10月1日〜7日のドイツのニュース

10月1日(月)

テロリスト包囲網 進行中

(ベルリン)ドイツ国内のイスラム系のテロリスト容疑者の捜索で、70年代以降
初めてドイツ全土に包囲網が張られた。住民登録課、大学、健康保険、その他の機
関の情報がコンピューターで比較検討されている。いわゆる潜伏者、つまり目立た
ない行動をとっているが、テロ行動を起こしかねないと考えられる人物の特徴が調
査されている。ニーダーザクセン州、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州、ブレー
メンではこの方法をとるための法的根拠をまず作らなければならない。
70年代にはRAFのテロリスト数人を、包囲網を用いて逮捕することができた。

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CDU 国内のテロ対策に賛成

(ベルリン)キリスト教民主同盟は、国内のテロ対策に、国防軍を
投入することに基本的に賛成した。12月にドレスデンで開かれる
連邦党大会にむけ、同党幹部が承認した主要動議によれば、そのた
めに基本法の改正が必要かどうかを検討することになっている。同
時に同党幹部はカメラと電話による盗聴を強化し、問題となった共
犯者証人規定の再導入にも賛成した。

首相 英国労働党大会で演説

(ロンドン)首相シュレーダーは、欧州の安全はロシアとの協力関
係があってはじめて保証されうる、と英国労働党大会で語った。さ
らに彼は、欧州の行動力を高めることも必要で、これがあって米国
との同盟関係が対等のものとなる、とも語った。英首相ブレアが労
働党大会に彼を招待していた。

外相 トルコとギリシャの外相と会談

(ベルリン)国際テロ組織との闘いに関連して、外交交渉が盛んに
行なわれている。独外相フィッシャーはトルコ外相イスマイル ジ
ェムとギリシャ外相ゲオルギオス パパンドレウとベルリンで会談
した。NATOに加盟しているこの3ヶ国の外相は、改めてテロとの
闘いで米国を支援して行くことを約束した。各国の対応を調整する
ため、フィッシャーはカザフスタン大統領ヌルスルタン ナサルバ
ィエフ、NATO事務長ロバートソンとも会談した。


10月2日(火)

NATO 米国テロ攻撃を同盟全体に関わる件と認定

(ブリュッセル、ベルリン)NATOは創設以来初めて9月11日の米国テロ攻撃に関
して、NATO全体関わる件である、との宣言を出した。米国は同盟加盟国から軍事
面での支援を求める権限を得た。NATO事務長ジョージロバートソンは、米国はウ
サマ ビン ラディンのテロ組織アル カイダがニュー ヨーク、ワシントン、ピ
ッツバーグの攻撃の黒幕である証拠を提出し、テロ攻撃は米国外から指示されたも
のだ、と語った。ビン ラディンはアフガニスタンにいると見られている。
連邦首相ゲアハルト シュレーダーによれば、米国はドイツに今のところ軍事支援
を求めてはいない。また彼は、米国と全面的に連帯して行くことを確認した。

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タリバン ビン ラディンの引き渡しを拒否

(イスラマバード、ワシントン)アフガニスタンを支配しているタ
リバンは、テロリストの指導者と目されているビン ラディンの無
条件の引き渡しを改めて拒否した。在パキスタンタリバン大使アブ
ドゥル サラム サイフは米国に交渉を行なうよう求めた。一方米
大統領ブッシュは、タリバンに対し、ビン ラディンと配下の引き
渡しを行なわなければ、その責任をとってもらう、との警告を繰り
返した。英首相ブレアはタリバンに、テロリストを引き渡さなけれ
ば、暴力で権力の座から引きずり下ろす、と脅迫した。

ラムズフェルド 近東訪問

(ワシントン)米国防相ラムズフェルドは、近々近東訪問を行なう。
彼はブッシュの意向を受け、反テロ活動の一環として、この訪問を
行なう、と国防省は発表した。彼はこの地域の国防相、政府首脳と
の会談を行ないたい、としている。はっきりした期日とどの国を訪
問するかは明らかにされなかった。

