4月30日〜5月6日のドイツのニュース

4月30日(月)

(ベルリン)各方面からの批判が強まっていることをうけ、キリスト教民主同盟幹
部はキープ事件で始めて自らに誤りがあったことを認めた。党首アンゲラ メルケ
ルが週末には自ら取った行動は正しかったとしていたが、事務長ラオレンツ マイ
アーは百万マルクを元会計責任者ヴァルター ライスラー キープを通じて振り込
んでいたことを4月23日の党幹部会の後、報道すべきだったと考えている。連邦首
相ゲアハルト シュレーダーはこのやりとりに口をはさみ、キリスト教民主同盟が
ドイツの政治に参加する能力があるかどうか疑わしい、と語った。彼は、メルケル
がこの送金が世間から非難を受けてからようやく認めた、と非難した。

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・警察は警官を大量に動員して5月1日にベルリンで暴力が激化し
ないように対処する方針である。独立系左翼はいわゆる「革命派
5月1日デモ」が禁止されたことを受け、別のデモを行なうと予告
している。また極右NPDのパレードとの衝突を避けるため、全部
で9千人の警官が投入される。ベルリン市政府のヴェルテバッハは、
警察は集会禁止命令に違反した場合は厳しく対処する、と強調し
た。
・首相シュレーダーのEU改革案はEUでは慎重に受け止められた。
EU委員会は、シュレーダーはこの提案を行なうことで欧州の未来
に関する重要な議論を行なったが、細部に言及するのは時期尚早だ、
と発表した。同じ趣旨のことを英仏政府も語った。シュレーダーの
提案は11月の社会民主党党大会で行なわれたもので、EU委員会を
欧州政府に改組しようというものである。
・バイエルン州首相シュトイバーの情報によれば、パレスチナ大統
領アラファトはイスラエル首相シャローンと共同で、暴力の行使を
中止を求める呼びかけを行なう準備がある。シュトイバーはアラフ
ァトとラマラで1時間の会談を行ない、火曜日にはシャローンと面
会することになっている。アラファトはシャローンと会うことに同
意した、とシュトイバーは語った。


5月1日(火)

(ロシュトック)労働の日メイデイにドイツでは50万人が、より多くの雇用と経
営参加の拡大を求めてデモを行なった。ロシュトックで開かれた労働組合の中央集
会では、ドイツ労働総同盟議長のディーター シュルテが使用者側と、連邦政府を
厳しく非難し、企業が得た利益の一部は雇用を生み出すためにも使われなければな
らない、と語った。彼は連邦政府に、旧東ドイツ諸州にかんしては、過去の発言を
実行に移すことを求めた。連邦首相ゲアハルト シュレーダーはロシュトックの集
会に招待され演説を行ない、連帯協約IIの実施を約束し、今後数年は2百万マルク
を支出して、東部の若者の職業教育を進めていくと語った。

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・ドイツのいくつかの都市では5月1日に予想通り小競り合いが起こ
った。ベルリンとフランクフルトで起った衝突が一番激しく、警察
は催涙ガス、放水車、警棒を用いて状況を沈静化させた。フランク
フルトの暴動は極右NPDのデモがきっかけで起ったが、ベルリンで
は暴動を起こした側がクロイツベルク区のお祭りを、騒ぎを起こす
きっかけとして利用した。10人以上が逮捕され、多くの怪我人が出
た。NPDのデモは他の都市ではおおむね平和的に行なわれた。
・世界各地で百万人以上がメイデイにより良い労働条件と公正な社
会を求めて集会を行なった。日本とロシアでは多くの人が集会に参
加した。韓国では南北双方の労働者が50年ぶりに労働の日を共に祝
った。オーストラリアのいくつかの都市では、経済の世界規模化に
反対する人たちが株式取引所と企業を封鎖しようとした。
・米国大統領ブッシュは、ロシアに対して、平和と安定を確保する
ために新しい態勢を作る作業に協力するように求めた。そのために
はミサイル迎撃網の設置を禁じたABM条約を過去のものとする必要
がある、と語った。ブッシュは軍士官学校での演説で、1972年にソ
連政府と結んだABM条約は冷戦の遺物であり、現在の情勢には適し
ていない、と評した。彼は西側同盟国とロシア大統領プーチンには
電話で彼の計画についてすでに説明している。ロシア政府によれば、
ブッシュは一方的な行動はとらないと約束している、とのことであ
る。


5月2日(水)

(ベルリン)新首相府の開館によって、連邦政府はボンからベルリンへの移転を公
式に完了した。連邦建設大臣クルト ボーデヴィヒと新首相府を設計したアクセル
 シュルテスは簡素な式典の席上、首相ゲアハルト シュレーダーに政府の中枢に
入るための象徴的な鍵を渡した。
テレヴィのインタヴューでシュレーダーは、一部の官庁をボンに残すといった、連
邦政府を中途半端にベルリンに移転することには反対したが、約束は守られなけれ
ばならない、と語った。

