フランクフルト アム マイン)外務大臣ヨシュカ フィッシャーはあらためて
70年代の左翼暴力と距離をとる発言をした。彼は元テロリストハンス・ヨアヒム 
クラインの容疑の目撃者として発言を行なったフランクフルト州法廷で、組織的に
暴力を行使できるようにすることは大きな間違いであった、と語った。しかしフィ
ッシャーは原則的には70年代のフランクフルトの家屋占拠運動へ参加したことを
弁護した。彼はすでに左翼の抵抗活動に参加した自分の過去について、審理の中で
認めており、警官隊に暴力をふるったことを認め、それについて謝罪していた。ク
ラインは1975年ウィーンでのOPEC会議を襲い共同で殺人を起こした件で訴えら
れている。彼は現在52歳で後にテロから足を洗い、20年以上フランスで隠れて生
活し、1998年に逮捕された。

     その他のニュース
・昨年ドイツでは極右によるものと人種差別的な動機を持つ犯罪が、
ドイツ再統一以降かつてないほど増加した。「ターゲスシュピーゲ
ル」紙が警察と憲法擁護庁に確認したところでは、1万4千件近くの
不法行為が記録されている。1999年は同種の犯罪は1万件程度であ
った。増加の理由は様々考えられるが、模倣犯の存在があげられる。
極右問題に関する公開討論が始まってからは住民と警察の関心が高
まっている。
・コンゴ民主共和国では大統領カビラに対するクーデタが発生した。
内務大臣カクジは大統領が死亡した、という報道を否定している。
確かな筋の情報では、カビラは護衛兵に撃たれ、重傷であるとのこ
とである。ルワンダとウガンダの秘密情報部の協力者は、大統領は
大統領府の前の銃撃戦で撃たれた、と伝えている。国連の情報では
重装備の兵士が大統領邱を取り囲んでいるが、平静を取り戻してい
る。軍参謀長カペンドは軍に団結を強めるように呼びかけている。
国境と国際空港は閉鎖されている。カビラは1997年にクーデタで
権力を掌握した。
・中米での大地震から3日、疫病が発生し始めている。救助隊の情
報によれば多くの人が下痢を起こしている。飲み水の供給は断たれ
ている。救助隊は探索犬を使って救助活動を続けている。エル サ
ルヴァドル当局の最新の発表によれば、死者は千人をはるかに越え、
瓦礫の下から見つけ出された遺体の数は666である。3千人ほどが
死亡したとの報道もある。数万人が住まいを失った。


1月17日(水)

(キンシャサ)コンゴ民主共和国大統領ラウレント・デジール カビラ暗殺後一日
経ったが、まだ彼がどうなったかについては情報が錯綜している。駐ジンバブエ・
コンゴ大使はカビラはジンバブエで医者の手当てを受けており、生存しているが、
極めて危険な状態にある、と語った。リビアテレビの報道では、コンゴ国防大臣は
その前にカビラの死を認め、護衛兵がカビラを射殺したと語った。公式報道によれ
ば、カビラの息子ジョゼフがさしあたり政権を引き継ぐ、とのことである。
EUは今後の対立する勢力に和解するよう求めた。コンゴでは2年半にわたり内戦状
態が続き、アフリカの数ヶ国がそれに関与している。

     その他のニュース
・首相シュレーダーは批判にさらされている外相フィッシャーを連
邦議会で擁護した。彼は野党を批判して、彼らはフィッシャーの過
去を批判をして、彼の政治生命を断とうとしている、と語った。キ
リスト教民主同盟党首のメルケルは、暴力はいかなる時代でも正当
化されることはなく、フィッシャーが完全に暴力と手を切ったかど
うかは分からない、と語った。フィッシャー自身は70年代に投石を
行ない、警官と殴り合いをしたことをあらためて認めたが、テロと
は関わりを持たず、当時民主主義者になった、と語っている。
・蔵相アイヒェルは国防軍の飛行機を私的な目的で使用したという
野党の非難を否定した。連邦議会の予算委員会で、彼は規則には違
反していないと語った。野党は彼の行動は規則違反であった、と主
張している。委員会終了後、会計検査院がこの訴えを調査すること
になっている。
・国防相シャルピングは、NATO加盟諸国のウラン弾の使用に関す
る情報を完全に公開するように求めた。連邦議会の国防会議で彼は、
NATO内部ですべての加盟国が同じ情報を利用できるようにしなけ
ればならない、と語った。彼は米国代理大使スネルを呼び、すべて
の情報を公開することを約束させた、とも語った。コソヴォ戦で米
軍が使用したウラン弾は癌の原因になるプルトニウムも含んでいた
かどうかも調査することになる、とも語った。


