2月11日〜17日のドイツのニュース

2月11日(月)

イスラエルの報復攻撃で負傷者多数

(ガザ市)イスラエルは、日曜日のパレスチナ人によるテロ攻撃に対し、激しい攻
撃を加えて報復した。戦闘爆撃機とヘリコプターが、ガザ市のパレスチナ治安軍と
諜報機関の事務所がある建物に対し攻撃を加えた。負傷者が数十名出たとの報道が
ある。日曜日夜の最初の攻撃の際には、国連事務所も被害を受けた。これより前イ
スラエル南部の都市ベールシェヴァで武装したパレスチナ人が、イスラエルの女性
兵士2人を射殺していた。国連近東特使テルジェ レド・ラーセンは両者に対し、
交渉を再開するよう呼びかけた。

     その他のニュース

オイロ利用国蔵相 審議開始

(ブリュッセル)オイロ利用国12ヶ国の蔵相が、ドイツの国家財政
の赤字に対する早期警告に関する審議を開始した。EU外交筋によれ
ば、まだ何も決まっていない、とのことである。ただし舞台裏では、
各国がドイツを十分支援する方針であった。英国蔵相ブラウンは、
独蔵相アイヒェルに、ドイツが財政赤字を抱えていることを警告し
ようというEU委員会の提案に反対すると約束している。同様の支援
の態度を他のEU加盟国もとっている。

ドイツ・メキシコ 関係拡大の方針

(メキシコ シティ)ドイツとメキシコは両国関係を拡大する。こ
の方針を独首相シュレーダーとメキシコ大統領フォックスが当地で
の会談後発表した。シュレーダーは、このところ貿易が二桁の伸び
を示していることを指摘した。フォックスは両国が長い交流の伝統
を持っていると述べた。メキシコは北アメリカから経済的に独立す
るために、ドイツのと貿易関係を発展させることに大きな感心を抱
いている。現在同国は貿易の90%を米国とカナダとの間で行なって
いる。フォックスはドイツに、新たな国際的な秩序を構成するため
にドイツが中心的な役割を果たすよう求めた。メキシコは、シュレ
ーダーの中南米訪問の最初の国であり、この後ブラジルとアルゼン
チンを訪問する。

シャルピング ウズベキスタンの飛行場利用で交渉

(タシケント)独国防相シャルピングはウズベキスタンとの軍事協
力態勢を拡大する方針である。首都タシケントを訪問中の彼は、同
国大統領カリモフと会談し、テレメス基地をドイツ国防軍が長期的
に使用する計画について話し合った。テレメス基地からアフガニス
タンに派遣されている国防軍に物資が運ばれることになる。火曜日
にはシャルピングはカブールに移動し、アフガニスタン首相カルザ
イおよび国際和平部隊に参加しているドイツ兵との会談を行なう。


2月12日(火)

ミロシェヴィッチ裁判

(デン ハーグ)国連の戦争犯罪法廷で、元ユーゴスラヴィア大統領スロボダン 
ミロシェヴィッチ(60歳)に対する裁判が始まった。国家元首が国際法廷で重大犯
罪の裁判を受けるのは初めてであろう。彼は大量殺人と人間性に対する犯罪で、責
任を問われている。主席公訴人カルラ デル ポンテは、ミロシェヴィッチにクロ
アチア、ボスニア、コソヴォで数百人の人間を殺し、迫害し、追放した責任がある、
としている。この裁判は水曜日午前中も引き続き行なわれる。

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独政府 財政政策変更の予定なし

(ブリュッセル、メキシコ シティ)EU加盟各国の蔵相が、ドイツ
に対し予算の赤字を減らすように決議が下されても、連邦首相シュ
レーダーは、連立与党の財政政策の基本方針を変化させるつもりは
ない。メキシコ シティでシュレーダーは、連邦政府は景気が下向
きであるにもかかわらず、目標を達成し、強い安定化政策を取る努
力をする、と語った。これより前、EU蔵相審議会でドイツ政府は多
額の負債に対し、公式の警告が出されるのを免れたが、今度は国家
財政を以前の予定よりも早く立て直さなければならないことになっ
た。政府は2004年までに赤字をほぼ全額なくす予算を組むことが義
務づけられた。政府はもともとはこの期限として2006年を挙げてい
た。

