８月６日〜１２日のドイツのニュース
８月６日（月）
マケドニア和平交渉 再び暗礁に
（オーリド）マケドニアの警察改革で合意がなりたって僅か1日、政府と少数派ア
ルバニア人の間の和平協定の速やかな締結は再び疑問視されている。西側外交官筋
によれば、マケドニア側はオーリドで行なわれている交渉で新たな要求を出した。
その内容は、スラヴ人政党各党は和平協定に署名する前に、アルバニア人反乱勢力
の武装解除を要求する、というものである。反乱勢力UCKの広報は、NATOによる
自主的な武装解除はアルバニア側の要求が満たされるのと平行して行なわれるので
なければならない、と発表した。EU特別使節フランソワ レオタールがスコピエ
で開かれる安全保障審議会に話し合いを行なうためにやってきた。日曜日に紛争に
加わっている両者は、警察により多くのアルバニア人を採用することで合意してい
た。
その他のニュース
IRA 北アイルランドの武装解除で譲歩
（ベルファスト）カトリック側の地下組織IRAは、武装解除の提案
で行き詰まっていた北アイルランドの和平交渉は動きだした。国際
武装解除委員会は、IRAの代表者は武器を完全にそしてはっきりわ
かる形で処分する方法を提案した、と発表した。英、アイルランド
両政府はこれを重大な進展である、と語った。両政府は対立する両
者に深夜までの猶予を与え、最新の和平計画を受け入れるか拒否す
るか、決定するように求めていた。初めて成立したプロテスタント
とカトリックの連立政権が維持できるかどうかはこの決定にかかっ
ていた。オーストリア、高速道路トンネル火災で死者
（ウィーン）自動車事故による火災で、オーストリアの高速道路の
トンネルで子供2人を含む5人が死亡し、4人が怪我をした。シュタ
イアーマルク州にある全長8.3キロのグライナルムトンネルで2台の
車が衝突し、炎上した。犠牲者の身元は判明していない。同様の事
故は1999年5月にタオアートンネルで発生し、12人が亡くなってい
た。ウクライナのナチ時代の犠牲者の賠償問題
（キエフ）ポーランドとチェコに続き、ウクライナの旧ナチ時代の
強制労働者と強制収容所収容者が第1回の賠償金を受け取った。ウ
クライナでは57万人以上が賠償金の支払いを求めている。ドイツの
賠償基金からは17億マルクが支払われることになっている。これは
元強制労働者に支払われることになっている賠償金100億マルクの
5分の1にみたない額である。
８月７日（火）
失業者数増加
（ニュルンベルク）1998年5月以降初めて失業者の減少が止まった。連邦労働施
設の情報によれば、7月の失業者数は昨年よりも約5千人減った。6月と比べると失
業中であると報告しされている人の数は、季節変動を受け10万4千人増えて、380
万人に増えた。同施設長ベルンハルト ヤーゴダは、景気の冷え込みの影響が特に
旧西ドイツ地区に見られ、目標の年平均の失業者数370万人の達成は難しい、と語
った。
その他のニュース
野党 労働市場改革を要求
（ベルリン）労働市場の情勢悪化を受け、国の対処を求める声が強
まっている。キリスト教民主同盟の専門家、ヴィスマンは、政府は
経済政策を知らないと非難し、政府が対策を講じていない、と語っ
た。キリスト教社会同盟事務長ゴッペルは、労働市場の規制緩和を
迅速に行なうよう要求した。自由民主党会派長ゲアハルトは早期の
減税と環境税の廃止を要求した。ドイツ労働総同盟議長シュルテは、
使用者側に残業時間の短縮を推し進めるよう求めた。ドイツ使用者
団体連邦連合会は、労働市場の全面的自由化を積極的に行なうよう
求めた。年金の掛け金は安くならない見込み
（ベルリン）ドイツ年金保険組合連合によれば、年金の掛け金は環
境税導入にもかかわらず、来年は予想された19%への値下げは行な
われない。現在の19.1%が維持できればよい方だ、同連合広報担当
は発表した。それに対し、緑の党の経済の専門家シェールは、この
ような予想を発表するのは早すぎる、と語った。政府は来年の19%
への減額を行なう方針であった。1999年4月に環境税が導入されて、
連立政府は社会保険料の分担を42.3%から、今回の任期の終わりに
は40%以下に減らすつもりであった。現在この割合は40.9%である。兵役に関する議論再燃
（ベルリン）兵役廃止に関する議論が続いている。ザールラント州
社会民主党党首マースに続き、同党主代理シュミットも兵役廃止を
要請した。シュミットは、兵役適格者のごく一部だけが入隊する現
状から見て、兵役の公正さが疑問にさらされている、と語った。緑
