9月3日〜9日のドイツのニュース

9月3日(月)

米・イスラエル 反人種差別会議退出

(ダーバン)イスラエルと米国は、南アフリカのダーバンで開かれている国連人種
差別会議から代表をひき上げた。その理由は、会議の最後に出される宣言に、イス
ラエルがパレスティナ人に対して取っている行動は人種的偏見に基づくものである
とのアラブ諸国の非難を、盛り込むかどうかをめぐる対立である。会議の参加国は
カナダとノルウェーの仲介で、宣言の文言を作る努力をしていた。イスラエルは、
近東紛争は純粋に政治的なもので、この会議で検討する種類のものではない、との
見解を持っていたが、アラブ諸国の多くはイスラエルの行動は人種差別的であると
捉えている。その他現代的奴隷、インドのカースト制度、先住民の権利の問題が最
後まで話し合われた。

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近東首脳会談 イタリアで開催か

(エルサレム)最近の戦闘の激化にもかかわらず、今週中にもイス
ラエル外相ペレスとパレスティナ大統領アラファトの会談が実施さ
れる可能性が出てきた。ペレスは月曜日、交渉の日程と場所は未定
であるが、今週イタリアで開かれる経済会議の際に会談が開かれる
可能性がある、と語った。パレスティナ側の情報によれば、アラフ
ァトは南アで開かれている反人種差別会議から帰国後に決定する方
針である。エルサレムで4件の爆破事件が起り、8人が怪我をしたた
め、外交努力に暗雲がたれ込めている。イスラエル軍との衝突で、
西ヨルダンランドのヘブロンで2人のパレスティナ人が死亡し28人
が怪我をした。

マケドニア国会 和平計画の議論続行

(スコピエ)西側諸国からの圧力を受けて、マケドニア国会は2日
間の中断をはさんで、月曜日アルバニア人少数派の権利を拡大する
問題の討論を再開した。火曜日には、オーリド協定で決められた憲
法改正に関する第1読会で投票が行なわれる予定である。またNATO
軍によるアルバニア人の持つ武器の回収は続けられることになって
いる。NATO内部では派兵期間延長に賛成する声が増えている。米
国使節のパルデューは、同国の安定化のためにはより長い駐留が欠
かせないだろう、と語った。火曜日には独外相フィッシャーがスコ
ピエに到着することになっている。

難民 ノルウェー貨物船から下船

(シドニー)オーストラリア軍船「マヌーラ」は、同国が入国を拒
否した430人以上の難民をのせて、パプア ニューギニアにむけ出
発した。同時にアフガニスタン難民をのせていたノルウェー船「タ
ンパ」は係留所を出港した。オーストラリア政府の計画によれば、
難民はニュージーランドとナウル共和国に運ばれる。両国は難民の
受け入れを認めている。一方オーストリアの裁判所は、難民をオー
ストラリアに入国させるかどうか最終的な判断を下していない。認
める判断がでた場合には、船はオーストラリアに戻ることになって
いる。


9月4日(火)

エルサレムで自殺テロ

(エルサレム)エルサレムではパレスティナ人による自殺テロ事件が起こり、少な
くとも通行人15人が怪我をした。今回の事件のため、EU外交委員ハヴィエル ソ
ラナの仲介が成功するか怪しくなっている。ソラナはイスラエル外相シモン ペレ
スとパレスティナ大統領ヤセル アラファトとの会談を仲介する意向であった。今
回の自殺テロはこの2日間にエルサレムで起った5回目の爆破事件である。

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米英軍 イラク空爆

(バグダッド)米英軍機が再びイラクの地対空迎撃施設を攻撃した。
攻撃目標はイラク北部と南部の飛行禁止区域である。攻撃の理由と
して米軍は、両国の飛行機が攻撃を受けたため、と発表した。

アフガニスタン 外国人援助隊員 裁判開始

(カブール)アフガニスタンでは、援助組織「現代の避難所」の外
国人隊員8人に対する裁判が始まった。この裁判は秘密裁判として
始まった。ドイツ人4人、豪州人2人、米国人2人に対し、キリスト
教の布教を行なった件で裁判が行なわれる。8人は1ヶ月前アフガニ
スタン人の隊員16人とともに逮捕された。アフガニスタン人には死
刑の可能性があるのに対し、非公式情報ではあるが、外国人は短期
間の拘留の後、追放される可能性がある。

外相 NATO軍のドイツ兵士訪問

(スコピエ)独外相フィッシャーはマケドニア訪問の最初に、同国
北西部にいるNATO軍に参加しているドイツ部隊を訪問した。この
後彼はスコピエで和平交渉について照会する意向である。同国国会
は和平計画の審議を続けている。改革はアルバニア系少数派により
大きな権利を与えるためのものである。国会が改革案を承認した場
合、NATOはアルバニア人反乱勢力の武器の回収作戦を続けること
にしている。


