10月15日〜21日のドイツのニュース

10月15日(月)

米国上院議員 炭疽菌入りの手紙を受け取る

(ワシントン)米国での一連の炭疽事件と、テロリストの指導者と見られるウサマ
 ビン ラディンの間には、何らかの関係がありそうだが、今のところ確証はない、
と米国大統領ジョージ W. ブッシュは語った。一方米国上院で多数を占める民主党
の首脳トム ダシュリーが受け取った手紙からは炭疽菌が見つかった、ともブッシ
ュは発表した。今までに米国では13人が炭疽菌と接触した。この菌は生物兵器と
しても使用可能である。

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便乗犯による炭疽騒ぎ

(ベルリン)ドイツでは、炭疽菌入りの手紙を送ったふりをするい
わゆる便乗犯が出て、今後さらに騒ぎを拡大することが懸念されて
いる。首相府の郵便局でも、炭疽菌の疑いがある粉の入った手紙が
見つかったが、調査はまだ終わっていない、便乗犯によるものとも
考えられると首相府長官シュタインマイアーは発表した。

米国防省 一般市民の犠牲者に関するタリバン側の報告を否定

(ワシントン)米国防大臣ラムズフェルドは、アフガニスタンのタ
リバンが発表した空爆の犠牲者に関する情報を否定した。ビン ラ
ディンが率いるタリバンの主要部隊とアル カイダはどうしようも
ない嘘つきとして名を馳せている、とも語った。タリバン側の情報
では今までの空爆で少なくとも300人以上の一般市民が死亡した。
米軍戦闘爆撃機は一日中アフガニスタン国内の目標地点を攻撃した。
現地通信員によれば、10月7日の攻撃開始以来最も激しい空爆が行
なわれた。

米外相パキスタン入り

(イスラマバード)イスラム急進派による新たな事件が暗い影を投
げかける中、米外相パウエルのパキスタンの政治指導者との会談が
始まった。到着後彼はテロ組織との闘いをパキスタンが支援してく
れたことを評価した。パウエルの訪問に抗議してイスラム勢力が各
地でゼネストを呼びかけたが、行なわれたのは一部にとどまった。
カラチとハイデラバードでは治安維持軍とデモ隊の衝突が起こった。


10月16日(火)

首相 ドイツ軍の投入を覚悟

(フランクフルト アム マイン)ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーは、アフ
ガニスタンのタリバン政権との闘いで、ドイツ軍の大量動員を間もなく行なうこと
になる、と語った。米国がNATO条約に基づいて支援措置をさらに期待するなら、
ドイツがその準備をするのはもっともであり、この措置に関する決定が近々下され
るだろう、と語った。また彼は、アフガニスタン空爆の中断を求めている緑の党の
政治家の態度を間接的に批判した。緑の党国会議員団幹部のレッツォ シュラオホ
とケルスティン ミュラーは、月曜の党大会で、攻撃中止に反対することを明らか
にした。

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より厳しい治安維持法案成立 遅れる見通し

(ベルリン)連邦政府が予定している第2次テロ法案は、今月中に
は提案されない見込みである。首相シュレーダーの予告に反して、
連立与党内部では議論が続けられていおり、内閣による提案には
2、3週間かかる模様である。社会民主党会派長代理シュティーグ
ラーは、この法案の具体的な内容に関する報道は、推測にすぎない、
と語った。新聞報道によれば、連邦内相シリーは、指紋のほかに顔
の特徴も個人情報文書に記載することを計画しており、これによっ
て身分を偽るのが難しくなる、とのことである。

米国 炭疽再発

(ワシントン)米国での炭疽の症例が12件に増えた。感染者の中に
はテレヴィ局の局員の赤ん坊も含まれている。人工中絶を行なう病
院へ、疑わしい粉が入った手紙が送りつけられる例も増えている。
ドイツでは便乗例が増えることが懸念されている。炭疽を装った手
紙が首相府と外務省に届いている。ドイツでは攻撃予告には最長3
年までの自由刑が下される。

アフガニスタン攻撃続行

(カブール)米国は、アフガニスタン国内のタリバンの拠点に対し
初めて、低空飛行中の飛行機に積んだ砲から射撃を行なった。この
飛行機は最新型で、地上軍の支援用に使われている。最先端の軍事
技術をを投入しているにもかかわらず、首都カブールに対する攻撃
では攻撃目標を誤まり、赤十字の国際委員会の建物に命中し、職員
が怪我をした。アフガニスタンの反政府勢力はタリバンの拠点マサ
リ・シャリフの北数キロまで進んでいる、と米精鋭軍が駐留してい
るタジキスタンで軍部が発表した。


