5月6日〜12日のドイツのニュース

5月6日(月)

オランダ 右派大衆迎合の政治家殺害される

(デン ハーグ)オランダの右派大衆迎合的な政治家ピム フォルトゥインが暗殺
された。警察がヒルファースムで犯人と見られる人物を逮捕した、との情報がある。
暗殺は9日後にオランダの国会議員選挙を控えて起きた。フォルトゥインは自らの
名前を関した政党を率いて、この選挙に立候補していた。世論調査では、同党は最
大20%の得票があるとの予想が出ていた。選挙戦中、彼は特にモスレムと移民を激
しく攻撃し、世間の関心を集めていた。

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金属産業のスト 大規模に実施中

(シュトゥットガルト)バーデン・ヴュルテンベルク州で数万人の
従業員が月曜日ストに突入し、金属産業では7年ぶりのストが始ま
った。自動車産業が労働争議の中心であった。暗礁に乗り上げてい
る賃金交渉の再開の兆しはない。金属産業労働組合会長ツヴィッケ
ルは、賃上げの提案が交渉再開の前提である、としている。使用者
側はこの要求を全面的に退け、労働組合が全面拒否の姿勢を崩して
いない、と非難した。金属産業労組は正式に6.5%の賃上げを求め、
最終的には4%で決着しようとしていた。一方使用者側は3.3%を提
示した。緊迫した情勢の中、労組側からは交渉を行なう方針が示さ
れた。

建設業労働組合 調停を提案

(フランクフルト アム マイン)建設業界95万人の従業員の賃
金交渉が決裂し、建設業労組はキリスト教民主同盟のガイスラーを
調停人とすることに賛成した。また同労組会長のヴィーゼンヒィュ
ーゲルは使用者側に、調停を受けても6月上旬までに合意に達しな
ければ、ストライキを行なう、との最後通牒を突きつけた。同労組
は4.5%の賃上げを求めているが、使用者側は今までのところ回答
を出していない。

CDU/CSU 急激な改革を行なわず方針転換を図る意向

(ベルリン)キリスト教民主、社会同盟両党は、9月の総選挙で勝
利した場合には、急激な改革ではなく、方針転換をはかる、と両党
の首相候補シュトイバーは共同の選挙綱領の発表の席で語った。彼
は、両党が政権を引き継いだ場合にはすぐに産業改革に着手する、
と約束した。彼はまた環境税の最終段階の実施を中止し、家族手当
を導入し、低所得者層むけに社会保険の払込金を軽減する方針も示
した。キリスト教民主同盟党首メルケルは、これらの改革に必要な
資金はないと言う政府の非難を、事実無根である、と評した。社会
民主党事務長ミュンテフェリングは、この綱領を欺瞞であり社会福
祉面で冷酷な政策である、と非難した。


5月7日(火)

相変わらず400万人が失業中

(ニュルンベルク)ドイツの失業者の数は4月も400万を越えた。ニュルンベルク
の連邦労働施設の発表では、4月は402万4千人が失業中である。これは3月と比べ
て13万人減少したが、昨年4月より15万6千人増加している。同施設長フローリア
ン ゲルスターは、労働市場では行なわれている景気刺激策の成果がまだ感じられ
ていない、と語った。失業者数が多いため、野党と使用者側は政府が無力である、
と非難した。

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首相 金属産業の賃金交渉で合意を促す

(ライプツィヒ)連邦首相シュレーダーは金属産業の労使双方に、
早期に賃金交渉を再開するよう求めた。金属産業労働組合は、6.5
%の賃上げ要求を貫徹すべく、バーデン・ヴュルテンベルク州でス
トライキを続行している。印刷業界では連邦各地で警告ストライキ
が行なわれる中、賃金交渉が続けられている。

NPD訴訟は連邦議会選挙後に

(カールスルーエ)連邦憲法裁判所は、連邦議会選挙後にようやく、
国家民主党の禁止訴訟を続行するかどうかを決定する。これにより
極右政党は9月22日の選挙に参加することが可能になる。同裁判所
は、この問題を検討する期限内の10月8日に、同党の活動禁止動議
に関して、憲法擁護庁の情報提供者の調査を開始する、と発表した。
同裁判所の裁判官は、憲法擁護庁の調査官が同党の秘密活動家であ
ることが暴露されたため、1月に審理を中止していた。

フランス新閣僚発表

(パリ)フランスの新首相ラファランは暫定内閣を提案した。安保
および内務大臣には新ドゴール派のサルコジを指名した。産業大蔵
大臣には鉄鋼会社ユジノール社社長メール、外相には大統領シラク
の信頼が厚いドヴィルパンが指名された。新閣僚は6月の総選挙ま
での5週間だけの任期で、新たな目標を設定する。