シャルピング アフガニスタン訪問

(カブール)ドイツはアフガニスタン国際平和部隊で、ドイツの役
割をこれ以上増やさない、と国防相シャルピングは語った。アフガ
ニスタン暫定政権首相カルザイとの会談で彼は、部隊の指揮権を拡
大したいとの同国政府の要望を理解している、と述べた。シャルピ
ングはカルザイに対し、どれだけの兵士がさらに必要か、計画を提
示してほしい、と求めた。シャルピングはアフガニスタンに1日滞
在し、ドイツ兵を訪問した。現在アフガニスタンには570名のドイ
ツ人が派遣されている。

欧州・イスラム フォーラム イスタンブールで開催

(イスタンブール)ヨーロッパとイスラム諸国の外相は、世界規模
のテロ組織と協力して闘う方針である。EUとイスラム協議機構の代
表はイスタンブールで2日間の予定で討論会を開催すると宣言し、
両文化圏に相互に争わないように、対話を集中して行なわなければ
ならない、と言ったことを話し合う。独外相フィッシャーは、自分
の独自性を持ちたいと言う人間の希望と、社会的偏見を取り除くこ
とを両立させるために、寛容の文化が必要だ、と訴えた。


2月13日(水)

外相 近東仲介交渉開始

(カイロ)ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは4日間の近東仲介交渉開始の
ためにエジプト入りした。フィッシャーは主として大統領ホスニ ムバラクとアラ
ブ連合事務長アムレ ムサとの会談を行なう。この後イスラエルとパレスチナ人居
住区を訪問する。一方イスラエルはパレスチナ人に対する強硬姿勢を崩していない。
イスラエル軍は水曜日、ガザ地区のいくつかの自治区に侵入し、パレスチナ側の情
報によれば、5人のパレスチナ人が死亡した。軍は急進派と見られる20人を逮捕し
た。18時間に渡り占領した後、軍は夜にはパレスチナ人の住む村2つからは撤退し
た。

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アル カイダ兵士 イエメンで爆死

(サヌア)テロ組織アル カイダの隊員と見られる男1人がイエメ
ンで爆死した。この男はイエメン治安部隊に包囲されていた、と警
察は発表している。米テレヴィ局によれば、この男は米国が行方を
追求していた最重要人物の1人で、14ヶ月前のアデン港の米軍艦艇
攻撃に関与していたものと見られている。米国連邦警察は火曜日、
数日中に米国内、あるいはイエメンの米国施設で、新たなテロ攻撃
が行なわれる可能性があると警告していた。

テロ対策で協力

(イスタンブール)欧州諸国とイスラム世界は協力して国際テロ対
策を取る。この問題に関しては共同責任がある、との宣言が2日間
の日程でイスタンブールで開かれていた会議の終幕にあたり、EUと
イスラム諸国機構から出された。両者はパレスチナ人国家の設立に
賛成した。近東問題は公正で包括的な解決が行なわれなければなら
ない、9月11日のテロ攻撃は、異文化間の寛容と相互理解を深めて
行くことが必要であることを示している、と声明には謳われている。

ミロシェヴィッチ リンチ裁判の犠牲者と自称

(デン ハーグ)元ユーゴスラヴィア大統領ミロシェヴィッチは、
デン ハーグの戦争犯罪法廷をリンチ裁判を行なおうとしていると
非難した。裁判開始後初めての弁論で彼は、以前と同様この法廷の
適法性を否認している。同法廷の公訴人は水曜日に改めて、1991
年から9年の間行なわれた3度の戦争中の残虐行為の責任はミロシ
ェヴィッチにある、とした。検察側は、彼には戦争犯罪の他、クロ
アチア、ボスニア、コソヴォでの大量殺戮と人権に対する犯罪の責
任がある、としている。ミロシェヴィッチはみずから弁護を行ない、
木曜日にはこの裁判の論戦で正式な態度表明を行なう、と予告して
いる。


2月14日(木)

近東で武力衝突続く

(エルサレム)イスラエル軍の情報によれば、ガザ地区では少なくとも3人のイス
ラエル人が死亡した。急進派パレスチナ人が、兵士が護衛していた民間のトラック
に発砲し、爆薬に火をつけたが、その直後には戦車がその地点に派遣されたが、再
びそこで爆弾が破裂した、と軍報道官は発表した。
ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、イスラエルとパレスチナ人に対し、暴
力の果てしのない激化に歯止めをかけ、交渉を再開するように呼びかけ、両者は完
全に壊れた信頼感を一歩一歩回復する努力をしなければならない、とテル アヴィ
ヴ大学で演説した。