10月17日(水)

米下院 炭疽警戒で封鎖

(ワシントン)米国上院議員トム ダシュリーの事務所に炭疽菌が送りつけられて
2日、彼の事務所で働く29人とワシントンの警官2人が、炭疽菌の検査で陽性反応
が出た。当局は、2万人以上が働く下院を封鎖した。その他にもニュー ヨーク州
知事ジョージ パタキの事務所でも保菌者が発見された。政治家に対し炭疽菌を送
りつけたふりをする事件はイスラエルとフランスでも発生したと報じられている。
ドイツではこのような行動のため、郵便業務に大きな遅れが出ているが、本当に炭
疸菌に汚染された事例は確認されていない。少なくともいわゆる便乗犯2人が逮捕
された。炭疽は生命を危険にさらす可能性がある。ドイツでは今まで炭疽を装った
事件が100以上報告されている。

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アフガニスタンでの米地上軍に関する噂

(カブール)米軍はアフガニスタンのタリバンの拠点に対する11日
目の攻撃を行なった。攻撃は再び首都カブールと本拠地カンダハル、
東部のジャララバードに集中して行なわれた。地上軍が投入された
かどうかは不明である。イランのラジオは地上軍投入が行なわれた
と報じたが、米国防省はこれに関する態度を明確にすることを拒否
している。米国政府報道官は、空母にヘリコプターと特殊部隊がの
せられていることを認めている。英国首相ブレアは、英米軍はさら
なる軍事行動を準備している、と語った。

セーウィ暗殺で和平交渉中断

(エルサレム)急進派パレスチナ人がイスラエルの観光大臣で右派
のゼエヴィを暗殺し、これによって近東紛争を解決させる努力が当
面は無駄になった。いわゆるパレスチナ解放国民戦線が犯行声明を
出した。イスラエル首相シャローンは、アラファトがこの事件に責
任がある、と語った。イスラエルの大臣がパレスチナ人によって殺
されたのは初めてである。EUはエルサレムのホテルで起ったこの攻
撃を極めて激しく非難している。独外相フィッシャーは、暴力を激
化させてはならない、暗殺犯が得をするだけだからだ、と語った。

EU外相会議 アフガニスタン再建の準備

(ルクセンブルク)EUはアフガニスタン再建の準備を開始した。
EU加盟15ヶ国の外相は声明を発表した。これには、緊急人道支援
が絶対に優先されねばならない、爆撃終了後、国連が主導して和平
計画を実施しなければならない、タリバン体制崩壊後の同国政府は、
各政治団体を代表するものであるべきだ、等が含まれている。各大
臣はテロとの闘いで、米国との連帯を再確認した。


10月20日(土)

アフガニスタン戦争 新局面へ

(ワシントン、カブール)米国はアフガニスタン戦争を新しい局面に進めた。米国
参謀長リチャード マイヤーズは、テロ組織に関連する目標を攻撃し、破壊するた
めに、精鋭部隊を地上にさらに展開したことを認めた。特殊部隊はほとんど抵抗を
受けていない、とも語った。カンダハル近郊の攻撃目標の一つはタリバン政府の指
導者ムッラー モハメド オマルの拠点と見られている。米国が戦果を挙げたと発
表する一方、タリバン側は、大半が既に撤退した地点への攻撃である、と発表して
いる。通信員の報道によれば、200人ほどの米国兵がヘリコプターでアラビア海の
艦船に帰還した、とのことである。パキスタンでヘリが墜落し、2名が死亡したと
米国防省は発表した。カブールでは夜間空爆が行なわれた、と報道されている。

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人道支援組織 アフガニスタンで大被害

(ニュー ヨーク)空爆開始後のアフガニスタンでは、人道支援組
織が壊滅的な打撃を受けるの恐れがある。国連高等難民弁務官事務
所の情報では、数十万人の同国人が難民状態にある。パキスタンは
3千人が国境に到着したあと、国境を丸1日再び閉鎖した。難民弁務
官ルバースはパキスタンとイランに対し、国境を再び開放するよう
に呼びかけ、同国の都市カンダハルとジャララバードからは事実上
人がいなくなっている、とも語った。国連によれば、武装集団が国
連、その他の支援組の事務所や貯蔵施設から物品を略奪し、職員に
危害を加えた模様である。ベルリンでは子供の支援組織UNICEFが
同国で飢餓に苦しむ子供たちへの支援活動を開始し、冬が近づくの
に備えて、医薬品、衣服、食料がますます不足することになる、と
発表した。