5月8日(水)

パウエル パレスチナ自治当局の改革を要求

(ワシントン)米国外相コリン パウエルはテル アヴィヴでの自殺攻撃事件を受
け、パレスチナ自治当局改革を強く要求した。彼は、今回の攻撃は不安を煽るもの
で、政治的解決をもたらす道から脇へそれるものだ、と強調した。これより前、
EUと国連は反イスラエルの暴力行使を止めるよう求めていた。イスラエル首相ア
リエル シャローンは厳しい対抗措置も視野に入れつつ、米国訪問に旅立った。テ
ル アヴィヴでの暗殺事件では17人の死者が出た。武装勢力ハマスが犯行声明を
出している。一方イスラエル軍はパレスチナ人の都市トゥルカレムでハマスの有力
者2人を逮捕した。この2人はイスラエルでのいくつかの攻撃の責任があるとの疑
いが持たれている。

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国防軍 パキスタンで負傷したフランス人を救助

(カラチ)パキスタンのカラチで自殺攻撃事件が起こり、バスが爆
破され、13人が死亡し、少なくとも34人が負傷した。死者にはフ
ランス人11人が含まれている。大統領ムシャラフは、国際テロ組
織の犯行である、と語り、強い対抗措置をとると予告した。現地当
局は、パキスタンに拠点を持つアル カイダの犯行との疑いを持っ
ている。ドイツ国防軍はフランスの要請を受け、負傷者に助けるた
め野戦病院の飛行機を現地に派遣した。犠牲者の中にはパキスタン
で船を建造する計画に従事する技術者が含まれていた。

ドイツ使節団 アフガニスタンへ

(ベルリン)アフガニスタン暫定政府は、独首相シュレーダーの訪
問の際、困難を極めている同国の和平達成をドイツが広範囲に支援
することを求めている。シュレーダーは経済使節団の代表として木
曜日にカブールに到着することになっている。在アフガニスタン大
使エーベルレはラジオ局に、4週間後に新政権誕生を控え、戦争で
疲弊したアフガニスタンは、国際社会からの後押しを必要としてお
り、産業界からの投資がこれ以上後送りされてはならない、と語っ
た。また彼は、道路建設が優先課題で、アフガニスタンが一つにま
とまるうえでも重要だ、とも語った。

閣議 国防軍のコソヴォ派遣延長を決定

(ベルリン)連邦内閣は国防軍のコソヴォ派遣を再び延長した。連
邦議会で賛成が得られることを条件に、ドイツ軍は、6月11日以降
もコソヴォに駐留することになる。現在約5千人の国防軍の兵士が
国際平和任務の一環として、セルビア人が住む地域で活動している。
内閣は延長の理由として、民主化は進んでいるが、軍が駐留してい
ることが少数民族の保護や、国際組織の代表の保護、マケドニア国
境の治安維持のためにかかせないことを挙げた。国防軍は1999年
6月以来コソヴォの平和維持活動に参加している。


5月9日(木)

包囲されている聖誕教会に関する合意成立

(ベツレヘム)イスラエル政府筋によれば、イスラエルとパレスチナは、延期があ
ったものの、5週間にわたるベツレヘムの聖誕教会の包囲を中止する取り決めに合
意した。EU数カ国とカナダは、聖誕教会に潜んでいるパレスチナ人のうち13人の
身柄を受け入れる準備を進めている模様である。イタリアもイスラエルがテロリス
トと見ている男達を受け入れる国として名乗りを上げている、とのことである。こ
のパレスチナ人は移動先の国ごとに分かれて、木曜夜にまずキプロスに向けて出発
することになっている。

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イスラエル軍戦車 ガザ地区へ迫る

(テル アヴィヴ)17人の死者を出したテル アヴィヴとハイファ
の自殺攻撃に、イスラエルは軍事力を用いて対抗する方針である。
安全保障閣議では報復攻撃を行なうことを決定した。詳細について
は今のところ公表されていない。軍部からは、ガザ地区の急進派ハ
マスに対する作戦が近々行なわれる、との情報がある。戦車はガザ
地区に迫っており、この地域の武力が増強された。イスラエル軍は、
再び予備兵の招集を行なったことを認めた。首相シャローンは木曜
日の時点ですでに、パレスチナ自治政府に対する厳しい措置をとる
と予告しており、テル アヴィヴでの自殺攻撃後、米国訪問を中断
した。

