1月14日〜20日のドイツのニュース

1月14日(月)

複合賃金導入でも新たな負債なし

(ベルリン)連邦首相ゲアハルト シュレーダーと社会民主党は、低所得者に対す
る補助を全国で行なうことで、失業者の数を減らす方針である。そのため、ライン
ラント・プファルツ州で行なわれている、いわゆる複合賃金形態が導入されること
になる。これによれば長期間失業している人と生活保護受給者は今より多くの財政
的支援を受け、再就職の機会を得ることになる。シュレーダーは連立与党緑の党と
の話し合いを前に、失業との戦いで、より全面的な対策を講ずることを拒否し、政
府の支出削減の方針を口にした。ドイツ労働組合連合会長ディーター シュルテと
各業種労働組合の首脳は、この複合賃金を歓迎したが、過大な期待を寄せないよう
に警告した。

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元エルフ経営者 政治家への賄賂を関知せず

(パリ)エルフ社の元経営者シルヴェンは、ドイツの政治家に対す
る賄賂の支払いを関知していない。連邦議会議員7人からなる代表
団がパリで逮捕されている75歳のシルヴェンを4時間以上に渡って
尋問した後、政党寄付金調査委員会の議長ノイマンはこのように発
表した。シルヴェンは資金がドイツ人の政界工作担当ホルツァーに
渡ったことは知っていたが、その後については確認していなかった。
ホルツァーはこの資金を別人に渡さなかった、と主張している。連
邦検察も、スイスの捜査書類ではドイツの政治家に賄賂が支払われ
た証拠は見つけられていない。

公務員連合 リースター準備機構を設立

(バート キシンゲン)公務員と公勤務従事者は今後、リースター
年金計画に基づく老齢年金を受け取るための、準備機構を設立する、
とドイツ公務員連合議長ガイアーは労働組合の政治討論集会後、発
表した。彼はあらためて、国が決定した公務員年金の削減策を批判
し、憲法裁判を起こすと発言した。連邦内務相シリーは、今後給料
支払に関するより大きな権限を州に移すと予告しているが、公務員
の代表はこれにも反対している。シリーは国が大きな負債を抱えて
いることを理由として、次回の賃金交渉で大きな期待をしないよう
に、とも語っている。ガイアーはこれには厳しく対抗する、と語っ
ている。

国防軍 カブールで歩哨任務

(カブール)アフガニスタン国際平和部隊に属しているドイツ兵は、
カブールで現地警察と共に巡回を開始した。国防軍の先遣部隊は70
名からなっており、その任務はドイツ兵約千人の到着の準備をする
ことである。18ヶ国4,500人の平和部隊は首都カブールの治安維持
と暫定政権の安全を守ることになっている。


1月15日(火)

カブールの学校 女子生徒にも開放

(カブール)カブールでは5年ぶりに、1万人以上の女子生徒が学校に通った。ドイ
ツの支援を受けたカブールの学校15校は暫定的に再開の準備が進められている。権
力を失ったタリバン政府は、女子が学校に通うことを禁止していた。
またカブールに、ヨーロッパとアジアの16ヶ国が集まり、アフガニスタン暫定政府
に対する緊急支援について議論した。外相アブドゥラ アブドゥラは、政府関係者
に給料分約1千万ドルが不足している、と語った。ドイツ政府は国連を通じて200
万オイロをすでに緊急支援として送っている。

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アフガニスタン派兵に再び遅れ

(ボン)アフガニスタンに派遣されるドイツの先遣部隊の第2陣の
出発には再び遅れが生じている。国防省の情報によれば、パラシュ
ート部隊92名は早ければ水曜日に出発できそうである。出発が遅れ
ているのは、バグラム空港の滑走路が被害を受け、重いアントーノ
フ型機がそこには着陸できないためである。国防省シャルピングは
国防軍第1陣が移動する上で、補給の点での障害が発生しているこ
とを認めた。

モスレムの食肉業者 屠殺許可

(カールスルーエ)数年間の禁止期間を経て、ドイツ国内のモスレ
ムの食肉業者は再び麻酔を使用しないで、家畜の喉を切ることが認
められた。問題になっている屠殺法や血抜きは、この種の屠殺をす
るように定めている宗教組織に食肉業者が属している場合に、許可
される。ギーセンのトルコ系の食肉業者からの訴えにこたえて、連
邦憲法裁判所がこの判決を下した。購買者保護大臣キューナストと
モスレム中央評議会はこの判決を歓迎している。一方動物保護家は
この判決に怒りを表わしている。ドイツ動物保護法は、あらかじめ
麻酔をせずに屠殺することを禁じている。

