5月14日〜20日のドイツのニュース

5月14日(月)

(ローマ)イタリア総選挙の結果、政権交代が起った。マスコミ企業を経営するシ
ルヴィオ ベルルスコーニ率いる中道右派連合「自由人たちの家」が上下院で絶対
多数を獲得した模様である。公式発表では、上院では同連合が324議席中177を獲
得した。下院でも、予想ながら、過半数を獲得すると見られている。新首相に就任
する予定のベルルスコーニは、有権者は政権交代を望んでいた、との声明を出した。
今まで与党だった「オリーヴの木」のフランチェスコ ルテーリは新政府とは徹底
的に対決する、と語った。ベルルスコーニの中道右派政権はEU加盟各国の制裁を想
定する必要はない、とスウェーデン首相でEU理事会現議長のヨーラン ペーション
は語った。

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・ドイツ首相シュレーダーは中道右派勢力がイタリア総選挙で勝利
したことに慎重な態度を取っている。ドイツ政府はイタリア国民の
決定を尊重し、選挙結果を確認した、またドイツは伝統的に密接な
協力を行ってきたがそれを維持することに関心がある、と彼は述べ
た。一方キリスト教民主同盟党首メルケルはベルルスコーニの勝利
を祝う言葉を述べた。
・スペインはEUの拡大方針を進めるのを阻止した。EU加盟各国の外
相会談でスペイン外相ピケは、EU拡大後の労働市場開放の猶予期間
問題で妥協をする準備が出来ていない、と語った。彼はEUが拡大後
もスペインに対する支援を短縮しないという政治的な保証をするよ
う求めた。ドイツ外相フィッシャーはこれを拒否した。
・ユーゴスラヴィアはヨーロッパ統合に参加を希望しており、その
ためドイツとの関係を修復することが必要だ、と大統領コシュトゥ
ニツァはドイツ訪問を前に語った。また、ユーゴ政府はEU特にドイ
ツに対する姿勢を最重要視していて、ベルリン訪問の目的の一つは
産業面での関係を強化することである、とも語った。さらにデン 
ハーグの国連戦争犯罪裁判所との協力を実現するための法律を急い
で整備する、とも語った。


5月15日(火)

(エルサレム・ガザ市)イスラエル建国53年の記念日は、ここ数ヶ月で最悪のパレ
スチナ人とイスラエル人の間の流血の事態となった。ガザ市と西ヨルダンランドで
は少なくとも6人が死亡し、約150人が怪我をした。パレスチナ人居住区のあちこ
ちでパレスチナ側が「大惨事の日」と呼ぶデモが行なわれ、現在のイスラエルから
の避難しあるいは強制退去させられたことを記憶にとどめる行事が行なわれていた。

     その他のニュース
・ドイツ首相シュレーダーはユーゴスラヴィア大統領コシュトゥニ
ツァに援助を約束した。シュレーダーは、産業の育成を優先するこ
とが大切であり、ユーゴ新政府が行なっている民主化から、ユーゴ
国民は利益を得ている、と語った。また二人は米国が参加する支援
国会議を早急に開くことを求めた。コシュトゥニツァはデン ハー
グの戦争犯罪裁判所に協力することを約束した。
・レバノンのムアマル エル・カダフィが1986年ベルリンのディ
スコ「ラ ベル」の襲撃命令を出したことを首相顧問のシュタイナ
ーに認めた、との報道が行なわれたが、ドイツ政府はこれを否定し
た。政府報道官ハイエは、3月17日に両者の話し合いが行なわれた
が、テロ対策が話題になっただけだ、と発表した。「ラ ベル」襲
撃をめぐる裁判では、ベルリン法廷は犠牲者側の弁護士からのシュ
タイナーの尋問を求める要求を審理している。米軍兵士が多く訪れ
ていたこのディスコの襲撃事件では3人が死亡し、約200人が怪我
をした。
・次期イタリア首相ベルルスコーニは迅速に組閣を行ない、選挙公
約を実行すると語った。火曜日に正式に勝利が決定し、右派連合が
上下院で完全に多数を確保した。新外相には貿易会社の元最高経営
責任者ルギエロが指名された。彼は経済の世界規模化と自由化の支
持者として知られている。イタリアの企業の成功者として象徴的な
存在であるフェラーリ社の会長モンテゼモーロも入閣の予定である。


5月16日(水)

(フランクフルト アム マイン)ルフトハンザ社の操縦士の大半は再び24時間ス
トに参加する予定である。同労組コックピットは、賃上げ交渉は再び成果を上げる
ことなく決裂したので、木曜日深夜12時からのストライキを行なう、と発表した。
その交渉で会社側は今後4年間の10.6%の賃上げと、従業員側の収益参加の支払い
を上積みを提案していた。約4千2百人の操縦士は一年に24%の賃上げを要求して
いた。ルフトハンザは木曜日は特別飛行態勢をとり、インターネットでそれを公開
している。

