12月3日〜9日のドイツのニュース

12月3日(月)

シャローン テロとの戦いを訴える

(エルサレム)イスラエル首相アリエル シャローンは、先日の攻撃に対し、「テ
ロとの戦い」を行なうよう呼びかけた。また彼は国民に向けた演説の中で、パレス
チナ大統領ヤセル アラファトに対し、一連の攻撃の責任がある、と語った。パレ
スチナ政府の閣僚サエブ エレカトはこの発言を宣戦布告である、と見なしている。
シャローンの演説の少し前、イスラエル空軍はガザ地区と西ヨルダンランドのジェ
ニンを攻撃した。ガザ地区ではアラファトの飛行場がミサイル攻撃を受けたが、こ
の地区だけでも数多くのけが人が発生している模様である。この攻撃は週末に起き、
少なくとも25人が死亡した2回の自爆テロの報復と見られている。在ドイツ・パレ
スチナ人の代表アブダラ フランギは米国とEUによる仲介を求めた。

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EU 暴力の激化を懸念

(パリ)EUはイスラエルとパレスチナに、暴力の行使をやめるよう
呼びかけた。現EU理事会議長でベルギー首相フェアホフシュタット
は、米露、アラブの関係諸国とともにEUは、政治対話を再開するよ
うに両者に働きかけなければならない、と語った。

CDU 体制固めで団結

(ドレスデン)キリスト教民主同盟は党大会で、党首メルケルと事
務長マイアー体制を支援していくことに決めた。歓声で迎えられた
メルケルは、キリスト教社会同盟党首シュトイバーと共同で、首相
候補を一本化するつもりである、と語った。両党は協力しなければ
勝利できず、外からの圧力で候補者決定の計画を変更してはならな
い、とも語った。彼女は、連邦政府は景気後退の責任があり、政権
内部で対立しており、環境税導入による負担の増加に関して国民を
だましている、と非難した。今まで暫定事務長だったマイアーは参
加者の90%の賛成で選ばれた。彼はここ数ヶ月党内から批判を受け
ていた。

アフガニスタン会議 進展はほとんどなし

(ボン)ペータースベルクで行なわれているアフガニスタン会議は
ゆっくりと進行している。参加4派は暫定政権の人事問題で話し合
いを続けている。会議は金曜日まで続くかもしれない、と語る外交
官もいる。一方国連はこの会議を水曜までには終わらせるよう求め
ている。水曜にはベルリンでアフガニスタン再建のための支援国会
議が始まる。現アフガニスタン大統領ラバニは、首相候補4人のい
ずれで設け入れる準備がある、とカブールで発表している。首相候
補として、タリバンと戦っているパシュトゥン人の指導者カルサイ、
元大統領モジャデディ、元国王ザヒル シャー支持者のサタル シ
ラトとアシュメド ガイリニの名前が挙がっている。


12月4日(火)

イスラエル 自爆テロに報復

(ラマラ)先日起った自爆テロへの報復として、イスラエル軍は2日続けてパレス
チナ人今日重苦に対し大規模な空爆を行なった。ガザ地区および西ヨルダンランド
での攻撃で、少なくともパレスチナ人2人が死亡し、100人以上が怪我を負った、
とパレスチナ側は伝えている。ラマラではミサイルがパレスチナ政府大統領ヤセル
 アラファトの執務室のある建物の隣に打ち込まれた。先週末の自爆テロ攻撃で、
少なくとも25人が死亡している。
一方、イスラム急進派のパレスチナ人の組織「イスラム聖戦」は、イスラエルで今
後も暗殺を行なう、と威嚇している。

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外相 近東紛争を仲介

(ベルリン)独外相フィッシャーは、近東紛争激化を食い止める努
力を行なった。彼はイスラエル首相シャローン、外相ペレス、パレ
スチナ大統領アラファトと電話で会談し、両者に近東紛争を政治的
に解決するよう強く求めた。EUは、イスラエルによるパレスチナ人
居住区への攻撃を厳しく批判し、これによって「暴力の激化」を食
い止めることはできない、と語った。

カンダハル攻防戦 米地上部隊は不参加

(ワシントン、カブール)米軍はアフガニスタンで、タリバン最後
の拠点カンダハルをめぐる戦闘に、地上軍を投入しない計画である、
と国防相ラムズフェルドは語った。この地域の目撃者によれば、タ
リバンは米軍の空爆にもかかわらず、激しい抵抗を続けている。反
タリバン側は、山岳地帯トラ ボラに兵を集めた。テロの指導者と
目されるビン ラディンは、このあたりの洞窟に隠れていると見ら
れている。