失業者430万人と予想

(ベルリン)ドイツの1月の失業者数は430万人と予想される。ベ
ルリンで開かれた連立与党の首脳会談でこの数字が公表された。連
邦労働施設所長ヤーゴダは、遅くとも2月にはこの数に達する、と
述べた。キリスト教民主同盟の社会福祉の専門家ラオマンは、失業
者雇用対策を大幅に廃止し、低賃金の労働に数10億オイロを助成
するよう提案した。


1月16日(水)

ザクセン州首相 任期末を待たずに辞任

(ドレスデン)ザクセン州首相クルト ビーデンコプフ(キリスト教民主同盟 
71歳)は任期中の4月中旬に辞任する、とドレスデンで発表した。彼は、内政問題
で非難を受ける原因となったいくつかの事件の責任をとって辞職する。ビーデンコ
プフは1990年に州首相となり、ドイツ東部では現在最も長く州首相を勤めている。
彼の後任には同州キリスト教民主同盟党首ゲオルグ ミルブラントが名乗りを上げ
ている。ミルブラントとビーデンコプフを含む同州同党首脳部だけでなく、野党も
この辞任を求めていた。

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CDUとCSUの選挙戦の責任者にユング就任

(ベルリン)元ヘッセン州首相官房長官ユング(キリスト教民主同
盟)が、キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟の選挙戦の責任
者に就任する模様である。水曜日の新聞報道によれば、彼は首相候
補に指名されているシュトイバー(キリスト教社会同盟)の選挙戦
の調整を主として行なうことになっている。この人選により、両党
の軋轢が選挙戦に大きな損失を招くことは避けられる見通しになっ
た、とも報じている。ユングの参謀はベルリンに事務所を構える予
定である。

新移民法 広範な指示を受ける見込み

(ベルリン)移民法案をめぐる対立で、野党キリスト教民主同盟と
キリスト教社会同盟は大きな圧力を受けている。連邦議会の内務委
員会の専門家に対する聴聞会で、産業界と労働組合は抗議を行なっ
た。内相シリーの法案の方針は正しい、とドイツ労働組合連合とド
イツ工業連合の代表者は発言した。彼らは、高い技能を持つ労働力
が移住してくることで、労働市場は豊かになり、約4百万の失業者
がいるとはいえ、百万人分の人材が不足している、などと語った。
産業界と労働組合からの圧力が強まっているにもかかわらず、キリ
スト教民主、社会同盟の首相候補シュトイバーは、新移民法に反対
の姿勢を崩していない。

伊首相 ヨーロッパに忠実であることを約束

(ローマ)イタリア首相ベルルスコーニは、独外相フィッシャーと
話し合いを行ない、同政府がヨーロッパよりの路線をとると約束し
た。フィッシャーはEU加盟各国に対し、意見の違いを重大視せず、
安全保障および外交政策で共同の路線を取るよう呼びかけ、EUは非
加盟国に対しても門戸を開いておきさえすれば、EUの一体性を維持
する道は見つけられるはずだ、などと語った。今回の会談では、EU
拡大、アフガニスタン戦争、近東問題について話し合われた。


1月17日(木)

ベルリン市政府選挙で騒ぎ

(ベルリン)ベルリンの閣僚選挙で騒ぎが起きた。同市社会民主党党首ペーター 
シュトリーダーは、昨夜2回目の投票でようやく市開発大臣に選出された。この投
票の前には社会民主党のクラオス ヴォーヴェライトが市長であることが確認され
ていた。ヴォーヴェライトは昨年夏に、キリスト教民主同盟との大連立が崩壊した
後、緑の党との暫定連立政権を率いていたが、今度は民主社会党との連立政権をベ
ルリンで初めて成立させた。民主社会党のグレゴール ギージーは副市長となり、
産業大臣に選出された。

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ドイツ産業界 停滞

(ベルリン)連邦首相シュレーダーは、経済は早期に回復し、ドイ
ツの労働市場は安定する、との見込みを語った。1月2月の失業率は
まだ上昇するが、それでも1997年よりも50万人も少ない、と語っ
た。首相は、夏には経済状況は上向きになることに自信をのぞかせ
た。世界的な景気の低迷のため、ドイツ産業界は昨年実質的に0.6%
成長したのみで、ここ8年で最も悪い数字になった、と連邦統計庁
は発表した。一昨年の経済成長率は3%であった。

