3月18日〜24日のドイツのニュース

3月18日(月)

イスラエル軍撤退開始

(エルサレム)近東紛争には緊張緩和の兆しが見られる。イスラエルとパレスチナ
双方の安全保障の代表者が合意に達した後、イスラエルは月曜午後パレスチナ人居
住区から軍の撤退を行なった。イスラエル放送によれば、兵士はベツレヘムと近隣
のベイト ジャラ、およびガザ地区北部から撤退した。パレスチナ人はイスラエル
軍が最近占領した土地から全面的に退くことを、停戦の条件としていた。両者の合
意は米国特使アンソニー ズィニの仲介のもとでなされた。一方米国副大統領リチ
ャード チェーニーはイスラエルでの会談を開始した。

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英国 歩兵師団をアフガニスタンに派遣

(ロンドン)英国は湾岸戦争以来最大の兵士派遣として、アフガニ
スタンに歩兵師団を派遣する方針である。国防相フーンは、同軍は
1,700名までの部隊を動員し、米国は、アル カイダとタリバン兵
に対する今後の作戦で、英国を支援すると提案している、と発表し
た。さらにフーンは、英国はこの火曜日にカブールの多国籍軍の指
揮権をドイツに譲る、とも語った。英国は目下、アフガニスタン国
際平和部隊の指揮権を持っている。一方米国は、東アフガニスタン
のタリバンとアル カイダに対する作戦は完了した、と宣言した。
米国側の情報によれば、米国と同盟国の兵士は現地に留まり、洞窟
やトンネルの捜索を続ける。

米国 支援だけでは経済成長はありえないとの立場

(モンテレー)開発援助資金だけでは、世界の貧困の問題を解決す
ることはできない、との立場を米国は明らかにした。現在メキシコ
のモンテレーでは発展途上国開発援助世界会議が開かれており、そ
こでは月曜日から国連加盟国の代表が、第三世界の貧困に効果的に
対処するにはどのようなことが可能か、をめぐって話し合いを行な
っている。これに参加している米国大使ネグロポンティは、成長を
促進するためには、外国からの資金援助が唯一の手段ではなく、よ
い投資条件が整っていることが重要である、と語った。EUは先週、
援助を2006年までに現在の国内総生産の0.33%から平均0.39%に
増額することを決定していた。

移民法で与野党の駆け引き

(ベルリン)野党キリスト教民主、社会同盟が、移民法に対し調停
手続きを求めていることに対し、連立政府は明確に拒否した。社会
民主党と緑の党の幹部は、交渉の提案を戦略的策略であるとして拒
否した。ブランデンブルク州首相シュトルペ(社会民主党)は、連
邦議会と連邦参議院の両院協議会を召集する可能性はある、と語っ
た。キリスト教民主、社会同盟と自由民主党は、連立与党には合意
をする意志がない、と非難した。連邦参議院は金曜日にこの法案を
審議する。週末にはキリスト教民主同盟党首のメルケルとキリスト
教社会同盟党首シュトイバーが、両院協議会を開くことに賛成して
いた。


3月19日(火)

エアバス問題 解決

(ベルリン)連立政府は、政府内部でも、この計画に参加するヨーロッパの他の国
々とも、軍事用エアバスA400Mの購入に関して合意した。同型機73機の注文は2
回に分けて行なわれることとなり、連邦議会の予算権は侵害されないことになった。
ドイツが73機を購入しない場合にも、他の国々に対し巨額の賠償金を支払う必要も
なくなった。ヨーロッパのエアバス製造関係各国もこの措置に賛成した。

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アフガニスタン爆発事件 取り扱い指示遵守されず

(ポツダム)2週間前カブールで5人の兵士を死に致らしめた爆発
事故では、重要な安全上の指示が無視されていた疑いがあることが、
この事件の解明を行なっているポツダム検察の第1回の捜査で、浮
かび上がってきた。検察側は、国防軍の兵士に対する捜査を行なう、
としている。国防相シャルピングは、捜査は終了していない、と強
調した。爆発可能な状態になっていた地対空ミサイルが、予定より
早く爆発したため、国際平和部隊のドイツ兵2人とデンマーク兵3人
が死亡した。

ドイツ アフガニスタン平和部隊の指揮権を引きつぐ

(カブール)ドイツは正式に、アフガニスタン国際平和部隊の重要
な指揮をとる役割を、英国から引き継いだ。これは、カブール駐留
兵に関するいわゆる戦術的指揮権である、と国防省は発表した。平
和部隊の総司令部と、戦略作戦上の任務に関してはドイツ政府は相
変わらず拒否している。英国はこの任務はトルコに譲るものと思わ
れる。