アフガニスタン会議 閉幕間近

(ボン)ペータースベルクでのアフガニスタン会議は、終了を前に
して、暫定政権結成に賛成の方向に向かった。同国の政治の将来の
枠組みに関する協定が成立した、と国連報道官が発表した。それに
よれば、同国南部のパシュトゥン人の指導者カルサイが暫定政府の
首相となることで合意が成立したが、誰が閣僚となるかはまだ議論
の余地がある、とのことである。国連の意向通り、アフガニスタン
会議は水曜日にうまく終わることになる。


12月5日(水)

アフガニスタン会議 和平の基盤作りに成功

(ボン)ペータースベルクで開かれているアフガニスタン会議は、協定を締結し、
同国に和平と民主主義をもたらす基盤を作った。タリバン政権崩壊後3週間で、同
国の4大勢力は新政治体制に合意をした。これによって、巨額の資金援助を受ける
道が開かれた。ドイツ大統領ゲアハルト シュレーダーは国連平和維持軍にドイツ
兵を参加させると約束した。
夜まで続いた長時間の会議の後、会議開始から9日目で、参加した4者はこの協定
に署名したが、閣僚名簿はまだ完成していない。ただし主要閣僚に関しては既に合
意が見られている。さしあたり6ヶ月間の暫定政府の首相を務めるのは、パシュト
ゥン人の指導者ハミド カルザイで、彼は今カンダハル攻防戦で戦いを続けている。

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アフガニスタン支援国会議 開幕

(ベルリン)20年以上に渡って戦争を行ってきた、アフガニスタン
は長期にわたり大規模な国際支援を受ける必要がある、とドイツ外
相フィッシャーはベルリンで開かれているアフガニスタン支援国会
議の冒頭で強調した。短期的には全力を尽くして、同国民が冬を乗
り切れるようにしなければならない、と彼は語り、今までの支援団
体の活動を賞賛した。また彼は国際支援をうまく調整していくこと
に賛成するとも語った。外務省によれば、今までに支援国すべてで
13億ドルが同国再建のために支払うことになっている。国連の人道
問題担当によれば、10月から3月までに6億ドルの支援物資が必要で
ある。

カルザイ 米国の攻撃で負傷してはいないとの情報

(ロンドン、カブール)次期アフガニスタン首相カルザイは、自分
が米国の攻撃の巻き添えで軽傷を負ったという米国防省の発表を否
定した。また爆弾の誤爆により、米国兵3人とアフガニスタンの同
盟者5人が死亡した。米国の戦闘爆撃機はアフガニスタン北部のト
ラ ボラの塹壕地帯を爆撃した。ここにはビン ラディンと彼の組
織の幹部が潜んでいると見られている。

イスラエルで再び自爆テロ

(エルサレム)イスラエルのパレスチナ人による連続自爆テロは終
わっていない。水曜日にもエルサレムで自爆テロが起こり、イスラ
エル人8人が怪我をした。エルサレム市長オルマートとイスラエル
の閣僚3人が滞在している大きなホテルの近くでこの事件は起きた。
イスラエル軍は攻撃をとりあえず中止した。イスラエル首相シャロ
ーンは、テロリストとの戦いを行なうために、パレスチナ大統領ア
ラファトに12時間の猶予を与える決定を下した。しかしパレスチナ
自治区当局はこれを拒否した。


12月6日(木)

タリバン カンダハルからの撤退を予告

(カブール)アメリカによる空爆開始から2ヶ月、イスラム急進派タリバンは、同
国南部にある最後の拠点カンダハルを放棄すると予告した。タリバンの元パキスタ
ン大使ムッラー アブドゥル サラム サエフは、暫定政権の首相ハミド カルザ
イとの間で降伏することで合意し、金曜日に武器を放棄する、またタリバンの指導
者モハマド ムッラー オマルの生命は尊厳をもって保証されていると発表した。
米国はオマルに対する恩赦を拒否した。テロリストの指導者ウサマ ビン ラディ
ンの捜索で、アフガニスタンの反政府勢力の兵士は、東部の山岳地帯トラ ボラへ
迫っている。この地域ではビン ラディンのアル カイダの傭兵による激しい抵抗
が行なわれていると報じられている。

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国連 アフガニスタン暫定政府を確認

(カブール)国連安保理はアフガニスタンの暫定政府を正式に承認
した。暫定政府は12月22日にカブールで政権を引き継ぐことにな
っている。一方反タリバン同盟の有力な代表者たちは、国際的な合
意を得た体制を批判した。ウズベキスタン将軍ドスタムは、自分の
派に十分な権限が与えられていないという理由で、これに従わない、
と発表した。パシュトゥン人の宗教上の指導者サイエド アーマド
 ガイラニは、同国の4つの集団の代表が水曜日にペータースベル
クで署名した協定は、不公平なものである、と主張している。

