6月25日〜7月1日のオーストリアのニュース

6月25日(月)

マケドニアの首都スコピエでは月曜午後、デモ隊が国会を襲撃した。
目撃者によれば、デモ隊は窓ガラスを破って建物の中に侵入した、
とのことである。数千人が、アルバニア人反乱軍が闘いの場アラチ
ノヴォから妨害を受けずに撤退したことに抗議をして、路上に繰り
出していた。約3千人のデモ隊は国会に向けて投石を行なった。あ
る記者は、デモ隊は、政府と大統領トライコフスキに対し辞任を求
めるシュプレヒコールを行なった、と伝えている。デモ隊の中には
武装した警官もいた、とのことである。

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・ユーゴ政府は月曜日、元大統領ミロシェヴィッチの移送に関する
手続きを開始した。法務大臣グルバッチはミロシェヴィッチ問題を
担当するベオグラード地方裁判所に、ハーグの戦争犯罪法廷への移
送を求める要求書を提出した、と月曜午後政府は発表した。政府は
土曜日に昨年10月に失脚したミロシェヴィッチの引き渡しを可能に
する決定を下していた。ミロシェヴィッチはこれに対し憲法裁判所
に訴訟を起こした。


6月26日(火)

ユーゴスラヴィア元大統領スロボダン ミロシェヴィッチの支持者
約2万人が火曜午後、ベオグラード中心部に集まり、戦争犯罪人と
して訴えられた彼を戦争犯罪法廷に引き渡すことに抗議した。参加
者は未決勾留を中止し、彼を釈放することを求めている。この抗議
活動を組織したのはセルビア社会党である。「反国連、一つの自由
なセルビア支持」、「我々は命に代えてもスロボダンを引き渡さな
い」などの横断幕が掲げられた。抗議行動の最中、突発的な事件は
起らなかった。

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・マケドニアではスラブ人とアルバニア人の対立が今や内戦に発展
しそうである。アルバニア人反乱軍「国民解放軍」UCKは火曜日、
政府が今後アルバニア人との対話を拒否するなら、首都スコピエに
「侵攻する」と脅した。月曜午後、約1万5千人のスラブ系マケドニ
ア人はスコピエでアラチノヴォの拠点からアルバニア人反乱軍が無
事に撤退したことに抗議していた。


6月27日(水)

オーストリア労働総同盟議長のフリッツ フェアツェトニッチュは、
社会保障組合の主要連合の改革に関して政府を非難し、またハンス
 サルムターの更迭を「人間性軽視」と名誉毀損であると非難した。
テレヴィ番組で彼は、連立政府は「権力争い」に覆いをかけてごま
かし、人事異動をあれこれやろうとしている、労働者議会選挙では
出番がなかった第3の政党が本当の意味で純粋な行動を行なおうと
している、と語った。

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・米国外相パウエルはイスラエルに到着後ただちに、イスラエル人
とパレスチナ人は水曜午後改めて安全保障会談を開くために集まっ
た。この会談は米国が主導したもので、西ヨルダンランドのラマラ
近郊で行なわれた、とパレスチナ側の安全保障の担当者が報告した。
この前の会談では、CIA長官テネットが紛争の両者を仲介して、休
戦を取りつけた。ただし休戦は相変わらず守られていない。


6月28日(木)

イスラエル首相アリエル シャローンとアメリカ外相コリン パウ
エルは、停戦を一週間試み成果をあげれば、近東紛争の解決に大き
な一歩となる、ということで意見が一致した。シャローンは木曜日
午後、パウエルとエルサレムで会談を行ない、一週間の完全な停戦
が行なえれば、6週間の冷却期間に移行し、その後信頼を回復する
ための措置を取り始めたい、と語った。一週間の試験的停戦をいつ
行なうかはまだはっきりしていない。6月中旬以来、停戦に向けア
メリカの計画は進んでいるが、まだそれは実現していない。木曜日
にはパレスチナ人が西ヨルダンランドで、ユダヤ人入植者に対して
発砲事件を起こした。

