4月16日〜22日のドイツのニュース

4月16日(月)

(ベイルート)イスラエル軍はこの5年ぶりにレバノンにあるシリア軍施設を爆撃
したが、これに対して世界各国から批判が行なわれている。シリアとレバノンは兵
士3人が死亡したこの攻撃を非難し、状況がこれ以上悪化させないようにと、警告
を発した。ドイツ政府も事態の悪化を懸念している。外務大臣ヨシュカ フィッシ
ャーはこれ以上の軍事行動を控え、交渉の席に戻るように訴えた。アメリカ、ロシ
アも同様の見解である。イスラエル政府はイスラム過激派ヒスボラ民兵が最近行な
った攻撃の報復であるとして正当化している。レバノンに駐在するシリア兵は3万
5千人に、ヒスボラによる攻撃の責任がある、としている。シリアは軍に緊急態勢
をとるように指示した。

     その他のニュース
・米国は偵察機の飛行をより安全に行なえるようにするため、南シ
ナ海に空母を投入することを検討している、と新聞は伝えている。
それによれば、現在日本に停泊しているキティ ホークが数日中に
派遣される。また偵察飛行は今週中に再開される。米国政府はこの
報道を今のところ確認していない。
・連邦議会議長ティールゼは、政府と旧東ドイツ各州の州首相が夏
休みまでに、ドイツ東部の経済問題の解決を目指す具体的な計画で
合意するよう期待する、と述べた。彼は、東部は危険な状態にある
という警告を発し、東部では研究および開発の能力が90%減少して
いると指摘した。その他に州の会計の不均衡を埋めるために公正な
規定を緊急に作る必要がある、とも語った。
・連邦政府は外国人の移民を連邦移民庁を作って、そこに調整させ
ることを検討している。新聞報道によれば、連邦議会元議長ズュー
スムートを委員長とする政府の移住問題委員会では、その種の連邦
上級官庁を作ることで意見がまとまっている。その役所は亡命希望
者、移民、移住者、難民を扱うことになる。また連邦労働施設や今
までの外国人難民認定庁の仕事の一部を引き継ぐことになるかもし
れない。


4月17日(火)

(ワシントン)イスラエル首相アリエル シャローンはガザ地区内の占領地域から
の撤退を指示した、とイスラエルの放送局が伝えた。パレスチナ公安部は、撤退が
始まったことを確認した。イスラエルラジオの報道では、アメリカにシャローンの
命令が伝えられた、とのことである。アメリカ外相コリン パウエルはイスラエル
軍のパレスチナ自治区への侵攻をやりすぎ、と批判し、撤兵を求めていた。同時に
パウエルはパレスチナ側に、暴力とテロを行使しないように求めた。イスラエル軍
はイスラエルの村スデロトが攻撃を受けた後、ガザ地区北部に進軍していた。

     その他のニュース
・米国大統領ブッシュは米軍偵察機に関する米中会談を、前向きの
姿勢で行ないたいという希望を持っている。北京で水曜に開かれる
会談を前に、大統領報道官フライシャーは、ブッシュは中国も同じ
希望を持っていると考えている、と語った。米国代表団は、衝突の
様子を再現するために、北京入りした。両国は事故の原因は相手に
あると主張し、譲歩の姿勢を見せていない。米国大統領府は偵察飛
行を再開するとの態度を明確にしている。
・ロシアでは独立系テレヴィ局NTWが、国に管理されているエネル
ギー会社ガスプロムに買収されて、政府に批判的なマスコミは姿を
消した。大きな負債を抱えるメディア モストの債権者であるガス
プロムは、メディア モスト グループの新聞セヴォドニアを発行
中止にし、週刊誌「イトギ」の編集部全員を解雇した。メディア 
モスト会長グシンスキーは政府を、報道の自由を破滅させようとし
ている、と非難した。
・EU獣医委員会は口蹄疫の予防接種を行いたいというノルトライン
・ヴェストファーレン州の提案の決定を水曜日には行なわないこと
にした。もう一度ドイツ国内でこの提案を議論してもらう、とEUは
発表した。連邦購買者保護大臣キューナストはこの決定を公平なも
ので、今後は各州があらためてどのような措置をとるか話し合うこ
とができる、と評した。ノルトライン・ヴェストファーレン州は口
蹄疫の感染を防ぐため、オランダ国境近くの110万頭の家畜に予防
接種を行ないたい、としている。


4月18日(水)

(ブジュンブラ)アフリカのブルンジ政府の情報によれば、同国で軍事クーデタが
起きたが、失敗した。将校たちによるクーデタ計画は鎮圧された、と国防省は発表
した。陸軍報道官は、クーデタ側は政府に忠実な部隊に投降しはじめた、と発表し
ている。今まで知られていなかった「愛国青年戦線」が国営放送局に侵入し、大統
領ピエール ブヨヤの解任を発表した。大統領は7年半前から続いているブルンジ
の内戦終結の話し合いをするためガブンに滞在していた。