労働のための同盟 賃金政策で対立

(ベルリン)労働のための同盟の会議を1週間後に控えて、労働組
合は賃上げを求め、使用者側と対立する。バーデン・ヴュルテンベ
ルク、ニーダーザクセン、バイエルンの金属産業労働組合は6.5%
の賃上げ要求を決めた。建築産業労働組合は全国的に4.5%を要求
する。賃金問題に関しては労働のための同盟内部で力くらべが行な
われる。使用者側代表フントは賃金政策を1月25日の会議の主題と
する意向であるが、労働組合側はこれを拒否している。

米国 アフガニスタンを長期支援する計画

(カブール)米国外相パウエルは、アフガニスタン政府に対し長期
的に関与し、米国が大きな経済的支援を行なうと約束した。彼は、
月曜日から東京で開かれる支援国会議で大規模な援助を行なう計画
を発表する、と語った。首相カルザイとの会談で彼は、米国はタリ
バンとアフガニスタンの残っている組織を破壊する方針である、と
も語った。パウエルはこの後インドを訪問し、インドとパキスタン
に、カシミール紛争を政治的な手段で収めるように求めた。一方国
連平和部隊に参加するドイツの先遣隊の第2陣は、アフガニスタン
に到着した。


1月18日(金)

コンゴで火山爆発 避難民多数

(ゴマ)ニイラゴンゴ火山の爆発後、コンゴ民主共和国から数千人が隣国ルワン
ダに逃げ込んだ。現地当局は45万人の難民が発生した、と発表した。溶岩流が発
生し、国境の町ゴマに荒廃した一帯を作り出した。今まで反乱勢力が支配していた
この町と14の村は、大規模に破壊された。少なくとも45人が死亡した。数百人が
溶岩に閉じ込められている、とのことである。
食料の第1回輸送が始まった。国連は緊急支援として200トンの食糧を準備した。
ドイツ政府は30万オイロを支出する。

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イスラエル戦車 アラファトの司令部を封鎖

(ラマラ)パレスチナ人によるテロ攻撃に対抗して、イスラエル軍
は自治都市ラマラの大部分を占領した。パレスチナ大統領アラファ
トの司令部も戦車で包囲した。アラファトは12月初めからここに滞
在している。戦闘爆撃機が月曜日にトゥルカレムにあるパレスチナ
警察を破壊し、その際2人のパレスチナ人が死亡していた。今回の
大規模な軍事行動は、ハデラのユダヤ人家族のパーティをアル・ア
クサ旅団の活動家が攻撃したことに対する報復である。彼は6人の
来客を殺害し、約40人に怪我を負わせた後、射殺された。

EU イスラエルの新たなテロを非難

(マドリッド、ベルリン)EUはイスラエルのハデラでのパレスチナ
人急進派によるテロ攻撃を厳しく避難した。EU理事会議長国スペイ
ンは、アラファトに犯人を迅速かつ積極的に逮捕するよう求めた。
独外相フィッシャーは、この3週間の比較的平静な期間に、両者が
接触しなかったことは極めて残念だ、と述べた。米大統領ブッシュ
は、アラファトはテロ組織を破壊する能力があることを証明しなけ
ればならない、と改めて述べた。

パウエル カシミール紛争解決に自信

(ニュー デリー)インドとパキスタン両国でカシミール紛争が再
燃してから5週間、米外相パウエルは両核兵器保有国が歩み寄ると
見ている。彼はインド政府との会談後、厳しい状況の中にも解決の
糸口は見つかるだろう、パキスタンはインドでテロを行なった犯人
の引き渡しを検討している、と述べた。また、ネパール訪問中のパ
ウエルは、サウジ・アラビアが米兵5千人の退却を求めているとの
報道を否定した。米国紙は、サウジ・アラビアの権力者は国民の中
に反米感情が高まっていることに懸念を示している、と報じている。


1月19日(土)

ファタハ イスラエルにアラファトを攻撃しないよう警告

(ラマラ)パレスチナの組織でアラファトに近いファタハは、イスラエルが、パレ
スチナ大統領ヤセル アラファトに対しこれ以上の対抗措置を取らないよう警告し
た。イスラエルは軍事行動を激化させるのを中止しなければならない、との声明を
出した。またファタハは、組織の活動家とパレスチナ人全員に向け、戦時体制を取
るように呼びかけた。ラマラ周辺は不穏な情勢になっており、パレスチナ側の情報
によれば、土曜日には8人のパレスチナ人が怪我をし、そのうち2名は重傷である。
イスラエル兵は爆弾数発を使って、「パレスチナの声」の建物をほぼ完全に破壊し
た。その他軍はアラファトが12月初めから抑留されている司令部の封鎖を強化し
た。