1月18日(木)

(ベルリン)連邦農業大臣レナーテ キューナストは将来購買者保護の予防措置を
優先していく意向である。ベルリンで開かれている緑の(党)週間の冒頭で彼女は、
農家を現在置かれている厳しい状況に放置しておく気もない、と強調した。彼女は
BSE緊急対策計画を行なうと発表した。その最重要対策には、問題のある飼料の一
覧の公開、徹底した監視体制と厳しい制裁措置が含まれている。キューナストはさ
らに、できるだけ速やかに農家、購買者、小売り業者、栄養学者の会議を行ない、
この問題の解決策を共同で探していく、とも語った。また彼女は自然農業は今後
10年で20%にまで増加するだろうという見込みも語った。

     その他のニュース
・コソヴォ戦から早くも2年たったが、当時アメリカ軍が使用した
ウラン弾が連邦議会で激しい論争になっている。国防大臣シャルピ
ングは、危険性を過小評価し、今になって初めて批判を受けて行動
をとったという非難をあらためて否定した。彼はウラン弾問題の処
理の遅れを調査する作業班を作ると語った。民主社会党PDSは調査
委員会の設置を要求している。全会派がNATOの秘密主義を非難し
ている。NATOはコソヴォで使用した弾薬にプルトニウムが使用さ
れていたかどうかに関する情報は公開されている、と発表している。
・ベルリン市とブランデンブルク州は1701年1月18日のプロイセ
ン王戴冠記念式を共同でケーニヒスベルクで行なった。プロイセン
建国300年の日に寛容、権利と義務の意識、外国人に対する開かれ
た国などのプロイセンの長所が強調された。ベルリン・シャオシュ
ピールハウスで開かれたこの催しには、連邦議会議長ティールゼ、
内相シリー、ベルリン市長ディープゲン、ホーエンツォレルン家の
当主プリンツ ゲオルグ フリードリヒ フォン プロイセンが出
席した。
・外相フィッシャーはコンゴ大統領カビラの死後、同国の民主化が
進むよう期待した。連邦議会でのアフリカ問題の討議の中で彼は、
今後の情勢はあいかわらず潜在的には爆発寸前である、と語った。
コンゴ政府は公式にカビラの死を暗殺によるものだと認めた。政権
は息子のジョゼフが引き継いだ。


1月19日(金)

(ワシントン)任期終了を明日に控え、アメリカ大統領ビル クリントンはルイン
スキー事件で真実すべてを話したわけではなかったことを認めた。この発言に対し
て法務省はクリントンに対してこれ以上の起訴を行なわない意向である。任期を終
えるクリントンは今後5年間弁護士の資格を失う。その他に2万5千ドルの罰金を支
払わなければならない。実習生モニカ ルインスキーの一件でクリントンに対する
罷免手続きがとられ、それは失敗したものの、数ヶ月にわたって各国で大きく報道
された。
新アメリカ大統領ジョージ W. ブッシュはクリントンに対する起訴に反対していた。
ブッシュは土曜日に第43代アメリカ大統領として宣誓を行なう。就任式典は3日間
である。

     その他のニュース
・フィリピン大統領エストラーダは野党の要求している即時辞任を
拒否し、少なくとも後5日間は職にとどまる意向である。エストラ
ーダは最近内閣と軍部の支持を失っている。彼は会わせて1億2千万
マルクの私財を貯えているとのことである。マニラでは彼に対する
大規模な反対行動が行なわれており、警察の発表ではデモ参加者は
70万人であり、独裁者マルコス失脚以降最大規模のデモである。
・首相シュレーダーはベルリンで開かれている欧州数ヶ国の首相や
大臣の会議で、ヨーロッパはヨーロッパに住む人が心をくだく存在
にならねばならない、と語った。また彼は連邦議会では、ニースで
のEU首脳会議での決議を野党から擁護して、新しい加盟国を受け入
れる姿勢を示したのが重要だ、と語った。
・在独アメリカ軍では80年代からウラン弾に関する事故が数回起っ
ていた。国防相シャルピングは連邦議会で、ハイデルベルクのアメ
リカ陸軍の司令部の情報を引用して、弱い放射線を放つ弾薬の事故
が9件起っていたことを報告した。これはおそらく戦車の火災の際
に弾薬の誤発射によるものである。またデュッセルドルフの武器会
社ラインメタルとミュンヘンの宇宙工学会社EADSは70年代にウラ
ン弾の研究を行なっていたことを認めた。


