6月25日〜7月1日のドイツのニュース

6月25日(月)

(ルクセンブルク)EUはマケドニア紛争の平和的解決に向けた努力を強めていく。
ルクセンブルクで開かれたEU外相会談では、元フランス国防大臣フランソワ レオ
タールを特別全権としてマケドニアの首都スコピエに派遣することで合意した。彼
は3、4ヶ月マケドニアに滞在し、少数派のアルバニア人のための改革を進めること
になっている。EU加盟各国の外相はマケドニア外相リンカ ミトレーヴァに、アル
バニア人反乱軍との紛争を平和的に解決するように警告を発していた。
マスコミの報道によれば、アルバニア人義勇軍はアラチノヴォの拠点から撤退した、
とのことである。

     その他のニュース
・ユーゴ元大統領ミロシェヴィッチは、国連戦争犯罪法廷への移送
に抵抗する。彼の弁護士は、ミロシェヴィッチをデン ハーグに移
せるようにした政府の決定は、憲法違反であると訴えている。元大
統領は4月初めから、権力の濫用と汚職の容疑で調査を受けている。
・イスラエル政府は、パレスチナ人居住地域にユダヤ人入植地を拡
大するの制限を加える措置を取ることにした、との情報がある。国
防相ベン・エリーザーは軍に、西ヨルダンランドの違法な入植地15
箇所を撤去するように命じた、と報道官が発表した。入植地の建設
はイスラエルとパレスチナの紛争の大きな争点になっている。近東
の緊張はイスラエル首相シャローンの米国訪問の主要課題でもある。
彼は火曜日には米国大統領ブッシュとの会談の予定である。
・連邦蔵相アイヒェルは、現在の景気後退が早期に終わる見込みは
ない、と語った。現在の経済状況を示す数値は景気はしばらく悪い
ことを示している、と月例報告には記されている。同省は、失業と
物価上昇に歯止めがかけられるかどうかも疑問であるとし、労働市
場は相変わらずであり、物価は夏の後半までは上昇し続けるものの、
急激な上昇はないと見ている。


6月26日(火)

(スコピエ)マケドニア大統領ボリス トライコフスキは、アルバニア人反乱軍が
NATOの支援を受け、アラチノヴォ村から撤退することに賛成し、住民に協力を求
めた。住民の中には激怒して、反乱軍の撤退に反対し、昨晩国会前で抗議活動を行
ない、トライコフスキの辞任を求めるものもあった。テレヴィ演説で彼は、これ以
上の死者を出さないためには撤退が必要である、と語った。NATO事務長のジョー
ジ ロバートソンとEUの外交問題の責任者ハヴィエル ソラナは今一度トライコフ
スキを支持することを約束し、紛争を終え、政治的な解決策を探る番だ、と二人は
ブリュッセルで語った。一方マケドニア北部のクマノヴォ周辺では散発的に戦闘が
起っている。

     その他のニュース
・ユーゴ元大統領ミロシェヴィッチをデン ハーグの国連戦争犯罪
法廷に引き渡す時期が近づいた。ベオグラードではセルビア首相ジ
ンジッチとミロシェヴィッチを擁護する側の代表が、今週中に引き
渡しを行なう、と語った。一方ユーゴ大統領コシュトゥニツァは、
移送に関する法的手続きが金曜までに終わるかどうか疑問視してい
る。ベオグラード中心部では約2万人のミロシェヴィッチ支持者が
引き渡しに抗議している。
・ペルーの大地震後の情勢は、当初予想していたよりひどい、とド
イツの救援隊は語った。80%もの家が壊れた村もいくつかある、と
ドイツ技術協力隊の参加者は伝えている。犠牲者の数は97人に上
る。EUは約220万マルクの緊急援助を準備した。
・ドイツ鉄道は2003年までに10億マルク単位の負債を返済するた
めに、18ある修理工場のうち8カ所を閉鎖し、その他に1つを売却
する。処分される修理工場9カ所のうち、6つはドイツ東部にある。
これによって6千人分の職場が失われる。同社の幹部は他の工場の
縮小も決定した。労働組合トランスネットはストライキを行なうと
予告した。同労組は水曜日に抗議活動を行なうように呼びかけるこ
とにしている。連邦交通相ボーデヴィヒは関係者に支援を行なうと
約束した。また彼は今回の決定は修理工場の稼働率が低いためであ
る、と語った。


