8月27日〜9月2日のドイツのニュース

8月27日(月)

パレスティナ側 報復攻撃

(ガザ市)急進派「パレスティナ解放国民戦線」の指導者がイスラエル軍のミサイ
ルで殺害された後、同派は第1回の報復攻撃を行なった。同派は西ヨルダンランド
北部を攻撃したと発表した。これにより、ユダヤ人入植者1人が重傷を負い、のち
に病院で死亡した。アブ アリ ムスタファをラマラで殺害したのは犯罪であり、
イスラエルはこれに対して高い代償を払わねばならない、と情報相ヤセル アーベ
ド ラボは語った。イスラエル政府はムスタファ殺害は、テロ攻撃の報復であって、
正当なものだ、としている。内閣からは、襲撃計画を立てているパレスティナ人を
狙った攻撃を今後も行なおう、という声が出ている。
国連事務総長コフィ アナンは、イスラエルが近東の緊張をここ数年なかったほど
高めた、と非難した。

     その他のニュース

NATO 武装解除に着手

(スコピエ)マケドニアではNATOがアルバニア人反乱勢力の武装
解除のための行動を開始した。どれだけの武器を回収するかは依然
不明である。NATOは、今後30日で集める3千以上の武器を集める
予定で、既に反乱勢力は400の武器をマテイチェの回収場所に提出
している、と発表している。代わりにマケドニアのアルバニア人少
数派は、憲法に基づく権利をより多く認められることになっている。
NATOの作戦の開始に英兵の死が暗い影を投げかけた。彼は、乗っ
ていた車が投石を受けたため、日曜夜スコピエの病院で死亡した。

連邦議会 マケドニア派兵可決の見通し

(ベルリン)水曜日の連邦議会での採決を前に、国防軍のマケドニ
ア派兵は賛成多数を集める模様である。社会民主党と緑の党の幹部
会は、マケドニア反乱勢力の武装解除を行なうNATOの作戦に賛成
する、と発表した。連邦政府はキリスト教民主同盟とキリスト教社
会同盟と直接話し合い、賛成するように求めたが、キリスト教民主
同盟党首メルケルは議員に決定を委ねることにした。国防軍部隊は、
ドイツ兵派遣することで生じる危険性は予想できない、と警告して
いる。

「現代の避難所」捕虜 アフガニスタンで無事生存

(カブール)独、米、豪の外交官はようやく、3週間前身柄を拘束
された援助組織「現代の避難所」の活動家と面会した。米国人2人
の親戚も面会を許された。面会は2時間におよんだ。捕虜の状態は
心身とも良いようで、環境には不満を漏らしてはいなかった、との
ことである。3週間前アフガニスタン宗教警察は、ドイツ人4人、オ
ーストラリア人2人、アメリカ人2人からなるドイツの援助団体「現
代の避難所」の活動家を、キリスト教の布教を行なったという理由
で逮捕していた。


8月28日(火)

マケドニア派兵 連邦議会の承認確定的

(ベルリン)キリスト教民主同盟、社会同盟が妥協したため、連邦議会で国防軍の
マケドニア派遣は圧倒的多数の賛成で可決されることが確実と見られている。両党
は投票前日の火曜日、所属の国会議員に連邦政府が長い逡巡の後、マケドニア派遣
部隊の装備を充実させる件で妥協したため、賛成票を投じるように求めた。連邦政
府はNATOの作戦に派遣されるドイツ兵5百名に対し、当初の計画の1億2千万マル
クから上積みして、1億4800万マルクの資金を出すことにしていた。ドイツ首相
ゲアハルト シュレーダーは野党が賛成投票を行なう予定を歓迎した。とはいえ、
与野党双方から反対投票を行なう議員が出るものとみられている。

     その他のニュース

マケドニア 武装解除順調

(スコピエ)NATOはマケドニアのテトヴォ近郊で、アルバニア人
反乱勢力から武器の回収を行なう2つめの拠点を設置した。NATO
報道官は、作戦は計画通りに進んでおり、今のところ突発事態は生
じていない、と発表した。

米国 イスラエルにベイト ジャラからの即時撤退を要求

(ワシントン、エルサレム)米国政府は、イスラエルにパレスティ
ナ人自治区ベイト ジャラからの即時撤退を求めた。外務相報道官
は、このイスラエル軍の措置は安全保障上の問題を解決するもので
はなく、情勢を悪化させるだけのものだ、と語った。イスラエル軍
は、ユダヤ人の衛星都市ジロがパレスティナ側からの砲撃にさらさ
れるのを避けるために、ベイト ジャラの一部を占領していた。ガ
ザ地区の南部では、ラファでイスラエル兵の銃撃を受けた17歳のパ
レスティナ人が、病院に運ばれた後死亡した、と伝えられている。

