９月１７日〜２３日のオーストリアのニュース
９月１７日（月）
ニュー ヨークに行方不明者5,422人に
先週のニュー ヨーク世界貿易センター攻撃の犠牲者の数はさらに
増加している。ニュー ヨーク市長ルドルフ ジュリアーニは日曜
日、5,422人が行方不明であり、今まで犠牲者201人の遺体が収容
された、と語った。土曜日に彼は5,097人が行方不明である、と発
表していた。
その他のニュース
オーストリアにはテロリストの痕跡なし
米国での調査と並行して、ヨーロッパでも調査が進行している。ド
イツ、スイス、ベルギー、イタリアでは犯人たちの行き来があった。
月曜日には、犯人がオーストリアにも来ていたとの推測が持ち上が
っていた。
９月１８日（火）
国連安全保障理事会 ビン ラデンの引渡を要求
国連の安全保障理事会はアフガニスタンを支配しているが、外国か
らは承認されていないタリバンの民兵に、現地時間の火曜日、イス
ラム原理主義の指導者ウサマ ビン ラデンの引渡を要求した。引
き渡しは「早急にかつ無条件で」行なわれなければならない、と国
連安全保障理事会議長、ジーン・デイヴィッド レヴィットは語っ
た。米国政府は、サウジアラビアの富豪ビン ラデンに、今回の攻
撃の黒幕の嫌疑をかけている。
その他のニュース
ラムズフェルド ビン ラデンが有罪の証拠を示さない方針
米国はアフガニスタンのタリバン民兵組織に、イスラム急進派ビン
ラデンがニュー ヨークとワシントンを混乱に巻き込んだ証拠を
提出する意志はない。タリバンから求められている有罪の証拠物件
には、多くの機密情報が含まれている、とラムズフェルドは火曜日
ワシントンで語った。さらに、米国は、タリバンがビン ラデンを
引き渡すように働きかけを続けていく、とも語った。タリバン側は、
ビン ラデンの引き渡しは一定の条件下でのみ可能であり、米国へ
の引渡は行なわない、としている。パキスタンの情報によれば、タ
リバン政権は、外国からの完全な承認と国連の制裁措置の中止を要
求している。
９月２０日（水）
ブッシュ 国会での演説を予告
米国国防省は水曜日、湾岸地域の軍事拠点に軍用機の派遣を命じた。
大統領ジョージ W. ブッシュは木曜午後、米国議会で国民に向けた
演説を行なう意向を明らかにした。報道関係者を前に彼は、「私は
国民に対し説明する義務がある」と語った。彼はこの機会に国民に
対し、「米国に対してこのような事件を起こす人々とはどのような
人なのか、そしてそれはなぜなのか」を説明するつもりだ、と語っ
た。その他今回のテロ攻撃は米国の産業界に対して大きな影響を与
えたが、経済界はこの打撃から立ち直ることを確信しており、経済
界を支援する措置を議会がとることを期待している、とも発言した。
その他のニュース
社会民主党議員集会も開かれる
米国でのテロ攻撃をうけ、社会民主党議員集会が2日間の日程で木
曜から、ウィーンで行なわれる。犠牲者を追悼する黙とうの後、在
ウィーン米国代理公使ウェイギャントから米国の現状についての情
報が伝えられる。同党主グーセンバオアーは、「9月11日とその後」
がこの報告の中心になる、としている。引き続き産業面での影響を、
経済研究所のマルターバオアーが、「好景気の破綻と産業政策」と
いう題で講演する。
９月２０日（木）
ブッシュ演説の要旨 発表
米国大統領ジョージ W. ブッシュは議会での演説を行なうことにし
ている。世界はこれを緊張感を持って見守っている。彼は、米国と
世界に向け、テロ行為との戦いに参加するよう訴える。ホワイトハ
ウスが木曜日前もって発表した演説要旨によれば、ブッシュは、全
世界の「警察、諜報機関、銀行」に対しテロ行為との共同戦線を張
るように呼びかける。世界各国政府に対して彼は、「我々とともに
あるか、それともテロリストと共にあるか」いずれかだとの文書を
届ける方針である。
その他のニュース
社民党党首 同党議員の発言を批判
社会民主党党首グーセンバオアーは木曜日、テレヴィ番組で社会民