6月27日(水)

(ベルリン、スコピエ)ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーは、NATOによるマ
ケドニア介入にドイツが参加するかどうかをめぐる決定を下す前に、同国内でどの
ような連帯を行なおうとしているのかはっきりさせるよう求めた。シュレーダーは
新聞のインタヴューに答えて、ドイツはその義務を果たさなければならず、NATO
がマケドニアで何を目標としているのかを示すことが政治を進めていく上で必要だ、
と語った。一方EUは、マケドニア政府とアルバニア人反乱軍との直接対話は必要
ない、との立場を変えていない。この紛争地域の常任のEU代表フランソワ レオタ
ールは、直接交渉を行なうよう呼びかけてはいない、と語った。直接交渉を呼びか
けたとの情報はマケドニア政府の側に対立を生み出していた。

     その他のニュース
・ユーゴ元首相ミロシェヴィッチを国連戦争犯罪法廷に引き渡すに
は、あと数日かかる見込みである。送り出す側の会議が行なわれる
金曜日の前には、ミロシェヴィッチは同法廷には引き渡されること
はないだろう、と首相代行のラブシュは語った。アメリカもこの会
議に参加すると表明した。ミロシェヴィッチの弁護士は、法的手段
をとって、引き渡しの適法性をめぐる最高裁判所の決定が下される
のを引き伸ばす努力をしている。戦争犯罪法廷の検察官は1995年
6月のスレブレニツァでの大量殺人の首班として、クルスティチ将
軍に終身刑を求刑している。
・連邦政府の閣僚は、健康保険の掛け金を安定させるための改革案
を承認した。それによれば、多くの高齢者や病人が加入している保
険組合の負担は軽減される。新法の目玉は、慢性的な病気の治療に
は2003年からは健康保険組合全てが資金を出す、いわゆる危機回
避のための共同基金の創設である。バーデン・ヴュルテンベルク州
とヘッセン州政府はこの計画に反対し、憲法裁判所に提訴する、と
予告していた。
・景気が下降線を辿り、健康保険の財政状況が悪化しているため、
賃金の付帯費用を40%以下に削減する案の先行きは不透明になって
いる。連邦労働大臣リースター(社民党)は、雇用保険の払い込み
金をすぐに減額することはない、保険料の払い込みが増えるような
好景気でなければ減額は難しく、負債が増えている状況では減額は
行なえない、と語った。


6月28日(木)

(ベオグラード)セルビア政府は、戦争犯罪人として訴えられているユーゴスラヴ
ィア元大統領スロボダン ミロシェヴィッチを、デン ハーグの国連戦争犯罪法廷
に引き渡すことを確認した。同法廷は1999年のコソヴォ戦争で人間性に対する犯
罪を犯した件で、ミロシェヴィッチを告訴している。その少し前、ユーゴスラヴィ
ア憲法裁判所は、戦争犯罪の容疑者を国連戦争犯罪法廷に引き渡すことを定めた、
セルビア政府の命令の執行一時停止を命じていた。ミロシェヴィッチの引き渡しは、
ユーゴスラヴィアに対する巨額の援助を話し合うブリュッセルでの国際援助国会議
の前日に実を結んだ。ミロシェヴィッチの引き渡しを援助の前提条件として求めて
いる国もいくつかあった。

