6月18日〜24日のドイツのニュース

6月18日(月)

(ベルリン)ベルリンでは社会民主党と緑の党の暫定政府が仕事を引き継いだ。財
政問題で失脚したエーベルハルト ディープゲン(キリスト教民主同盟)は市長職
を正式にクラオス ヴォーヴェライト(社会民主党)に譲り渡した。水曜日には各
党は選挙を秋に行なうことで合意する予定である。社会民主党事務長のフランツ 
ミュンテフェリングは、同党は緑の党あるいは自由民主党との連立を行なう方針で
あるが、これが不可能な場合には民主社会党との協力関係も検討する、と語った。
キリスト教民主同盟党首アンゲラ メルケルは、彼女が信頼するヴォルフガング 
ショイブレをベルリン選挙の筆頭候補にたてることできなかったため、党内での争
いに再び敗れたとの見方を否定した。

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・独首相シュレーダーはポーランド首相ビセックとのフランクフル
ト アン デア オーデルでの首脳会談で、2004年にEUに加盟し
たいとの同国の要求を応援するが、よりいっそうの努力も求めた。
EUへの新規加盟国からの労働者の受け入れに関する問題では改めて
立場の違いが明確化した。シュレーダーは7年間の猶予期間を求め
たが、ポーランドは猶予期間そのものを拒否した。目下EUは12ヶ
国と加盟交渉を行なっている。ポーランドは加盟条件を満たした度
合いからみると加盟希望国の中でまん中のグループに属している。
・元国王シメオン2世の政党はブルガリア国会選挙で絶対多数には
かろうじて届かなかった。ほぼすべての票を集計したところでは、
彼の「国民運動」党が120議席を獲得し、絶対多数には1議席足り
なかった。シメオンは彼が重視する政策に賛成する勢力との連立を
行なう、と語っていた。彼は、経済成長、EU加盟、NATO加盟、汚
職追放を重点政策に掲げている。彼が今後政府で重要な職につくか
どうかは明らかにされていない。
・イタリア首相ベルルスコーニはイタリアの近代化、負債の削減、
減税を行なうと発表した。さらに彼は政府声明の中で外交政策は継
続すると語った。新中道右派内閣は親ヨーロッパ的で、NATOの信
頼できる加盟国である。彼がマフィアとの前面的な対決を行なうと
発表したときには、全政党が彼に喝采を送った。マスコミ企業の経
営者で富豪である彼は、企業と政治の利害の対立を解決する、と語
った。


6月19日(火)

(ルクセンブルク)ドイツ政府の意向に反して、EU委員会は養豚と養鶏には動物
性飼料を使用することを条件づきながら認める方針である。ドイツ農業大臣レナー
テ キューナストはルクセンブルクEU農相会議で、動物の死体を粉末にした飼料
の使用をずっと禁止するという主張を認めさせることができなかった。ただし現在
実施されている禁止措置は来年まで延長された。ただし各国がそれを受け入れるこ
とが必要である。キューナストはこの措置は混乱を招く、と言って批判した。一方
EU購買者保護担当委員デイヴィッド バーンは、これは食品の安全性を高めるた
めの重要な一歩である、と語った。動物性飼料は牛の疫病BSE拡大の原因の一つと
見られている。

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・社会民主党と緑の党がベルリンの暫定政府を作って一日たち、正
式に仕事を開始した。市長ヴォーヴェライトのもと、財政的な危機
に陥っているベルリンの支出削減措置がいくつか決定された。特に
いわゆる地下鉄首相線レールター駅とアレクサンダー広場間は着工
されないことになった。その他政務次官の数が20から15に削減さ
れた。閣僚は苦境に立つ市が大半の資金を出している銀行を財政的
に支援するという約束を今一度確認した。
・連邦憲法裁判所は火曜日から、1999年に連邦議会の議決を得な
いまま政府がNATOの新しい戦略に賛成したことをめぐって審議を
行なっている。この戦略のため、ドイツ国外への出兵、たとえばコ
ソヴォ紛争でのユーゴ空爆が可能になっている。この訴訟は民主社
会党が起こしたもので、同党は連邦議会が無視されたと見ている。
判決は数ヶ月後に出される予定である。
・ノルトライン・ヴェストファーレン州は金曜日に予定されている、
使い捨て飲料容器に預かり金をかけることに関する連邦参議院での
決議を延期する方針である。環境大臣トリティンのこの計画が州議
会で承認されないのは確実だと見られている。州政府閣僚は、採決
は7月13日に連邦参議院で審議されることで合意している、と発表
した。トリティンの法案は使い捨てガラス容器、ペットボトルなど
に50ペニッヒから1マルクの保証金を2002年から課す、というも
のである。


