11月5日〜11日のドイツのニュース

11月5日(月)

連立与党 移民法案で合意

(ベルリン)社会民主党と緑の党は、1ヶ月にわたる話し合いの末、内務大臣オッ
トー シリーが提案した新しい移民法案に合意した。外国人が持つ権利を全面的に
規定し直すことで、労働力の受け入れを新たな基盤の上で構築しなおしたことにな
る。緑の党は話し合いの中で、難民の保護と家族の呼び寄せに関する規定を改善す
るよう求めていたが、これを認めさせた。この法案によれば、政府以外からの訴え
を起こされたり、性別に基づく迫害を受けた場合には、国外追放されないことにな
っている。野党キリスト教民主同盟、社会同盟は、この法案は移民を増やす可能性
があるとして、連邦参議院で廃案に追い込む構えである。内閣は水曜日に、この法
案を第2次安全保障法案と一緒に可決する方針である。

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移民法案に関する野党の反応

(ベルリン)キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟は、移民に
関する連立与党の妥協案が成立したのを受け、この法案を連邦参議
院で否決する、と予告した。民主社会党はこの政府案を不十分であ
るとして、拒否した。自由民主党は賛成の方針である。亡命賛成派
は、今回の妥協案は、情報と難民保護に関する方針を転換するとい
う大きな犠牲を払って得られたものだ、との声明を出した。

キリスト教民主同盟 首相候補選定の日程を確認

(ベルリン)キリスト教民主同盟議長団は、同党とキリスト教社会
同盟の首相候補指名を行なう日程を確認した、とテューリンゲン州
首相フォーゲルは発表した。それによれば、2002年初めに首相候
補が決められることになっている。幹部会は、民主同盟のメルケル、
社会同盟のシュトイバーの両党首が来年初めに、両党の委員会が何
に取り組むか、提案するよう求めている。

北部同盟の攻撃 暗礁に乗り上げる

(カブール)米国空軍による支援が続いているにもかかわらず、ア
フガニスタンの反政府勢力北部同盟の攻撃は成果を挙げていないよ
うである。マザリシャリフへの前進は行き詰まっている、と同同盟
の報道官は発表した。米国の戦闘爆撃機は再びタリバンの拠点カン
ダハルと首都カブールを爆撃した。米国防相ラムズフェルドによれ
ば、米軍の爆撃の効果は増大しており、今後の地上軍投入により、
絨毯爆撃の効果はさらにます、と訪問先のインドで語った。


11月6日(火)

反テロの戦いに国防軍投入

(ベルリン)アフガニスタンへの米国の攻撃が始まって1ヶ月、連邦政府は米国に
対し、兵士3,900人を派遣することを約束した。連邦首相シュレーダーは、米国政
府が派遣を求めているのは、地上軍や戦闘機の乗組員ではなく、ABC兵器の捜査車
両、輸送機、海軍力、非難誘導兵、衛生兵である、と語った。連邦議会は来週この
問題を取り扱い、軍の派遣を採決する。社会民主党、キリスト教民主同盟、キリス
ト教社会同盟、自由民主党は既に賛成の意志を示している。緑の党はまだ決断を下
していないが、民主社会党は派遣に反対している。シュレーダーは、国会では多数
の賛成が得られるだろう、と語った。

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アフガニスタン北部同盟 地上を制圧と報道

(カブール)北部同盟を支援するため、米空軍は火曜日もタリバン
の拠点に対して大規模な攻撃を行なった。攻撃の結果、北部同盟は
地上を制圧した、と発表した。中立の機関による確認はとれていな
い。北部同盟側は、タリバン兵はパキスタンおよびその他のアラブ
諸国からやってきた義勇兵を加え、勢力を拡大している、と発表し
た。アフガニスタンにいる米兵の数も数日で増えている。米特殊部
隊は数ヶ所の拠点から作戦行動を行なっている。

パレスチナ人5人とイスラエル兵が死亡

(エルサレム)パレスチナ人自治区で火曜日武力衝突が起こり、パ
レスチナ人5人とイスラエル兵1人が死亡した。イスラエル治安軍に
よれば、その他にパレスチナ人の自爆テロ犯1人とその支援係3人が
エルサレムを攻撃する直前に逮捕された。死者が出たにもかかわら
ず、両者の間で暴力の沈静化の努力は続けられている。イスラエル
首相シャローンと外相ペレスは、パレスチナと協定を結ぶために外
交上の提案を行なう方針である。