NATO平和維持軍 アフガニスタンには派遣せず

(ブリュッセル)NATOは組織全体としては、アフガニスタン平和
維持軍に参加しないことを、加盟19ヶ国の外相会談で明らかにし
た。暫定協定で合意した平和維持軍には、それぞれの国の軍から加
わることになる。独外相フィッシャーは、国連の指示が確定した後、
各国に対する派遣要請が決まることになる、と語った。今回の会談
では、ロシアとの協力関係についても話し合われた。この会談は加
盟19ヶ国とロシアが共同して決定を下す新たな委員会で行なわれ
た。

パレスチナ人テロリスト逮捕開始

(ガザ市)イスラエルと国際社会の圧力を受け、パレスチナ大統領
アラファトはガザ地区と西ヨルダンランドで急進派とテロリストと
見られる人物の大量逮捕を開始した。米国の仲介役ツィニーがアラ
ファトとの交渉で長期にわたる休戦の努力を再開し、エジプト大統
領ムバラクは外相マヘルをエルサレムに派遣した。パレスチナ諜報
部と警察は自治区で水曜日以降約200人の急進派と目される人物を
逮捕し、その中にはハマスの指導的人物も含まれている、と中立の
機関は伝えている。ガザ市では急進派の支持者と警察の間で激しい
衝突が起こっていた。


12月7日(金)

アフガニスタンのタリバン支配終了

(カブール)2ヶ月の戦争の末、アフガニスタンのタリバン支配体制は崩壊した。
数千人のタリバン兵は金曜日、最後に残された拠点カンダハルで戦闘を行なわない
まま、迫ってきていた反政府勢力軍に投降した。パシュトゥン人評議会シュラが、
数週間に渡って米国の空爆にさらされたこの町の支配権を握った。同国東部の山岳
地帯トラ ボラ地域ではまだ激しい戦闘が行なわれている。他の地域でもまだ散発
的に戦闘が起きている。テロリストの指導者と目されるウサマ ビン ラディンと、
カンダハル明け渡し条約に合意したタリバンの指導者ムッラー モハメド オマル
がどこにいるかは分かっていない。2人は逃走したとの情報もある。一方アフガニ
スタン暫定政権の首相ハミド カルザイはタリバン時代は終わった、との宣言を出
した。

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NATOとロシア ともにテロ組織と闘う方針

(ブリュッセル)米国攻撃から3ヶ月、NATOとロシアはテロ組織と
の戦いで協力していくことを決めた。そのために数ヶ月後には新た
な委員会を作る、とNATO事務長ロバートソンは露外相イワノフとの
会談後発表した。さらに彼は、協力は、紛争の克服、武器管理、大
量殺戮兵器の拡散防止、ミサイル迎撃網問題、一般市民の飢餓対策
に関するものになり、またロシアはNATOの決定を妨害することがで
きなくなる、とも語った。

イスラエル側の攻撃状況

(テル アヴィヴ)2日間の休戦後、イスラエル空軍はパレスチナ
自治区の施設に対する攻撃を行ない、これをh会した。ガザ市の警
察の建物の攻撃では、少なくとも18人が怪我をした。その他イス
ラエル軍は西ヨルダンランドのジェニンの東でイスラム急進派ハマ
スに属する2人を逮捕した。軍の情報によればこの2人はイスラエ
ルで自爆テロを行なう計画をたてていた。夜にはイスラエル兵が、
西ヨルダンランドのユダヤ人居住区アリエル近郊で、2人のパレス
チナ人を射殺した。イスラエルによる攻撃が再開されたにもかかわ
らず、イスラエルとパレスチナの和平交渉は再開された。

米国 真珠湾の犠牲者の追悼式

(真珠湾)ハワイの真珠湾で、60年前の日本の攻撃の犠牲者の追
悼が行なわれた。3千人を越える出席者の中には攻撃を生き延びた
人、日本戦に参加した退役軍人、9月11日のテロの犠牲者の家族も
含まれていた。大統領ブッシュはワシントンで、194年12月7日の
悲劇は永遠に国民の記憶に刻まれているが、それに加えてもう1つ
の日付2001年9月11日が刻まれる、この日は米国民とその生活が
再び突然暴力的に攻撃を受けた日である、と語った。真珠湾攻撃で
は2,390人の兵士と市民が殺された。米国は真珠湾攻撃後、第2次
世界大戦に参加した。


12月8日(土)

米軍 山地の砦トラ ボラ空爆

(カブール)アフガニスタン南部の都市カンダハル陥落後、反政府勢力軍と米国は
テロリストの指導者ウサマ ビン ラディンとタリバンの指導者ムッラー モハメ
ド オマルの捜査に力を注いでいる。彼らがどこにいるかに関する確実な情報はま
だない。ただしビン ラディンは東部の山岳地帯の砦トラ ボラに潜伏している可
能性がある、と見られている。米軍機が極めて入り込むのが難しい山岳地帯に大規
模な爆撃を行なった。爆撃によって、地下の隠れ家や洞穴網などを埋めてしまう方
針である。