9月5日(水)

外相 マケドニア民主勢力を激励

(スコピエ)ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、マケドニア和平交渉が無
事始まることが、今後も同国に軍隊を駐留させるための条件である、と発言した。
大統領ボリス トライコフスキや政府首脳との会談後、フィッシャーはスコピエで、
水面下で話し合われていたマケドニア分割案は受け入れられない、と語った。彼は
急進派勢力に対して、NATOの介入にかこつけたどのような形態の分割も、ドイツ
は決して支持しない、NATOはマケドニアを保護下に置こうとしているのではなく、
政党政治を機能させたいのであって、マケドニアの民主勢力の代表がこの国の未来
をどのような形で作り上げるかが重要だ、と語った。

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労働市場の活況 終了

(ニュルンベルク)3年前から続いていた労働市場の好転局面に、
ひとまず終止符が打たれた。8月には1998年以来初めて、前年同
月比で失業者数が増加した。連邦労働施設長ヤーゴダは、経済成長
の減速が労働市場に不利に働いているのが表面化した、と述べた。
野党は激しく非難しているが、労相リースターは悲観的になる理由
はない、としている。8月にはあわせて379万人が失業状態にあり、
昨年8月より8,100人増加した。

国防相 国防委員会出席

(ベルリン)国防相シャルピングは飛行機不正使用疑惑に関して、
来週月曜日に連邦議会の国防委員会で、質疑応答を行なう。シャル
ピングは、他の2人の閣僚が飛行機の使用をすでに要求していたた
め、マヨルカへ行くときにのみ飛行機を使用した、と偽りの発言を
行なったとの野党の批判に対し、嘘はついていないと語った。野党
は彼の辞任を求めている。辞任は間近であるとの報道を、政府は否
定している。政府報道官ハイエは単なる推測にすぎない、と否定し
た。

アフガニスタン 西側救援組織の隊員 死刑の可能性

(カブール)アフガニスタンでキリスト教の布教を行なったとして
訴えられている救援組織「現代の避難所」の隊員8人に、死刑が言
い渡される可能性がある。主席裁判官は、刑罰はイスラム法に則っ
て行なわれることになり、すなわち懲役、罰金か死刑のいずれかで
ある、と語った。今までの約束に反して、裁判は非公開かつ被告不
在で行なわれている。8人の隊員は16人のアフガニスタンの協力者
とともに8月初め逮捕された。西側外交官は彼らと話し合う機会を
与えられなかった。


9月6日(木)

外相 マケドニア国会の決定を歓迎

(スコピエ)数日間にわたる議論の末、マケドニア国会はアルバニア系少数派に利
益をもたらす改革案を承認した。賛成91、反対19、棄権2で議会は木曜日改革案
を承認し、この結果NATOによるアルバニア人反乱勢力の武装解除の続行の障害を
取り除いた。3,300の武器を集めることで合意が得られているが、その3分の2ま
での回収にドイツ国防軍の兵士430名も参加することになっている。NATO事務長
ジョージ ロバートソンはこの決定を、お互いに信頼しあう新しい時代の幕開けで
ある、と評した。ドイツ外相ヨシュカ フィッシャーは、ドイツとEUは政治的、
経済的にこの地域の統合と、国内の安定を守るために関与して行く、と語った。

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マケドニア情勢をめぐる米露会談

(モスクワ)米国マケドニア特使パルデューとロシア外相イワノフ
はモスクワで会談し、NATO軍の駐留期限30日がすぎた後の対処に
ついて話し合った。パルデューは、ロシアは国際監視団の活動を広
げて行くことに賛成だが、自分は、ロシア軍のNATO軍への参加を
希望している、と語った。現在マケドニアではヨーロッパ各国の監
視団員49名が活動中である。独仏もすでにNATO軍派遣終了後にマ
ケドニアに関わって行く準備をすることを公にしている。独首相シ
ュレーダーは、仏大統領シラクとベルリンで会談を行なうことにし
ている。

イスラエル軍 ファタハの要人を攻撃

(ナブルス)近東での暴力の激化は、木曜日に新たな犠牲者を生み
出した。パレスティナ側の情報によれば、イスラエル軍ヘリが、西
ヨルダンランドのトゥルカレム近郊で、パレスティナ人をのせた車
を銃撃し、2人が死亡した。イスラエル軍側もこの報道を確認して
おり、これはファタハのモハメド ラード エル カルミを狙った
攻撃である、と発表した。彼は軽傷を負っただけであった。その後
パレスティナ側はこの地域で、イスラエル軍車両を攻撃し、将校1
人を殺し、その他1人に重傷を負わせた。

