８月１３日〜１９日のドイツのニュース
８月１３日（月）
壁の建設記念式 選挙戦の場に
（ベルリン）連邦政府、連邦議会、ベルリン市政府は花輪を供え、弔旗を掲げて40
年前の壁の建設の記念式を行なった。首相ゲアハルト シュレーダーと連邦議会議
長ヴォルフガング ティールゼは市民に人権の擁護を訴え、また旧東ドイツ時代に
壁の所で亡くなった約１千人の犠牲者を記憶に留めるように求めた。この式典の前
に連邦大統領ヨハネス ラオは、壁の建設はドイツ国民に対する犯罪行為であった、
と語った。ベルリンで開かれている多くの記念の催しをよそに、旧東ドイツ社会主
義統一党の犠牲者の代表が、ベルリン市長を決める次の選挙で、社会民主党と民主
社会党が政治的に接近していることに抗議した。民主社会党の筆頭候補グレゴール
ギューズィーは、1961年8月13日の壁の建設を残念に思う、と語ったものの、
同党が壁の建設の件で謝罪を行なうことは拒否した。
その他のニュース
首相 東部視察
（グライフスヴァルト）連邦首相ゲアハルト シュレーダーは2週
間にわたるドイツ東部各地の訪問を開始した。まず最初にメクレン
ブルク・フォアポメルン州のグライフスヴァルトを訪れ、間近に迫
ったEUの東方拡大は、政治、経済上の好機であると評した。彼は国
境地域を訪問し、現地の人々の不安を取り除くことにしている。野
党、キリスト教民主、社会同盟と自由民主党はシュレーダーの訪問
1日目を批判して、彼は東部の失業者を減らし、人材の流出を留め
ることができなかった、と発表した。マケドニア和平協定署名
（スコピエ）マケドニアでは政府とアルバニア人の代表が和平協定
に署名した。これによりアルバニア人の蜂起は終わることになって
いる。また、憲法改正が行われ少数派のアルバニア人により大きな
権利を認めることになっている。一方、アルバニア人反乱勢力UCK
は武器を現地に駐留しているNATO軍に引き渡すことになっている。
米国、EU、独はこの協定をマケドニアの長期的な和平実現のための
大きな一歩である、と評した。首相シュレーダーは、マケドニアは
今後始まる和平交渉で、ドイツの協力を期待してよい、と語った。
交渉に参加しなかったUCKは、これが国会を通過し、実施にむけて
動き出したらすぐにこの条約を遵守する準備は整っている、との声
明を出した。パレスティナ側、東洋館占拠に抗議のスト
（エルサレム）エルサレム東洋館の占拠に抗議して、パレスティナ
人は自治区でほぼ完全なストライキを行なっている。東エルサレム、
ガザ地区、西ヨルダンランドでは商店、会社は閉鎖されたままであ
る。非公式なパレスティナの代表部がある東洋館前では、デモ隊と
イスラエル警察が衝突を繰り返している。イスラエル首相シャロー
ンは外相ペレスに、パレスチナ人と交渉を開始するよう指示を出し
ている。最近の自爆テロを見て、米大統領ブッシュはパレスティナ
大統領アラファトに、暴力を抑えるように要請した。独外相フィッ
シャーは来週月曜日に近東に出発する予定である。
８月１４日（火）
イスラエル侵攻にパレスティナ側抗議
（ガザ市）パレスティナ首脳は、イスラエル軍が西ヨルダンランドの自治都市ジェ
ニンに一時的に進軍したことを非難した。情報相ヤセル アベド ラボは、この行
動を宣戦布告である、と判断した。一方イスラエルは、これは最近の急進派のパレ
スティナ人の自爆テロに対する解答である、と正当化している。夜には1995年以
降初めて多数の戦車がジェニンに侵攻し、警察本部を破壊した。
アメリカは、イスラエル軍がパレスティナ自治区に侵攻したことを挑発であり、情
勢を沈静化させようとしている努力を無駄にするものだ、と非難している。また大
統領報道官は、最近の自爆テロをおぞましい行為である、と評した。
その他のニュース
バイアー社 リポバイで訴訟
（ニュー ヨーク）医薬品リポバイは世界各地で回収されているが、
米国ではドイツの化学企業バイアー社に対する訴訟が起された。新
聞報道によれば、オクラホマとフロリダで集団訴訟が起された。コ
レステロール値を下げるこの薬は、死を引き起こす可能性がある。
バイアー社は、全世界で52人の死とこの薬に関係があることを認め
ている。同社の情報公開のあり方に対する批判が強まっている。米