     その他のニュース
・国民議会の社会福祉委員会の委員は木曜夜遅く、長い夜の会議に
備えて準備を行なった。もともとは社会保険組合の主要同盟に関す
る審議を行なう、この委員会は午後3時に終わることになっていた。
緑の党が長時間にわたる演説を行ない、委員会は極めて長時間に及
ぶことになった。開始後12時間たった夜10時半になっても終わり
そうになかった。


6月29日(金)

オーストリア経済は期待したほど成長しない見込みである。経済研
究所WIFOとIHSはともに金曜日経済成長予想をかなりの程度下方修
正した。それによれば経済成長は1.7%から2.0%程度になる。アメリ
カの成長の鈍化とエネルギーの値上がりが影響を与えている。物価
値上がりが不景気に追い打ちをかけている、としている。大蔵大臣
グラサー(自由党)は、国家財政の黒字化には根拠がないわけでは
ない、と主張している。

     その他のニュース
・連邦大統領クレスティルは金曜午後、社会保険の主要連合の改革
をめぐって、オーストリア労働総同盟の議長フェアツェトニッチュ
との話し合いを行ない、次のような発言を行なった。「民主的に意
志形成の結果として、労使双方の協議の場を作って行くことは政治
的な風土の問題である」と強調し、責任者全てに対し、「社会保険
の分野で慎重に必要な改革を急ぎすぎずに行ない、関係者すべて、
特に保険加入者と、十分事実に基づく審議を尽くした後で決定を下
す」よう呼びかけた。


6月30日(土)

パレスチナ大統領ヤセル アラファトとイスラエル外相シモン ペ
レスは、近東の平和が長続きするように国際社会に支援を求めた。
土曜日、リスボンで開かれている国際社会主義者大会で、参加者の
喝采を浴びながら二人は長時間握手を交わした。金曜日午後には彼
らは3時間に渡って会談を行なった。パレスチナは「国際社会が協
力して積極的に主導権を取り、真剣な交渉を再開するために皆が合
意する方針を作るよう期待しており、パレスチナ地域に国際的な監
視団を派遣するよう改めて要請した。ペレスは、安全保障がなけれ
ば和平は成り立たない、シャローン政権は新たにユダヤ人入植地を
建設しない、と約束し、既にある入植地の拡大も凍結する、と語っ
た。

     その他のニュース
・ミロシェヴィッチを引き渡し、ユーゴ連邦政府が壊れた後、セル
ビア首相ゾーラン ジンジッチはモンテネグロ共和国との連邦制を
解消する可能性があることを否定していない。テレヴィインタヴュ
ーで、彼は土曜日、今回の危機を乗り切るために連邦制度の改革案
を見いだす必要があり、モンテネグロが改革案を拒否するのであれ
ば、両国がユーゴ連邦から分離するしか解決策はない、と語った。
またモンテネグロが提案を受け入れても、総選挙と憲法改正は必要
であり、年末までに行なわれるようにとの希望を述べた。


7月1日(日)

パレスチナ側の情報によれば、日曜午後イスラエル軍のヘリコプタ
ーの攻撃を受け、西ヨルダンランドでは車に載っていた3人のパレ
スチナ人が死亡した。死亡したのが誰なのかに関する情報は当初は
なかった。イスラエル軍はこの件に関しては何も発表しない方針で
あった。パレスチナ人との紛争を沈静化させるとの政策をイスラエ
ルがとっているにもかかわらず、安全保障本部は2週間前、軍にパ
レスチナ人による攻撃を阻止するために、暴力犯罪の容疑者に対し
断固たる措置を取ることを認めていた。

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・元ユーゴ大統領ミロシェヴィッチをハーグの国連戦争犯罪法廷へ
引き渡したことで、ベオグラードでは深刻な政治危機が進んでいる
にもかかわらず、セルビア首相ゾラン ジンジッチは国家全体を維
持することが難しくなっているとの見方を否定した。「ユーゴは分
裂しない」と彼は日曜日ザルツブルクで開かれた世界経済フォーラ
ムで発言した。モンテネグロ共和国の首脳部が連邦政府を受け入れ
ない状態で、同国に深刻な憲法上の危機が生じて4年経つが、この
問題は政治的に解決可能だ、とも語った。


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