     その他のニュース
・連邦政府は今後4年間で宇宙飛行のために80億マルクを支出する
方針である。教育研究大臣ブルマーンは今後ドイツ産業界はこの分
野の研究により多くの資金を投ずると発表した。彼女はドイツは今
後も国際宇宙基地ISSに資金面で協力するが、資金の41%をドイツ
が負担することに関しては不満である、と語った。
・信託会社の元社長ローヴェダーの殺害から10年たち、解明へ前進
している。連邦刑事警察庁は、殺人現場で見つかった毛髪の遺伝子
分析で、RAFの活動家グラムスがデュッセルドルフの現場にいたと
結論づけた。グラムス自身は1993年メクレンブルクのバート ク
ライネンで警察との銃撃戦で死亡している。
・ザクセン州議会はキリスト教民主同盟の賛成で、野党民主社会党
が提出していた、州首相ビーデンコプフ(キリスト教民主同盟)の
辞任要求を否決した。社会民主党はこの動議に3票の棄権を出した
ものの、賛成した。ビーデンコプフは数週間前から、職務に絡んで
個人的な利益を得ていた、との非難を受けている。彼自身は辞任は
しない、としていた。


5月17日(木)

(ベルリン)連邦大蔵大臣ハンス アイヒェルは、最新の税収予想をもとに、政府
の方針を了承し、歳出に関する原則を変更しない、と語った。しかしアイヒェルは
2002年1月1日からの子女手当の引き上げには賛成した。税収予想検討班は木曜日
最新結果を発表した。それによれば、今年の連邦、州、地方自治体の税収不足は
68億マルクと予想されている。そのうち、42億マルクは連邦の不足分である。た
だしこの不足分はEUの財源で穴埋めできる。

     その他のニュース
・ルフトハンザの操縦士による2回目の24時間ストライキで広い範
囲で遅れが発生した。夕方までに予定の1100便のうち660便が欠航
したが、空港では大きな混乱は起らなかった。一方賃上げ交渉を批
判する声は強まっている。フランクフルトでは地上勤務の社員が操
縦士に抗議した。労働組合と労働大臣リースターは操縦士が過大な
要求をしていると非難した。操縦士側は24%の賃上げを貫徹する方
針である。
・ザールブリュッケンの検察の考えによれば、ロイナ精油所の民営
化をめぐり、ドイツの政治家に対する賄賂が支払われたかどうかは
今のところ証明できていない。連邦議会の調査委員会で2人の検事
が鍵を握る人物である実業家ホルツァーに対する捜査報告を行なっ
た。検事は調査はまだ始まったばかりである、と強調した。また彼
らはフランスのエルフ アキテーヌ社の重役の証言の中にドイツへ
の賄賂が語られていることも認めた。それにもかかわらず贈賄罪で
の捜査を行なわないとの検察側の声明は、社会民主党と緑の党の理
解を得られていない。
・連邦憲法擁護庁長官フロムは極右から離脱を希望する人を援助す
る計画の当初の成果に満足している、と語った。彼はテレヴィ番組
で、最初の1週間で約90人がこの計画に関心を寄せてくれた、と語
った。まず電話で接触して調査をした後、擁護庁で直接話し合いを
行ない、必要なは何かを聞くことになる、と語った。


5月18日(金)

(テル アヴィヴ)近東の武力衝突は再び激化している。イスラエルの港湾都市ネ
タニヤの人が多く集まる商店街で自爆テロで、犯人を含む7人が死亡、百人以上が
怪我をした。急進派イスラムのハマスがこの犯行を行なったと発表した。イスラエ
ル軍は厳しい報復を行なった。飛行機とヘリコプターでナブルスとラマラにあるパ
レスチナ警察と精鋭部隊の建物を攻撃した。この攻撃でも複数の死者と怪我人が発
生した。さらに西ヨルダンランドではイスラエル系住民が射殺された。

     その他のニュース
・米国大統領ブッシュは同国の電力問題を解決するために、原発、
石油、石炭を利用する方針を打ち出したが、環境保護の観点から世
界各国で批判を受けている。オランダ環境相で国連気候変動フォー
ラムの議長プロンクは世界的な温室効果ガスの削減努力を無駄にす
ることになる、米国は現在でも世界最大の空気汚染国であり、今回
の計画は大気汚染をさらに悪化させる疑いがある、と語った。EU委
員会も同様の発言を行なった。ブッシュは米国の産業と発展途上国
の不利益になるという理由で、京都議定書の批准を拒否しているた
め、国際的な批判にさらされている。
・ドイツ首相シュレーダーはナチ時代の強制労働に対する賠償金に
関するニュー ヨークの控訴裁判所の判決を歓迎した。シュレーダ
ーと政府の全権ラムスドルフは、連邦議会と産業界は夏休み前に、
法的安全性を確認できると確信している、と語った。その後ようや
く賠償基金は犠牲者に対する支払いを開始することができる。アメ
リカの控訴裁判所はドイツの銀行に対する集団訴訟を無条件で棄却
するとの判断を下していた。
・連邦大統領ラオは生命工学および遺伝子技術に明確な道徳上の制
限を設け、研究中止を求める際の政治的な基本方針を作るように促
した。そうしなければ、社会は多くの人間を失うことになる、と彼
は公務員や科学者の代表に演説した。さらに、遺伝子工学は今後特
に生殖医療の分野で、現在認められている価値観と衝突する可能性
がある、とも指摘した。そして進歩主義に警告を発し、50年代60
年代の原子力の平和利用が始まった際の過大な期待感を想起させた。
今時、進歩を単純にそして理屈抜きに信じられるのは驚きだ、と語
った。