国食品医薬品局は1999年に文書で、バイアー社はこの製品を正しく
なく、誤解させるような方法で広告を行なっている、と非難してい
た。ドイツでは薬局が、回収に関する情報が遅れて出されたことを
非難した。欠陥医薬品の慰謝料 導入へ
（ベルリン）欠陥薬品で被害を受けた患者は今後慰謝料を請求する
権利を持つことになる。連邦政府は関係法案を夏休み後にとりまと
める方針だ、と連邦法務省は発表した。製造に関して製造元に過失
がないと証明された場合にも、この請求権は有効である、ことにな
る。今までは被害を受けた人が、損害賠償、たとえば休業補償を求
めて裁判を起せるだけであった。この新しい法律も過去にさかのぼ
って訴訟を起すことはできない。首相 ポーランドを短時間訪問
（シュテティン）ドイツ首相シュレーダーはドイツ東部訪問の間を
ぬって、ポーランドを訪問した。彼はシュテティンでの会談で、ポ
ーランド大統領クワシニエフスキに、ドイツはできる限りポーラン
ドがEU加盟の条件を満たせるよう支援する、と強調した。またシュ
レーダーは、ポーランドでは批判されている労働者の自由な通行を
認めるまでに、7年間の猶予期間を設けることに固執した。さらに
ナチ時代のポーランド人強制労働者に対する追加の賠償金の支払い
を拒否した。
８月１５日（水）
NATO マケドニアに最初の兵士を派遣
（ブリュッセル）NATOは今週中にも最初の兵士をマケドニアに派遣する。同機構
理事会は兵士の派遣を承認し、先遣部隊派遣に関する全権をNATO司令部に委任し
た。イギリスの先遣隊は週末にもバルカン半島で待機し、アルバニア反乱勢力の武
装解除の準備をする。あわせて3千5百人の兵士が月曜日に派遣される予定である。
全軍が駐屯するための条件として、スラヴ系とアルバニア系双方が合意した通りに、
停戦が安定的に維持されることを、NATO報道官は再び挙げた。ドイツ人兵士5百
人が参加するかどうかは、来週連邦議会で決定される予定である。マケドニア政府
は公式にNATOの作戦に賛成し、反乱勢力に対しては全面的ではないものの、恩赦
を行なう、と約束した。
その他のニュース
ボスニアの戦犯容疑者 国連裁判所へ
（デン ハーグ）セルビア人のボスニア軍の元将校ジョキクが、昨
日午後、デン ハーグの国連戦争犯罪法定に出廷した。同法廷によ
れば、今まで秘密裏に行なわれていた裁判では、彼は1995年夏、国
連保護地域スレブレニッツァの事件で数千人のムスリムを殺害した
件で行方を追求されていた。工兵隊長だった彼の、ボスニアのムス
リムの絶滅、殺害、迫害の責任が追求される。イスラエル パレスティナ人居住区への攻撃中止
（エルサレム）イスラエルはパレスティナ人自治都市ベツレヘムと
ベート ジャラ、ベート サクール周辺に戦車を終結させ、部隊を
配置した。首相シャローンはユダヤ人入植地ジロがベート ジャラ
から砲撃を受けた場合、兵士を同地に侵攻させる、と圧力をかけた。
イスラエルラジオによれば、外相ペレスの大規模な介入により、計
画されていた軍事作戦は中止となった。パレスティナ自治区当局と
の対話の努力が戦闘によって妨げれれてはならない、とペレスは強
調した。一方西ヨルダンランドのヘブロンでは、ファタハの活動家
が射殺された。またイスラエル警察はハイファで爆弾攻撃を阻止し、
急進派ジハードの隊員数名を逮捕した。2003年からトラック通行料導入
（ベルリン）12トン以上のトラックは、2003年から、ドイツの高
速道路では通行料を支払わなければならなくなる。閣議は水曜日、
関係法案を了承した。連邦交通省ボーデヴィヒによれば、通行料は
1キロメートルあたり27から37ペニヒで、国道が支払いを免れる
ために使われる場合には、国道にも通行料を課すことになる。キリ
スト教民主、社会同盟はこの法案に反対している。緑の党と環境団
体は1キロあたり80ペニヒの通行料が必要だ、と見ている。
８月１６日（木）
バイアー社 リポバイ批判に反論
（ベルリン）医薬品会社バイアー社は、世界各国で市場に出まわっている医薬品リ
ポバイに関する情報を公開しなかった、と連邦厚生省は非難しているが、同社はこ
の非難は当たっていないと反論した。同社は、監督官庁である厚生省に4月の時点
ですでに、この薬の本質的な危険性を伝えており、同省が言う8月になってからで
