2月4日〜10日のドイツのニュース

2月4日(月)

独仏協議 ベルリン近郊で開催

(ベルリン)ドイツ首相ゲアハルト シュレーダーとフランス大統領ジャック シ
ラクは、年次独仏協議のために集まった。。ベルリン近郊のグリーニケ城では主と
して、3月中旬にバルセロナで行なわれるEU特別首脳会議の準備会談が行なわれる。
2人がエアバス社の今後に関して話し合うものと期待されている。ドイツとフラン
スは、他の6ヶ国と合わせて新型のA400M型輸送機196機を購入する方針である。
会議にはフランス首相リオネル ジョスパンと外務大臣ユベール ヴェドリン、ド
イツからは外務大臣ヨシュカ フィッシャーも参加する。

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首相 労働と社会福祉の改革を計画

(ベルリン)連邦政府は、9月の連邦議会選挙後、支出削減の方針
を転換しない範囲で、労働と社会福祉の分野でさらに改革を進める
計画である、と首相シュレーダーは発表した。連立政権は財政基盤
の安定化を維持しする方針で、2002年以降もこれには変わりがな
い、次の任期でも増税はない、などと彼は語った。ドイツ産業商業
会議議長ブラオンは、改めて労働と福祉分野での改革を求めた。

ブッシュ 赤字予算を提案

(ワシントン)テロとの戦いを進める米大統領ブッシュは、国防と
治安維持のための支出を過去20年で最大にする方針である。2003
年度予算計画では、そのほかの計画はその影響を被らざるをえない。
米政府は月曜日、議会に予算を提案した。5年ぶりに800億ドルの
赤字の計画である。2007年まで総額で1,200億ドル増額し、年額
4,510億ドルの国防予算を組むことにしている。フロリダの空軍基
地エグリンでブッシュは、議会に軍事予算を減額することなく賛成
するように求める、と演説した。

トルコ 地震の被災者の捜査を中断

(アンカラ)トルコ西部での大地震から1日経ち、当局は生存者の
捜査を一時中断した。150の建物の瓦礫の下からはすでに遺体も発
見されていない、と発表があった。日曜日に震度6の地震がアフヨ
ン州で発生し、およそ45人が死亡し、数百人が負傷した。余震に備
えて、数千人が気温が氷点下に下がる中、夜を屋外で過ごした。物
資の供給は遅々として進んでいない。テントなどが特に不足してい
る。独政府は、トルコ政府に哀悼の書簡を送り、援助を申し出た。


2月5日(火)

1月の失業者430万人

(ニュルンベルク)ドイツの1月の失業者数はおよそ430万人に増加した、と「ビ
ルト」紙は報道した。それによれば、昨年1月と比べて失業者は19万7千人増加し
た。連邦労働施設は水曜日に公式の数字を発表する。
専門家評議会議長ユルゲン ドンゲスは、景気は上向きであるが失業者は増加して
おり、その原因はドイツの労働市場の硬直性にある、と語った。

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会計検査院 職業紹介が上手く機能していないと批判

(ベルリン)連邦労働施設は、職業紹介の統計処理が上手く行なえ
ていないとの非難を受けている。連邦会計検査院は、公式発表より
もはるかに少ない失業者にしか当局から仕事が斡旋されていない、
との調査結果を公表した。調査した約5,000人の70%の登録に間違
いがあった、との報告がある。連邦労働省は、全面的な解明を求め
た。使用者側も明確な批判を行なった。

新情報提供者 発見

(シュトゥットガルト)ドイツ国家民主党の禁止動議で、新たな情
報提供者が現われた。バーデン・ヴュルテンベルク内務省が正しい
と認めた情報によれば、同州同党の青年部部長が、極右の同党が憲
法を敵視していることを証す言葉に言及する予定である。この男は
短期間シュトゥットガルトの憲法擁護庁の事務所で働いていた、と
のことである。もし実現すればこの禁止動議で5番目の情報提供者
ということになる。連邦憲法裁判所では文書の形で、国家民主党の
禁止を連絡することになる。

EU 自動車取引きの改革を決定

(ストラスブール)欧州委員会は自動車販売の改革に関する提案を
可決した。競争政策担当のモンティは、新たな規則で、自動車製造
大企業の力を抑え、購買者に安い価格で提供する方針である。彼は、
この措置を欧州議会に提案する理由として、欧州内部で車の価格が
大きく異なることを挙げている。独首相シュレーダーはこの計画を
準備中から批判していた。この措置は、ドイツの自動車産業にとっ
て大きな競争上の不利益になる、とリュッセルスハイムのオペルの
新工場の始動記念式で語った。自動車製造者と労働組合もこれを批
判している。