6月20日(水)

(スコピエ)マケドニア紛争の平和的な解決を目指す会談はひとまず失敗に終わっ
た。大統領ボリス トライコフスキは、アルバニア系とマケドニア系の政治家たち
のと会談を中止する、と発表した。会議が失敗に終わった理由として、彼はアルバ
ニア人がマケドニアの連邦化を要求したことを挙げ、連邦化は国の分割を意味する、
と語った。それに先立ちNATOは、兵士をマケドニアに派遣し、アルバニア人反乱
軍の武装解除を監視する、との基本方針を発表していた。NATOの代表はブリュッ
セルで、マケドニア政府が反乱軍と武装解除に関する取り決めを結ぶことが派遣の
条件である、と発表した。

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・ベルリン議会のキリスト教民主同盟議員団は選挙の日程をめぐっ
て、社会民主党、民主社会党、緑の党となお論争を繰り広げている。
議長フューラーと同党議員団長の会談は成果をあげなかった。キリ
スト教民主同盟側の情報によれば、10月終わりという案が浮上した、
とのことである。次の会談は来週中の予定である。社会民主党、民
主社会党、緑の党は9月23日に選挙を行ないたいとしているが、キ
リスト教民主同盟はもっと早い時期での選挙を求めている。
・約2百万人の公務員は労働者も職員も、来年行なわれる老齢年金
の減額に備えなければならない。連邦内相シリーは5月に年金改革
案と同時に決定された公務員年金の減額も実施に移すことになる、
と語った。彼の計画によれば、2003年から2010年までの間で年
金をあわせて5%減額することになっている。そのほか公務員も国
が助成する個人加盟の年金に加入することができることになってい
る。ドイツ公務員連盟はこれは二重の不利益であり、公務員は既に
連邦政府から年金が減額されて、かなりの額を徴収されていると語
った。
・原子力発電所ウンターヴェーザーで使われた使用済み核燃料をの
せたコンテナ2台が、昨晩計画通りフランスとの国境を通過した。
オルデンブルク周辺で約50人の原発反対派の抗議行動があった。フ
ランスの港から英国の再処理工場セラフィールドに輸送されること
になっている。放射線防護庁は、ドイツの4つの原発の核のゴミを
今後24回英仏の再処理施設に輸送することを承認している。


6月21日(木)

(ベルリン)各州の首相は、懸案になっている州相互の財政の不均衡を解消するた
めの第1回交渉を行なったが、具体的な進展は見られなかった。各州の間には大き
な意見の違いがある、とバイエルン州首相エドムント シュトイバーは会談後語っ
た。いわゆる支出側の州(黒字の州)は、連邦が少なくとも25億マルクの財政支
援を行なうよう求めている。連邦大蔵省はこの要求に応えるかどうか今のところ明
らかにしていない。結果は早ければ、連邦首相シュレーダーがこの会議に参加する
土曜日にも出る予定である。