はない、としている。またEUの関係官庁にも既に連絡済みである、とも答えてい
る。コレステロールを下げる効果のある薬品リポバイで52人の死者が出たと見ら
れている。アメリカではバイアー社を相手取って訴訟が起されている。同社はこの
事件の責任をとって、計画中の米国株式市場への上場を延期する、と発表した。
その他のニュース
NATO軍 マケドニアに出発
（スコピエ）NATO軍先遣部隊はマケドニアに出発した。同地では
アルバニア人反乱勢力UCKの武装解除を行なうことになっている。
第1陣の英国兵は金曜日にもマケドニアに派遣される予定である。
ドイツ兵がこれに参加するかどうかは来週末の連邦議会で決定され
る模様である。与党内部で、5百人の派兵に賛成する議員が過半数
いるかどうかは不明である。社会民主党の議員28人と緑の党の少
なくとも4人が派兵に反対している。野党キリスト教民主、社会同
盟は国防予算が増額されれば賛成する方針である。連邦銀行 景気停滞の判断
（フランクフルト アム マイン）連邦銀行の分析によれば、ドイ
ツの産業は停滞局面にある。今年第2四半期では、経済成長は停止
したものの、ドイツ経済は既に後退し始めているわけではない、と
連邦銀行の8月報告には書かれている。首相 グーベン訪問
（グーベン）首相シュレーダーの東部訪問は4日目を迎え、ドイツ
とポーランドの国境の町グーベン（ブランデンブルク州）にいる。
この町はヨーロッパが共に成長する象徴的な町である、と彼は語っ
た。グーベンでは彼は、ネオナチに狩られて死亡したアルジェリア
人ギュンドウルの墓石に花を備えた。
８月１７日（金）
NATO マケドニア派兵を延期
（ブリュッセル）NATO軍のマケドニア派遣の最終決定を前に、ヨーロッパ方面最
高司令官であるアメリカの将軍ジョセフ W. ラルストンは月曜日にスコピエを訪問
し、現地で情報を集めることになった。ラルストンの情勢判断が、3千5百人の
NATO軍の兵士が、30日以内にアルバニア人反乱勢力UCKの武装解除作戦を行な
うかどうかの決断の材料になる。NATOのこれに関する決定は来週中には行われる
見通しである、と発表された。
一方NATO軍の第1陣はマケドニアに到着した。チェコ落下傘部隊がスコピエ空港
に降下した。彼らは今後到着する英国兵先遣部隊を援護することになっている。
その他のニュース
首相 野党にマケドニア派兵への同意を求める
（ベルリン）首相シュレーダーは野党キリスト教民主同盟、キリス
ト教社会同盟に、NATO軍のマケドニア派遣にドイツも参加すること
を支持するように求めた。キリスト教民主同盟党首メルケルは、同
党が賛成するための条件として、国防軍の財政状態を改善すること
を挙げた。ドイツ兵5百人をNATO軍に参加させるために必要な過半
数が連邦議会でとれるかどうかはまだはっきりしない。現在、与党
社会民主党の議員約30名が賛成投票を拒んでいる。コシュトゥニッツァの党 セルビア連立内閣から離脱
（ベオグラード）ユーゴ大統領コシュトゥニッツァ率いるセルビア
民主党DSSは、セルビアの連立政府から離脱した。同党首脳部はそ
の理由を、ジンジッチ政権が戦争犯罪と汚職の究明を十分に行なっ
ていない、と説明した。これにより18の政党からなる現民主政権
DOS内部の政治危機は頂点に達した。セルビア民主党と、同党と立
場の近い政党は、数週間前から占拠の早期実施を求め、改革派のジ
ンジッチ政権を激しく非難していた。バイアー社訴訟 拡大
（レーファークーゼン）化学薬品会社バイアー社は、コレステロー
ル値を下げるリポバイ、バイコル事件でますます強く風当たりを受
けている。同社は全世界で損害賠償訴訟を起こされる模様である。
米国の弁護士フェイガンとミュンヘンの弁護士ヴィッティは、世界
各地の被害者が米国で集団訴訟を行なう方針だ、と予告した。フェ
イガンによれば、医薬品産業に関する訴訟としては過去再大規模の
ものになる。この薬では世界で52人の死者が出た。一方同社は、さ
らに死者が出る可能性がある、と見ている。またこの薬の危険性を
公表しなかった、とのドイツ政府の非難は正しくない、と反論した。
８月１８日（土）
NATO先遣部隊 マケドニアで活動開始
（スコピエ）NATO軍先遣部隊はマケドニアで、同軍の派遣の準備作業を開始した。