国連反人種差別国際会議 近東紛争を議論

(ベルリン、ワシントン)南アのダーバンで開かれる国連反人種差
別国際会議は、開催数日前になってイスラエルとパレスティナの紛
争について話し合うことになった。イスラエルはこの会議に不参加
の方針である。駐独イスラエル大使シュタインは、参加国の多くは
イスラエルが人種主義と人種隔離を行なっていると考えるだろう、
と語った。米国は外相パウエルの出席を中止し、その理由として、
会議の文書の中にイスラエルを中傷する発言があるためだ、と発表
している。国連はこれを残念だ、として、金曜日に始まる会議に米
国から誰が出席するか、静観するとしている。


8月29日(水)

連立与党 単独ではマケドニア派兵賛成過半数に届かず

(ベルリン)国防軍は、マケドニアのアルバニア人反乱軍の武装解除のための
NATO軍の派遣に参加する。大政党内部それぞれでの数週間にわたる議論の後、連
邦議会は約450名のドイツ兵の派遣を多数の賛成で可決した。賛成投票を行なっ
たのは497名で、野党のキリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、自由民主党か
らも多数が賛成した。反対したのは130名で、8名が棄権した。連立内閣は、連邦
首相ゲアハルト シュレーダーの呼びかけにもかかわらず、足並みを揃えられなか
った。社会民主党と緑の党だけでは可決に9票不足であった。キリスト教民主、社
会同盟の会派長フリードリヒ メルツは、今回の結果は社会民主党と緑の党の連立
には壊滅的な影響を与える、と語った。特別国会でシュレーダーは、バルカンの安
定はドイツ全体の利益になる、と強調していた。一方国防軍の最初の兵士はマケド
ニアに到着した。

     その他のニュース

マケドニアで武器千個をすでに回収

(スコピエ)マケドニアでNATOが任務について3日、アルバニア人
反乱勢力は1千近くの武器を放棄した。英軍将校によれば、回収さ
れた武器には、地対空ミサイル、対戦車砲、榴弾、突撃小銃が含ま
れている。NATO事務長ロバートソンは、武装解除はバルカン半島に
新しい政治を築くための礎石であり、内戦の危険性を取り除くだけ
でなく、政治の刷新と将来のマケドニア人のための基盤を整備する
ことが重要だ、と語った。NATOは30日以内に3,300の武器を回収
する方針である。

国連戦争犯罪法廷 ボスニア元副大統領釈放

(デン ハーグ)国連戦争犯罪法廷は、セルビア人のボスニア元副
大統領プラヴシッチ(71歳)をいったん解放した。彼女は大量虐殺、
人権に対する犯罪、戦争犯罪で起訴されているが、セルビアで裁判
をうける権利を持っている。彼女はボスニア戦争の間1992年から
95年、セルビアの指導者カラジッチの右腕であった。

イスラエル軍 ベイト ジャラから撤退

(エルサレム、ガザ)イスラエル軍は数日前から戦闘が行なわれて
いるベイト ジャラから撤退する、と外相ペレスは演説した。彼は、
兵士は夜のうちに撤退し、その後平和がエルサレムに訪れるように
望む、と語った。イスラエル外務省は、軍はパレスティナ自治当局
と停戦で合意したことを確認した。イスラエル軍は月曜夜、ユダヤ
人入植地ジロへの砲撃が行なっていたベツレヘム近郊のベイト ジ
ャラに戦車で侵入し、同地を占領していた。


8月30日(木)

株式相場 世界的に下降

(フランクフルト アム マイン)経済成長の先行きが不安なため、世界的に株式
相場の下落が心配されている。フランクフルト新市場の主要株価指数NEMAX50は、
設置以来2年間ではじめて一時的に1,000ポイントを下まわり、取引き終了時には
約5.5%下げて1,021となった。DAXの終わり値は、水曜日から142ポイント、約
2.7%下げて、5,162となった。ニュー ヨーク市場では30の花形株からなるダウ
・ジョーンズ指数が、4月以来初めて心理的な抵抗を感じるはずの10,000ポイント
を下まわった。アメリカのハイテク株式Nasdaqはダウ・ジョーンズ同様4月以来の
最安値をつけ、一時的には2.7%下落し、1,800ポイントを下まわった。

     その他のニュース

NATO軍 マケドニアでの任務の第1段階完了

(スコピエ)NATO軍はマケドニアでの任務の第1段階を終了した。
「不可欠な収穫」作戦の司令官ランゲ少将は、アルバニア人反乱勢
力はすでに3分の1の武器を放棄した、と語った。これは、和平計画
で約束されている憲法改正を、マケドニア国会で審議し始めるため
の条件である。NATO事務長ロバートソンは、NATOが長期に渡って
マケドニアで果たす役割はなく、マケドニアの諸問題を軍事的に解
決することはできず、政治的な課題は政治的に解決しなければなら
ない、と語った。月曜日には引き続き武器の回収が行なわれること
になっている。

