2月26日〜3月4日のドイツのニュース

2月26日(月)

(テル アヴィヴ)イスラエル労働党は、アリエル シャローン率いる右派リクー
ド勢力の新政権に参加することを最終的に決定した。テル アヴィヴで開かれた党
大会で、およそ千6百人の中央委員のうち71%が連立参加に賛成した、とイスラエ
ルのテレヴィ局は伝えた。それに先立ち両党の交渉係が連立政府の綱領と人事問題
で合意していた。次期イスラエル首相アリエル シャローンの報道官がそれを認め
た。労働党は4人の大臣を出すことになっている。

     その他のニュース
・EU各国外相は昨年12月にニースで取りまとめたEU改革条約に署
名した。13ヶ国にEU加盟を認めるだけでは不十分だ、との理由で
この妥協案に反対する者もいる。最初の加盟は早くても2004年か
らになる。その前にブリュッセルで開かれた外相会談では、パレス
チナ政府の財政的な窮状を救うため、1億1千万マルクの緊急援助
を行なうことが決まった。その他、世界の最貧国48ヶ国に対して
はヨーロッパ市場を広く開放することも約束し合った。
・連邦と州は英国で発生した口蹄病の予防措置をとることで意見が
一致した。ここ8週間で輸入された該当する羊は殺される。その他
に、口蹄病のおそれがある食肉市場と集積地は1週間閉鎖され、家
畜の輸送も厳しい管理下に置かれる。英国当局は口蹄病の対処に慣
れておらず、さらに広がりを見せている。7千以上の家畜が殺され、
燃やされた。また、ノルトライン・ヴェストファーレン州とオラン
ダでも家畜が殺された、との報道が行なわれている。
・購買者保護大臣キューナストは、EUの牛肉市場保護のために新た
に牛を殺す計画を拒否し、代わりに農家が牛肉の生産量を減らす方
向に進むようにすべきだ、と語った。月曜日EU農相は牛肉市場の安
定を話し合うためにブリュッセルで会合を開き、彼女は、BSE危機
は新しい出発をするためのよい機会である、と語った。


2月27日(火)

(ブリュッセル)懸案になっている牛の屠殺計画はEU農業委員フランツ フィシ
ュラーと各国農業大臣の間で対立に発展した。EU農相会談が成果をあげられずに
終わった後、フィシュラーはブリュッセルで、行政命令を出してさらに百万頭以上
の牛を殺す方針である、と語った。ドイツ、イタリア、オランダ、フィンランド、
デンマークは、牛をたくさん殺して、牛肉価格を安定させることに強く反対してい
る。購買者保護大臣レナーテ キューナストは、自分の意見は現在EU内部では多
数派でないことを見とめている。

     その他のニュース
・英国では口蹄病がおさまる気配を見せていない。当局はさらに5
ヶ所で口蹄病の発生を確認した。英国政府は抜本的な対策をとるこ
とを決めた。口蹄病発生地域では、市民の生活がその間制限される。
EUは英国産家畜、肉、乳製品の輸出禁止を要請した。仏、独、蘭は
予防措置として輸入された羊数千頭を殺している。ドイツでは輸入
された羊から、口蹄病感染を示す抗体が発見されている。ノルトラ
イン・ヴェストファーレン州環境・農務大臣ヘーンは、大きな問題
になる一歩前だ、と発言した。
・ポーランドのEU早期加盟が可能になるかもしれない。独首相シュ
レーダーと仏大統領シラクは、ポーランド大統領クワニエフスキと
のワイン街道のノイシュタットでの会談で、早期加盟を約束した。
その条件として、改革を進めることがあげられている。ポーランド
などの国々がEUに加盟を認められた後、就職希望者の自由な移動を
認めるまでの移行期間についてはまだ意見の食い違いがある。クワ
ニエフスキはシュレーダーの提案の7年間は長すぎる、と見ている。
・米国外務大臣パウエルはヨーロッパNATO加盟諸国と、対ミサイ
ル攻撃防御網の建設計画に関して密接な調整を行なうと約束した。
彼は、米国が自国と同盟国を危険から守ることはアメリカの義務で
ある、と発言した。EU委員会議長のプロディは米国との密接な協力
関係に賛成である、と語った。彼はパウエルとの会談後、両者の兵
力は、地球規模の急を要する問題に対処するために結束できる、と
も語った。


2月28日(水)