の党の国防問題の専門家ナハトヴァイは、同党は2002年の連邦議
会選挙後、兵役と兵役代替役務の廃止を改めて国会の審議日程に載
せる方針である、と語った。一方、キリスト教民主同盟、社会同盟
は国防軍の空洞化につながる、と警告している。国防相シャルピン
グは、今年末に兵役期間を10ヶ月から9ヶ月に短縮する計画である。
８月８日（水）
マケドニア和平条約 月曜に署名の予定
（スコピエ）マケドニアの和平交渉は、度重なる失敗をへて、最終的な決着に達す
る見込みである。EU側の仲介者フランソワ レオタールはオーリドで、関係者す
べてが出席して月曜日にスコピエで包括的な取り決めに署名を行なうが、それまで
政治的な話し合いは続けられる、と語った。マケドニア与党DSM代表は、交渉に参
加していたすべての政党はこの取り決めに仮署名した、との声明を出した。直前ま
で、仲介の努力は無に帰すように思われていた。首相リュプチョ ゲオルギエフス
キが率いる政党は、アルバニア反乱勢力による流血の事態に抗議して、10人の遺
体をのせた軍用車と共に交渉から撤退する、との声明を出していたからである。
その他のニュース
連邦政府 和平合意を歓迎
（ベルリン）連邦政府はマケドニア和平合意を歓迎した。外務省は、
これで実行可能な政治的解決へ向け、重要な進展がなされた、関係
者すべてが予定通りこの合意に署名し、全力で責任を持って実施に
務めなければならない、また政治交渉は続行し、早期に決着させね
ばならない、との声明を発表した。首相 経済成長予測を修正
（ハンブルク）連邦首相シュレーダーは、今年の経済成長の政府見
通しを、当初の2%から下方修正し、1.5から2%ととした。彼は間
接的ながら、連邦議会選挙が行なわれる2002年には、失業者数を
350万人に減らすという目標を実現できないことも認めた。野党、
経済団体、与党の経済専門家は、経済成長が鈍化していることの対
策として、次回の減税の前倒し、あるいは投資の増額等の景気刺激
策を要求している。政府は今までこれを拒否していた。パレスチナ 過激派との協力関係を再検討
（エルサレム）イスラエルとの闘いを続けるパレスチナ大統領アラ
ファトは、今まで対立していた勢力との連帯を模索している。情報
相ラボによれば、今後数日中にイスラム急進派ハマスおよびその軍
事組織イスラム ジハードとの会談を行なう方針である。両組織は
アラファトおよび和平に反対していることを宣言している。一方西
ヨルダンランドでは、車に置かれていた爆弾が爆発してパレスチナ
人1人が死亡した。兵士はその男を静止しようとしたが、男が爆発
させた、とのことである。兵士1人が怪我を負った。イスラエル軍
ヘリはその後ナブルスのパレスチナ側施設を攻撃し、建物に損害を
与えた。
８月９日（木）
エルサレム 自爆テロで15人以上が死亡
（エルサレム）警察情報によれば、エルサレムのレストランで、数人の子供を含め
少なくとも15人が死亡した。80人以上が怪我をし、命にかかわる怪我をしている
人もいる。旧市街の中心部で正午ごろ、繁華街の十字路のところにある、満員のピ
ザ屋で自爆テロがおきた。イスラム過激派組織のイスラム ジハードとハマスが犯
行声明を出した。警察は爆薬の捜索のため、この地域を広く封鎖した。
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米国と国連 自爆テロを非難
（ワシントン）エルサレムでおこった暗殺事件は国際的に厳しい非
難を受けている。米大統領ブッシュは暗殺の犠牲者に心からの哀悼
を表した。国連事務総長アナンは、これは一般市民に向けられたテ
ロであり、国際法と人権を明らかに犯している、と語った。独外相
フィッシャーは、パレスチナ政府に対し、この種のテロを阻止する
ためあらゆる手段を講じるよう求めた。パレスチナ大統領アラファ
トもこの自爆テロを非難すると同時に、イスラエル政府に包括的な
停戦のための共同宣言に署名するよう求めた。マケドニア問題EU調停官 紛争の激化を懸念
（パリ）テトヴォ周辺での激しい戦闘のため、計画中のマケドニア
の和平条約の署名は危険にさらされている。EU特使レオタールは、
和平条約を反故にしかねない紛争の激化を懸念している、とラジオ
で語った。同国の状況が悪化するなら、書面で合意した内容が危う
くなるかもしれない、と彼は語った。またアルバニア人反乱勢力
UCKがこの条約に加わる保証もなくなるし、さらにNATO軍投入の
条件であるUCKの自主的武装解除も行なわれない、とも語った。彼