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・飲料容器すべてと使い捨てビンの大半に、購買者は今後保証金を
支払うことになる。商工業界の反対にもかかわらず、閣議で包装に
関する法令の改定が了承された。ユーロ貨幣が導入される2002年
1月1日から1本25ツェントの保証金を、1.5リットル以上のビンに
は50ツェントを支払うことになる。今後連邦議会と連邦参議院の
賛成が必要である。連邦環境大臣トリティンは使い捨て社会から循
環型社会への大きな一歩である、と語った。
・連邦首相シュレーダーは初めて「国民倫理審議会」を召集した。
24人の専門家からなる委員会は、生物および遺伝子工学の道徳上の
問題や、制限について話し合うことになっている。そのためシュレ
ーダーは様々な分野の著名な学者と公共機関の代表者、教会、労働
組合、障害者自助団体の代表を選んだ。首相の私的な発案に基づい
て作られた専門家委員会は政府と議会に助言を行なうほか、情報を
公開し、実際の政策決定に影響を及ぼすことになる。野党のキリス
ト教民主同盟、自由民主党、民主社会党はこの委員会の意味に疑問
を投げかけている。
・外相フィッシャーは米国外相パウエルと会談を行ない、ミサイル
迎撃を制限する1972年のABM条約を改定することに賛成である、
と語った。また米国が同盟国とミサイル迎撃網について話し合う準
備を進めていることを評価した。火曜日には米国大統領ブッシュは
世界的なミサイル迎撃網の計画とABM条約の破棄を口にしていた。
ロシアと中国はこの計画を世界の安定を危険にさらす、と非難して
いた。また米国は中国とのあらゆる軍事関係を破棄する、とも伝え
られている。


5月3日(木)

(ベルリン)キリスト教民主同盟の元会計責任者ヴァルター ライスラー キープ
の百万マルク送金問題に関して、同党首脳部は党首アンゲラ メルケルに対し強く
辞任を求めている。連邦同党幹部会は、首脳部の個人的怠慢を認めなかった。連邦
執行部のヴィリー ハオスマンはこの事件の政治的影響力を過小評価していたため、
事件の責任を一人で引き受け、自ら辞任を言いだした。しかし同党幹部はこの辞任
を拒否した。メルケルは、首脳部にも一般にもキープが党に百万マルクを振り込ん
だことを1ヶ月間も公表しなかったため、批判の矢面に立たされている。

     その他のニュース
・連邦議会と連邦参議院の両院協議会は年金改革計画に関する第3
回の会合を開いたが、合意には至らなかった。ただし社会民主党の
代表は2時間の審議の後、合意に向け最初のきっかけが見つかった、
と語った。両者は別々に、数日間個人加入の老齢年金に持ち家を含
めるかどうかで様々な案を検討したい、としている。来週火曜日に
次回の両院協議会が開かれる。
・ルフトハンザははじめて操縦士のストを予定している。労働組合
「操縦室組合」の情報では、機長たちは深夜から12時間の罷業を行
なう方針である。また今後4週間毎週木曜日に24時間の罷業を計画
しており、ドイツの全ての空港、国際線、国内線の飛行に影響が出
る。ただし海外からドイツへの飛行機は運行される見込みである。
組合はストで賃上げ交渉で経営側の譲歩を引き出そうとしている。
・マケドニア陸軍は同国北部でアルバニア系反乱軍へ攻勢をかけた。
ヘリコプター数機が首都スコピエの北東の町をミサイルで攻撃し、
周辺の森にある拠点を攻撃した。国防省の発表によれば、この町で
はマケドニアの警備隊が襲われ、兵士2人が死亡した。攻撃前に、
この町と近隣の住民は、この地域から立ち去るよう求められていた。


5月4日(金)

(デュッセルドルフ)自由民主党は2002年連邦議会選挙戦を新執行部で戦う。同
党の党大会がデュッセルドルフで開かれ、現事務長グイド ヴェスターヴェレ
(39歳)が89%の賛成で新党首に選ばれた。前任者ヴォルフガング ゲアハルト
は連邦議会議員団長には留任する。ヴェスターヴェレは、自由党をより広範な有権
者層に向けて解放していくとの方針を発表した。ノルトライン・ヴェストファーレ
ン州同党党首のユルゲン メレマンは3人いる連邦同党主代理の1人となり、より
党の中枢部に入った。ラインラント・プファルツ州、バーデン・ヴュルテンベルク
州の党首ライナー ブリューデルレとヴァルター デーリングは再任された。事務
長にはドイツ東部からコルネリア ピーパーが選ばれた。新会計責任者には元連邦
経済大臣ギュンター レクスロートが就任した。