外相 EUによるアフガニスタン支援計画に賛成

(ドゥシャンベ)EU各国外相が提案したアフガニスタン解放計画は、
タジキスタンでも大きな賛成を得た、と独外相フィッシャーは語っ
た。この計画には、元国王モハメド ザヒル シャーを国を統合す
る人物として暫定的に登用することと、すべての集団の召集するこ
とを含んでいる、と彼は語った。アフガニスタン反政府勢力北部同
盟の外相アブドゥラは、フィッシャーに対し、多人種からなる連邦
的な政府をカブールに作ることに賛成した、とのことである。中央
アジアを国際的な権力争いの犠牲者にしてはならない、とフィッシ
ャーは発言した。アフガニスタンでは人道支援が壊滅的な打撃にさ
らされており、ドイツはタジキスタンから紛争地域への輸送路開放
のための支援を行なう方針である。

タリバンの大臣 パキスタンと政権協議

(イスラマバード)アフガニスタンのタリバンの有力な大臣の一人
がパキスタンの代表と、権力者の失墜後の政府に関して話し合いを
行なったとのことである。パキスタン外務省は、民族集団の有力な
大臣でタリバン民兵の指導者ジャラルディン ハカニと会談を行な
った、と発表した。パキスタンは以前から数回、この種の会談を行
ってきた。ハカニ自身はインタヴューで、米国がカブールに新しい
政権を作るのであれば、アフガニスタンは「米国人の墓場」になる」
と語り、長期間のゲリラ戦を行なうと脅した。


10月21日(日)

社民党 ベルリン市議員選挙で勝利

(ベルリン)ベルリン市議員選挙は時期を前倒しして行なわれ、社会民主党が勝利
した。ほぼすべて開票した後、市選挙管理委員長は、社会民主党がほぼ30%を獲得
して、首都で最大の政治勢力となった、と発表した。2年前の前回選挙と比べ、社
会民主党は7%以上得票を伸ばした。ただし緑の党は約9%と得票を減らしたため、
両党あわせて絶対多数をとることはできなかった。キリスト教民主同盟は約24%の
得票で、17%の票の減少した。これは同党の歴史の中で、連邦および州選挙で最大
の減少である。民主社会党と時油民主党はともに票を伸ばした。民主社会党は約
23%でベルリンの第3党となった。自由民主党は約10%の票を集め、再び議会入り
した。投票率は69%ほどであった。

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社民党 安定市政権を作る意向

(ベルリン)現ベルリン市長ヴォーヴェライトは、社会民主党の選
挙での勝利を受け、安定した市政府を作る方針である。彼は、社会
民主党が今後の市政を実行できるように誰と協力していくのかじっ
くり検討し、不安定多数は避けたい、と発言した。いわゆる「信号
機連立」つまり自由民主党と緑の党との連立か、民主社会党との連
立が考えられる。選挙前からヴォーヴェライトはキリスト教民主同
盟との大連立は行なわない、と語っていた。キリスト教民主同盟の
筆頭候補シュテフェルは敗北の責任は自分にあるとした。同党は有
権者からお仕置きを受けたので、今後は野党の代表としての役割を
市議会で果たす、と語った。

メルケル ベルリン市選挙は国勢には影響なしと発言

(ベルリン)ベルリン市議会選挙でキリスト教民主同盟は敗北した
が、同党主メルケルは今後の連邦同党の戦略には影響がない、と語
った。彼女は、地方政治と連邦政治ははっきり区別されねばならず、
来年早期に首相候補に関する決定を行なうという計画を変更しない、
と強調した。キリスト教社会同盟からは首相シュレーダーの対立候
補は年内に決定すべきだ、との要求が出ている。

米国 アフガニスタン派兵の終了を示唆

(ワシントン)米国外相パウエルは、米軍のアフガニスタン攻撃を
冬が始まる前に終わらせる、と示唆した。軍の出動を冬になる前に
決めることは、米国およびテロとの闘いの協力者にとって利益とな
るし、11月中旬に始まるイスラムのラマダンを尊重することも大切
である、と彼はテレヴィで語った。また大統領ブッシュがビン ラ
ディンの殺害を命じたとの報道を、彼は否定しなかった。米軍は首
都カブール近郊のタリバン民兵の前線基地への空爆を行なったもよ
うである。


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