7月16日〜22日のドイツのニュース

7月16日(月)

(ボン)気候首脳会議の冒頭でドイツ環境大臣ユルゲン トリティンは会議を失敗
させることがないように、と警告を発した。この会議の議長オランダ環境大臣ヤン
 プロンクは180ヶ国からの参加者に、京都議定書を実施に移すよう要請した。こ
のボン会議の目標は、世界の気候の温暖化の原因とされる温室効果ガスを明確に削
減することである。世界最大の二酸化炭素排出国であるアメリカが京都議定書を拒
否しているため、この会議が成果を挙げられるかどうかは日本の投票次第である。
環境保護団体連合は、協定の内容を弱めるような大規模な妥協を行なわないように
警告している。

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・北イスラエルでは月曜日、駅が爆破され2人が死亡し、重傷者を
含む怪我人6人が発生した。警察は自爆テロである、と発表した。
攻撃目標は港町ネタニヤ北のビンヤミナの駅である。一方イスラエ
ルとパレスチナの軍事衝突は続いている。ヘブロンではイスラエル
の戦車が過去4年間で最大の進軍を行なった。イスラエル側の情報
によれば、この場所は、米国の仲介で結ばれた停戦をはじめてパレ
スチナ側が破った地点である。エルサレムでは、攻撃を計画してい
たと思われるファタハの若者2人の遺体が見つかった。
・カシミール地方に関する意見の相違から、敵対する核保有国イン
ドとパキスタンの歴史的な首脳会談は共同声明を出すことなく終了
した。数時間にわたる閣僚同志の話し合いにもかかわらずカシミー
ルの通行に関する同意が成立しなかったため、パキスタン大統領ム
シャラフは月曜日会談を行なっていたアグラを出発した。カシミー
ル紛争に関する合意が成立しなければ、50年以上に渡って続いてき
た敵対関係を終わらせることはできない、とムシャラフは語ってい
た。ただし彼は次の会談をパキスタンで行なうことで、インド首相
ヴァジパイと合意した。
・ロシアと中国は新友好条約を結び、関係を強化していく方針であ
る。露大統領プーチンと中国の江沢民はモスクワで条約に署名をし、
今後の両国の協力に対する基本的な方針を定めた。共同宣言で両者
は、米国のミサイル迎撃網建設計画を非難した。


7月17日(火)

(ベルリン)連邦産業大臣ヴェルナー ミュラーはみずからの健康保険の改革案を
擁護した。2001年産業報告でかれは、次の任期中には保険制度の改革を行ない、
ドイツが直面する大きな問題の解決を図らなければならない、と語った。党に属さ
ないミュラーは、健康保険および介護保険に対する使用者側の負担を、将来的には
被雇用者に賃金の形で支払い、これによって個人年金を構築するのに役立てたい、
と提案している。連邦政府と労働組合は準備段階で、労使双方の協調という方針か
ら撤退するものだ、と批判している。ミュラーは、労使双方が法定社会保険に同じ
金額を支払うのを終わりにしたい、と強調した。

     その他のニュース
・ドイツ首相シュレーダーは日本首相小泉に、世界気候会議が成果
を挙げるのに協力するよう求めた。小泉は電話で、日本は京都議定
書が理解を得られるようにさらに努力をする、と約束した、と東京
の外務省は発表した。米国が工業国の温室効果ガスの削減に関する
京都議定書から離脱した後、日本の態度が鍵を握っている。欧州を
中心とする約140の企業の代表がボンに集まり工業国の理解を得る
よう呼びかけている。
・マグニチュード5.2の地震が北イタリアの各地を襲った。特に強
く揺れたのはボルツァーノ、トレント、ヴェネツィア、ソンドリオ
であった。当局の発表によれば、心筋梗塞で1人が死亡し、怪我人
数名と建物に被害が出た。この地震はオーストリア、スイス、バイ
エルンでも感じた。
・イスラエルはヘリコプターでベツレヘムを攻撃し、パレスチナ側
の情報によれば地下組織ハマスの4人が死亡した。軍はこの攻撃を
予防措置としている。死者の中には、爆破攻撃を計画したハマスの
指導者1人も含まれていた。パレスチナ側はエルサレムへ榴弾を投
げ込むことで第1回の反撃を行なった。前夜イスラエルは自爆テロ
で死んだ2人の兵士の報復を行ない、パレスチナ人の村を攻撃して
いた。米独は両者に慎重な行動を求めていた。公式には両者は休戦
に同意している。