国防相 マケドニアのドイツ兵訪問

(スコピエ)連邦議会が国防軍のマケドニア派兵を承認して1日後、
国防相シャルピングは木曜日マケドニアのドイツ兵を訪問した。テ
トヴォ近郊エレビーノのドイツ軍本部で彼は、今回の作戦は今まで
の成果をあげてきた、と評価した。国防省によれば、ドイツ兵は来
週火曜日から武器の回収に参加する、とのことである。シャルピン
グは、数日後対立する両勢力との話し合いを行ないたい、とも語っ
た。

連邦 放射線にさらされた兵士から訴えられる

(ベルリン)国防軍と旧東独国家人民軍の元レーダー技術者540人
は、10月に連邦を相手取って数百万マルクの訴訟を起こす方針であ
る。これを扱う弁護士は、元兵士の141件の死亡事件と約460件の
癌の発病の原因は、過度の放射線を浴びたためである、としている。
この弁護士は、7月に関係者に対する迅速で非官僚的な援助を約束
していたにもかかわらず、今まで何もしなかった国防相シャルピン
グを激しく非難した。弁護士は1件あたり最高60万マルクを請求す
る。


8月31日(金)

国防相 辞任要求を拒否

(ベルリン)キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、自由民主党は国防大臣ル
ドルフ シャルピングの辞任を要求した。キリスト教民主同盟党首アンゲラ メル
ケルは、シャルピングが軍用機でマヨルカに行ったのは公私混同である、と語った。
社会民主党党内や連立与党緑の党からも批判がおきている。マケドニア派兵のため、
シャルピングはマヨルカでの休暇が数回に渡って中断し、国防軍の飛行機の利用を
要求していた。キリスト教民主、社会同盟は彼がマケドニア訪問後、本来なら同党
の共同会派長フリードリヒ メルツが使用するはずであった飛行機を使用したこと
も批判している。シャルピングはこの辞任要求を拒否している。彼は規則に従って
飛行機を使用したのだ、と語っている。

     その他のニュース

検察 シュライプナーの寄付に関する報告を確認

(ボン)検察は兵器業界のロビイストシュライプナーがキリスト教
民主同盟へ10万マルクの献金を行なったという文書が存在してい
ることを認めた。当局の発表によれば、この金は1995年に当時同
党の財政顧問であったヴァイラオホから、元会計責任者キープへ手
渡され、キープは後にこれを個人献金として党へ振り込んでいた。
同党の不正資金疑惑調査委員会議長ノイマン(社会民主党)は、こ
の2人をあらためて連邦議会の委員会に召喚する、と語った。ノイ
マンはキープに宣誓供述させる方針である。キープは今までシュラ
イプナーの寄付を受け取っていない、と主張していた。

マケドニア国会 憲法改正を審議

(スコピエ)マケドニア大統領トライコフスキは国会に、アルバニ
ア人反乱勢力との和平協定の批准を審議するよう求めた。議会の冒
頭で彼は、同意は完全なものではないが、現在可能な中で最良のも
のだ、と語った。アルバニア人の利益を拡大するための憲法改正を
審議する国会は、スラブ系住民200人が国会の入り口を封鎖したた
め数時間遅れで始まった。計画中の憲法改正には警察改革、アルバ
ニア語の地位向上、アルバニア人が多数派の地域の自治権の拡大が
含まれている。一方ドイツ軍の本体がマケドニアに到着した。コソ
ヴォから移動した約250任の兵隊がテトヴォ近郊に本部を設置した。

ミロシェヴィッチ 訴訟で敗北

(デン ハーグ)オランダの法廷は、ユーゴ元大統領ミロシェヴィ
ッチの即時釈放要求を拒否した。同法廷の管轄外である、と裁判長
パリスは、旧ユーゴでの事件を裁く国連戦争犯罪法廷は適法である
と欧州人権法廷が決定を下しているのにもとづいて、判断を下した。
ミロシェヴィッチはこの決定に対して控訴を行なう方針である。彼
は自分を拘留している国連戦争犯罪法廷に、今まで一切協力しなか
った。第2回の拘引で、彼はこの国際法廷を承認しない、と再び表
明した。


9月1日(土)