サベナ 破産申し立て

(ブリュッセル)ベルギーの飛行機会社サベナは破産申したてを行
なう、と同社経営管理委員会会長フレッド シャファールが火曜夜
緊急会議の後、ブリュッセルで発表した。同社は既にほぼ全便の運
行を中止している。長い歴史を持つ同社は、10月初めに大株主であ
ったスイスエアの倒産により、経営危機に陥っていた。同社の株式
の過半数はベルギー国が有しており、政府の緊急信用供与によって
同社はなんとか運営されていた。


11月7日(水)

連邦政府 国防軍を反テロの戦いに派遣することを決定

(ベルリン)ドイツは、国際的反テロ活動のために兵士3,900人を一年間派遣す
る方針である。内閣はベルリンでこれに関連する決定を行なった。それによれば、
軍の部隊を海外に駐在させることになる。派遣する場所は、アラビア半島、中央ア
ジア、北アフリカ、東アフリカ、および隣接する海域があげられている。国防軍は、
アフガニスタン以外では、その国の政府が賛成した場合にのみ派遣される。連邦議
会は来週この問題を決議する。キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、自由民
主党は政府のこの方針に基本的には賛成している。それに対して緑の党は内閣のこ
の決定に対し、反対の方針を打ち出していたので、緑の党の国会議員団はおそらく
来週になってから態度を決定することになる。

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首相 アフガニスタンの人道支援に賛成

(ボン)首相シュレーダーは、タリバン政権崩壊後、アフガニスタ
ン再建のための支援を検討している。開発援助省40周年記念式典で
彼は、紛争ならびにテロとの戦いは軍事的手段を用いるだけでは解
決できない、軍事貢献は要素の一つにすぎない、それ以上にドイツ
は政治、外交、人道的な努力を手抜きすることはない、アフガニス
タンの人々自身と難民を支援するため、ドイツ政府はあらゆること
を行う、と演説した。

イタリア軍 米軍を支援

(ローマ)イタリアは反テロの戦いに兵士2,700名を派遣する、と
イタリア下院は決定した。国防相アントーニオ マルティーノによ
れば、海軍、空軍、陸軍の部隊が反テロ活動に参加する。イタリア
軍は直接米軍の指揮下に入ることになっている。

移民法にはまだ異論

(ベルリン)連邦内閣は第2次反テロ法案と、異論のある移民法案
を国会に提出した。政府は、内相シリーが提案したこの2つの法案
を、連邦議会選挙前に連邦議会と連邦参議院を通過させる方針であ
る。安全保障法案の方は賛成を得られる見込みが立っているが、キ
リスト教民主、社会同盟の会派が移民法案には反対を続けている。
キリスト教民主同盟党首メルケルは、この法案によって同会派が目
標としている移民に制限を加えることが出来なくなる、と語った。
各州の内相は、マイスドルフで2日間の予定で開かれている秋の会
議でこの問題について話し合う。


11月8日(木)

首相 国防軍派遣に理解を求める

(ベルリン)連邦首相ゲアハルト シュレーダーと外務大臣ヨシュカ フィッシャ
ーは連邦議会での採決を前に、国防軍の反テロのための派遣に理解を求めた。今回
の派遣は世界の中でドイツが果たす責任が増加していることの現われであり、政府
が決定した今回の措置は国際法によって全面的に合法的なものと認められている、
と政府声明の中でシュレーダーは発表した。フィッシャーは今回の決定は国会の歴
史の中でももっとも困難な決定の一つである、と語り、戦争は不快なもので、戦争
の本質上無実の犠牲者がでる、とも語った。キリスト教民主同盟、キリスト教社会
同盟、自由民主党は政府を支持すると約束しているが、民主社会党は今までのとこ
ろ、ドイツ連邦の歴史のなかで最も遠くまでの遠征になる派兵を拒否している。緑
の党の約3分の1は投票を行なわない見込みである。社会民主党の中にも棄権者が
でる。

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教会 派兵の危険性を警告

(ボン)ドイツの両教会は、国防軍のアフガニスタン紛争への派遣
には危険がともなう、と警告したが、テロとの戦いには理解を示し
た。プロテスタント側の教会会議は、テロとの戦いで軍事的手段を
用いることに基本的には反対しないかわり、厳しい制限をつけるよ
う求めた。カトリック側は、枢機卿レーマンが、いかなる形の軍事
力の派遣も「悪」であり、政治的構想の裏づけがある場合に最後の
手段としてのみ正当化できる、と語った。