2月6日(水)

失業者約430万人

(ニュルンベルク)景気後退と厳しい冬のため、ドイツの失業者数は430万人弱ま
で増加し、2年前の水準に逆戻りした。連邦労働施設の発表では、昨年12月と比べ
て32万6千人失業者が増えた。ここ数ヶ月同様、失業は増加し、とくに西部が目立
っている。失業率は10.4%である。
野党各党はこの問題を取り上げ、首相ゲアハルトは人々と約束をしたのに、連邦政
府は失業問題に無策である、と非難した。

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ヤーゴダ 辞任拒否

(ニュルンベルク)連邦労働施設所長のヤーゴダは、同所が情報を
上手く扱えていないと非難を受けたことによる辞任を拒否し、同所
が改善を行ない、ふさわしい形になったことを示すことが、責任を
取ることだ、と語った。連邦会計検査院は、同所が紹介した職の7
割が求めるものではないなど、職業斡旋の情報処理に大きな間違い
があったと非難し、同所の効率性を疑問視していた。

内閣 賃金の補助を全国で導入することを決定

(ベルリン)内閣は、いわゆる複合賃金を全国で導入することを決
定した。国が低賃金労働に補助金を公布する通達は3月1日に発行す
ることになる。この措置により、失業者が低賃金の仕事についた場
合には、社会保険に対し一律の補助が受けられる。この措置で今年
435億オイロの支出が見込まれる。

BSE危機にもかかわらず 農家の収入増える

(ベルリン)BSE危機があったにもかかわらず、昨年度のドイツの
農家の収入は予想より増加した。これは購買者保護大臣キューナス
トが内閣に提出した、2002年農業報告に掲載されている。2000/
01年度の主要な農家の平均収入は17.7%、36,300オイロ増加した。
この原因は牛乳と豚肉の生産にかかる費用が値上がりしたためであ
る。一方牛飼育を行なっている農家は、BSE発生による価格下落の
ため、大きな打撃を受けている。自然農法の農家は収入を伸ばして
いる。


2月7日(木)

労働市場問題の余波

(ベルリン)連邦労働施設の職業紹介に関する数字が粉飾されていた問題は広がり
を見せている。首相府は1月始めの時点で既に職業斡旋に関して職務怠慢があるこ
とを知らされていた、との情報があるが、政府報道官はこれを認めた。首相府はこ
の情報に関心を寄せていなかった、と報じられている。労働大臣ヴァルター リー
スターは、この問題の全面的な解明を約束した。彼は連邦労働施設の首脳部に、来
週金曜までに疑惑に関してはっきりした態度を示すよう求めた。
連邦会計検査院は、(連邦労働施設の地域事務所である)地域労働局数ヶ所を調査
して、報じられているような失業者の50%ではなく、20%にしか仕事が斡旋されて
いなかったことを明らかにしている。

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欧州中央銀行総裁 辞意表明

(フランクフルト アム マイン)欧州中央銀行の首脳部が来年半
ばに交代する。総裁ヴィム ドュイゼンベルクは任期満了の前であ
る2003年6月9日に辞任する、と発表した。この日に彼は68歳に
なる。彼は1988年の就任の時既に、年齢を理由に8年の任期前に
辞職するつもりである、と語っていた。彼の辞任表明で、後継者選
びに関する観測が加熱しているが、フランスの発券銀行の総裁トリ
シェが本命視されている。

欧州議会 近東問題で新たな提案

(ストラスブール)近東紛争が再び激化しているため、欧州議会は
国際監視団をこの地域に派遣するよう要請した。占領地域のパレス
チナ人の状況は極めて悪化し、テロの犠牲者となるイスラエル人の
数が増加しているため、新たな提案を行なうことが必要だ、との決
議が行なわれた。イスラエルに対しては、パレスチナ人自治政府を
再び会談相手として認めるように要請した。一方米国訪問中のイス
ラエル首相シャローンは、パレスチナ大統領アラファトを孤立させ
るつもりである、と述べた。また木曜夜イスラエルのヘリコプター
が、西ヨルダンランドのナブルスにあるパレスチナ人秘密情報部の
建物に、ミサイルを発射した。イスラエル側はこれより前、夜のう
ちに、知事の本拠地に対する報復爆撃も行なっていた。