     その他のニュース
・ロイナ疑獄の鍵を握る人物ホルツァーは記者会見で、元首相コー
ルを含む政治家に賄賂を支払ったことを否定し、取引きを行なった
だけだ、と語った。彼は連邦議会の調査委員会では証言を拒否し、
その理由として現在捜査が行なわれていることを挙げていた。調査
委員会は彼が記者会見に臨んだことに怒りを表わしている。彼はエ
ルフ アキテーヌ社の顧問で、90年代初めにロイナ精油所の買収を
おこなった。彼には、数百万マルクの賄賂を政治家に送った疑惑が
かけられている。
・連邦国防相シャルピングは60年代、70年代にドイツ兵が、癌の
原因になるレーダー装置を使用させられていたことに対し、謝罪を
行なう、と語った。彼はそのために、犠牲者とその代理人との交渉
を行なう、と語った。報告書によれば、十分に遮蔽を行なわなかっ
たレーダー機器は放射能漏れの原因になる、とのことである。
・首相シュレーダーは、EUの新規加盟第1号はEU選挙が行なわれる
2004年に行なわれることに自信をのぞかせている。先週イエテボリ
で行なわれたEU首脳会談の政府声明で、この野心的な目標は実現可
能だが、加盟希望国はかなりの努力をしなければならない、加盟で
きるかどうかを最終的に決めるのは加盟希望国次第である、として
いた。またアイルランドが国民投票でEU拡大に反対したことで、EU
拡大が遅れることはない、とも語っている。さらに彼はEUの組織に
は改革が必要である、とも指摘している。


6月22日(金)

(ベルリン)連邦議会はいろいろな立場からの議論を経て、約30年前に作られた
事業所組織法の改正案を承認した。社会民主党、緑の党、民主社会党は新法に賛成
し、キリスト教民主同盟と自由民主党は反対した。新法の眼目は、中小企業の事業
所委員会選挙の手続きの簡略化である。さらに百名以上の従業員のいる会社は今後
今までより多くの委員の選出を認めなければならない。連邦労働大臣ヴァルター 
リースターは、これは労使双方に重要な決定である、と語った。一方キリスト教民
主同盟、キリスト教社会同盟と自由民主党はこの改革は官僚主義の追求であって、
ドイツの足場を弱めるものだ、と批判した。

     その他のニュース
・ドイツ産業界が沈滞しているため、キリスト教民主同盟は連邦政
府に対して、景気のてこ入れのため政府主導で行動を起こすよう求
めた。同党は緊急行動計画の中で、労働市場をよりいっそう柔軟に
し、環境税を廃止するよう求めた。その他、2003年から5年まで
の予定で計画されている減税を1年間延長するように求めている。
これより前に、ミュンヘン経済研究所はドイツ西部の企業の経営指
数を発表した。5月の指数はこの2年間で最低に落ち込んでいた。特
に工業と建築業は今後に関しても明るい兆しはない。経営指数は産
業の状況を表わすドイツで最も重要な指標である。
・ナチ時代の強制労働者の賠償基金は、犠牲者への支払いを減額し
なければならない、との懸念を発表した。同基金の管理委員ブロイ
ティガムは、当初の予想より30万人多い、150万人の請求書が来る
見込みである、と語った。現在集まっているお金は約100億マルク
で、すべての犠牲者が約束されている額を受け取ることはできない
可能性がある、とのことである。一方ドイツ ユダヤ人権利会議は
賠償金の支払いを開始した。フランクフルトでの記念行事では、該
当者数人が賠償金の第1回の支払いを受けた。
・ドイツとロシアは、ドイツ軍のソ連攻撃60年目の式典で両国の犠
牲者の追悼を行なった。連邦議会議長ティールゼは議会で、同じよ
うなことが二度とドイツの地で起らないよう、全力を尽くすことが
大切だ、と語った。ロシア大統領プーチンは、旧ソ連は2700万人の
死者という最大の犠牲を出したが、ソ連が戦った相手はドイツ人で
はなく、ナチとであった、と強調した。その他主要な東側の国々で
も1941年6月22日にドイツ軍の侵攻を記念する式典が開かれた。


6月23日(土)

(ベルリン)州間の財政の不均衡を是正するための新たな措置と、旧東ドイツとの
第2次連帯協定が決着した。連邦首相ゲアハルト シュレーダーと各州首相16人は
3日間にわたる協議の末、2005年から2019年までの計画に合意した。ドイツ西部
各州はこの期間に合わせて3060億マルクをさらに支出し、東部の再建を後押しす
る。財政赤字を穴埋めするために、赤字各州は今後毎年25億マルクの追加資金を
連邦から得ることになる。その他に資金を出す州は、税収をより多く自州のために
使えるように、支払う額の削減を要求していたが、これを認めさせた。シュレーダ
ーは、今日はドイツの連邦制度にとって偉大な一日となった、と語った。