北部同盟 軍事面での成果を発表

(カブール)アフガニスタンの反政府勢力は、戦略上の要衝マザリ
シャリフに対する攻撃を強化した模様である。北部同盟の部隊はマ
ザリシャリフ周囲で、米軍の戦闘爆撃機と特殊部隊の支援を受け、
戦闘を行なった、とのことである。タリバンはこの情報を誤りであ
るとしている。ヨルダン国王アブダラ2世は、ラマダン月の米軍に
よる絨毯爆撃の続行を支持する発言を行なった。英首相ブレアと共
に臨んだ記者会見で、アブダラ2世は今回の作戦の軍事目標は達成
しなければならない、と語った。一方パキスタンの軍事権力者ムシ
ャラフは、米軍の攻撃の中断を要求した。

ミサイル迎撃網に関する議論で妥協の余地

(ワシントン)露大統領プーチンとの会談を控え、米大統領ブッシ
ュはミサイル迎撃網に関する情勢は流動的だ、と示唆した。対テロ
国家の迎撃網を作る必要性は今までよりも増した、と彼は語った。
プーチンは妥協する姿勢を見せている。テレヴィインタヴューで彼
は、米国の計画は1972年の大陸間弾道弾条約に必ずしも違反するも
のではない、と語った。プーチンは月曜日から米国を数日間訪問す
る。


11月9日(金)

蔵相 緊縮政策を維持

(ベルリン)連邦大蔵大臣ハンス アイヒェルは、税収不足が見込まれる中、支出
削減の方針を維持する。景気に悪影響を及ぼすため、これ以上の支出削減は行わな
い、と税収の見込みを検討する作業班が最新の数字を示した後、彼は発表した。そ
れによれば連邦、州、地方自治体は今年と来年あわせて320億マルクの税収不足を
覚悟しなければならない。この数字は最近ますますその傾向を強めている景気低迷
の結果である、とのことである。アイヒェルは民営化をさらに進めて、支出削減を
維持していく方針である。不足分は連邦が保有する株式の売却で調達することにな
る。彼は詳細を明らかにしなかった。

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反テロ対策で増税

(ベルリン)連邦議会はテロとの戦いのために増税することを決定
した。中でも来年と再来年たばこ税を1本あたり1セント値上げし、
保険料税を現行の15%から16%に値上げする。あわせて15億ユーロが
主として国防軍と国内の安全対策のために使われることになってい
る。さらに議会は新しい大学職務法を可決した。それによれば教授
の給与は今後、基本給と勤務に応じた追加給をあわせたものになる。
また議会は更にいわゆる宗教の特権を廃止する。それによれば極端
な宗教団体には禁止を命じることができる。また国会は兵役期間を
10ヶ月から9ヶ月に短縮し、給与を改善することも可決した。

北部同盟 マザリシャリフ到達

(カブール、ワシントン)米国の激しい空爆の後、反政府勢力北部
同盟は戦略上の要衝マザリシャリフに入った模様である。北部同盟
の代表者は、約2千人の兵士が将軍アブドゥル ラシド ドストゥ
ムの命令をうけ、同市に攻め入った、と発表した。タリバン側は町
の南側の外部に北部同盟が侵攻したことは認めた。米国防省は、マ
ザリシャリフ攻防戦で勇気づけられたとはしたものの、同市を制圧
したとは認めなかった。同市の制圧で、カブールの北の反乱側の軍
隊への補給路が確保され、ウズベキスタンとタジキスタンからの北
部同盟への物資の輸送が容易になる。

パキスタンで反米デモ

(イスラマバード)パキスタンでは、反米デモと治安部隊の激しい
衝突が起こった。タリバン支持者が米国の空爆に反対してストと集
会に参加するように呼びかけた後、衝突が起こり、4人が死亡した。
同国の軍事権力者ムシャラフが米国に協力していることも批判を受
けている。パンジャブ地方では武装した人を含め約千人が、高速道
路と線路を封鎖した。首都イスラマバードでは数千人が金曜日の祈
りの後、反米の宣言文を読み上げた。ラワルピンディとカラチでも
事件が起った。


11月10日(土)

北部同盟 北アフガニスタンで更に勢力圏拡大

(カブール)戦略上の拠点マザリシャリフの制圧後1日、北部同盟は更に軍事面で
の成果を挙げたと発表した。さらにサレポル州も制圧した、と北部同盟筋は発表し
た。反タリバン勢力側は更にウズベキスタンとの国境へも進軍する方針である。作
戦の目的は、国境地域を管理下に置き、できるだけ早期に国境を武器および人道支
援物資をアフガニスタンに運び込む補給路として確保することである。これより前、
タリバンはマザリシャリフ市とその近郊の飛行場を失ったこと認めた。カブールの
北にあるタリバンの拠点に対する爆撃を米空軍は続行した。