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ドイツとブラジル 協力に合意

(ブラジリア)ドイツとブラジルは、国連安保理辞常任理事国入り
を目指し相互に協力することで合意した。国連安保理の改革が必要
であるとの声明を、独首相シュレーダーとブラジル大統領カルドソ
はブラジリアでの会見後発表した。さらに2人は広範囲で政治経済
上の両国関係を強化することにも合意した。シュレーダーは木曜日
中にはアルゼンチンに向けて出発する予定であった。

ミロシェヴィッチ すべての容疑を否認

(デン ハーグ)元ユーゴスラヴィア大統領ミロシェヴィッチはデ
ン ハーグの戦争犯罪法廷で、起訴されている全ての点を否認した。
彼は弁論の中で、NATO各国を激しく攻撃した。彼は大量殺戮、人
間性に対する犯罪および戦争犯罪で訴えられている。ベオグラード
ではセルビア首相ジンジッチが、同法廷に戦争犯罪の容疑者を引き
渡す、その中には現職セルビア大統領ミルチノヴィッチも含まれる、
と語った。

ジンバブエ EU監視団入国許可

(ハラレ)ジンバブエ政府はEUの代表30人を、3月9日と10日の大
統領選の監視団として受け入れた。これは南アの通信社が伝えたも
ので、団長のスウェーデン人スコリは信任されていないとのことで
ある。EUは、監視団と外国人報道関係者がジンバブエで活動するの
に同意しなければ、制裁を課すと現職大統領ムガベに圧力をかけて
いた。


2月15日(金)

外相 近東は危険な状況と判断

(テル アヴィヴ)ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、近東は急を要する
事態へと先鋭化している、と見ている。イスラエル外務大臣シモン ペレスとテル
 アヴィヴで会談した後、彼は暴力の即時停止と、イスラエルとパレスチナは交渉
を再開しなければならない、と訴えた。フィッシャーは、まずパレスチナ人国家建
国を宣言し、その後交渉を再開すべきであるとのペレスの提案にはっきりと賛成し
た。
一方暴力はますます激化している。イスラエル戦闘爆撃機は金曜午後、ガザ地区の
目標を攻撃し、パレスチナ人警察の5人が怪我をした、とのパレスチナ側の情報が
ある。

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カブール政府 殺害された閣僚は陰謀の犠牲者と発表

(カブール)カブールの空港で殺害された空輸・観光大臣ラハマン
は、暫定政府首相カルザイによれば、政府閣僚の謀議の犠牲者であ
り、容疑者数人が逮捕されている。カルザイは、犯行の動機は北部
同盟内部の不和である、と示唆した。一方政治的な背景はない、と
の報道もある。当初ラハマンは、サウジアラビア行きの飛行機が遅
れたメッカ巡礼参加者に殴り殺された、と報じられていた。一方、
国際治安維持部隊の兵士とカブール市選抜の選手によるサッカーの
試合で衝突が起こった。警察、ドイツとオランダの兵士は、入場券
がないのに競技場に入ろうとした数千人に、警告の射撃を行ない、
警棒を使って対抗した。ドイツ兵2人を含め多くのけが人がでた。

ハイダー 連邦政治から引退

(ウィーン)右派ポピュリズム政党オーストリア自由党の実力者ハ
イダーは、同国の連邦政治からの引退を発表した。この決定は最終
的なものである、と彼はテレヴィインタヴューで語った。ケルンテ
ン州首相である彼は、イラク大統領サッダーム フセインを訪問し
たため、同党内部からも批判を受けていた。オーストリアは自由党
が保守的な首相シュッセル率いる国民党のとの連立政府を作ってい
る。

ミロシェヴィッチ NATOとドイツを攻撃

(デン ハーグ)元ユーゴスラヴィア大統領ミロシェヴィッチ国連
戦争犯罪法廷での弁論で、NATOに対する攻撃を続け、NATOはど
んな結果になるかを知りながらコソヴォ空爆で一般市民を殺害した、
と語った。また彼は、ドイツはバルカン戦争を意図的に激化させた、
とも非難した。同時に彼は、西側の政治家数人を証人として召喚し
たい、とも述べた。ミロシェヴィッチは大量殺戮、戦争犯罪、人間
性に対する犯罪で合わせて66件の訴訟の対象になっている。


2月16日(土)