首相 カザフスタン大統領と会談

(ベルリン)米国によるアフガニスタン軍事攻撃が予想される中、
ドイツとカザフスタンは、政治的解決の必要性を強調した。テロリ
ストの権力基盤を破壊することとアフガニスタン問題の政治的解決
は同じではない、とシュレーダーはカザフスタン大統領ナサルバィ
エフとの会談後、語った。


10月3日(水)

米国 NATO加盟諸国に反テロ活動支援を公式に要請

(ブリュッセル)米国がテロ攻撃を受けて3週間、NATO加盟の友好国に対し米国
は復讐を行なう際に具体的な援助をするよう公式に求めた。米国はとくに、領空の
無条件通過権、報道機関の協力、米国政府施設の警護をNATOに要請した。ドイツ
首相ゲアハルト シュレーダーは、ドイツ政府が米国を全面的に支援する、と約束
した。木曜日には、テロリストの指導者と目されるウサマ ビン ラディンとその
組織アル カイダが攻撃を行なったことを示す証拠を米国が示したのを受けて、
NATOははじめて、これがNATO全体に関わる事件である、との宣言を出した。米
国国防相ロナルド ラムズフェルドは、反テロの闘いができるだけ広い支持を受け
るよう、近東とウズベキスタン訪問に出発した。

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タリバンに対する圧力 強まる

(ワシントン)アフガニスタンにイスラム急進派タリバン政府は、
テロ攻撃の黒幕と見られているビン ラディンの引き渡しを求める、
さらに強い圧力を受けている。アラブ湾岸諸国の代表は水曜日、米
国は十分な証拠を持っている、と語った。フランスも、同国の見解
と米国が持つ証拠は一致し、攻撃の首謀者は他には考えられない、
との声明を出した。米外相パウエルは、米国はテロリストとの闘い
をさしあたりアフガニスタンでのみ行ない、それ以外の国との衝突
は避ける、と語った。

ロシア EUとNATOとの協力体制強化

(ブリュッセル)EUとNATOは、ロシアを世界的な安保同盟に加え
る意志を確認した。露大統領プーチンとの会談後、EUとNATOは協
力関係を強めて行くことで合意した。NATO事務長ロバートソンは、
ロシア政府との実際の協力関係が新しい時代に入った、と語った。
プーチンは、NATOが単なる軍事同盟から政治組織へと転換して行
くのであれば、ロシアもより積極的に参加できる、との声明を出し
た。EUとロシアは安保問題に関し、月例審議を行なうことにした。

ドイツ統一記念式 テロ攻撃の影響を受ける

(マインツ)米国テロ攻撃が暗雲を投げかける中、ドイツ再統一11
年目の日が祝われた。中央式典はマインツで行なわれた。連邦議会
議長ティールゼは、1990年の再統一と冷戦終結後、平和の時代が
来ることを多くの人が望んでいたが、この願いはまだ満たされてい
ない、と語った。彼はドイツ国民に向かって、自由を外から守り、
内部で確実なものにするように呼びかけた。同様のことを来賓のポ
ーランド大統領クワシニエフスキも語った。米国のテロ攻撃のため、
統一記念日の行事を大幅に中止とする異例の措置がとられた。


10月4日(木)

ロシア旅客機 墜落

(モスクワ、キエフ)ロシア旅客機が黒海上空で墜落し、当局は捜査を開始した。
これがテロ攻撃かどうか、まだ判明していない。公式の情報によれば、墜落前にト
ゥポレフ154型機内部で爆発があった、とのことである。ウクライナ政府は、同機
が軍事作戦参加中に誤まってミサイルに撃墜された、との情報を否定した。テル 
アヴィヴからノヴォシビルスクへ向けて飛行中だったシベリア航空の飛行機には、
あわせて76人が乗っており、その多くはイスラエル人であった。
連邦大統領ヨハネス ラオはイスラエルとロシアに対し、ドイツ人からの哀悼の意
を伝えた。

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NATO諸国 米国支援を約束

(ブリュッセル)NATO事務長ロバートソンは、米国は9月11日のテ
ロ攻撃に対しどのように反撃するか、まだ決定していないが、NATO
は米国が反撃用の設備を利用できるよう提供した、と語った。米国
の支援要請はその他のNATO加盟国によって承認された。その中に
は秘密情報部の協力、米国施設の警備強化、偵察飛行の準備等が含
まれている。独国防相シャルピングは、国際テロとの闘いにドイツ
兵を投入することは可能である、との見解を表明した。