反人種差別国際会議 妥協案の取りまとめ中

(ダーバン)反人種差別会議の閉幕を明日に控え、EUとアラブ諸国
は声明の文言をめぐり激しい論争を繰り広げている。主催者南アは
木曜日に事態の打開を目指して、イスラエルとシオニズムを直接的
に言及しない形の妥協案を提案した。EUはこの案を受け入れた。ア
ラブ諸国はさしあたりこれを拒否したものの、その後文言を検討す
る準備がある、と発表した。植民地主義と奴隷制度をどのように捉
えるかに関しても、近東問題同様、両陣営は対立している。アフリ
カ諸国は賠償金の支払、負債の減免、先進工業国への輸出をしやす
くする措置を求めている。EUは一定の範囲での賠償金の支払をする
準備はあるが、負債の減免は拒否した。


9月7日(金)

国防相 非難をはねつける

(ベルリン)国防大臣ルドルフ シャルピングはいわゆる飛行疑惑で、自分に対す
る非難すべてを再びはねつけた。彼は、月曜日に国防会議で問題になっている国防
軍の飛行機の使用について詳しく説明し、自分の行動が正当であることを示し、自
分に対する非難は誹謗以外の何者でもない、と語った。国防省の情報によれば、シ
ャルピングは昨年夏からベルリン フランクフルト間を約50回飛行機で行き来し、
自分の選挙区まで飛んだことがあったが、これは問題にはならない、とのことであ
る。また、彼は公務以外でいつでも自分の選挙区まで飛行機を利用できる、とのこ
とである。野党キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、自由民主党はシャルピ
ングの辞任を改めて要求した。

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首相 移住政策の日程を堅持

(ベルリン)連邦首相シュレーダーは、連立政権内部での話し合い
が不調に終わった後も、移住政策を計画通り実施する方針である。
内相シリーが計画通り9月下旬に閣議に法案を提出する、とシュレ
ーダーは語り、テレヴィ番組で緑の党に譲歩するよう求めた。緑の
党の議員団長シュラオホは連立相手の社会民主党に対し、緑の党の
意向に反する決定を断念するように迫った。もし強行するなら、連
立は深刻な危機に陥るかもしれない。シリーは再び自分の案の抜本
的な変更を拒否した。

ピシェッツリーダー フォルクスヴァーゲン社長に就任

(ヴォルフスブルク)欧州最大の自動車製造会社フォルクスヴァー
ゲン社は2002年春からの社長に元BMW社長ピシェッツリーダー
(53歳)が就任する。ドレスデンで開かれた監査役会で全員一致
で、前任者ピーヒの後継者に選ばれた。彼は1999年までBMWの社
長だったが、英国のローヴァー社への経営参加で損害を出したため
辞任していた。フォルクスヴァーゲン社は昨年510万台の自動車を
生産していた。同社の従業員は世界全体で32万4千人である。ピー
ヒはF.ポルシェの孫で、1993年からフォルクスヴァーゲン社の社
長を務めていた。

マケドニアの武装解除 第2段階へ

(スコピエ)マケドニア国会が和平の実現計画を受け入れの翌日、
NATOはアルバニア人反乱勢力の武装解除の第2段階を開始した。
3,300の武器の回収を行なうことで合意しているが、今後数日か
けてそのうち1,100を回収することになっている。NATO事務長
ロバートソンによれば、作戦は計画通り進んでいる。この作戦は
9月26日に終了することになっている。


9月8日(土)

国連反人種差別会議 合意達成

(ダーバン)反人種差別会議の参加者は、丸一日の論議の末、宣言文で合意した。
奴隷制度と植民地主義は人間性に対する犯罪との烙印を押され、パレスティナ人の
迫害が非難された。ドイツ外務省は、これは人種差別の外国人排斥と各国が対決し
ていくことを強く示したものだ、と発表した。特にアラブ連合は、イスラエルを人
種差別的であると公然と非難することを求めていたが、このためこの会議は決裂寸
前にまで進んでいた。シリアとイランは今回の声明の近東に関する一節とは異なる
意見を持っている。アメリカとイスラエルはこの問題ですでに会議を離脱している。
ヨーロッパ各国は、南アフリカが提案した妥協案を受け入れたため、奴隷制度と植
民地の搾取に責任があることを認めたことになる。

