7月23日〜29日のドイツのニュース

7月23日(月)

(スコピエ)ここ数週間で最も激しい戦闘がマケドニアで発生し、テトヴォ市中心
部までアルバニア系反乱軍が攻め込んだ。マケドニア北西部の周辺の山岳地帯でも
戦闘が起り、新たな難民が発生している。諸外国が、和平交渉の続行の可能性を探
り、仲介の努力をつづけている。
EUの仲介役フランソワ レオタールとアメリカの特使ジェイムズ パーデューは
首相ボリス トライコフスキ、首相リュプチョ ゲオルギエフスキ、アルバニア人
の代表と会った。彼らは対立する両者に、停戦合意を守るように強く要求した。

     その他のニュース
・ドイツ政府、各党、環境保護団体はボンで開かれた世界気候会議
の合意を基本的に歓迎した。環境相トリティンは、苦渋の妥協はあ
ったものの、京都協定が長期的には気候に悪影響を及ぼす温室効果
ガスを減少させるのに役立つだろう、と語った。キリスト教民主同
盟党首メルケルは、環境に関する国際協定の話し合いを今後もつづ
けることに成功した、と見ている。環境保護団体は、今回の妥協で
二酸化炭素の排出量は1.8%削減されるだけに留まった、と指摘して
いる。京都議定書では5%の削減を予定していた。合意が成立するき
っかけとなったのは、日本、カナダ、オーストラリア、ロシアに対
し気候保護に関する森林の役割を大きく見積もることを認めたこと
であった。
・米国大統領ブッシュは、米国がミサイル迎撃戦略で場合によって
は孤立することも辞さないことを認めた。伊首相ベルルスコーニと
ローマで会談した後、ブッシュはミサイル迎撃網の開発で西側同盟
国と協力していくことを考えてはいるが、必ずしもそれは必要ない、
ロシアとの交渉の努力はする、と繰り返した。一方ロシア代表は
ABM条約の堅持を強調していた。プーチンは、G8ではこの問題で前
進はあったものの、突破口は見いだせなかった、と語った。水曜、
木曜に米国国防参事官ライスがモスクワを訪問する。
・インドネシアでは劇的な政変が起り、国民協議会は大統領ワヒド
を全員一致で解任し、大統領代行メガワティ スカルノプトリを新
大統領に選出した。メガワティは54歳で、宣誓後、国の団結を訴え
た。彼女は建国者スカルノの娘である。ワヒドが国会を解散し、投
票を阻止するべく軍に指示を出したが、国会は治安維持のため特別
集会を開いた。軍は国会を支持していた。ワヒドの支持者は、大統
領はこの投票を受け入れない、との声明を出した。こっかいはワヒ
ドは汚職を行ない、無能であり、憲法に違反した、と非難している。
ワヒドは辞任をあらためて拒否した。


7月24日(火)

(コロンボ)スリランカの空港でのタミル人の自爆テロの後、バンダラナイケ空港
の封鎖は解かれていない。250人を越えるドイツ人観光客は首都コロンボのホテル
で次の帰国便が出るのを待っている。休暇客はみな怪我もなく、反乱勢力との長時
間の戦いを乗り切った。軍筋では反乱勢力14人と兵士8人が死亡した。この攻撃で
少なくとも13機を破壊、あるいは損害を与えた。スリランカ空軍は火曜日、タミ
ル人居住区を報復攻撃した。ドイツ外務省は観光客に、旅行の主催者と連絡を取る
ように勧告しており、在コロンボドイツ大使館は支援をする準備が整っていること
を伝えた。

     その他のニュース
・マケドニア北東部では軍とアルバニア人反乱勢力は再び激しい戦
闘を行なった。テトヴォ市近郊では爆発と銃撃の音がした。住民の
大部分は既にテトヴォから退去していた。この地域では月曜日に3
人が死亡し、31人が怪我をした。国連の情報によれば、マケドニア
はコソヴォへの道路を閉鎖した。政府報道官はNATOを非難して、
マケドニアをNATO管理下の保護体制に置くために、アルバニア人
反乱軍を支援していると発表した。NATO事務長ロバートソンは、
内戦の停止が中断し、悲劇が起らないように警告した。
・米大統領ブッシュは初めてのコソヴォ訪問で、バルカンでの
NATOの平和使節の方針に賛成する態度を表明した。米兵を前に、
米国がボスニアやコソヴォから一方的に撤退することはない、と演
説した。コソヴォには約4500人、マケドニアには500人の米兵が
駐留している。ブッシュは欧州訪問の最後にマケドニアで対立する
両勢力に停戦を持続し、政治的な解決を図るよう訴え、アルバニア
人反乱勢力とコソヴォの武器供給源との交通を遮断しなければなら
ない、とも語った。ブッシュはローマ経由で帰国する。
・ユーゴ新首相ペーシッチはベオグラードの連邦議会で新閣僚を発
表した。セルビア人、モンテネグロ人半々の構成である。大臣は10
名で前の内閣より6人減っている。暫定内閣は約3週間前、元大統領
ミロシェヴィッチの国際戦争犯罪法定への引き渡しのため、崩壊し
ていた。ペーシッチは今まで大蔵大臣を務め、モンテネグロ社会主
義国民党に属している。両議会の演説で彼は、ユーゴ共和国を維持
する、と予告した。