は以前、関係者すべてが月曜日にスコピエに集まり、全面的な条約
に署名する、と述べていた。アフガニスタンへの外交官派遣 延期
（イスラマバード）アフガニスタンで身柄を拘束されている開発途
上国援助隊員の事件で、3人の外交官をカブールに派遣する計画は
延期された。独豪米の在パキスタン大使館の代表は、タリバン政府
が承諾しているにもかかわらず、入国許可を取ることができなかっ
た。イスラムの週末にあたるため、入国は早くて土曜日になる。独
外務省によれば、人質との連絡はとれていない。イスラム急進派タ
リバンは週末にドイツ人4人、米国人2人、豪州人2人、アフガニス
タン人16人を捉え、キリスト教の布教を行なった件で非難した。
８月１０日（金）
イスラエル 自爆テロに報復
（エルサレム）エルサレムで起った自爆テロに対し、イスラエルは報復を行なった。
イスラエル警察はアラブ系住民が住む町の東部の、PLOの非公式な本部があるいわ
ゆる東洋館を占拠し、その後パレスティナ側への空爆が行なわれた。この攻撃で、
ラマラにあるパレスティナ警察本部は破壊された。パレスチナ大統領ヤセル アラ
ファトはイスラエル側が紛争を激化させていると非難した。午後、エルサレムでは、
パレスチナとイスラエルのデモ隊が警察と激しく衝突し、デモ隊6人が逮捕された。
東洋館周辺は軍が封鎖するとの発表があった。ハマス支持者による自爆テロで木曜
日には死者16名、怪我人百名以上を出していた。
その他のニュース
マケドニア 衝突の激化で和平交渉の行方に暗雲
（スコピエ）マケドニアでは新たな武力衝突がおこり、月曜日の和
平条約への署名がますます不透明になってきた。国防省によれば、
スコピエの北で軍用トラックが地雷を踏み、少なくとも7人のマケ
ドニア兵が死亡し、怪我人も出た。同国政府はアルバニア人反乱勢
力に地雷の爆発の責任があるとし、戦車、ヘリ、飛行機で反乱勢力
の拠点へ迫った。ドイツ政府、米国の仲介役パルデューは、両者に
停戦の維持を呼びかけた。水曜日には両者が紛争を終結させるため
の協定に合意していた。英国 北アイルランド合意に6週間の猶予
（ロンドン）英国政府は北アイルランドで衝突している両者に、和
平実現のために、さらに6週間の時間的猶予を与えた。北アイルラ
ンド相リードは、全政党が参加する北アイルランド政府は、現地時
間深夜から1ないし2日間職務停止にし、その後6週間の移行期間を
設けて、カトリックとプロテスタントが交渉する時間的な余裕を持
てるようにする、と語った。英国とアイルランドが当初設定してい
た話し合いの期間は日曜日に終わり、英国政府は北アイルランドで
選挙を行なうか、再び英国の直接統治下に戻るかを決定することに
なっていた。英国政府筋によれば、職務停止の措置は、6週間の猶
予を作り出すための法律的な手段である。米英空軍 イラク爆撃
（ワシントン）米英戦闘爆撃機がイラク南部の対空攻撃基地を爆撃
した。米国側の情報によれば、今年2月以来最大規模の空爆であり、
イラク軍による米英軍機の攻撃計画に先手を打ったものである。イ
ラク側の情報では、今回の攻撃で1人が死亡、11人が怪我をした、
とのことである。
８月１１日（土）
エルサレム東洋館閉鎖に抗議の声
（ラマラ）パレスチナ人は、エルサレムのアラブ系住民の居住区にある東洋館の占
拠に関して、国際社会に協力を求めた。パレスチナ大統領ヤセル アラファトは国
連事務総長のコフィ アナン、アメリカ大統領ジョージ W. ブッシュ、ロシア大統
領ウラジミール プーチンおよびEUに、PLOの非公式な代表部があるこの建物の
占拠を中止するよう働きかけてほしい、文書で要請した。イスラエル治安軍は、東
洋館の前でデモを行なっていた数百人を実力で排除した。西ヨルダンランドのファ
タハの指導者マルワン バルグティは、同館の閉鎖に抗議するため、日曜日のパレ
スチナ人自治区でのゼネストに参加するように呼びかけた。ドイツ首相ゲアハルト
シュレーダーは対立する両者に武力紛争の激化につながるようなことは一切行な
わないように、と呼びかけた。
その他のニュース
マケドニア軍 反乱勢力に大規模な攻撃
（スコピエ）和平条約への署名を2日後に控えて、マケドニア情勢
はさらに緊迫の度を増している。マケドニア軍はアルバニア人反乱
勢力に対し大規模な攻撃を開始した。軍と警察は北西地域のゴステ
ィヴァールとテトヴォ間、北部のコソヴォとの国境地域のアルバニ
ア人の拠点を攻撃した。ヘリや軍用機も使用された。ここ数週間で
最も激しい攻撃が、反乱勢力UCKが支配するこの地域に向けられた。