7月18日(水)

(カールスルーエ)同性愛のカップルは8月1日から、配偶関係を役所に登録する
ことができる。連邦憲法裁判所は、生活における配偶関係に関する法律の発行中止
を求めるバイエルン州とザクセン州の緊急動議を却下した。ただし同性同志の結婚
は憲法違反ではないと同裁判所第1部会が決定したわけではない。こちらの問題は
いわゆる本件訴訟に委ねられている。12月に可決されたこの法律はとくに、同性
同志のカップルが同じ苗字を名乗ることを認めている。さらに遺言状で指定がない
場合の相続権、相互扶養権、証言拒否権が外国人の配偶者に対する呼び寄せ権と並
んで認められた。

     その他のニュース
・キリスト教民主同盟の不正資金疑惑が発覚したことがきっかけと
なって大統領ラオが召集した委員会は、党幹部が隠し口座を開設し
た場合は、処罰することを求めた。同委員会の報告書では、政治家
が党の財政規則に違反した場合、3年までの禁錮を受けるよう提案
した。同委員会が特に求めているのは、不正な資金活動があった場
合、個人ではなく政党にのみ責任があるという規定の廃止である。
その他現金による2千マルク以上の資金提供の禁止も提案されてい
る。社会民主党と緑の党は年末にも党の規定を変更する、と予告し
ている。キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟はいくつかの点
を批判している。
・主要工業国7ヶ国とロシアの外相は、最近の近東紛争のため、和
平の努力を強化する方針である。ジェノヴァで行なわれるG8首脳会
談の準備会合では、当初の計画とは異なり、近東紛争を最初の議題
とした。いわゆるミッチェル計画の精神にのっとり、平和的解決を
求める各国首脳の公式見解が話し合われる。その他外相会談では中
露が批判している米国のミサイル迎撃網が主要な議題になっている。
モスクワのプーチンは、ロシアは他国の支持がなくても戦略的安全
保障を揺り動かす動きには対抗する、と語った。
・主要工業国7ヶ国とロシアのG8の首脳会談を2日後に控え、イタリ
アでは2通の小包爆弾が爆発した。狙われたのはミラノのテレヴィ
局Tg4とトレヴィソのベネトン社で、テレヴィ局では秘書が軽傷を
負った。Tg4はイタリア首相ベルルスコーニが経営する3つのテレヴ
ィ局の1つである。


7月19日(木)

(ジェノヴァ)ジェノヴァでのG8首脳会談を直後に控えて、初めての大規模なデ
モが平和裏に行われた。多数の警官が動員される中、約2万人が移民の権利を各国
が認めるよう求めてデモを行なった。公安当局は、金曜日の首脳会談開始後はデモ
隊との衝突が起きるのではないかとの懸念を抱いている。経済の世界化に反対する
人々の中には武装して、封鎖地帯を襲撃すると脅しているものもいる。首脳会談の
主題は、近東紛争、ミサイル迎撃網、世界経済の状況、環境保護、第三世界の貧困
の問題である。ローマではG8各国の外相が会談を行い、パレスチナ人居住区に国
際監視団を派遣し、ミッチェル計画を実施するように勧告した。イスラエルは監視
団の駐留を全面的に拒否している。