     その他のニュース
・ミロシェヴィッチの国連戦争犯罪法廷への引き渡しを様々な国が
歓迎している。ドイツ首相シュレーダーは、公正さを求める国際的
な努力が実を結んだ、国際社会はユーゴの経済、社会的な再建のた
めにさらに援助をしていく、と語った。米国大統領ブッシュ、仏大
統領シラク、英首相ブレア、EU委員会議長プロディもミロシェヴィ
ッチの引き渡しを歓迎した。一方ベオグラードでは、約2千人のミ
ロシェヴィッチ支持者が元大統領の移送に反対して抗議活動を行な
った。
・米国の控訴裁判所は、マイクロソフト社の分割に関する判決を破
棄した。昨年の第1審では連邦政府と州のいくつかが訴訟を起こし、
同社がソフトウェア産業で占める独占的な地位を不正に使用して、
競争会社に損害を与えているという点で、有罪となり、同社をOSと
アプリケーションソフトを作る2つの会社に分割すべし、という判
決が下っていた。それに対し同社は控訴を行なっていた。
・健康保険の保険料の支払い額が増加しているため、政府と野党は
健康に関する政策を論争を行なった。厚生大臣シュミットは政府の
方針を擁護し、医師に対し医薬品代を中心に支出の削減の努力を行
なうよう求めた。また彼女は、政府は各地の健康保険組合の支払い
額が増加していることに責任がある、との非難に反論した。キリス
ト教民主同盟、キリスト教社会同盟の代表代行ゼーホーファーは、
シュミットは全面的に失敗している、と語った。


6月29日(金)

(ベオグラード)元大統領スロボダン ミロシェヴィッチの国連戦争犯罪法廷への
引き渡しが行なわれ、ユーゴスラヴィア政府は深刻な危機に直面している。元大統
領の同法廷への引き渡しに対する抗議として、ユーゴスラヴィア首相ゾーラン ジ
ジッチは辞表を提出した。憲法の規定により、全閣僚が辞任することになる。ジジ
ッチが属するモンテネグロ社会主義国民党は、ミロシェヴィッチの引き渡しは法に
反し、憲法違反であるとの声明を出した。一方セルビアのゾーラン ジンジッチ首
相はこの引き渡しを擁護し、もし引渡を行なわなければ、ユーゴスラヴィアは国際
的に孤立する危険性があった、と語った。
ベオグラードでは夜再び数千人のミロシェヴィッチ支持者がデモを行なった。

     その他のニュース
・元大統領ミロシェヴィッチの引き渡しにより、ユーゴは約30億マ
ルクの支援を受けることになる。これは40を越える国、30以上の
国際機関が参加してブリュッセルで開かれた資金提供国会議で決定
された。この資金の大半はEUと米国が負担する。この資金は主とし
て疲弊したユーゴの国家財政を立て直すために投入される。また約
3分の1はエネルギー供給と交通機関の再建に使われることになって
いる。
・元大統領ミロシェヴィッチ(59歳)の健康状態は安定しており、
拘留に耐えられる、と発表された。来週火曜日には彼は初めて出廷
することになっている。彼には人間性に対する犯罪とコソヴォでの
国際戦争法違反の容疑がかけられている。しかし主席検事デル ポ
ンテは、ミロシェヴィッチがクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴ
ィナ紛争に関してどんな責任があるかも追求していく、と語った。
・セルビアではたくさんの遺体が埋められた場所がまた見つかった。
ベータ通信によれば、2カ所の埋葬地点から70を越える遺体が見つ
かった。その中にはコソヴォのアルバニア人が含まれていると見ら
れている。
・ドイツ外相フィッシャーはマケドニアに対し、和平の呼びかけを
再び行なった。EU外交問題の代表ソラナとの会談の後、バルカン紛
争を政治的に解決する見込みについて語った。EUのマケドニア問題
担当のレオタールは大統領トライコフスキと会談を行ない、主とし
て憲法問題について話し合った。レオタールは今後数ヶ月間、アル
バニア人問題で改革を推し進めていくことになっている。


6月30日(土)

(ベオグラード)ユーゴスラヴィア連邦政府内で対立が生じた後、セルビア首相ゾ
ーラン ジンジッチはユーゴスラヴィアの連邦制度の改革を要求した。彼はテレヴ
ィインタヴューに答えて、今回の政府の危機は元大統領スロボダン ミロシェヴィ
ッチをハーグの国連戦争犯罪法廷に引き渡したために生じたものではなく、連邦制
度に潜む重大な危機から生じたものだ、と語った。
ドイツとアメリカはユーゴスラヴィアに対して、さらに戦争犯罪の容疑者の引き渡
しを求めた。ドイツ政府はボスニアのセルビア人指導者ラドヴァン カラジッチと
ラトコ ムラジッチがボスニア戦争中の戦争犯罪の責任を取らねばならない、とし
ている。アメリカはそのほか、セルビア大統領ミラン ムルティノヴィッチの引き
渡しも求めている。