1月20日(土)

(ワシントン)共和党のジョージ W. ブッシュが第43第アメリカ大統領となる宣
誓を行なった。彼の父は1989年から93年まで大統領を務めていた。就任演説で彼
は、すべての人に対し公正さと機会の均等を約束した。彼は市民に社会的な問題の
解決の責任を負うように求め、政府だけではそれを行なうことはできない、と語っ
た。また彼ははっきりと学校制度、社会保障、病院制度の改革を行なうと明言した。
ブッシュは8年間ホワイトハウスの主であった民主党のビル クリントンの後継者
である。彼は民主党候補アル ゴアに長い法廷闘争の後ようやく勝利した。ワシン
トンではブッシュの宣誓に反対する数千人のデモが行なわれた。

     その他のニュース
・暗殺されたコンゴ大統領カビラの遺体がジンバブエからコンゴ民
主共和国へ引き渡された。火曜日に首都キンシャサで国葬が行なわ
れる予定である。カビラの死を受け、息子のジョゼフがまもなく新
大統領としての宣誓を行なうことになっている。彼は水曜日に暫定
大統領になっていた。反乱を起こしている側はジョゼフの就任を拒
否している。コンゴでは1998年以来内戦が続いている。
・イスラエル政府はパレスチナ側からの集中交渉を行なおうという
提案に同意した。イスラエルのラジオの報道によれば、会談は日曜
日にエジプトのタバで始まり、10日間程続き、最近のアメリカの提
案を話し合いの土台にするとのことである。その提案は、ガザ地区
すべてと西ヨルダンランドの95%と、東エルサレムのアラブ系住民
の住む地域は将来のパレスチナ国家に帰属するものとし、350万人
のパレスチナ人を現在のイスラエルの地域への帰還を認めない、と
いうものである。
・イラン政府は土曜日に駐テヘラン ドイツ大使を外務省に呼んだ。
テヘランの通信社の情報によれば、いわゆるベルリン会議に参加し
た体制批判派に対する判決をめぐるドイツ政府の反応に対し、イラ
ン政府の抗議が大使ライエルスに伝えられた。イラン外務省西ヨー
ロッパ部長ガセミは、今回の判決に対する発言はイランの内政問題
への干渉であると考えられ、両国関係をゆがめるものだ、と伝えた。


1月21日(日)

(北京)中国はドイツ製リニアモーターカー・トランスラピッドの購入を決めた。
中国政府との長期間にわたる交渉を経て、製造企業団は長さ30キロの線路の建設
を受注した。上海国際空港から町の中心部までの線路が2003年中に完成する予定
である。この高速鉄道が商業的に利用されるのは今回が初めてである。企業団の報
道官ペーター ヴィーゲルマンは、このリニアモーターカー技術の世界市場への販
売のきっかけになる、と語った。月曜日に契約の詳細は発表される。トランスラピ
ッドの最高時速は500キロである。

     その他のニュース
・米国第43代大統領ブッシュが着任した。宣誓直後に早くも前大統
領クリントンの出した命令のいくつかを凍結した。その中にはいく
つかの環境保護対策が含まれている。民主党支持者数千人がフロリ
ダ州の選挙結果をめぐって、式場周辺でブッシュ就任に反対するデ
モを行なった。任期終了まぎわにクリントンは170を越える恩赦を
行なった。その中には、ホワイトウォーター疑惑の鍵を握る元同僚
マクデューガル、麻薬で有罪になった兄弟のロジャーも含まれてい
る。
・イランは米国新大統領ブッシュの両国関係の改善を進める意向を
歓迎したが、問題は、米国政府が行動する勇気があるかどうかであ
る、とイラン外務省は発表した。イランの過激派学生が米国大使館
を占拠し、一年以上に渡って52人の人質をとった1980年以来、両
国は外交関係を断っている。クリントン政権はイラン保守派が強い
影響力を保っていたため、関係改善は行なわなかった。数日前米国
とドイツはイランの解放運動に加わった人々への裁判所の判断を批
判したばかりである。
・テヘラン中心部の革命裁判所の近くで数発の手榴弾が使用された。
イランの国営通信社IRNAは詳細は伝えずに、この事件が発生したこ
とは確認している。反政府勢力の犯行声明がロイター通信に送られ
てきた。


今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system