(パッサオ)州議会選挙を来週に控え、各党は灰の水曜日を政治対決の場として利
用した。キリスト教社会同盟党首シュトイバーは連邦政府を、税制と年金制度、
BSE対策の件で十分役割を果たさなかった、と非難した。また、彼はキリスト教民
主同盟の人事論議を終わらせるように要請した。それに対し、首相シュレーダーは
マインツで開かれている社会民主党の大会で、今まで社会民主党と緑の党の連立政
権は成果をあげてきており、経済が好調なのは政府主導の改革の成果である、と語
った。その他、シュレーダーはキルヒ・グルッペとテレヴィ局2社に、次回のサッ
カーワールドカップの放映権交渉の結果を受け入れるよう、求めた。

     その他のニュース
・英国では口蹄疫が広がりを見せている。北アイルランドでも口蹄
疫が見つかった。100箇所以上の農場が検査を受けている。英国人
獣医スキューダモアは、1万1千頭の家畜が殺され、死体が処分され
た、と報告した。フランスは予防措置として5万頭の羊を殺すよう
指示した。購買者保護省の情報では、ドイツではまだ口蹄疫に感染
した例は見つかっておらず、その抗体が見つかった羊にさらに検査
を行なったが陰性であった、とのことである。
・マグニチュード7.0の地震がアメリカの北西部で発生した。ワシ
ントン州のシアトルでは数人が怪我をし、大きな物的損害が発生し
た。この地震は千キロ以上離れたソルト レイク シティやカナダ
のヴァンクーヴァーでも感じられた。同じころエル サルヴァドル
とニカラグアでも地震が起った。
・米国大統領ブッシュは議会で始めて演説を行ない、減税を自分の
政策の目標であると強調した。彼はアメリカの税金を16億ドル減ら
す意向である。それによって、景気を刺激し、個人の家計が借金を
返せるようにする。その他ブッシュは教育、健康、環境保護に追加
の支出をする、とも語った。


3月1日(木)

(ハイファ)イスラエル北部で小型バスが爆発し、1人が死亡、危篤者を含め9人
が大けがをした。このバスはパレスチナ人過激派による暗殺計画を指摘する通報を
受けて、長時間追跡を受けていた。警官がこのバスを路上で止めようとした際に、
乗客の一人が爆弾に火をつけた、と当局は発表した。
労働党の暫定党首シモン ペレスは右派のリクード勢力との大連立政権で外務大臣
の職につくよう指名を受けた。

     その他のニュース
・購買者保護大臣キューナストは口蹄疫対策を進めている。彼女は
2月初め以降に英国から輸入された、羊、山羊、鹿すべての屠殺を
命じた。この措置は第三国を経由して輸入された場合にも適用され
る。また、ヘッセン州で口蹄疫の疑いのある例が見つかったことで、
ドイツにこの病気が蔓延する不安が広がっている。南ヘッセんでは
すでに4百頭の羊が殺されたが、感染していた可能性がある。一方
英国全土に口蹄疫が広がりを見せている。北アイルランドとスコッ
トランドでも口蹄疫が見つかった。
・ドイツは北朝鮮と外交関係を樹立するEUの11番目の国となった。
月曜日からベルリンの外務省で行なってきた会談が実を結んだ、と
外務省報道官は発表した。ドイツ政府はこれによって、人権問題や
大量殺戮兵器開発中止に関して、南北朝鮮の対話の進展があるもの
と期待している。今までドイツと北朝鮮は第三国で交渉を行なって
きた。
・連邦刑事検察庁はスパイ容疑で2人のイラク人を逮捕した。連邦
検事総長ネームは、容疑者は今年の始めからドイツの都市いくつか
で、イラクの諜報機関の任務を遂行した疑いがあり、拘留したと発
表した。テレヴィ局の報道では、彼らは米軍の司令部があるハイデ
ルベルクで逮捕された、とのことである。


3月2日(金)

(ボン)連邦元首相ヘルムート コールはキリスト教民主同盟に対する匿名の人物
からの資金提供を不正に受けた件で訴えられることはなくなった。ボンの地方裁判
所は背任容疑でのコールに対する捜査手続きの中止をすることに賛成した。裁判官
はその理由として、法律上の状態が不明確であることをあげた。ただし、コールは
30万マルクの罰金を払わねばならない。この罰金を支払うことで、彼は法的には
前科がつかないことになる。