ブレア ビン ラディン有罪の明確な証拠があると発言

(ロンドン)英首相ブレアは、米国のテロ攻撃にはイスラム急進派
ビン ラディンの配下数名が参加しており、そのはっきりした証拠
がある、と下院で語った。彼によれば、犯人の1人は、ナイロビと
ダルエスサラームの米国大使館襲撃で中心的な役割を果たしていた。
パキスタンも米国が提示したビン ラディンが有罪である証拠を確
かなものである、と判断している。

ニューヨーク市当局 ドイツ人行方不明者の数を修正

(ベルリン)世界貿易センターのテロ攻撃で、ドイツ人の死者の数
は当初予想されたよりかなり少ない。外務省が確認したところ、行
方不明のドイツ市民は現在31人である。当初当局は数百人のドイツ
人が犠牲となった可能性がある、としていた。この事件では合わせ
て5千人の死者が出たと見られている。


10月5日(金)

米軍 ウズベキスタンへ

(タシケント)米国は兵をウズベキスタンに派遣し、隣国アフガニスタンのタリバ
ン政府への圧力を強めた。約千人の米兵が地上兵としてウズベキスタンに駐留し、
この精鋭部隊の任務はこの地域での米軍の軍事行動の援護である、と米国防相ドナ
ルド ラムズフェルドの現地の協力者が語った。大統領イスラム カリモフはラム
ズフェルドと共に、米国がウズベキスタンの空軍の拠点を人道的救援飛行のために
使用することを許可する、と発表した。ただしアフガニスタンへの攻撃はない、と
カリモフは語った。
ラムズフェルドの次の訪問国はトルコである。

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ブレア パキスタン訪問

(イスラマバード)英国とパキスタンの見解では、アフガニスタン
新政府は同国の主要な人種集団すべてを統合するものでなければな
らない。両国は、現在のタリバン民兵政権の後継政府は広い基盤を
持たねばならない、ということで合意した、と英首相ブレアはパキ
スタン軍司令官ムシャラフとの会談後発表した。ブレアはインド方
面への訪問を前に、パキスタンとの軍事面での協力を再開し、アフ
ガニスタンからの難民に対処するための財政支援をする、と語った。
ブレアのパキスタン到着の際には、西側反テロ連合に反対し、ビン
 ラディンを支援するタリバン支持者の抗議行動が行なわれた。

独政府 ビン ラディン有罪の独自の証拠

(ベルリン)政府報道官ハイエは、ドイツ政府はテロリストと目さ
れるビン ラディンが米国攻撃に関与していたことを示す独自の証
拠を持っている、と発表した。これは暗殺を行なったと見られる数
人が一時住んでいたハンブルクの捜査で得られたもので、これと米
国が示した情報から、連邦政府はビン ラディンがテロによる暗殺
を引き起こしたことは疑問の余地がないと見ている、と発表した。

蔵相 反資金洗浄法批判に反論

(ベルリン)国際テロ組織との闘いと資金洗浄阻止のため、蔵相ア
イヒェルは大規模な対策法を提案した。今後ドイツで開かれている
銀行口座と(株式などの)有価証券の寄託すべてと、その所有者の
情報は連邦金融制度庁に集約され、クレジットカード会社への監視
を強め、連邦大蔵省に資金洗浄疑惑監視本部を設置することになる。
野党、銀行、情報保護を主張する人々はこの法案を批判しているが、
アイヒェルはこれは脱税捜査にも役立つと反論した。


10月6日(土)

ブッシュ タリバンを威嚇

(ワシントン)米国大統領ジョージ W. ブッシュは、アフガニスタンのタリバンに
向けて最終的な警告を発した。すべてのテロリストを引き渡し、テロリスト養成機
関を閉鎖する機会が残されている、とブッシュは週例のラジオ演説で語った。ただ
し期限は迫っている、とも付け加えた。さらにブッシュは、アフガニスタン国民に
向け何らかの行動をとることはなく、同国の国民自体もタリバンによる抑圧と圧政
の被害者である、と強調した。米国国民はアフガニスタン国民を尊重し、危機の時
期には支援をする意志を持っており、それゆえ米国は数日前にも追加人道支援を行
なう決定を下した、とも語った。