     その他のニュース
・安価なエイズ治療薬をめぐる製薬業界と南アフリカ政府の法廷闘
争で、話し合いによる解決が成立する。援助組織によれば、製薬業
界が提訴を取り下げるという合意が成り立つ見込みである。企業側
は、南アで特許登録されている薬品が無許可で模倣して製造され、
またメーカー名を隠して輸入することを認めている法律を問題にし
ていた。一方製薬会社が訴えを取り下げたことに対して、これが発
展途上国への今後のエイズ治療薬の供給のモデルケースになるため、
国際的な批判が行なわれている。
・イスラエル側の報道によれば、パレスチナ部隊はガザ地区から5
発の擲弾をイスラエル人居住区にうち込んだ。怪我人は発生しなか
った。イスラエル軍はこの攻撃に応戦し、一時ガザ地区のパレスチ
ナ人自治区に侵入し、エジプトとの国境にある警察署を破壊した。
ガザ地区北部のパレスチナ人自治区占領後わずか24時間の火曜夜に、
イスラエル軍は撤退していた。
・国連人権委員会はイスラエルの占領地区の入植政策を過半数の国
の意見をもとに非難した。参加53ヶ国のうち50ヶ国がEUが提案し
た解決案に賛成した。その中で、イスラエルはこれ以上住宅建築を
しないように求めている。その他イスラエル軍のパレスチナ人居住
区での行動と、ゴラン高原の占領が非難されている。こちらはそれ
ぞれ28ヶ国、29ヶ国が賛成した。


4月19日(木)

(プレトリア)製薬業界は安価なエイズ治療薬の輸入と製造の禁止を求め南アフリ
カで起こしていた訴訟を無条件で撤回した。政府と製薬業者39社は長期間にわた
る交渉を水面下で行なっていたが、協力していくことで合意した。この争いが調停
されたことで、エイズ患者の治療に必要な薬の市場価格の高さに苦しんでいた発展
途上国にとっては、有意味な成果となる。ドイツ連邦政府はこの合意を歓迎し、エ
イズとの闘いを支援すると約束した。ケニア、ウガンダ、タンザニアではすでにベ
ーリンガー社の協力で、治療薬が特許使用料の支払いなしで製造されている。

     その他のニュース
・EUはパレスチナ人自治区とレバノンにあるシリア軍の施設に対す
るイスラエルの攻撃を厳しく批判した。公式声明でこの攻撃は「過
剰」である、とされている。EUは関係者すべてに自重を求めた。米
国大統領ブッシュもイスラエル首相シャローンと電話会談を行ない、
パレスチナ人との紛争では慎重な態度を取るように呼びかけた。ラ
マラのパレスチナ警察の精鋭部隊の本部で爆発が起り、その後片づ
けをしていたパレスチナ人3人が軽傷を負った。爆発の原因は不明
である。精鋭部隊はパレスチナ大統領アラファトの護衛もつとめて
いる。
・世界中のユダヤ人は木曜日ホロコースト犠牲者6百万人の追悼を
行なった。イスラエル与野党の政治家が、「どの人間にも名前があ
る」という催しで、共同でホロコーストの犠牲者の名前を読み上げ
た。10時にイスラエル全土でサイレンが鳴らされ、2分間の黙祷が
行なわれた。ポーランドでは千人以上のユダヤ人の若者が元強制収
容所アウシュヴィッツに集まり、ビルケナウのガス室まで行進を行
なった。
・ユーゴスラヴィア軍は、同国兵士がコソヴォで戦争犯罪を行なっ
たことを初めて認めた。軍関係者数名が、1999年初頭のNATOによる
爆撃の際に戦争犯罪を行なっており、責任者に対してはすでに訴訟
が起こされている、と同国軍報道官が語った。


4月20日(金)

(ベルリン)ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーは、燃料費の高騰に対処する手
段はほとんどない、と語った。政治的、行政的手段での対処法は極めて限られてい
る、とシュレーダーは語った。また燃料費の値上がりは、自動車の売れ行きに悪い
影響を与えるのではないか、との懸念を表明した。産業大臣ヴェルナー ミュラー
は石油会社が価格協定を結んでいるためだと考える証拠はなく、今回の値上がりは
通常の市場変動である、としている。キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、
自由民主党は環境税が燃料費の値上がりの原因である、としている。