先遣部隊はまず停戦が遵守されているかを調査している。その他、アルバニア系反
乱勢力と一緒に、武装解除の詳しい日程を作成することになっている。金曜日には
第１陣40名がスコピエに到着した。さらに350名が週末に到着する予定でる。
NATOはマケドニア派兵をそろそろ決定しなければならない。NATOは、3,500人
規模の強力な部隊を来週にも派遣するするための決定を先送りにしていた。ドイツ
政府は約500人のドイツ兵を派遣する方針であるが、それには連邦議会で過半数の
賛成が必要である。
その他のニュース
セルビア政府危機
（ベオグラード）ジンジッチを首相とするセルビア連立政権は、成
立後7ヶ月で深刻な危機に直面した。ユーゴ大統領コシュトゥニッ
ツァのセルビア民主党は、政府から党員を引きあげると発表した。
その理由として、組織犯罪と汚職との対決が不十分であることを挙
げた。ジンジッチはこの決定は性急だ、選挙の早期実施の可能性を
否定しなかった。マニラ ホテル火災で死者多数
（マニラ）マニラ郊外のホテル火災で少なくとも70名以上が死亡し、
50名が怪我を負った。火事が起きたのは7階だての建物で、3階に
ある倉庫でショートしたため発生したものとみられている。窓には
鉄格子がはめられており、犠牲者の多くは部屋から逃げることがで
きなかった。消防隊は、鉄格子を切って、18人を救出した。この建
物は70年代後半に建てられた当時、ホテルとして建設されておらず、
煙感知器やスプリンクラーを備えていなかった。非常用階段もなか
った。大統領 ラトビア支援を約束
（リガ）ドイツ大統領ラオは、ラトビア大統領ヴィーケ・フライベ
ルガとリガで会談し、同国のEUおよびNATO加盟を支援する、と約
束した。ラオはリガ市の800年記念祭に出席していた。
８月１９日（日）
イスラエル兵 パレスティナ人2名射殺
（ガザ市）パレスティナ側の情報によれば、イスラエル兵がガザ地区と西ヨルダン
ランドでパレスティナ人2名を射殺し、その他に5名の怪我人がでた。その他イス
ラエルのヘリコプターが、ガザ地区にあるパレスティナ大統領のヤセル アラファ
トの親衛隊の司令部を攻撃した。
イスラエル外相シモン ペレスはイスラエルのテレヴィで、パレスティナ人と紛争
解決に向けた話し合いを行なう、と語った。アラファトの顧問はペレスの発言を否
定し、現在あらゆる政治的な交渉は途絶えている、と語った。
その他のニュース
政府 失業者に義務を課す方針
（ベルリン）パートの仕事を拒否する若い失業者は、今後国からの
補助金を得られなくなる。社会民主党副党首のシャルピングは、こ
の措置に関連する計画を承認した。それによれば25歳までの失業者
には、地域の環境保護、あるいは高齢者や病人の看護などの仕事が
提供される。これを拒否した場合には、公的な支援が一切受けられ
なくなる、とシャルピングは語った。同党の事務長ミュンテフェリ
ングは、これは若者が失業状態に慣れてしまうことを阻止するため
のものでもある、と語った。キリスト教民主同盟党首メルケルは、
すべての年齢層に対する失業対策を講じるよう求めた。NATO軍 マケドニア駐在の準備中
（スコピエ）マケドニアでは、NATOによるアルバニア反乱軍の武
装解除作戦の準備が進んでいる。400人規模のNATO先遣隊は、停
戦が遵守状況と、NATO司令部の建設の条件の調査を開始した。週
明けから分離独立派が押さえている地域へも入っていく予定である。
アルバニア人反乱勢力の政治面での指導者、アリ アハメティは再
び武器放棄を約束した。NATOは、総勢3,500人の兵士の派遣を予
定している。ドイツ国防軍は、連邦議会の承認が得られれば、500
人規模の部隊を投入する予定である。マケドニア派兵に党派を越えた賛成の動き
（ベルリン）党派を越えて、NATOによるマケドニア派兵に国防軍
を派遣することに賛成する勢力が、連邦議会で過半数を占める勢い
である。キリスト教民主同盟党首メルケルは、同党が賛成するため
には、軍の財政状況の改善が必要だ、と述べた。自由民主党も、
500名までの派遣という条件つきで、賛成の方針である。キリスト
教民主同盟からは、基本法を改正して、連邦政府は国会の承認なし
でも国外派兵を可能にするべきだ、との提案が行なわれている。