     その他のニュース
・昨年ドイツの極右の襲撃事件は劇的に増加した。連邦内務省のよ
れば、報道された極右による犯罪は約1万6千件で、1999年より
約60%も増加した。
・ナチ時代にユダヤ人殺戮に加わったかどで、オーストリア人の戦
争犯罪者アロイス ブルナーが、本人が不在のまま、パリで終身刑
を言い渡された。同法廷は、1944年に345人のユダヤ人の孤児を
フランスからナチの絶滅収容所に送った件で、彼に責任があるとし
た。ブルナーはアドルフ アイヒマンの代理をつとめていた。彼の
生死は不明であるが、もし生きていれば現在88歳である。
・EU委員会はドイツに牛肉の輸出を禁止するよう迫った。BSEを引
き起こす可能性がある商品が違法に英国への輸出されたことで、EU
購買者保護委員のバーンがドイツの購買者保護大臣キューナストに
電話で、より管理を厳しくするように求めた。ドイツ政府は国内の
検査は正確に行なわれている、ということだけはうけあわねばなら
ない。問題の物質はノルトライン・ヴェストファーレン州の屠殺場
で出た微量の脊髄から検出されたもので、EUの規定によれば出荷し
てはならないものであった。バイエルン州ではさらに3件のBSEが
公式に確認され、ドイツ全土で44件となった。


3月3日(土)

(ベルリン、ロンドン)連邦政府は口蹄疫に対し追加対策を講じることにした。偶
蹄目の生肉のうち2月1日以降にイギリスから輸入されたものは廃棄するように各
州に通知した。ノルトライン・ヴェストファーレン州環境省は、アーヘン郡では予
防のため400頭の羊を殺したが、その中には口蹄疫は発見されなかった、と発表し
た。しかし同省大臣ヘーンは、ドイツで口蹄疫が発生しないとは言えない、との声
明を出した。イギリス当局は少なくとも12件が新たに発生した、と報じ、それに
よって対策を講じた農家は53件に増えた。今までに殺された家畜の数は4万5000
頭である。

     その他のニュース
・労働組合と使用者側は労働のための同盟で残業時間の削減に関し
て合意を結ぶ用意がある、と表明した。ドイツ労働総同盟の代表シ
ュルテは、残業時間を時間預金口座に積み立てる計画を提案した。
これによって賃金を全額受け取っている被雇用者は早めに年金を受
け取れるようになる。使用者側は、長時間労働に従事した時間と生
涯労働時間の時間預金口座についての賃金表交渉を行なうよう提案
した。次回の交渉は首相シュレーダーが出席して日曜日に行なわれ
る。
・ドルトムントでは1万5000人以上がデモを行ない、極右のパレ
ードに抗議した。90を超える団体からなる市民連合が右翼の暴力と
外国人排斥に反対して集会を開き、人間の輪を作り、無言デモを行
なった。警官2000人がが出動し、左派の活動家とネオナチの衝突
を防止した。
・連邦大統領ラオは外相フィッシャーが過去に武力闘争に参加した
ことをめぐる議論で、フィッシャーを支持した。彼はドイツ内外で
ずば抜けた人望を得ている、とラオは語った。さらに彼は内政問題
は事実に即した議論を行なうべきであり、個人攻撃を少なくするべ
きだ、と語った。また最近の英米のイラク空爆を批判した。



3月4日(日)

(ベルリン)労働のための同盟の第7回の首脳会談では、新たな雇用の創出を目指
し残業時間を削減問題が話し合われたが、合意には至らなかった。しかし首相ゲア
ハルト シュレーダーは労使双方との会談後、中高年被雇用者の能力開発を進めて
いくという点では合意した。またシュレーダーは労働のための同盟は成果をあげて
いると強調し、この同盟がドイツでの改革の牽引役を果たしていることを実証した、
と語った。キリスト教民主同盟事務長のラオレンツ マイアーは、この同盟で新た
な雇用を生み出すような解決策を作ることにシュレーダーは成功したとはいえない、
と批判した。

     その他のニュース
・連邦首相シュレーダーは失業者数を2002年の終わりまでに
300万人以下に減らしたい、と語った。彼はテレヴィのインタヴュ
ーで、この目標は実現可能に思われると語った。昨年は60万人分
の職場を作り、今年はさらに45万人分の雇用を作り出す、とも語
った一方シュレーダーは、緑の党が求めている2003年以降の環境
税の増税をきっぱり拒否した。
・外相フィッシャーと国連事務総長アナンは、イラク紛争を武力で
解決することにともに反対だ、と語った。2人はフランクフルトで
行なわれた会議で、イラク制裁の内容を変え、武力解除を効果的に
行なうために、世界の安全保障を政治主導で行なうことに賛成した、
と外務省は発表した。また2人は近東での紛争が続いていることを
心配している、とも語った。
・ブレーメンでの中央集会で全国「友愛週間」が開幕した。キリス
ト教・ユダヤ教協力会はその席上国際組織「人種差別なき学校」に、
ブーバー・ローゼンツヴァイクメダルを授与した。ミュンヘンでの
集会では、ドイツユダヤ人中央評議会の会長シュピーゲルが演説し、
より民主主義の意識を高めるよう求め、ユダヤ人や外国人に対する
暴力は市民社会に対する直接的な攻撃である、と語った。


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