首相 労使協調を呼びかける

(ミュンヘン)連邦首相シュレーダーは、労使双方に対して改めて、
景気回復を損なうような労働争議を行なわないように、と警告した。
現在の上向きの景気情勢は、全産業での賃上げに関する労使協調に
よって支えられるのだ、とシュレーダーは産業同盟の代表との会談
後語った。シュレーダーは、工業界と政府は、景気回復が始まる兆
しがあるとの見方で一致している、と語った。


3月20日(水)

新聞 ケルン社民党献金疑惑に関与した人物の名前公表

(ケルン)ケルン社会民主党の不正献金疑惑で、元同党議員団長ノルベルト リュ
ーターは、同党に対し初めて、1994年から99年まであわせて40万オイロ以上の
献金を行なった9つの名前を挙げた。新聞の情報によれば、その中には、グマース
バッハの建築会社L&Cシュタインミュラー、フィアゼンのゴミ処理会社トリーネケ
ンス、エッセンの建築会社ホーホティーフ社、マンハイムのビルフィンガー&ベル
ガー社の名前が含まれている。
ノルトライン・ヴェストファーレン州の社会民主党は、リューターは党に対し、
9つの献金者の名前が載った一覧を渡した、とだけ発表した。彼が、この献金は
1999年の地方議会選挙、党のいくつかの行事に使われ、不正な領収書を使って献
金が行なわれたと申し立てていた、とも発表していた。

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エアバス問題決着

(ベルリン)軍用輸送機A400Mの資金をめぐる1ヶ月に及ぶ対立
が解決した。連邦議会の予算委員会は、40機の購入に51億オイロ
を支出することを、多数の賛成で認めた。賛成したのは社会民主
党、緑の党、自由民主党と、キリスト教民主同盟、社会同盟も一部
を除いて賛成した、と緑の党広報が発表した。民主社会党は反対し
た。あわせて73機の輸送機を購入することになっている。来年に
は2回目の予算がつく計画であるが、これは国会が留保をつけてい
る。

近東 停戦に向け努力中

(エルサレム)パレスチナ人による自殺テロがまた起ったため、イ
スラエルとパレスチナの代表は停戦に向けた努力をさらに行なった。
両者は、近々停戦を発表できる、と自信をのぞかせている。米国の
近東仲介役ズィニはラマラでパレスチナ側の安保問題の専門家と会
談し、その後テル アヴィヴでイスラエル側を交えて会談した。パ
レスチナ指導部は、イスラエル北部で起ったバス攻撃を厳しく非難
した。この水曜日朝の事件では死亡者7名、負傷者28名を出した。
パレスチナ自治当局は、急進派に対し攻撃を止めるよう要請した。

極左テロ組織 暗殺声明

(ローマ)極左テロ組織「赤い旅団」は、イタリア政府の顧問であ
ったビアギ殺害を認める声明を、ボローニャの新聞宛に出した、と
イタリアでは報道されている。経済学者ビアギ(51歳)は、火曜午
後ボローニャの自宅前で2人の男に射殺された。彼は労働相の顧問
で、現在労働者の権利の改正の準備をしていた。この計画は、解雇
通知の条件を緩和するもので、労働組合から批判を受けていた。


3月21日(木)

建設会社ホルツマン 支払不能申し立て

(フランクフルト アム マイン)不振に陥っていたドイツの建設会社フィリップ
 ホルツマン救済の試みは失敗した。同社はドイツ第2位の建設会社である。支払
が不可能になったため、同社幹部は倒産手続きを行なった。ドレスデン、コメルツ、
ヒュポフェラインの各銀行は、ドイツ銀行が勧めていた同社の再建計画を実現不可
能であるとして拒否した。同社のこの経営危機は、昨年の2億4千万オイロの損失
に発している。連邦首相ゲアハルト シュレーダーは、世界中に2万人以上いる同
社の社員のせめて一部分でも救済するために、あらゆる対策を講じなければならな
い、と語った。

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移民法案 妥協成立せず

(ベルリン)連邦参議院での投票を数時間後に控え、政府の移民法
案が過半数を獲得するかどうかは、まったく不透明である。首相シ
ュレーダーと社会民主党所属の州首相との会談が昨夜ベルリンで開
かれたが、具体的な成果は上がらなかった。とくに、社会民主党と
キリスト教民主同盟による大連立政権のブランデンブルク州がどの
ように投票するかがまだ不明である。キリスト教民主同盟所属の同
州内務相シェーンボームは、同党が政権党である他の州と同様、移
民法案は両院協議会の場で審議しなければならない、との意見を押
し通す意向である。