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ブッシュ テロとの戦いを呼びかけ

(ニュー ヨーク)米大統領ブッシュは国連で始めての演説を行い、
テロとの戦いを最後まで貫徹するよう呼びかけた。反テロ連盟参加
国はそれぞれの義務を遂行せよ、と述べた。テロリストを支援する
政府はその代償を払うことになる、とも語った。またどの国も、大
量殺戮兵器を用いたテロ攻撃を受ける可能性がある、と警告した。
近東紛争の解決策として、ブッシュは明確に2つの国イスラエルと
パレスチナの共存を主張した。国連事務総長アナンは国連総会の冒
頭で、反テロの戦い以外に、貧困およびエイズとの戦いを忘れては
ならない、と演説した。

外相 ニュー ヨークで政治会談

(ニュー ヨーク)独外相フィッシャーはブッシュの国連演説を積
極的に評価し、ブッシュは米国が国際テロ組織と闘う意志を明確に
述べた、と語った。また近東紛争に関してもイスラエルとパレスチ
ナ両国が共存する未来像を提示した、と語った。フィッシャーは、
月曜日総会で演説することになっている。土曜日には彼はニュー 
ヨークで、イラン外相カマル カラジとアフガニスタンの現在と未
来について話し合った。

WTO 中国を143番目の加盟国として受け入れる

(ドーハ)世界貿易機構は中国を正式に加盟国として受け入れた。
カタールで開かれた会議で、加盟142ヶ国が全会一致で中国の加盟
を認めた。中国加盟は15年以上に渡って討議されてきた。中国は
WTO加盟で大きな経済的な利益が約束されている。専門家は中国産
業界には強制的な改革が必要である、と見ている。月曜日には台湾
が144ヶ国目の加盟国としてうけれられる予定である。この会議は
木曜日までドーハで続けられ、貿易障壁を取り除くことについて話
し合うことになっている。一方、経済の世界規模化に反対する数千
人が、ジュネーヴ、ベルリン、ローマ、パリでWTOに反対するデモ
を行なった。


11月11日(日)

北部同盟 侵攻続行

(カブール)反政府勢力北部同盟は戦略上の要衝マザリシャリフ制圧後も、アフガ
ニスタン北部での攻勢を続けている。北部同盟軍は地域を獲得した、と発表した。
同軍が今後カブールに侵攻するかどうかは不明である。米国大統領ジョージ W. ブ
ッシュは、同軍がカブールに侵攻することに反対した。パキスタンの軍事権力者ペ
ルヴェズ ムシャラフとの共同記者会見でブッシュは、タリバン民兵の崩壊後には、
アフガニスタンの様々な人種が権力を共有しなければならない、その際カブールの
体制が鍵を握る、と語った。
英国政府は、同国兵がアフガニスタンに派遣されていることを初めて認めた。彼ら
の任務は北部同盟の支援である、と同国国防相ジェフ フーンは発表した。

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核実験停止条約会議 開幕

(ニュー ヨーク)国連事務総長アナンが、核兵器がテロリストの
手に落ちないようあらゆることを行おう、と訴えて、核実験停止条
約を推し進めるための会議がニュー ヨークで始まった。今回の会
議は3日間の日程で、原発保有国に、この国連条約を批准させるこ
とを目的として行なわれる。核技術を持つ国44ヶ国が批准して初め
て、この条約は発効することになる。独外相フィッシャーは、9月
11日のテロ攻撃に直面し、参加国が世界的な武装解除に向け新たな
努力を行なうよう要請した。フィッシャーは月曜日、同時に開かれ
ている国連総会でも演説することになっている。

大統領と外相 テロ犠牲者追悼礼拝に参加

(ニュー ヨーク)独大統領ラオと外相フィッシャーは、ドイツ人
信徒と共にニュー ヨークで、世界貿易センターのテロ攻撃の犠牲
者の追悼を行なった。プロテスタントのルター派の聖パウロ教会で
の礼拝に、ドイツ人犠牲者の親戚や友人が参加した。今までにドイ
ツ人6人の死が確認され、8人が行方不明となっている。

反テロのための派兵案可決 微妙な情勢

(ベルリン)ドイツ兵がテロ組織との戦いに参加するかどうかを連
邦議会が決定するのを数日後に控え、連立与党が過半数の賛成を集
められる可能性が下がっている。緑の党の議員8人は、ドイツ兵
3,900人をテロとの戦いに参加させるための政府の動議に反対する
との声明を出している。これで連立与党が木曜日に行なわれる投票
で単独で過半数をとることは出来なくなる見通しである。その場合
には、野党キリスト教民主、社会同盟首脳は首相シュレーダーは辞
任すべきだと要求している。


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