     その他のニュース
・国防省によれば、NATO軍のマケドニア派遣にドイツが参加する
かどうかは、まだ決定は出ていない。これは、統合幕僚長クーヤト
の言葉として、国防軍が参加することはない、と伝えた新聞報道と
矛盾する。ただしこの発言はNATOの非公式な予備会談の席上で出
たもので、正式決定ではなく、マケドニアで政治的な解決が進まな
いことが軍隊の派遣の前提である、と国防省の報道官は語っている。
クーヤトの発言も、この報道とは矛盾している。
・北マケドニアでは短い休戦をはさんで再び戦闘が始まった。軍報
道官によれば、アルバニア人反乱軍と政府軍はサラ山とテトヴォ近
郊で戦闘を行なった、とのことである。マケドニア国境近くのコソ
ヴォでは、コソヴォ平和維持軍KFORの兵士がアルバニア人反乱軍を
逮捕した。EUに続き、米国もマケドニアに特別使節を派遣する。パ
ルデューが日曜日、スコピエに向け出発し、EUの特使レオタールと
協力してこの紛争解決のために努力する、と外務相は発表した。
・パレスチナ大統領アラファトとイスラエル外相ペレスは、近東に
長期にわたる和平を実現するため、支援をするように国際社会に求
めた。リスボンで開かれている国際社会主義者大会で、シャローン
がイスラエル首相に選ばれてから初めて二人は会談を行なった。そ
の席上、ペレスは米国上院議員ミッチェルが提案した和平計画の実
現を求めた、とのことである。両者は和平実現に向けて重要な瞬間
を過ごした、と語った。アラファトはパレスチナは暴力を停止させ
ようとしているが、それにはイスラエルの協力が必要だ、と語った。


7月1日(日)

(ザルツブルク)世界経済フォーラムが3日間の日程でザルツブルクで始まり、EU
拡大の見込みについて話し合いが行なわれた。セルビア首相ゾラン ジンジッチは、
安全保障の点では、EU拡大によって、バルカンがヨーロッパと一部とみなされる
ようなものでなければならない、と求めた。また彼は、バルカンは歴史的には分断
された地域であり、EU拡大は分断を解消し、融合を進めうるものだ、と語った。
EU拡大を担当する委員ギュンター フェアホイゲンは、ポーランドは次回の交渉
ではは参加する、と請け合い、同国は第1回の交渉から参加している国々と比べる
と加盟準備は進んでいなかったが、現在では他の国々同様の準備が進んでいる、と
語った。開場周辺では、経済の世界化に反対する人々が当初は平和的な抗議活動を
行なっていたが、暴力行為に発展した。

     その他のニュース
・北アイルランドの和平交渉では進展が見られないため、首相トリ
ンブルは予告通り辞職した。彼は数週間前に、アイルランド共和軍
が武装放棄を開始しない場合、7月1日に辞任すると予告していた。
・ベルリン キリスト教民主同盟は議員団長シュテフェルを正式に
秋に行なわれる同市選挙の筆頭候補に指名した。同党の特別党大会
で、参加者の97%がこの35歳の政治家に賛成票を投じた。
・国防相シャルピングは、連邦国防軍がマケドニアに派遣される
NATO軍に参加することはない、との報道を否定した。今までの計画
をもとにすると、数百人のドイツ兵がアルバニア人反乱軍の武装解
除に投入される可能性は高いが、当面は政治的解決に全力を尽くす
べきである、と語った。ある新聞は、国防軍がマケドニアに派遣さ
れることはない、と統合幕僚長クーヤトの言葉を引いていた。クー
ヤトはこの報道を誤りである、と否定した。


今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system