エルサレムの「東洋館」解放されず

(テル アヴィヴ)東エルサレムにあるいわゆる「東洋館」は今後
6ヶ月間閉鎖されたままになる。この措置により、イスラエルがエ
ルサレムの主権を有していることが保証される、と安全保障大臣ラ
ンダウは発表した。警察は「東洋館」を、エルサレムのピザ屋が攻
撃を受けた昨年8月から占領している。この建物はパレスチナ解放
組織PLOが、同市のアラビア人地区の非公式な代表部として使用し
ていた。同館の閉鎖は国際的に強い抗議を受けている。


2月8日(金)

EU軍 マケドニア派遣か

(マドリッド)EUは初めて軍事作戦の指揮権を得るべく努力しており、実現した
場合にはNATO主導ではあるがマケドニア派兵を検討する。スペインのサセレスで
開かれているEU外相会談で、この問題に関して基本的な合意が得られた、と代表
筋からの情報が得られた。ヨシュカ フィッシャーはEU外交問題の代表ハヴィエ
ル ソラナのこの問題に関する提案を歓迎した。いつEUが指揮権を引き継ぐかに
関しては、まだ完全に決着がついていない。NATOはまず、指揮権そのものを委ね
るかどうかに関して、態度を表明しなければならない。またEUはNATO軍の物資補
給の態勢を利用しなければならないが、これに関する協定はまだ結ばれていない。

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外相 仏政府の米国批判を評価

(パリ)フランスは米国の外交政策への批判を強めている。首相ジ
ョスパンは、世界の問題はテロとの戦いと軍事力の投入だけではな
く、国際協力が急務である、と語った。同様の内容のことを外相ヴ
ェドリンも語った。独外相フィッシャーは、フランスのこの態度に
理解を示し、欧州は安全保障を軍事面に限定しているわけではなく、
紛争の原因を克服することを目指している、と語った。彼の言葉ど
おり引用すれば、この問題に関しては「欧米間には大きな議論の必
要性」がある。

NPD禁止に関する駆け引きは続く

(ベルリン)国家民主党禁止訴訟をめぐる政治的な駆け引きは続い
ている。連立政府側は連邦議会、連邦参議院、連邦政府の3つの禁
止動議に固執しているが、野党には一括して扱うよう求める動きが
出ている。キリスト教民主同盟は連邦議会に、連邦議会が提出した
動議を断念するよう求めた。一方キリスト教社会同盟は、この3つ
が共同で国家民主党禁止に取り組むことになるだろうと見ている。
両党と自由民主党は、連邦議会内務委員会の証言者問題の特別会議
で攻勢に出たが、失敗した。国会議長ティールゼは、金曜日にこの
動議に賛成することを拒否した。

政府 労働局問題の批判を退ける

(ベルリン)連邦政府は、地方労働局が就職の斡旋数を粉飾してい
た問題の取り扱いで、機能不全に陥っていない、と見ている。政府
報道官ハイエは、この問題を取り上げた文書が首相府で放置され、
隠蔽されていたとの非難を退けた。首相府はこの文書を受け取った
直後、連邦労働施設に対して字体を解明するよう命じていた、首相
シュレーダーは明らかになった欠点と組織上の問題をできるだけ早
く分析し、必要な改革を行なうことに大きな関心を示している、と
彼は発表した。連邦労働施設所長ヤーゴダは、辞任の意志はない、
と発表した。


2月9日(土)

EU 近東交渉を要求

(サセレス)EUは近東和平交渉を再開するよう求める、との方針が土曜日、スペ
インのサセレスで開かれているEU外相による協議会の後発表された。ドイツ外務
大臣ヨシュカ フィッシャーは協議会終了後、近東が欧州安保体制の一部である以
上、ヨーロッパは緊急にこの問題に取り組まなければならない、各国外相は、パレ
スチナ人居住地区で住民投票を行なって、交渉が行なえるような地盤を作る提案を
めぐって話し合った、と語った。これはパレスチナ人国家承認へ向けた第1歩であ
る、とのことである。フランスが求めているような、パレスチナ人国家承認を迅速
に行なうのは時期尚早である、との意見が会談では出ている模様である。フィッシ
ャーは、来週この地域を訪問して、和平交渉再開の努力を行なう方針である。