     その他のニュース
・複数の報道によれば、外相フィッシャーに対する非宣誓証言での
偽証容疑での捜査は中止された。フランクフルト検察は容疑を固め
なかった。元テロリスト、クラインに対する訴訟の証人尋問でのフ
ィッシャーの発言が問題視されていた。その尋問中、フィッシャー
はRAFのテロリストとなったシラーと共同生活をしたことはない、
と発言していた。
・ドイツ鉄道の都市間特急IRを廃止するという計画に政治の側は反
対している。労働組合とすべての政党の代表は遠距離交通をこれ以
上削減する計画に反対している。連邦交通省は鉄道側に計画を詳し
く説明するように求めた。報道によれば、ドイツ鉄道は2005年まで
に全部で3260万キロ分の運転を廃止する計画である。
・EU委員会はゴミ分別収集制度を行なうDSDに、グリューネ プン
クトの表示がある製品の包装に対し料金を請求することを禁じた。
DSDが包装も実際に再利用したり処分したりするのであれば、生産
者に支払いを義務づけるのも適法であるが、他の会社がゴミを処理
するのであれば、DSDは「グリューネ プンクト」の使用料金を請
求することは認められない、という理由である。また、DSDは市場
を独占している地位を利用して、義務的な支払いを行なわせている、
との理由もあげている。DSDは欧州法廷への提訴を行なうと発表し
た。


4月21日(土)

(ケベック)第3回アメリカ首脳会談の参加各国は、数万人のデモ隊による抗議行
動の中、実務者会談を始めた。主催者であるカナダ首相ジャン クレティヤンは、
ケベックに到着した33ヶ国の首脳に、アメリカ大陸で民主主義が今後も存続でき
るよう努力を求めた。キューバを除く各国首脳は、この首脳会談でアラスカから
(南アメリカ南端の)フエゴ島にいたるまで世界最大の自由貿易地域を作る決定を
行なおうとしている。

     その他のニュース
・41ヶ国の環境大臣がニュー ヨークで気候維持に関する会談を開
始した。ドイツ環境大臣トリティンは、気候を維持するために、産
業面での論拠を示して、米国の賛成を得たい、としている。気候維
持は経済上の利益を阻害するという考えは間違っている、と彼は語
った。
・2週間ぶりにイスラエルとパレスチナの和平担当官が話し合いを
行なった。ガザ市北部の国境の街エレスでの会談は米国の後押しで
行なわれた。パレスチナ側の情報によれば、アラファトはイスラム
過激派組織ハマスの活動家と見られる集団3つを逮捕するよう命じ
た、とのことである。イスラエル軍ガザ地区を急襲し、警察署を破
壊した。
・台湾元総統李登輝に対する米国入国ヴィザの発行は、米中の緊張
をあらためて高めている。中国外相報道官は、ヴィザの発行を米国
がただちに修正しなければならない誤りである、と評した。中華人
民共和国は台湾を離反した地域と看做している。


4月22日(日)

(ハノーファー)連邦首相ゲアハルト シュレーダーはハノーファー見本市の開催
にあたって、ドイツ経済界に景気が悪化すると決めつけないように、と語った。彼
は今回のハノーファー見本市を、景気が順調であることの現われと評価している。
ただし彼は、世界的な景気成長の鈍化の結果、今年のドイツ経済はここ数年と比べ
て成長の速度が弱まっていることを認めたものの、ドイツ経済はあいかわらず強い
成長の過程にある、とも語った。同様の見解をダイムラークライスラー社長ユルゲ
ン シュレンプも表明した。またシュレーダーは労働市場と社会福祉制度、税制、
教育制度の改革を推し進めていく、とも語った。旧工業分野では世界最大であるハ
ノーファー見本市は、月曜日に世界65ヶ国、7千人の出展者が最新の製品を展示す
る。

     その他のニュース
・第3回アメリカ首脳会談閉幕にあたって、アメリカ34ヶ国の代表
は、南北アメリカ全体を遅くとも2005年には自由貿易地域にするこ
と、そして民主国家にのみこの市場を開放することを決めた。その
他に引き続き麻薬密輸の撲滅、アメリカ大陸での民主主義の発展を
強化することも決めた。一方この会議中、経済の世界規模化に反対
する人々と警察は路上で衝突を繰り返し、警察によれば4百人以上
のデモ隊が逮捕された、とのことである。
・ユーゴスラヴィアのモンテネグロ共和国で、約45万人の有権者が
国会議員選挙を行なった。今回の選挙は77人の議員を選ぶもので、
大統領ジュカノヴィチが率いる「モンテネグロのための勝利」連合
はセルビアとの分離を訴えているため、今後のモンテネグロの方向
を決める選挙でもある。今回の選挙で勝利した場合、大統領は6月
にモンテネグロ独立の国民投票を行なう意向である。
・コソヴォ平和維持軍はコソヴォスカ ミトロヴィッツァで、セル
ビア人が作った交通遮断用の障害物を取り去った。この道路封鎖は、
国連が今後セルビア人居住区で作られた商品に対し関税をかけるこ
とを決めたことに抗議して、セルビア人が行なっていたものである。
国連側は課税を実施する方針である。国連代表は、コソヴォでの計
画を財政面で支えるためにはこの措置が必要である、と語った。


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