ユダヤ人入植地で自爆テロ 3人死亡

(エルサレム)西ヨルダンランドのユダヤ人入植地カルネイ ショムロンにあるシ
ョッピングセンターで、パレスチナ人の自殺テロ犯が2人のイスラエル人を巻き込
んで爆死した。警察の発表によれば、27人が怪我をし、重傷者もいるとのことで
ある。この攻撃を行なったのは、急進派のパレスチナ解放人民戦線である、とアラ
ブの放送局アル ジャジラは報じている。
ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは近東訪問の締めくくりで、イスラエルと
パレスチナ人に対し、停戦を実現するための努力を支援する、と申し出た。第3者
による支援があってはじめて、両者が休戦することができる、とパレスチナ大統領
ヤセル アラファトとの会談後フィッシャーは語った。

     その他のニュース

外相 タシケントへ

(タシケント)外相フィッシャーは近東訪問を終え、アフガニスタ
ンへ行く途中ウズベキスタンに立ち寄った。タシケントで彼は同国
外相カミロフとの会談を行なった。日曜日にはフィッシャーはカブ
ールに飛ぶことにしている。帰路、同国暫定首相カルザイの初めて
のドイツ公式訪問で、彼はベルリンまで同行する。

アフガニスタン首相 暴力の行使をやめるよう訴える

(カブール)アフガニスタン首相カルザイは、航空運輸相ラハマン
殺害をうけ、暴力行使をやめるよう訴えた。ラハマンの葬儀で彼は、
平和で一つにまとまった国を建設するよう、訴えた。公式報道によ
れば、ラハマンは高級官僚による暗殺の陰謀の犠牲になった。また
彼は空港で、メッカ行きの飛行機が遅れた巡礼者によって撃ち殺さ
れた、との報道もある。一方カブールでは国際平和部隊の兵士が初
めて銃撃を受け、英兵がこれに応戦した、犯人は直後に車で逃亡し
たが、身元はまだ分かっていない、と同部隊報道官が発表した。そ
の後の巡回で、英兵とアフガニスタン警察が死体と銃撃で壊れた車
を見つけた、とも発表してる。

ベルリン元市長 敗北

(ベルリン)元市長ディープゲンは、20年以上に渡って勤めて来た
ベルリン キリスト教民主同盟党首の座から退いた。彼は代表者の
会合で、連邦議会選挙の同市同党の候補者名簿に選ばれるよう努力
したが、それに失敗していた。代わって旧東ドイツ市民権運動家で
連邦議会議員団長代理ノーケが指名された。一方ベルリン社会民主
党は連邦議会議長ティールゼと家族省大臣ベルクマンを9月22日の
選挙の筆頭候補として指名している。


2月17日(日)

イスラエル警察 攻撃を阻止

(エルサレム)イスラエル警察はパレスチナ人過激派2人を追い詰め、自殺テロ発
生を防いだ模様である。イスラエル側の情報によれば、このうちの1人は銃撃戦で
死亡し、もう1人は逃走中みずから爆死した、とのことである。イスラエル人5人
が怪我をした。土曜日にはパレスチナ人による自殺テロに2人が巻き込まれて、死
亡し、イスラエル軍はただちに西ヨルダンランドのナブルスの建物を爆撃した。攻
撃目標の中にはパレスチナ大統領ヤセル アラファトの事務所も含まれていた。ま
た、イスラエル軍の戦車は、パレスチナ人自治都市ラマラに侵入した。

     その他のニュース

外相 アフガニスタン訪問を中止

(ベルリン)独外相フィッシャーは近東とウズベキスタン訪問後、
帰国した。当初はその後アフガニスタンを訪問する方針であったが、
悪天候のため飛行機が飛ばなかった。これによりアフガニスタン首
相カルザイのドイツ訪問も当面中止になった。カルザイはフィッシ
ャーと共にベルリンまで飛ぶ予定であった。

米外相 対イラク政策に対する批判を却下

(ワシントン)米外相パウエルは、米国の対イラク政策に対するヨ
ーロッパからの批判をはねつけた。彼は、欧州各国はイラク政府の
圧政に憤慨すべきだ、と語った。EU外交安保政策の代表ソラナは、
イラクに対して米国が慎重に振る舞うように求めていた。同様の趣
旨のことを独外相フィッシャーも新聞のインタヴューで語っていた。
フィッシャーは、対テロの国際的協力体制は侵入の特別許可ではな
い、と語っていた。

ブッシュ 日本訪問

(東京)米国大統領ブッシュは、初めて日本を公式訪問した。月曜
日の日本首相小泉との会談では、主として国際テロとの戦いが話し
合われる。日本の経済危機も話題に上るものとみられる。この後ブ
ッシュは韓国と中国を訪問する。


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