主党所属の国会議員ガルトレーナーに対する辞任要求を拒絶した。
「政府は経済面では自由主義的なタリバン政府に似ている」との彼
の発言は、「全くばかげた発言であり、弁明の余地はない。」だが
ガルトレーナーは、この発言を撤回し、謝罪しているため、「私と
しては何の問題もないと思う」と発言した。
９月２１日（金）
NATOナポリ会談中止
米国が攻撃を受けたため、来週ナポリで開かれる予定になっていた
NATOの会談は中止になった。加盟19ヶ国の国防相の非公式会談が
行なわれる予定になっていたが、金曜日NATOは公式に中止を発表
した。イタリア首相シルヴィオ ベルルスコーニもこれを確認して
いる。会議がブリュッセルで行なわれるかどうかは、明らかにされ
なかった。NATO事務長ジョージ ロバートソンの提案に関しては、
加盟各国の代表者がまず決定を下さなければならない、とも付け加
えた。木曜日の時点で米国国防相ドナルド ラムズフェルドが、ナ
ポリ会談不参加を表明していた。
その他のニュース
蔵相 増税は話題にならないと発言
オーストリアでは、国内外の安全保障のための措置の資金を捻出す
るための増税は行なわない方針である。蔵相グラサー（自由党）は
金曜午後、ベルギーのリエージュで開かれたユーロ使用国12ヶ国の
非公式蔵相会議で、「増税は話題に上らなかった」と語った。欧州
は米国とは異なり、景気の後退が起こっておらず、産業は良い状況
にある、2002年までに赤字をなくすという（マーストリヒト条約に
基づく）オーストリアの目標は、現在の状況から見て維持される、
と彼は記者会見で語った。
９月２２日（土）
英国で平和デモ
土曜日ロンドンで平和を求め、アフガニスタンへの軍事攻撃に反対
するデモに数千人が参加した。警察は、首相トニー ブレアの官邸
近くに集まった群集の数を、3千人と見積もっている。デモ参加者
の多くは喪服を着て、「平和と正義のために団結しよう。もう暴力
はいらない」等と書いた紙を掲げていた。また核軍縮を求める活動
家による無言デモも行なわれた。その組織の広報キャロル ノート
ンは、「軍事攻撃が行なわれるたびに、無関係で死ぬ必要のない多
くの市民が殺されます。アメリカ人は攻撃を行なうべきではありま
せん」と語った。
その他のニュース
労働組合連合会長代理 直接投票の開始に賛成
オーストリア労働組合連合会会長フェアツェトニッチュに引き続き、
会長代理ノイゲバオアーも、労働組合が計画している組合員による
直接投票を行なうことに賛成した。米国のテロ攻撃はあったが、直
接投票を開始するのは問題がない、直接投票は今やってこそ成果が
あがるのだ、と彼は強調した。
９月２３日（日）のオーストリアのニュース
ポーランド 左派勝利 絶対過半数の可能性も
ポーランド国会の選挙は第1回の集計で、左派連合の民主左翼連合
と自由同盟が232議席を獲得し、絶対過半数をとるかどうかギリギ
リのところである。下院の定数は460である。上院では左派が圧倒
的多数獲得する模様である。第1回の集計では左派連合が100議席
中75を獲得した。有権者へのアンケートでは、次のような結果が出
ている。左派連合44.9%、市民綱領11.8%、サモオブローナ9.9%、
農民党9.4%、法と公正8.7%、ポーランド家族連盟6.5%である。連
帯選挙運動は4.4%、自由連合は3.5%で議席を失った。
その他のニュース
タリバン 2機目を撃墜したと発表
アフガニスタンを支配しているタリバンは、複数の情報によれば、
同国上空でさらに飛行機1機を撃墜した。「所蔵不明の飛行機」が
北部のサマンガン地方上空で撃ち落とされた、とロシアのITAR・
タス通信がタリバンの通信社の言葉として伝えている。「この航空
機がどこの国のものかはわからない」と同通信社の代表は語った。
一方米国国防省は、2機目の撃墜に関する情報はない、としている。
国防省はこの情報を確認も否定も出来ない、と報道官は発表した。