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米国 タリバン側の提案を拒否

(ワシントン)タリバン政府は、8人の開発支援組織の隊員の解放
と引き換えに、タリバンに対する攻撃の威嚇を中止するように提案
していたが、米国はこれを拒否した。大統領府の報道官は、米国は
タリバンに急進派ビン ラディンとその組織の無条件の引き渡しを
求める、と発表した。タリバンは、キリスト教の布教を行なった疑
いで裁判にかけられていた、開発支援組織の隊員の解放を予定して
いた。彼らは支援組織「現代の避難所」の隊員で、ドイツ人4人、
オーストラリア人2人、アメリカ人2人からなり、8月から拘留され
ている。

キルギス 米軍に領空を開放

(ビシケク)旧ソ連の共和国として初めてキルギスは、アフガニス
タンに対する米軍の空からの攻撃のために、領空を開放した。国防
相トポエフは、アフガニスタンのテロリスト爆撃だけでなく、一般
市民に対する援助物資の運搬にも米軍は領空を利用できる、と語っ
た。これ以外の中央アジアの旧ソ連の共和国すべては、監視、救援、
援助飛行だけを許可している。一方米軍の補給用軍機3機がウズベ
キスタンの国境の町テルメスに着陸し、これを同国当局が認めた。

英印 アフガニスタンに安定政権誕生を望む

(ニュー デリー)英国首相ブレアとインド首相ヴァジパイはテロ
対策について話し合った。二人はアフガニスタンに各民族の代表か
らなる安定的政府が今後誕生することの意義を強調した。ブレアは、
タリバンに対する圧力は、ビン ラディンの身柄を確保するまで続
ける、と予告した。彼はこの前に、ロシアとパキスタンで、米国主
導の反テロ連合に理解を得る努力を行なっていた。パキスタンは、
タリバンに使節を派遣し、ビン ラディンを引き渡すよう重ねて求
める、と発表している。パキスタンの首都イスラマバードでは約5
千人がデモを行ない、米国のアフガニスタン攻撃に反対した。


10月7日(日)

米国 アフガニスタンに対する軍事攻撃開始

(ワシントン)米国は、英国の支援の下、アフガニスタンのタリバンおよび急進派
ウサマ ビン ラディンの組織に対する軍事面での攻撃を開始した。米国大統領ジ
ョージ W. ブッシュはテレヴィ演説で、この攻撃はもっぱら軍事施設に対するもの
で、国際テロ組織制圧のための包括的かつ大規模な戦役の一部である、と語った。
通信社の報道によれば、米国空軍の攻撃目標は、アフガニスタンの首都カブールの
施設、タリバンの拠点カンダハル、ジャララバートである。

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米軍の攻撃 タリバンに打撃を与える

(ワシントン)アフガニスタンに対する米国の第1回目の攻撃は、
タリバンの対空砲火と軍用機による脅威をなくすためのものである、
と米国国防相ラムズフェルドは語った。攻撃は飛行機、船、潜水艦
から行なわれ、アフガニスタンの制空権を獲得することが目的であ
ったが、第1回の攻撃が成功であったかどうかはまだ判断できない、
とも語った。一方タリバン側は、同国南部で飛行機を撃墜した、と
発表した。

ブレア 英国の攻撃参加を確認

(ロンドン)英国首相ブレアは同国の部隊がアフガニスタン攻撃に
派遣したことを認めた。潜水艦が攻撃に加わり、ミサイルを発射し、
英軍機が数日後攻撃に参加する、とも語った。インド洋の英軍基地
ディエゴ ガルシアを米軍が利用できるようにする、とも発表した。

パキスタン 米軍の攻撃のため領空を開放

(イスラマバード)パキスタンは米軍のアフガニスタン攻撃に備え
て領空を開放した。同国の政府高官は、米空軍はパキスタン領土の
上空を通過したが、湾岸地域から飛び立ったものではない、と語っ
た。外務省の声明では、パキスタンは作戦の迅速に完了することを
求めており、攻撃は目標に限定したもので、安全保障理事会の決議
に従ったものになる。


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