     その他のニュース
・ボンで開かれている世界環境会議の議長プロンクは、合意するよ
う呼びかける、首脳会談は最終局面に入った。大臣会談の冒頭でド
イツ環境相トリティンは、京都気候保護協定はまだ反故になったわ
けではない、との確信を述べ、合意に達する可能性はあるとの見込
みを語った。今回の会議は、温室効果ガスの削減に関する京都議定
書の実施が取り上げられている。環境保護の活動家約2千人がデモ
を行なった。
・米大統領ブッシュは京都議定書から撤退することを確認した。初
めての英国訪問で彼は、アメリカ経済の不利になるような協定を受
け入れることはない、と語った。米国上院で多数を占める民主党は、
ブッシュは米国を孤立させようとしている、と非難しているが、ブ
ッシュはこれをはねつけた。また国際的な論争を巻き起こしている
ミサイル防衛計画を世界平和のために重要であると擁護した。英首
相ブレアは会談後、この問題に関しては話し合いを続けていくと語
った。
・マケドニア政府が国際的な和平実現計画を拒否した後、アルバニ
ア人政党は新たな交渉を行なうことを当面拒否する。NATO事務長ロ
バートソンとEU外務担当のソラナは予定されていた、マケドニアの
首都スコピエを訪問を中止する、と語った。


7月20日(金)

(ジェノヴァ)ジェノヴァでのG8首脳会談の冒頭は、デモ参加者1人の死と激しい
暴動で暗雲が垂れこめた。死亡は警官の発砲が原因と見られている。公安と経済の
世界化に反対する勢力の間で衝突が起こり、100人を越える怪我人が発生し、少な
くとも60人が逮捕された。数千人が首脳会談に反対して平和的なデモを行なって
いる最中であった。国連事務総長コフィ アナンが出席する中、主要工業国7ヶ国
とロシアの首脳は、エイズ研究を進めるために、総額10億ドルの保健基金を作る
ことを発表した。またG7は改革と欧米の減税が世界経済を暫くの間活性化させる
のではないかとの期待感を表明した。

     その他のニュース
・ボンで開かれている世界気候交渉では、急激な気候の変化を抑え
るための緊急対策は見つかっていない。困難な会談の後ようやく、
およそ35ヶ国の交渉団が、京都議定書の実施に関する主な対立を解
消するような意見の一致を見た。ドイツ環境相トリティンは、具体
的な交渉をごく早期に受け入れるよう促した。彼は米国の拒否にあ
っているため、拘束力を持つ条約は日露が反対した場合には成立し
ないことも指摘した。ドイツ政府広報官は、ジェノヴァG8首脳会談
ではでは、独英が気候保護を促進に乗り出している、と発表した。
・アラファト率いるファタハのヘブロンの司令部に対するイスラエ
ル軍ヘリによるものとみられる攻撃で、少なくともパレスチナ人1
人が死亡した。パレスチナ側によれば、2発のミサイルがこの建物
に命中した。パレスチナ人数人が怪我をした。夕方までに、イスラ
エル兵とパレスチナ人がヘブロンで交戦した。その際25歳のパレス
チナ人が生命にかかわる怪我を負った。
・米国は近東での監視使節団への参加を見送った。外相パウエルは、
米国が参加するかどうかは、イスラエルとパレスチナが賛成するか
どうかにより、両者が武力衝突を緩和するための段階を示したいわ
ゆるミッチェル計画を実施する準備が出来ていなければならない、
と語った。イスラエル国防相ベン エリゼエルは、国際社会の圧力
でイスラエルが監視団を受け入れざるを得ない場合、使節団には米
国代表だけが参加することになる、と発表していた。パウエルはG8
外相会談で国際監視団の派遣を勧めていた。


7月21日(土)

(ジェノヴァ)ジェノヴァで開かれているG8首脳会談の2日めに激しい衝突が起こ
り、少なくとも220人が怪我をした。約10万人が参加した経済の世界化に反対す
るデモの列を離れた数百人が、警察と路上で衝突した。暴徒は車に放火し、商店を
破壊した。警察は多数を逮捕した。
主要工業国7ヶ国とロシアの代表はアフリカとの新たな協力関係を築くことを決定
した。また、貧しい国が新しい情報技術を手に入れられるような計画を承認した。
さらにイスラエルとパレスチナに国際監視団を受け入れるように求めた。またマケ
ドニアで対立している両勢力には、政治対話を続けるよう呼びかけた。アメリカ大
統領ジョージ W. ブッシュは京都議定書をまた拒否した。