国家安定化法案承認

(ベルリン)連邦、州、地方自治体は、国家予算の赤字削減のため
の国家安定化法案で合意した。その法案によれば、連邦は今後2年
間それぞれ0.5%の支出削減を行なう。そのかわり州と地方自治体
は、毎年1%支出を増やす。これまでは2%の支出増が認められてい
た。蔵相アイヒェルはこの法案を利用して、2004年までに国家財
政の赤字をなくすというEUとの約束を守る方針である。

米国 テロ組織との戦いを強化

(ワシントン)米国大統領ブッシュは、反テロの戦いのためにより
多くの資金を出すつもりである。彼は国会に、あわせて270億ドル
の追加資金を準備するように要請した。そのうちのほぼ半分は、ア
フガニスタンとその他の軍事作戦のために使われる予定である。9
月11日のテロの直後、議会は600億ドルの追加資金を承認していた。
この提案に対し、国会は休み明けの4月8日に決定を下すことにして
いる。


3月22日(金)

移民法案 大騒ぎの末可決

(ベルリン)連邦参議院は移民法案をギリギリの多数で可決した。しかし今回の採
決は、連邦参議院の歴史の中でかつてない騒動を巻き起こし、法律的には大きな異
論の余地がある。投票の行方を決するブランデンブルク州は、予想通り、分裂投票
をした。社会民主党所属の州首相マンフレート シュトルペはこの法案に賛成した
が、キリスト教民主同盟所属の内相イエルク シェーンボームは反対票を投じた。
連邦参議院議長で、ベルリン市長のクラオス ヴォーヴェライトは質問に答えて、
シュトルペの賛成票が過半数確保の上で、決定的な役割を果たした、と評した。こ
の議決は極めて強い抗議と騒ぎを巻き起こした。キリスト教民主、社会同盟の代表
は、憲法違反であると述べ、議会を退席した。両党は連邦大統領に対し、この法律
に署名しないよう要請した。また連邦憲法裁判所への提訴を示唆した。

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連邦議会 不法労働禁止法案可決

(ベルリン)連邦議会は社会民主党と緑の党の賛成で、不法労働と
社会福祉の点での詐欺を封じ込めるための法案を可決した。この法
律は特に、不法な雇用と給付金の悪用を、今までより実効性のある
やり方で防止することを目標にしている。また不法労働に対処する
役所相互の連携の改善を目指している。その他に制裁がかなり強化
された。

ホルツマン社事業所委員会 首相に嘆願書

(フランクフルト アム マイン)倒産したドイツ第2位の建設会
社フィリップ ホルツマン社の事業所委員会は、首相シュレーダー
に、同社にもう一度手を貸すよう求めた。1999年に続き、同社を
崩壊から守るように、文書で要請した。一方政府報道官は、今回は
救済措置は取らないと発表した。ドイツ国内にいる同社の社員
11,000人の今後3ヶ月の給与は確保されている、と事業者委員会
は発表した。建築産業労働組合は、中規模の下請け会社や職人にも
連鎖倒産が起きることを恐れている。同労組幹部ヒクラーは、最悪
の場合、ホルツマン社の社員と同じぐらいの数の失業者が出る、と
語った。

近東停戦交渉 再開か

(エルサレム)イスラエルとパレスチナは、数日内に停戦のための
条件を話し合う方針である、と両者は発表した。金曜日の交渉では
具体的な成果は上がらなかった。それは単に、停戦に対する考え方
の違いを話し合っていたからだ、とパレスチナ安保問題の代表は会
談後語った。イスラエル側は、この会議は米国の仲介役ズィニの要
請で行なわれた、と語った。西ヨルダンランドでは新たな自殺テロ
が起り、パレスチナ人の犯人が死亡し、イスラエル人将校1人が負
傷した。この攻撃はアル・アクサ・旅団が犯行声明を出している。
ガザ地区では、武装した男がイスラエルとの国境に近づいたため射
殺された、とイスラエル側は発表した。


3月23日(土)

ブランデンブルク州連立政権 解消せず

(ポツダム)連邦参議院での移民法案採決の際の混乱にもかかわらず、社会民主党
とキリスト教民主同盟はブランデンブルク州の連立政権を維持する方針である。州
首相マンフレート シュトルペと内務大臣イエルク シェーンボームはポツダムで、
連立協議会が復活祭前にも連立維持に関する話し合いを行なう、と発表した。一方
連邦大統領ヨハネス ラオに対する圧力は強まっている。キリスト教民主同盟、キ
リスト教社会同盟の首相候補エドムント シュトイバーと、キリスト教民主同盟党
首アンゲラ メルケルは、ラオにこの法案への署名を拒否するように申し入れ、も
しそうしないのであれば両党は憲法裁判所に提訴する、と迫った。