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ハマス 武装闘争続行を呼びかけ

(ガザ)イスラム急進派ハマスはパレスチナ人に、イスラエルに対
する武装闘争の続行を呼びかけた。ハマスの指導者アブデル アシ
ス ランティシは、イスラエルや米国は紛争を終決させる努力を行
なっていない、そのため聖戦は続行しなければならない、と語った。
一方イスラエル軍は、負傷者を出した西ヨルダンランドで衝突事件
で、暴力を行使した犯人の追及を行なった。

EU委員パッテン ブッシュを批判

(ロンドン)EU外交委員パッテンは米大統領ブッシュの外交政策を
批判した。イラク、イラン、北朝鮮が悪の枢軸をなしているとした
最近のブッシュの発言は、事態の改善の貢献するものではない、と
彼は評した。パッテン(英国保守党)は、ヨーロッパはイランと北
朝鮮の穏健派を支援する政策をとっており、言葉づかいの問題で力
をほとんど使いつくしてしまう米国がとっている政策より明らかに
大きな成果を挙げる、と強調し、米国政府内で穏健派の外相パウエ
ルが自分の立場を貫くことが求められる、と語った。

G7 オタワで開幕

(オタワ)主要7工業国の蔵相と中央銀行総裁が、カナダのオタワ
に集まり、世界経済とアルゼンチンの財政危機について話し合う。
その他、日本の長期的景気後退と国際テロ組織の資金源との戦いも
話し合われる。米蔵相オニールによれば、9月11日の攻撃以降149
ヶ国で合わせて1億400万ドルの資産が凍結されている。ドイツか
らは病気の蔵相アイヒェルに代わり、政務次官コッホ・ヴェーザー
が出席している。


2月10日(日)

イスラエル パレスチナ人へ報復攻撃

(ガザ市)イスラエル軍機が、ガザ地区のパレスチナ政府の施設を、報復のため攻
撃した模様である。パレスチナ側の情報によれば、イスラエルの戦闘機が、パレス
チナ大統領ヤセル アラファトの拠点がある建物をミサイルで攻撃し、少なくとも
18人が負傷したとのことである。その前には南イスラエルの都市ベルシェバの軍
施設の近くにあるレストランで発砲事件があり、2人のイスラエル人女性が死亡し、
少なくとも5人が負傷していた。この事件の犯人と見られるのは2人のパレスチナ
人で、警察の発表によればイスラエル兵により射殺された。

     その他のニュース

ドイツ連銀総裁 景気は底をうったと発言

(オタワ)ドイツ連邦銀行総裁ヴェルテケの見解によれば、ドイツ
の産業界は底をうった。彼はカナダのオタワで開かれていたG7の蔵
相と発券銀行の代表の会議に参加していたが、会議後、はっきりと
したものではないが楽観的に考えてよい兆しがある、と語った。他
の参加者も声明の中で、世界経済が間もなく回復するとの楽観的な
見通しを表明した。その声明の中では、予想は上向きになったが、
景気後退を克服するためにはさらなる対応が必要だ、と謳われてい
る。

シュレーダー EUの警告に抵抗

(ベルリン)独首相シュレーダーは、EUがドイツの赤字財政に関し
て出した早期警告を不当なものだ、と評した。経済紙に答えて彼は、
EU委員会による警告は安定条約に基づくものではない、と語った。
ドイツの赤字は2.7%で、EUの目標値をしっかり守っており、政治的
に影響力のある対策を取る必要はない、とも語った。ドイツ連邦銀
行副総裁エンゲレン・ケーファーは、ドイツは今なお統一の問題と
戦っているので、3.0%という赤字の上限が厳しすぎないかどうか、
という問題が生じている、と語った。

ヤーゴダに対する圧力強まる

(ベルリン)地方労働局で就職斡旋の数字を粉飾していた問題が新
たに発見され、連邦労働施設所長ヤーゴダに対する圧力は強まって
いる。社会民主党内でも彼の辞任が論じられている。同党国会議員
団長代理テネスは、事態が明らかになれば、ヤーゴダとの協力関係
を維持することは出来ないだろう、と語った。既に自由民主党はヤ
ーゴダと労働大臣リースターの辞任を要求していた。週末には、ヤ
ーゴダが1998年の時点で既に粉飾を知っていたことが明らかになっ
ている。


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