5月19日(土)

(エルサレム)イスラエル空軍は再びパレスチナ自治区のジェニン、トゥルカムの
警察署と精鋭部隊を戦闘爆撃機とヘリコプターで攻撃した。その他イスラエルはガ
ザ地区のハーン ジュニスを砲撃した。その前にもイスラエル軍はパレスチナ人3
人を射殺していた。ナブルスでは約10万人のパレスチナ人が西ヨルダンランド過
去最大規模の葬儀に参加していた。ゼネストへ参加を求める要請は多くの支持を集
めている。パレスチナ大統領ヤセル アラファトはこの「パレスチナをめぐる決戦」
で屈伏することはない、と明言した。
金曜日にはイスラエルは、ネタニヤで起ったパレスチナ人による自爆テロで7人が
死亡したのに対抗して、重火器を用いた反撃を西ヨルダンランドとガザ地区の都市
で行なっていた。

     その他のニュース
・イスラエル軍が戦闘爆撃機を投入したことで激化している近東情
勢を世界は不安と抗議の目で見ている。アラブ連合は全加盟国にイ
スラエルとの接触を断つように呼びかけた。カイロで開かれた緊急
会議では、パレスチナ人保護のため国際的な介入が要請された。ま
たイスラエルに対する武装蜂起を全面的に支援していく約束が取り
つけられた。露大統領プーチンはイスラエル首相シャローンに実力
行使を早く終わらせるよう電話で求めた。独外相フィッシャーは両
者に交渉を再開するよう訴えた。イスラエル労働党もシャローンが
軍事攻撃によって近東全域を戦場にするのではないか、との不安を
訴えた。
・ドイツユダヤ人中央評議会議長シュピーゲルは連邦議会に対し、
ナチ時代の強制労働者に対する賠償問題に迅速に対処するよう求め
た。ドイツ企業の法的安全性を確保するため、来週中にも特別議会
の日程を決めるべきだ、と語った。一方キリスト教民主同盟のボス
バッハは、賠償金の第1回の支払いが可能になる期日を7月としてい
る。米国の控訴裁判所は木曜日、賠償金の支払いの障害となってい
たドイツの銀行に対する集団訴訟を却下していた。連邦とドイツの
産業界は既に100億マルクの資金を集めている。
・遺伝子技術をめぐる議論で首相シュレーダーは、産業化の可能性
を低く見積もってはならない、と警告した。彼は、人間の尊厳のた
め遺伝子工学の利用は制限されねばならない、との大統領ラオの発
言を支持したが、この問題は十分に議論するべきで、道徳上の責任
には労働と幸福に配慮することも含まれている、と語った。ラオは
金曜日ベルリンで演説し、遺伝子技術に関する政策では消極的な方
針をとるべきで、産業界の利益や医学上の成果をあげることが倫理
学上の原則を損なったり、人間の尊厳を損なうことがあってはなら
ない、と語っていた。


5月20日(日)

(ラマラ)イスラエル軍の戦車は西ヨルダンランドのラマラにあるパレスチナ高級
公安局員の家をを攻撃した。ジブリル ラドシュブと家族、護衛官3人が怪我をし
た、とパレスチナ治安軍は発表した。

     その他のニュース
・工業国各国はもっとも発展の遅れている国で製造された商品に対
し市場を完全に開放する方針である。国連の会議で参加157ヶ国は、
関税と数量規制を廃止することを視野に入れた行動計画を採択した。
独経済発展大臣ヴィークツォレック・ツオイルはEUに続き、米国、
カナダ、日本が下した決定を歓迎した。世界銀行の研究によればは、
この措置で最貧国の輸出は毎年30億ドル増える可能性が出てきた。
・ナチの強制労働者に対する迅速な賠償金の支払いをめぐる対立の
中で、ドイツ産業界が作った基金は各方面から圧力を受けている。
これに参加している43社は、アメリカで賠償請求を起こされないと
の法的安全性は確保されているのだから、できるだけ早く支払いを
始めよ、との要求を受けている。ユダヤ人中央評議会議長シュピー
ゲルと緑の党のベックは5月中に連邦議会で関連法案の採決を行な
うように求めている。一方基金の広報ギボフスキーは性急な決定は
待つように、と語っている。
・ドイツの経済成長を悲観的に見る人が増えている。経済学者と連
邦政府が経済成長予測をいったん下向きに修正した後、専門家は2%
の予想は難しいと見ている。「ヴィルトシャフツヴァイゼ」のリュ
ールプは、今年はせいぜい0.2%で、自動車産業を除けば、受注は大
幅に減少しており、ドイツ経済は予想より弱体化している、と語っ
た。6大経済研究所も、4月の2.1%の成長予想を下方修正する、と新
聞は報じている。


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