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ニイラゴンゴ火山の溶岩流さらに続く

(ゴマ)コンゴ民主共和国のニイラゴンゴ火山の爆発後3日経ち、
再び溶岩流がゴマ市を襲い、キヴ湖に達した。この地域では地震も
発生している。ゴマの住民50万人の大部分はルワンダのギセニイに
避難した。住民の話では、ここ数日間は数千人が飲まず食わずの状
態だった。赤十字は食料と水の配給を開始した。国連事務総長アナ
ンは、各国政府に支援を求めた。米国は支援物資を送ると約束した。
ドイツ政府は全部で130万オイロの緊急支援を用意した。一方ルワ
ンダではコレラと脳膜炎が広がるのではないか、と懸念されている。

アフガニスタン首相カルザイ サウジ・アラビア訪問

(リヤード)アフガニスタン暫定政権首相カルザイはサウジ・アラ
ビアに滞在中である。カルザイは土曜日にファヒド国王と皇太子と
会談し、外交関係の再開と、戦争で破壊されたアフガニスタンに対
する経済的支援について話し合った。サウジ・アラビア政府は経済
支援を約束したが、はっきりした内容は明確にしなかった。カルザ
イは月曜日に日本で始まるアフガニスタン支援国会議に参加する予
定である。

アフガニスタン政府 ドイツの指揮に賛成

(ハンブルク)アフガニスタン暫定政府首相カルザイは、カブール
の平和部隊の指揮をドイツが取ることに賛成した。シュピーゲル誌
のインタヴューで彼は、ドイツはアフガニスタンの反政府勢力をず
っと支援してきたので、英国から指揮を引き継ぐ可能性がある、と
語った。駐カブールドイツ軍部隊の司令官ブトラーは他の地域へと
指揮権を拡大する可能性はない、と語った。一方ドイツの先遣部隊
の最後の兵士がアフガニスタンに到着した。


1月20日(日)

国連 避難民にコレラが発生する危険を警告

(ゴマ)ニイラゴンゴ火山の爆発後、避難している約40万人のコンゴ住民が健康
上の危険にさらされている。国連は、飲み水不足のため、コレラが発生する危険が
ある、と警告している。略奪を受ける恐れがあるため、数万人がルワンダの隣町ギ
セニイから、溶岩流で半分が破壊されたゴマ市へ戻った。彼らは、マグニチュード
4.5以上の地震にも動じていない。一方緊急支援物資を乗せた最初のトラックがこ
の地域に到着した。援助団体は食料の配給を開始した。EU理事会は500万オイロ
の緊急支援を準備した。

     その他のニュース

ドイツ警察 アフガニスタンに協力

(ベルリン)ドイツは今後4年間で3億2千万オイロを使って、アフ
ガニスタンの再建を支援する。この方針を、月曜日に東京で始まる
国際支援国会議を前に発展支援大臣ヴィークツォレック・ツォイル
が発表した。この資金は学校と独立の司法制度を作るために用いら
れる。この他アフガニスタン警察の再建のための支援も行なう。日
曜日にアフガニスタンでドイツ政府と警察の代表8人が集まった。
今のところアフガニスタン警察は国際平和部隊と共に首都カブール
の治安維持の活動を行なっている。

アフガニスタンで米兵2人 ヘリ事故で死亡

(カブール)アフガニスタン北部で米国のヘリコプターが事故を起
こし、2人の米兵が死亡し、2人が重傷を負った。米国軍部は、墜落
ではなく、着陸時の事故であり、事故原因は不明である、と発表し
た。米軍は10月のアフガニスタン派兵以来、3機の航空機を失った
ことになる。

パレスチナ アラファトの包囲を止めるよう要求

(ラマラ)ガザ地区と西ヨルダンランドでは、数千人のデモ隊がパ
レスチナ大統領アラファトの包囲続行に抗議するデモが行なわれた。
ラマラでは、イスラエル軍の戦車が住宅地で立往生したさいに、パ
レスチナ人の急進派と銃撃戦になり、パレスチナ人5人が怪我をし
た。イスラエル軍はラマラを部分的に占拠し、アラファトの事務所
の前に戦車を置いている。急進派パレスチナ人の組織イスラム聖戦
は、イスラエルがアラファトの幽閉を中止しないのであれば、攻撃
を行なう、と脅している。一方イスラエル政府は、アラファト率い
るファタハの武装軍と目されているタンシム旅団に対し厳しい措置
を取る、と予告している。


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