     その他のニュース
・ドイツ首相シュレーダーは首脳会議を簡素化することに賛成した。
彼は、各国首脳は世界経済の問題に話題を集中するべきであり、代
表団の規模も小さくすべきだ、と語った。しかしジェノヴァでの暴
動を見ても、彼は今後のG8首脳会談を中止すべきだという意見は退
け、各国首相、大統領が直接会って親交を深めるのは重要だ、と語
った。カナダは来年のG8の規模を縮小したいとの提案を行なうとい
う情報が、ドイツ代表団から出ている。
・世界気候首脳会議は最終局面に入った。議長プロンクは会議後、
前進はあった、と語った。彼は妥協案を提示し、G8参加各国にもそ
れを示す、と予告した。ドイツ環境相トリティンは努力が無駄にな
る可能性がある、と見ている。30ヶ国以上から集まった3ないし4千
人の環境保護活動家が、会場周辺で京都議定書の署名を求めてデモ
を行なった。ドイツ経済界はドイツ政府に対し、ドイツ企業の競争
力を奪いかねない気候保護で孤立しないように警告した。
・2週間にわたる粘り強い交渉の末、約180ヶ国は国連の会議で、
リヴォルヴァー、ピストル、速射銃等小型の武器の違法な取り引き
に対抗し一致した措置を取ることで合意した。包括的な決議は米国
の圧力で成立しなかった。米国は、武器の私有権を制限し、非合法
組織へ武器が流出することを阻止するという二つの主要な要求に抵
抗した。5年後に見直しの会議が行われることになっている。国連
の調査によれば、世界中で少なくとも5億の小型の武器が出まわっ
ており、毎日約千人がその武器で死亡している、とのことである。


7月22日(日)

(ジャカルタ)インドネシア大統領アブドゥルラフマン ワヒドは議会の解散を宣
言し、年内に選挙を行なうと発表した。彼は警察と軍隊に特別の権限を与えた。彼
が予想通り緊急事態を宣言するかどうかは不明である。住民は平穏に行動するよう
求められている。ワヒドは今回の措置を取った理由を、自分に対し謀反が計画され、
共和国崩壊の危機が迫っているということを挙げた。彼は最高立法機関から職務解
除される恐れがあったのに、先回りして対処しようとしている。国民協議会は月曜
日には特別議会を開いて、ワヒドに21ヶ月間の在任中の出来事に弁明をさせる予
定であった。ワヒドは汚職と職務不履行の件で非難されている。将軍の一人はロイ
ター通信に、軍部はワヒドの指示には従わない、と語った。

     その他のニュース
・米露がミサイル迎撃網と核軍縮に関する会談を今後も平行して行
なうことに、ブッシュとプーチンはG8首脳会談後合意した。攻撃兵
器と防御兵器はひとまとまりで議論される、とプーチンは語った。
近々集中協議を行なうことで合意した、と両者は発表した。計画中
の米国のミサイル迎撃網は、ロシア側の考えでは、1972年に結ばれ
たミサイル迎撃設備の制限に関するABM条約に違反している。ブッ
シュとプーチンは、核弾頭の数を削減すると以前から言明していた。
・主要工業7ヶ国とロシアは経済の世界規模化を、いろいろな抗議
があるにもかかわらず、発展途上国の降伏実現のためにも正しい方
針と評価している。G8首脳は、最貧国の製品全てに対し市場を広く
開放することを決めた。気候会議では期待されたような打開点は見
つからなかった。ジェノヴァで開かれた首脳会談は、この会議の26
年間の歴史の中で最も激しい暴動が起った。警察によれば怪我人は
5百人を数えた。金曜夜には警官がイタリア人一人を射殺した。被
害は1億マルクではすまなかった。激しい暴動を目にしたカナダは
来年6月同国で開かれる次期首脳会談に出席する使節団の参加者の
数を4百に制限したい、としている。
・世界気候会議は大臣相互の話し合いが4日目に入ったが、突破口
が見いだせない。議長プロンクが提案する妥協案がさらに討議され
ている。この提案は、有害物質を処理する森林の効力を大きめに見
積もることを含んでいる。また、温室効果を軽減する大きな森林を
持つ国々には特典が与えられる。EUはこの妥協案を受け入れる方針
だが、日本、カナダ、オーストラリアはさらなる改善を求め、拒否
している。議長プロンクはこの会議が空中分解しないようにさらな
る提案を行なう、と予告している。


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