7月25日(水)

(テトヴォ)マケドニアのアルバニア人反乱勢力は、停戦期間中に同国内で獲得し
た地域から撤退する、との情報がある。NATOの特別大使ピーター フェイスはそ
のための合意を反乱勢力の政治面での指導者アリ アーメティと取りまとめた、と
テトヴォの反乱軍指揮官が通信社dpaに語った。目撃者の話によれば、マケドニア
北西部のテトヴォでは、軍と反乱軍は交戦をつづけている、とのことである。軍は
部隊、戦車、武器をテトヴォ地区に追加して投入した。NATO事務長のジョージ 
ロバートソンは、木曜日には会談を行なうためにテトヴォに行く、と発表した。彼
はブリュッセルで、事態は深刻である、と語った。マケドニア政府は、国際的な仲
介を拒否し、反乱勢力に新たな攻勢をかける、と脅していた。

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・新たな暴力行為が発生する近東問題で、EU外務委員ソラナは、い
わゆるミッチェルプランの実施にあたっては、イスラエルとパレス
チナを欧州が支援をすることを改めて約束した。パレスチナ大統領
のアラファトとの会談で、ソラナはEUは両者に援助を押しつけるつ
もりはないことも明言した。イスラエル軍は西ヨルダンランドのナ
ブルス近郊でミサイルあるいは榴弾を使用して、暗殺を指示してい
た武装組織ハマスの指導者一人を殺害した。フランス外相ヴェドリ
ーヌとエジプト外相アーメド マヘアはパリで会談を行ない、国際
監視団を急いで派遣することに賛成した。
・今日からドイツで物を買う際には新たな規則が適用される。販売
者と購入者は物の値段を自由に交渉できる。販売者はおまけをつけ
ることもできる。ドイツ小売業界団体は、価格割引法と景品令の廃
止を基本的には歓迎し、現在の利益が少ない状態では大幅な割引の
余地はない、と指摘している。中規模産業連合は大規模小売業に対
し、市場から競争がなくなるような形で力を振るわないように求め
た。それと同時に閉店時間法の廃止も要求した。
・連邦政府はスイスから送られてきたロイナ疑惑の文書に載ってい
る人物の名前をすぐに公表することを拒否した。文書を十分に検討
するまでは、推測に過ぎないので名前は公表できない、文書に名前
が出て来る政治家は犠牲者なのか、犯人なのか、無関係な人なのか
はっきりしない、と政府報道官は語った。新聞報道によれば、この
文書には29人のキリスト教民主同盟の政治家の名前が載っている、
とのことである。東独のロイナ精油所をフランスのエルフ アキテ
ーヌ社に売却した際に、今も在職中のキリスト教民主同盟所属の州
首相がお金を受け取った、とされている。


7月26日(木)

次期マケドニア和平交渉はテトヴォで開催

(スコピエ)マケドニアの和平交渉は、EUとNATOによる仲介が行なわれ、金曜日
に再開される。EU外務委員ハヴィエル ソラナは、政治交渉は再び軌道に乗り、
停戦は維持される、と語った。マケドニア大統領ボリス トライコフスキは、アル
バニア人交渉団との次回の交渉は、前向きの姿勢であることを示すため、テトヴォ
で行なう、と発表した。テトヴォではアルバニア人反乱勢力と政府軍が数日間にわ
たり銃撃戦を繰り広げていた。

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社民党内部のマケドニア派兵反対の動き

・社会民主党所属の連邦議会議員21人が、NATO軍のマケドニア派兵
に独国防軍兵士を派遣することに反対の意志を示した。これらの議
員は、連邦議会の特別会議(期日未定)で個人的な考えを説明した
いという草案に署名した。彼らの意見では、NATOはマケドニア紛争
の調停に関して、意見が一致していない。彼らが態度を変えなけれ
ば、緑の党でも反対する議員がいる現状では、政府は連邦議会でマ
ケドニア派兵に過半数の賛成を得ることはできない。