外相 奴隷制度謝罪

(ダーバン)ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーはドイツを代表して、奴隷制
度と植民地を作ったことに関して謝罪した。南アフリカのダーバンで開かれている
反人種差別国際会議で、過去の不正をなかったことにはできないが、責任を認める
ことで、犠牲者とその子孫に奪われた名誉を回復することができる、と語った。彼
はこれに関連して、最貧国に対する負債の大幅な軽減を行なうよう求めた。
この会議の際にフィッシャーはパレスティナ大統領ヤセル アラファトと会談を行
なった。会談後フィッシャーは、近東での暴力を終わらせることを楽観視しており、
イスラエルとパレスティナが紛争解決のためにミッチェル計画を実行に移すことが
重要だ、と語った。

     その他のニュース

マケドニア国会での討論 中断

(スコピエ)アルバニア系少数派の利益になるようマケドニア憲法
を改正するための議論が始まって1日、審議は無期限に中止された。
国会議長アンドフはこの理由を、アルバニア人による道路封鎖が行
われているため、としているが、もう封鎖は行われていない、と現
地のNATO兵士とマケドニア政府は伝えている。コソヴォとの国境
と反乱勢力の拠点である北西部のテトヴォとの間の道路が封鎖され、
アルバニア人はスラヴ系マケドニア人が乗ったバスを停止させてい
た。NATO大使エイフは国会での討論が中止されたことに憂慮の念
を示し、このままでは和平計画が危機にさらされる、と語った。

首相 国防相を擁護

(ベルリン)国防相シャルピングが休暇中に国防軍の飛行機を使っ
た問題で、首相シュレーダーはシャルピングの肩を持ち、彼は飛行
機使用に関する規則を守っている、と語った。野党からはシャルピ
ングの辞任要求が出されていた。野党側は彼が休暇を過ごしていた
マヨルカとの往復を税金を使ったことを非難した。連立与党の緑の
党幹部のロートも、シャルピングの行動には不満である、と語った。

ユーロ貨幣 引き渡し

(ハノーファー)ユーロ通貨の導入を4ヶ月後に控え、ドイツでは9
種類の貨幣が銀行や貯蓄銀行への引き渡しが始まった。12月終わり
までに紙幣と貨幣あわせて600億ユーロ以上が金融機関に渡される。
引き渡しの詳細は安全面の理由から秘密にされている。警察は事件
が起こらないように、厳重な予防措置を取っている。


9月2日(日)

国防相 反撃

(ベルリン)マヨルカへの飛行機利用問題で、国防大臣ルドルフ シャルピングは、
自分を批判する人々へ反論を行なった。彼は日曜日に、軍用機を私的に利用し、職
務上の義務を怠った、という非難を退けた。また彼はテレヴィ番組で、今後も大臣
にとどまるとの意志を明確に示した。連邦首相ゲアハルト シュレーダーは、彼を
強く支持し、シャルピングは飛行機の使用の指針を守っている、と強調した。一方
ヘッセン州首相ローラント コッホはシャルピングの解任を求めている。自由民主
党や社会民主党内からも批判が出ている。

     その他のニュース

社会民主党幹部 党内の反対勢力に圧力

(ベルリン)社会民主党事務長ミュンテフェリングと国会議員団長
シュトゥルックは、マケドニア派兵の採決で反対票を投じた議員に
対して、2002年連邦議会選挙の候補者名簿を作る際に、その責任
をとってもらうと発表した。ミュンテフェリングは、ドイツは危う
く醜態をさらすところであった、と語った。また、議員になりたけ
れば、社会民主党に属しているから選出されるのだということをわ
きまえておかなければならない、と強調し、このことを党員に想起
させるつもりだ、と語った。シュトゥルックも同様の発言を行なっ
た。社会民主党の国会議員19名がNATO軍派遣問題で反対投票を行
なった。

独経済研 労働市場の悪化を予想

(ベルリン)ドイツ経済研究所所長ツィマーマンは、労働市場の情
勢がさらに悪化するとの予想を行なった。彼は、中期的には失業者
数が減少するとは考えられない、次期選挙までに失業者を350万人
以下にする、との首相シュレーダーの前回選挙時の目標は達成でき
ない、と語った。彼は欧州中央銀行を厳しく批判し、最近行なった
金利引き下げは遅すぎ、また小規模すぎる、と語った。

マケドニア国会 月曜日には和平計画の審議再開

(スコピエ)マケドニア国会は月曜日に、和平実現の計画とアルバ
ニア系少数派の権利の拡大をめぐる審議を再開すると、マケドニア
政府は確認した。アルバニア人反乱勢力は、政治改革をめぐる議論
を国会が中止するのであれば、武装放棄も中止する、と圧力をかけ
ていた。アルバニア系少数派の権利を守るための改革をめぐる議論
は、土曜日無期限に中止されていた。国会議長アンドーフは、アル
バニア人が同国北西部で行なっている封鎖措置に対処するべく、マ
ケドニア人の難民が帰還できるよう保証することを求めていた。


今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system