     その他のニュース

野党 国防相辞任要求を強める。

(ベルリン)野党各党は国防相シャルピングの辞任をさらに強く要
求した。バイエルン州首相シュトイバーは、シャルピングにはドイ
ツの威信を大きく傷つけた責任がある、と語った。ヘッセン州首相
コッホは、シャルピングがフランクフルトとマヨルカまで軍用機を
利用したのは、私的な利用だ、と見ている。彼はこの2箇所で伴侶
ピラティ伯爵婦人と会っていた。月曜日に彼は連邦議会の国防委員
会に251回の国防軍の飛行機利用の一覧表を提出することにしてい
る。一方シャルピングは、ピラティ伯爵婦人と休暇を過ごしていた
ことを、マケドニア派兵問題に鑑みると、間違いであった、と考え
ている。

EU マケドニアに今後も関与の方針

(ブリュッセル)EUは基本的に、NATO軍駐留終了後もマケドニア
に全面的に関与していく準備を進めている。EU外務委員ソラナは、
EU外相の非公式会談の後、EUは同国で政治、安全保障、経済の分
野で積極的に活動しなければならない、と語った。独外相フィッシ
ャーは、国連の代表も含む軍隊の保護を受けた文民の監視団を送る
ことに賛成したが、最終的な決定はマケドニア政府が下す、と語っ
た。

アフガニスタンで救援組織隊員 裁判始まる

(カブール)アフガニスタンで8月3日に捕えられた、災害救助組
織「現代の避難所」の外国人隊員8人の裁判がカブールで始まった。
ドイツ人4人を含む被告は、キリスト教の布教を行なった、とのイ
スラム急進派タリバンの有力者が掲げる容疑を否認した。ドイツに
いる同組織の幹部タオプマンは、訴えは事実ではなく、被告には今
まで弁明の機会もない、と語った。裁判には土曜日、外交官と隊員
2人、記者の出席が許された。独米の外交官は、被告との自由な面
会と、公平で迅速な裁判を行なうよう求めた。


9月9日(日)

イスラエル 流血の惨事

(エルサレム)数時間のうちに、連続した暗殺がイスラエルと西ヨルダンランドを
襲った。合わせて7人が死亡、40名以上が怪我をした。一番ひどい事件が起こった
のは北イスラエルのナハリアで、自爆テロで鉄道の駅が爆発し、少なくともイスラ
エル人3人が爆死した。イスラムのハマスが犯行声明を出した。イスラエル空軍は
直後にラマラのファタハの事務所と、ジェリコのパレスティナ政府の建物を攻撃し
た。その数時間前にはパレスティナ急進派が西ヨルダンランドでスクールバスを攻
撃し、2人が死亡していた。イスラエルとパレスティナ双方が今後さらに報復攻撃
を行なう、と威嚇した。

     その他のニュース

EU マケドニアの安全保障のため空白をつくらない方針

(ブリュッセル)EUはNATO軍撤退後も安全保障上の空白期間を作
らないことを、ブリュッセル近郊のジェンヴァルで2日に渡って開
かれたEU外相会談後発表した。独外相フィッシャーは、NATO軍の
他ロシアやウクライナを加えたマケドニア駐留軍を新たに結成する
ことで合意に達し、その中には国連の代表を入れるように努力する、
と語った。EUの地位に関する特別会議がマケドニア政府との間で始
まった。休息を1日取ったNATO軍は、日曜日アルバニア人反乱勢力
の武装解除を再開した。ドイツ軍の兵士も初めて作戦に加わった。

大統領 新ユダヤ博物館の除幕式に参加

(ベルリン)連邦大統領ラオは、ベルリンのユダヤ博物館の開場を
祝う式典で、ドイツと欧州の文化の発展に対するユダヤ人の特別な
貢献を高く評価した。彼は、ユダヤとドイツの歴史はホロコースト
と第三帝国に留まらないのであって、この博物館が2千年に渡るユ
ダヤ文化がヨーロッパの根幹をなしており、ドイツがホロコースト
で失ったものを示してくれる、と語った。この建物は米国人建築家
リーベスキントが設計したもので、除幕式の前に35万人が訪れた。
ぎざぎざの外見を持つこの建物は欧州最大のユダヤ博物館である。

ハノーファー市長 地方選挙で勝利宣言

(ハノーファー)ニーダーザクセン州では地方選挙が行なわれ、同
州の歴史上最も投票率が低かった。最終予想によればすべての有権
者の約半分だけが投票した。州都ハノーファーでは市長シュマルシ
ュティークが社会民主党の勝利を宣言した。彼はキリスト教民主同
盟の候補パフェルスキーを集計終了前に完全に引き反していた。州
首相ガブリエル率いる同州社会民主党は29年振りに同州で最大勢力
となるという目標を掲げていた。連邦首相シュレーダーは故郷のハ
ノーファーで投票し、この選挙はドイツ全体の政治には影響を与え
ない、と語った。


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