ビスワ川氾濫の可能性減少

・南ポーランドのクラクフ(クラカウ)では水位が上昇しているが、
洪水の危険は遠のいた。ビスワ川の水位は堤防まで約1メートルの
ところで止まっている。これ以上雨が降っても、洪水につながるよ
うな増水はない、と当局は予想している。数千人の住人が避難しな
ければならなかった、他地区でも事態は改善した。今までに20人以
上が洪水で死亡した。政府は経済面での支援を行なった。ドイツ側
のオーデル川では氾濫の危険性はない、と当局は見ている。

米国、ミサイル迎撃網開発続行の意志表明

・安全保障審議員ライスの言葉によれば、米国は1972年のABM条約
違反となっても、ミサイル迎撃網の試験をつづける方針である。一
方ロシアはABM条約を堅持する意向である。露国防相イワノフはラ
イスとの会談後、両国は国際平和の土台を築くための道を模索して
おり、既に軍縮交渉の日程で合意した、と語った。ライスは財務大
臣オニール、通商大臣エヴァンスと共にモスクワを訪問していた。
オニールはプーチンとの会談後、両国は経済面での協力関係を強め
ていくことに賛成した、と語った。


7月27日(金)

イタリア政府、ジェノヴァ首脳会談での流血事件の解明を約束

(ローマ)イタリアは世界各国からの圧力を受け、ジェノヴァ世界経済首脳会談で
の警官隊投入による流血の惨事の責任を認めた。首相シルヴィオ ベルルスコーニ
は国会の演説で事件の解明を約束し、中立の国際調査団の受け入れを拒否し、事件
のもみ消しは行なわない、と語った。アムネスティ インターナショナルとドイツ
外務省は、イタリア政府が、デモ隊の人権を警察が大規模に侵害したとの非難を受
け入れるよう求めた。フランスでもジェノヴァ警察に対する批判が強まっている。

イタリア政府、ジェノヴァ首脳会談での流血事件の解明を約束

(ローマ)イタリアは世界各国からの圧力を受け、ジェノヴァ世界
経済首脳会談での警官隊投入による流血の惨事の責任を認めた。首
相シルヴィオ ベルルスコーニは国会の演説で事件の解明を約束し、
中立の国際調査団の受け入れを拒否し、事件のもみ消しは行なわな
い、と語った。アムネスティ インターナショナルとドイツ外務省
は、イタリア政府が、デモ隊の人権を警察が大規模に侵害したとの
非難を受け入れるよう求めた。フランスでもジェノヴァ警察に対す
る批判が強まっている。

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マケドニア和平会談開催延期

(スコピエ)EUと米国の調停役レオタールとパルデューは、マケド
ニア和平会談の開始が1日延期される、交渉地のオーリドが首都ス
コピエの南西200キロと、紛争地域から離れているためである、と
発表した。マケドニア側はアルバニア人反乱勢力が約束通りテトヴ
ォ周辺の紛争地域から完全に撤退していない、と強調した。同国政
府はEUとNATOの圧力を受けようやく木曜日、交渉を再開すると表
明していた。

環境相、気候会議の成果を評価

(ベルリン)連邦環境相トリティンはボンで開かれていた気候会議
の成果を、世界規模で気候保護を進める上で打開策となると評価し
た。各国が温室効果ガス排出削減を初めて義務づけられた、と彼は
語った。また条約加盟国の国会は今後数ヶ月間で批准手続きに入り、
2002年秋までに京都議定書が発効するとの見込みを語った。同会
議の終わりで独代表のザッハは、ロシアが森林を二酸化炭素を減ら
していることにより理解を示すように求めたが、今後解決されるこ
とに自信をのぞかせた。

独外交官、イエメンで誘拐

(ベルリン)イエメンの首都サヌアでドイツ人外交官が誘拐された。
外務省は、誘拐されたのは同大使館の産業部に属する通商専門官で
ある、と発表した。外相フィッシャーは解放に努力すると語り、イ
エメン当局に人質の声明を危険にさらすようなことを一切行なわな
いように求めた。6月中ごろには同国ではドイツ人学生が3週間近く
人質になったが無事解放されたばかりである。


7月28日(土)

マケドニア和平交渉の主要な対立点は言語問題

(スコピエ)予定より1日遅れて、マケドニア紛争の平和的解決を目指す交渉が再
開された。治安上の理由で、話し合いは同国南部にあるオーリド市に移して開催さ
れた。話し合いには、対立する両者の代表とEU特使フランソア レオタールと米
国特使ジェイムズ パルデューが参加した。中心となる議題はアルバニア語を公式
に承認するかどうかである。人口の20%以上がアルバニア人の地域では、アルバニ
ア語を第2公用語とすることを内容とする妥協案が議論されている。大統領ボリス 
トライコフスキの声明によれば、会談は日曜日も続けられ、できるだけ早い政治的
解決を目指している。