     その他のニュース

エアバス購入問題 他の欧州諸国もドイツの妥協案を受け入れ

(サラゴサ)エアバス社の軍用輸送機A400Mの購入に関する障害
は、最終的に取り除かれた。契約に関りを持つ欧州各国は、この計
画に対するドイツの支払い方法を受け入れた、とスペイン国防大臣
トリーリョはサラゴサで開かれたEU国防相会談後、発表した。連
邦議会の予算委員会は水曜日、40機の調達に51億オイロを支出す
ることを決めていた。残りの33機分44億オイロは来年、決定され
ることになる。これは250億オイロ規模で、欧州が今まで発注した
最大の軍備である。ドイツはその中で最大の購入国である。

イタリア 反政府デモ

(ローマ)百万人をはるかに越えるイタリア人がローマで、政府が
計画している解雇からの保護の緩和措置とテロ行為に反対するデモ
を行なった。このデモを呼びかけたのは左派の労働組合である。政
府の一員が暗殺されたことに抗議するデモ隊は、反テロの集会も行
なった。政府と労働組合は労働権改正の問題を一週間前に話し合っ
たが、実を結ばず、政府側はそれ以上の譲歩を拒否していた。首相
ベルルスコーニは最近、労働組合に対し、交渉を再び行なうように
求めていた。

ブッシュ ペルー訪問

(リマ)米国大統領として初めてブッシュがペルーを公式訪問した。
首都リマは水曜日に米国大使館近くで自動車爆弾が爆発し、9名が
死亡してから、厳戒態勢が取られている。大統領到着前には、警察
は反米デモを催涙ガスと警棒を用いて解散させた。ブッシュはまず
大統領トレドと会談を行ない、その後ボリヴィア大統領キロガ、コ
ロンビア大統領パストラナ、エクアドル副大統領ピントとの会談が
予定されている。その際、貿易、麻薬、テロとの戦い、民主化の問
題を話し合うことにしている。


3月24日(日)

イスラエルとパレスチナ 停戦について会談

(テル アヴィヴ)終わらない暴力が暗い影を落とす中、イスラエルとパレスチナ
の安全保証担当者が、停戦に関する会談を行なった。テル アヴィヴで開かれたこ
の会談には米国の近東仲介役アンソニー ズィニも出席した。彼は以前は幾分か楽
観的な姿勢を取っていた。イスラエル政府は再び、暴力の行使が中止されたら、パ
レスチナ大統領ヤセル アラファトが水曜日ベイルートで開かれるアラブ首脳会談
に参加することに同意する、との態度を示した。ガザ地区ではイスラエル兵が、ユ
ダヤ人入植地の入り口に、爆発物を置こうとした3人の武装したパレスチナ人を射
殺した。西ヨルダンランドの北部では、パレスチナ人急進派がバスを襲い、ユダヤ
人入植者女性を殺害した。軍は犯人を探して、パレスチナ人警官1人を射殺した。

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シリア パレスチナとの連帯を協調

(ダマスカス)10万人以上がシリアの首都ダマスカスで抗議行動を
行ない、イスラエルが占領している地域のパレスチナ人と連帯して
行くことを表明した。デモ隊は政府に対して、ベイルートで間もな
く開かれるアラブ同盟の首脳会談で、アラブ諸民族の利益を守るよ
うに求めた。シリアは「軍撤退の代わりに承認」を内容とするサウ
ジ・アラビアによる近東和平提案を指示している。この計画に、パ
レスチナ難民全員の無条件での元々の居住地への帰還を認めること
が含まれているかどうかは不明である。

米国 アフガニスタン再攻撃の準備

(バグラム)米国はアフガニスタンのタリバンおよびアル カイダ
兵に対する再攻撃を準備している。米軍報道官ヒルファーティはこ
れを認め、追加配備の飛行機がバグラム空軍基地に移動している、
と発表した。同基地には4月中旬までに、1,700名の英国兵も新た
に配備されることになっている。米国防相はこれに先立ち、米兵が
タリバンの元拠点カンダハルで、生物科学兵器の製造を行なう研究
室を発見したことも認めた。ただし、使用可能な武器はその中には
なかった、とのことである。

英国 アフガニスタン平和部隊の指揮期間を延長

(ロンドン)英国は後継者が未決定であるため、3月末の期限終了
後もアフガニスタン国際保護部隊の指揮を取る、と同国外相ストロ
ーが発表した。彼は、ドイツが拒否した後、トルコが指揮権を引き
継ぐ準備をすすめていることは再確認した。トルコ首脳部はそのた
めにいくつかの条件をつけており、その1つはNATO諸国による財
政支援である。


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