テレヴィ報道によれば、コソヴォからマケドニアに約千人の反乱兵
が入っているとのことである。マケドニア政府は、同国の安全上の
状況から、和平案は現在国会で過半数を採ることはない、との声明
を出していた。北アイルランド地方政府 権限再獲得
（ベルファースト）北アイルランド自治政府の停止から1日過ぎ、
英国政府は再びプロテスタントとカトリック合同の地方政府に権限
を返した。英国北アイルランド相リードは、権限を同政府に深夜に
戻す、との命令に署名した。以前彼は、北アイルランドの自治を土
曜日に停止する、と発表していた。これは、北アイルランドの議会
と解散や総選挙を行なわせないための措置であった。対立する両者
には、新しい政府の代表を選ぶために6週間の時間的な余裕が与え
られたことになる。主席大臣トリンブルは6週間前、地下組織IRAが
武装解除を拒否したため、それに抗議して辞任していた。新しい政
府の代表を選ぶ期限は金曜日深夜であった。タリバン ヴィザ発行せず
（イスラマバード）アフガニスタンのタリバンは、独豪米外交官に
対するヴィザ発給の約束を再び守らなかった。この外交官は24人の
援助組織「現代の避難所」の隊員の解放を目標としていた。タリバ
ンはこの組織の代表をキリスト教の布教を行なったとして逮捕して
いた。タリバンの律法学者は説教の中で、厳しい措置をとるよう求
めた。タリバン側の情報によれば、ドイツの援助組織の代表は、隊
員全員の無罪を訴えている、とのことである。一方、国連大使フェ
ンドレルはアフガニスタンに到着した。彼はカブールで、逮捕者の
運命はタリバン軍部の代表者との会談で話し合われる、と語った。
８月１２日（日）
イスラエル 自爆テロ再発
（テル アヴィヴ）エルサレムで自爆テロがあって3日、イスラエルではまたテロ
があり、少なくとも15名以上が死亡した。港湾都市ハイファ郊外で喫茶店のテラ
スでテロリストが爆薬に着火した。犯人は死亡した。パレスティナ急進派イスラム
ジハートが犯行声明を出した。PLOの非公式代表部と他のパレスティナ人施設が
あるエルサレムの東洋館の占拠後、パレスティナ人の武装組織は大規模な報復攻撃
を行なう、と予告していた。イスラエル外相シモン ペレスは引き続きパレスティ
ナ人との交渉を行なうことを求め、首相アリエル シャローンと立場の違いが出て
来ている。ペレスは、イスラエルの国際的な威信はかつてないほど低下している、
と警告した。
その他のニュース
マケドニア政府 停戦を命令
（スコピエ）マケドニア政府は和平及び改革計画への署名を翌日に
控え、一方的に停戦を命じた。和平条約を成立させるために、アル
バニア人反乱勢力へのあらゆる攻撃を停止するようにとの命令を軍
部に出した、と同政府は発表した。にもかかわらず、マケドニア軍
とアルバニア人反乱勢力は同国北部、北西部で日曜午後、激しい戦
闘を行なった。警察と軍は、首都スコピエ、ゴスティヴァール、テ
トボ、ラドゥーサ周辺でアルバニア反乱勢力と対峙している。反乱
軍UCKは、政府軍が攻撃を中止するなら、停戦に応じる準備は出来
ている、と発表した。キリスト教民主、社会同盟 社民党のベルリンの壁記念日を批判
（ベルリン）キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟の幹部は、
ベルリンの壁40周年記念日で社会民主党と民主社会党を激しく攻撃
した。ベルリンの旧通過点のチェックポイント チャーリー前での
記念行事で、キリスト教民主同盟党首メルケルとバイエルン州首相
シュトイバーは、社会民主党が民主社会党と結託しようとしている、
と非難した。これは政治の理想に対する背信行為である、とメルケ
ルは語った。民主社会党は、旧東独の政権党社会主義統一党時代の
考え方を党綱領の中で払拭していない、とシュトイバーは語った。
キリスト教民主同盟、社会同盟の記念式典は口笛や指笛で何度か妨
害された。社会民主党のバールは、民主社会党には謝罪すべきだと
いう要請に反対し、原則的には誰も歴史に対して謝罪する必要はな
い、と語っていた。ベルリンの壁の遺構は保存される
（ベルリン）ベルリンの壁の最後に残った部分は文化財保護のため、
保存されることになった。ベルリン市政府は火曜日に関係する決定
を行なうことにしている。壁に関する態度はこの10年で変化したた
めだ、と市当局は説明した。1989年の変化の直後、暗い遺産は町か
らすぐに消え去る運命にあったが、今では壁はドイツ現代史の重要
な資料と見られている、ということである。