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欧州、米国のアルバニア反乱勢力支援を非難

(ハンブルク)NATO加盟の欧州各国では米国のバルカン政策に関
する不満が高まっている。「シュピーゲル」誌は、独政府の秘密文
書の情報として、米国が信頼を置くアルバニア人幹部が、マケドニ
ア紛争をあおっている、と報道している。この文書には、マケドニ
アの騒乱と不安定状況が、アルバニア国民解放軍の犯罪行為の温床
となっている、と記されている。独国防相シャルピングは、国民解
放軍との関係で一貫した態度をとらなかった国際社会は、マケドニ
アの危機的な状況に共同責任がある、と非難した、と同誌は伝えて
いる。

ジェノヴァで反対派76人が不当に拘留

(ローマ)ジェノヴァ首脳会議で警察が厳しい措置をとって一週間、
新たな事件が発覚した。イタリアの通信社によれば、検察庁の1回
目の調査結果では、少なくとも76人の経済の世界規模化に反対する
人々が不当に拘留されている。独外務省によれば、同会議でドイツ
人デモ隊70名が逮捕され、そのうち21名がまだ投獄中である。警
察の措置を批判する声が強まっている。人権擁護団体アムネスティ 
インターナショナルは国際調査委員会を作るように要請している。
欧州警察同同組合会長ルッツは、テレヴィの映像を見ると独裁国家
の光景を思い出す、と語った。

米中、武器輸出に関する対立緩和

(北京)米国外相パウエルは中国首脳部との対話の結果に満足の意
を表わした。中国の武器輸出に関する意見の相違が縮まった、とパ
ウエルは主席江と首相朱との会談後語った。また彼は米国のミサイ
ル迎撃網も話題に上がり、中国側にこれは範囲を限定したもので、
中露の戦略的な威嚇能力を危機にさらすものではない、と説明した。
パうえるはさらに米中の人権対話を再開したい、と表明した。秋に
は大統領ブッシュが中国を訪問する。ここ数ヶ月米中関係は緊張し
ていた。


7月29日(日)

神殿の丘、警官隊が襲撃

(エルサレム)イスラエル警察は日曜日数時間のうちに2度の攻撃を行い、エルサ
レム旧市街の神殿の丘を手中に収めた。パレスチナ人のデモ隊との衝突が再び発生
した。警察は催涙ガスとゴム弾を使用した。この事件の前に、デモ隊は嘆きの丘で
祈祷中のユダヤ人に対し投石を行なった。警察官多数を含む35人が怪我をした。
旧市街周囲にある新しいユダヤ寺院の象徴的な礎石を置く式典で、衝突が発生して
いた。パレスチナ人急進派の組織ハマスは住民に、神殿の丘を「最後に一人になっ
ても」守り抜くよう呼びかけた。この丘はモスレム、ユダヤ人両者にとって聖地で
ある。

     その他のニュース

マケドニア和平交渉、進展

(スコピエ)マケドニア和平交渉は進展を見せた。政府と少数派ア
ルバニア人の交渉に参加した人の話によれば、アルバニア語をマケ
ドニアの第2公用語として認めるかどうかをめぐって議論が続いて
いる。欧米の仲介で始まったこの交渉は月曜日も続行される。アル
バニア人反乱勢力は、マケドニア内相ボスコフスキがテトヴォ周辺
の戦場となっている村を訪問した際に、彼の乗る車を攻撃したが、
怪我人はでなかった。

日本連立与党、参議院で多数を獲得

(東京)日本では首相小泉率いる連立政権は参議院選挙で過半数を
維持し、さらに議席を増やしそうである。第1回の集計では小泉の
自由民主党が主導する連立与党が、全議席121のうち78を獲得した。
今回の選挙は4ヶ月に渡って政権の座につき、厳しい改革路線を取
って来た小泉に対し、賛否を問うものと見られていた。彼は明確な
勝利を収めた後、経済、社会福祉の改革案を促進していく、経済界
と労働市場は厳しい転機を迎えるが、改革計画は沈滞しているこの
国の景気を2、3年後には再び上向きにする、と語った。

誘拐ドイツ人解放の努力

(サヌア、ボゴタ)金曜日にイエメンで誘拐されたドイツ人外交官
の事件をめぐる交渉で、進展があった模様。仲介人は早期解放の可
能性がある、と語った。イエメン軍はエル アーマス族の誘拐犯の
潜伏先を包囲している。誘拐は国内の対立が背景にある、とされて
いる。一方コロンビアでも誘拐されたドイツ人3人の解放交渉が続
いている。彼らは反乱組織FARCに捕えられている。FARCはコケと
ケシの畑を対象にした政府による危険物取り締まりを中止するよう
求めている。


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