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ドイツ軍 和平部隊に参加の可能性を残す

(ベルリン)連邦政府は今のところ、アフガニスタン和平軍に対す
る最高司令権をドイツが要求するかどうか、態度を明らかにしない
方針である。政府報道官は、もちろんこれに関しては米国との話し
合いを行ない、ドイツが最高指揮権に関心があることを表明するか
どうかには言及できない、また現時点では、国連の部隊派遣命令を
待たなければならない、と発表した。米外相パウエルは、首相シュ
レーダーは英国同様の関心を示した、と発言していた。和平軍にド
イツが参加するかどうかは国連の命令内容次第である、と金曜日に
シュレーダーは語っている。

ベルリン オリンピック誘致を断念

(ベルリン)ベルリン社会民主党と民主社会党の連立協議で、最初
の成果が生まれた。ベルリン市は2012年オリンピックを誘致しな
い、と現市長ヴォーヴェライトが土曜日に発表した。また社会民主
党と民主社会党は、シェーネンフェルト空港を国際空港化する計画
を堅持した。ベルリン社会民主党党首シュトリーダーは、その他ベ
ルリン市の人件費を20億マルク削減する計画も変えない方針だ、
と語った。

首相 賃金交渉に対する信頼を表明

(ベルリン)「労働のための同盟」内で新たな交渉を行なうことが
拒絶されたため、労使間の対立が深まった。使用者側はこの同盟自
体が崩壊する、と警告している。同同盟議長フントは、同盟内部で
賃金問題についてこれ以上話し合いが行なわれないなら、同盟全体
が無意味になってしまう、と語った。しかし連邦首相シュレーダー
は、労使双方が理性的な判断をすると信じており、次回の賃上げ交
渉で決着がつくことに期待しており、労働組合に対し政治的な圧力
をかけることを拒否した。


12月9日(日)

パレスチナ人急進派 自爆テロ中止を明言

(ガザ市)急進派パレスチナ人の4組織は、来週イスラエルで自爆テロを行なわな
い、と発表した。イスラムの断食月ラマダンが終わる来週土曜日まで、イスラエル
人を狙った自爆テロは行なわない、との声明を出した。この声明には、ハマスの武
装部隊とイスラム聖戦も署名している。
この数時間前、米国の仲介役アンソニー ツィニーはイスラエル人とパレスチナ人
に対し、今後48時間以内に休戦合意に至らなければ、仲介役を降りる、との内容
の最後通牒を突きつけていた。日曜日には北イスラエルのハイファで、パレスチナ
人の自爆テロが起き、少なくとも20人が怪我をした。

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国防軍 アフガニスタン大量派遣に反対

(ベルリン)独国防軍内では、財政状況の悪化から、アフガニスタ
ンへの大量派兵に反対する声が強まっている。新聞によれば、国防
省内では軍事と政治のそれぞれの幹部が激しく対立している。指揮
官側は、国防軍改革による部隊の苦境を訴えている。国防軍連合議
長ゲルツは、ドイツはアフガニスタンの国連平和部隊に600人以上
を派遣する準備を行なうことはできない、と語った。一方国防省は
この問題で対立があることを否定している。

米国 ビン ラディンの行方の追求を強化

(カブール)アフガニスタンのタリバン政権の崩壊後、米軍と同国
反タリバン軍はテロリストの指導者ビン ラディンの捜査に一層力
を注いでいる。北部同盟は、彼が千人ほどの腹心と山地の砦トラ 
ボラ近郊に潜んでいると見ている。米軍機はパキスタン国境近くの
4,700メートルほどの標高の山地にほとんど休みなく攻撃を加えて
いる。この山地には洞穴やトンネルがあり、カンダハル陥落後タリ
バンが逃げ込んだ最後の場所と見られている。攻撃と並行して、一
般市民に対する支援も強化されている。ウズベキスタンとタジキス
タンから支援物資を積んだトラックが出発した。

首相 アフガニスタン紛争でプーチンの役割を評価

(ハノーファー)独首相シュレーダーは、ハノーファーで露大統領
プーチンと会談し、アフガニスタンでのタリバン体制との戦いで、
ロシアが果たした役割を高く評価した。一方プーチンは、シュレー
ダーに、ペータースベルクでのアフガニスタン会議が問題なく運ん
だことに感謝した。また2人は近東紛争解決により努力するとも発
言した。和平交渉が進展する機会を作りだすため、イスラエル、パ
レスチナ両者に、政治的な圧力をかけなければならない、とも発言
した。


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