     その他のニュース
・ドイツ東部に対する財政支援に関する合意が成立したため、連帯
の追加資金が長期間に渡ってさらに支払われることになる。連邦蔵
相アイヒェルは、東部再建のために極めて大きな要求が連邦が突き
つけられる間は、追加資金が必要であり、今後長年にわたってこの
状況は続くだろう、と語った。
・モンテネグロの大臣が投票を行なわないうちに、ユーゴ内閣は元
大統領ミロシェヴィッチのデン ハーグの戦争犯罪法廷へ移送へ道
を開いた。首相代理ラブスによれば、政府はセルビア人閣僚の賛成
多数で、ユーゴ国民を国連の法廷に引き渡すことを認める決定を下
した。これによってミロシェヴィッチは今後数日以内にデン ハー
グに移される。しかしセルビア首相ジンジッチは、移送までにはま
だ2、3週間かかる、と語った。戦争犯罪の容疑者の移送は法的に規
定されることになっていたが、モンテネグロ共和国の反対にあって、
これは失敗した。
・マケドニア軍は停戦を遵守するようにという国際的な訴えかけを
無視し、アルバニア人反乱軍の拠点と見られる場所を再び攻撃した。
首都スコピエから約10キロにある反乱軍の勢力下にあるアラチノヴ
ォを戦車とヘリで攻撃した。軍の発表では、村の3分の1を押さえた、
とのことである。NATOと米国は停戦の中止を非難している。EUの
外交調整官ソラナは政府との会談のためスコピエに到着した。


6月24日(日)

(リマ)ペルー南部での大地震に対する第1回の支援措置が取られた。スイスは瓦
礫の下敷きになった人を救出する専門家を派遣した。ドイツ政府も支援を行なった。
マグニチュード6.9から7.9の地震が土曜日発生し、ペルー当局の最新情報では、少
なくとも50人が死亡し、8百人以上が怪我をした。瓦礫に埋まっている人が多数い
るため、犠牲者の数は増える可能性がある。特に深刻な被害を受けたのは、同国で
2番目に大きなアンデス地方の百万都市アレキパである。チリとの国境地域のアリ
カでも大きな被害が生じた。

     その他のニュース
・マケドニア政府軍とアルバニア人反乱軍の代表者は3日間にわた
る交戦に終止符を打ち、アラチノヴォ地域の停戦に合意した。EUの
調停役ソラナは、停戦がマケドニア全土に広がるよう希望しており、
数日中には政治対話が再開される、と語った。外交筋によれば、反
乱軍は首都スコピエから15キロ離れたアラチノヴォから撤退するこ
とに合意し、また武器を持つことは認められている、とのことであ
る。マケドニア軍は金曜日、既に停戦が宣言されていたにもかかわ
らず、この村で反乱軍を攻撃していた。
・アルバニアでは国会選挙が行なわれ、250万人の有権者が議員
140人を選ぶ。多くの有権者が訪れたため、多くの投票所で予定よ
り遅くまで投票を受付けた。世論調査によれば、首相メタ率いる与
党社会党と、元大統領ベリシャの野党民主党がつばぜり合いを繰り
広げている。第1回集計結果は数時間後に発表の予定である。欧州
安保機構の監視団が投票を見守った。その情報によれば、選挙は突
発事件数件を除けば全般に平穏に行なわれた。
・元ユーゴ大統領ミロシェヴィッチはデン ハーグの国連戦争犯罪
法廷への移送に抵抗するつもりである。彼はユーゴ内閣が決定した
今回の措置が憲法に違反するのではないか、との疑問を持っている、
と弁護士は発表した。弁護士は、今回の決定は法をゆがめるもので、
憲法に従えば、同法廷との協力は政府の決定ではなく、法律によっ
てのみ規定されうるものだ、と語った。首相ジンジッチはミロシェ
ヴィッチの移送には2、3週間かかるとの見込みを語っていた。今回
の決定にはモンテネグロ出身の大臣は加わっていなかった。ユーゴ
内閣は土曜日に政府決定の形で、ミロシェヴィッチの同法廷への移
送に道を開いていた。


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