     その他のニュース
・ルフトハンザの操縦士が12時間のストライキを行なったため、ド
イツの飛行場で大幅な遅延が懸念されている。同社によれば予定の
500回の飛行のうち約4分の3が欠航し、3万人の乗客が影響を受け
た。乗員組合は今回のストライキが大きな成果をあげたと評価して
いる。組合側は35%までの賃上げを求めていた。会社側は17%を提
示している。月曜日に交渉は再開される。
・連邦首相シュレーダーは子女手当の30マルク引き上げを、国が
その分を支払えるかどうかみてから行なうと発表した。5月中旬に
予定されている税収見込みの結果を見てからになる、と語った。彼
は連邦大蔵相に対して、2002年からの引き上げ実施が可能になる
ように、利用可能な資金を集めるように求めた。
・教皇は歴史的なギリシア訪問を行ない、正教徒に対しカトリック
が行なった犯罪の許しをこうた。正教の大主教クリウトドウロスと
の会談で彼は、1204年に十字軍が正教徒数千人を殺したコンスタ
ンティノープルの占領と略奪に言及した。教皇は同時に和解を呼び
かけた。カトリックとギリシア正教は1054年に分裂した。多くの
正教の聖職者は千3百年ぶりの教皇のギリシア訪問に抗議している。


5月5日(土)

(ベルリン)連邦首相ゲアハルト シュレーダーと社会民主党所属の各州首相が会
談を行い、ロイター通信によれば、懸案の財政問題に関して進展があったとのこと
である。その会議では、子女手当を30マルク値上げして月額300マルクすること
で合意した。州の財政を均衡させる問題に関しても、シュレーダーと州首相の間で
は合意する方向である、とロイターは報じている。年金改革案に関する細部のつめ
もかなり行われた模様である。

     その他のニュース
・自由民主党は2002年連邦議会選挙に独自の首相候補をたてない
方針である。数週間にわたる議論の末、同党の連邦党大会は72%
の賛成で首相候補の擁立を断念した。これにより新党首ヴェスター
ヴェレはノルトライン・ヴェストファーレン州同党首メレマンの主
張を押しのけて、自分の意志を押し通した。一方他の対立点ではメ
レマンが提案した「18%計画」を採択した。これは自由民主党は選
挙戦どの党と連立するかを明言せず戦い、目標を18%獲得とする。
これに関してはヴェスターヴェレも賛成していた。
・EU拡大を議論するEU外相会談ではドイツとスペインが対立してい
る。ドイツ、オーストリアは東欧からの労働者の受け入れに長めの
猶予期間を設けることを求めている。スペインは巨額の地域振興策
を賛成の条件にしている。外相フィッシャーはこの条件を拒否し、
無関係なものを関連付けてはならない、猶予期間の設定にはお金が
かからないが、スペイン案には巨額の資金が必要だ、と語った。ま
た彼はEU加盟希望国が安定することを期待する、と語った。比較的
貧しい国々の加盟が予定されているため、スペインはEUが現在行な
っている援助の大部分を断念することになる可能性がある。
・アルバニア人反乱軍が占領している同国北部の町をマケドニア陸
軍が攻撃し、少なくとも6人の一般人が死亡した。軍も犠牲者がで
たことを認めており、アルバニア系義勇兵を当地の住民を盾にして
いると非難した。マケドニア軍は国民解放軍UCKの拠点に対する攻
撃を再開した。水曜日にはアルバニア民間人に対し、戦闘地域の町
から退去するようにとの通告を出していたが、アルバニア人はそれ
に従っていない。


5月6日(日)

(ニュチェピング)EU加盟諸国は、EU拡大に関する交渉で同じ立場をとるよう努
力しているが、行き詰まりを見せている。スウェーデンで開かれているEU外相の
非公式会合で、ドイツ・オーストリアは新加盟国受け入れ後、労働市場を開放する
までの猶予期間を設定するよう求めているが、この問題をめぐり対立が生じている。
スペインはこの問題の決着をつける前に、EUの資金から経済の構造改革を進める
ための資金援助を今後も行なうよう約束することを求めている。
ポーランド外相ウラディスラフ バルトスツェフスキはドイツとオーストリアの態
度を批判して、それほど厳しい制約は必要でないと思う、そのような措置を取れば
ポーランドの労働者は2級市民であることになってしまう、と語った。

     その他のニュース
・EU外相はマケドニアでの陸軍とアルバニア人反乱軍との武力衝突
を憂慮している、との声明を出した。マケドニア政府はアルバニア
義勇兵に対し宣戦布告をするよう軍から迫られている。火曜日に予
定されている宣戦布告に関する国会決議はEUが求めている慎重な態
度とはかけ離れている、との声明をEU外相会談は出した。一方マケ
ドニアでは軍の攻勢が続いている。
・自由民主党は2002年連邦議会選挙に向け態勢と戦術を一新して
新たな支持者を獲得し、少なくとも18%の得票を得たい、としてい
る。30数年ぶりで連立与党の座を失った同党は、独自首相候補の
擁立を連邦党大会で断念した。締めくくりの演説で新党首ヴェスタ
ーヴェレは、同党が特定の職業や高所得の人のための政党であると
の先入見を打ち砕き、全国民のための政党にしたい、と語った。
・社会民主党と緑の党は、子女手当を来年初めに月額3百マルクへ
引き上げることを基本的に決定した。首相シュレーダーは社会民主
党政権の州の首相との会談で30マルクの増額と費用の分担に関して
合意した。最終決定は5月17日の税収予想が公表された後に下され
ることになっている。連邦大蔵省は、連邦が74%、州が26%を負担
する、と発表した。緑の党は社会的弱者に対して約2百マルクの追
加手当を支払うよう求めている。


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