首相 アフガニスタン支援をうったえる

(カブール)連邦首相シュレーダーはアフガニスタン訪問を終え、
ウズベキスタンへ向かった。カブールで彼は、国際社会に対し、ア
フガニスタンに対し約束した巨額の支援を早期に実施するよう訴え
た。同国の再建は、新暫定政権が成立する来月まで待ってはいられ
ない、と彼は語った。同国の情報では、18億ドルの支援が約束され
たが、いまのところ9千万ドルしか支払われていない、とのことで
ある。シュレーダーは改めて、国際平和部隊の派遣を6月20日以降
も続けることに賛成である、と語った。ただしカブールの外へこの
部隊を派遣することは拒否した。同行したドイッチェ ヴェレはア
フガニスタンテレヴィとの間で協力協定に署名した。

ダゲスタンで大規模な爆弾攻撃

(マハチカラ)南ロシアのダゲスタン共和国で大きな爆発事件が起
こり、公式発表では子供12人を含む34人が死亡した。事件は首都マ
ハチカラの南約20キロにあるカスピースクで、第2次世界大戦の対
独戦勝利を祝うパレードの最中に起こった。大統領プーチンはこれ
をテロであると呼んだ。警察の情報によれば150人ほどの怪我人が
出た。ダゲスタンは、イスラム急進派がロシアの支配と戦っている
チェチェン共和国と国境を接している。ナチドイツに対する勝利を
祝う日は、ロシアでもっとも重要な祝日である。


5月10日(金)

ガザ地区への軍事攻撃延期

(テル アヴィヴ)イスラエル国防大臣ベンヤミン ベン・エリエゼルは軍に対し、
ガザ地区に対する軍事攻撃計画を再考するよう指示した。イスラエルテレヴィは、
ベン・エリエゼルはすでに、作戦の延期を決定した、軍の見通しによれば、と報じ
た。この計画は「急襲がもたらす効果を期待できない」と安全保障の代表者の一人
が語った。イスラエル内閣は、パレスチナ人の自殺攻撃で火曜日15人のイスラエ
ル人が死亡した後、ガザ地区で報復攻撃を行なうことを認めていた。

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イスラエル軍 ベツレヘムから撤退

(ベツレヘム)ベツレヘムの聖誕教会の5週間にわたる包囲を中止
したイスラエル軍は、パレスチナ人自治都市である同市から全面的
に撤退した。軍報道官の発表によれば、兵は市外に拠点を移してい
る。金曜日にはパレスチナ人と外国人の平和活動家合わせて123人
全てが、この教会を去ることが認められていた。イスラエルが特に
危険人物と見なしている13人のパレスチナ人はひとまずキプロスへ
出発した。ギリシアとポルトガルのほか、イタリアがこれらのパレ
スチナ人のうち何人かを受け入れる準備を進めている。他の26人
のアラブ系の人物はガザ地区に運ばれた。その他は解放された。

国防相 アフリカの角への派兵の長期化を予想

(ジブチ)国防相シャルピングは、テロ組織からの防衛のため、ソ
マリア周辺のアフリカの角地域に派遣されている国際海軍の任務は
長期化する、との見解を述べた。以前予想していた数ヶ月ではなく、
数年間派遣しなければならない、と彼はジブチで語った。同地で彼
は連邦海軍の1,400人の兵士を訪問した。派兵の目的は、アラビア
海の航路を確保し、テロリストの補給および逃走経路を遮断するこ
とである。連邦海軍はそのためジブチに補給基地を構えている。

NATO バルカン派兵縮小へ

(ブリュッセル)NATOはバルカン半島の平和軍を縮小する。1年
以内にボスニア・ヘルツェゴヴィナとコソヴォから合わせて
12,000人ほどの兵士を引き揚げる。その理由として、治安が改善
されたことを挙げている。NATO事務長ロバートソンは、両地区の
兵士の規模は、安全を保障するうえで十分である、と語った。目下
コソヴォには38,000人、ボスニア・ヘルツェゴヴィナには
19,000人のNATO兵が駐留している。独国防軍も両部隊に参加し
ている。


5月11日(土)

イスラエル ガザ地区での軍事作戦に躊躇

(エルサレム)イスラエルはガザ地区での大規模な軍事作戦を予定していたが、当
面これを延期した。その理由として、急襲によってあげられる効果が無くなったこ
とを軍当局は挙げている。住人が密集して住んでいるこの地域で予想される損失の
大きさがこの決定に影響を与えた、と報道機関は補足して伝えている。ガザ地区に
集結した部隊はまだ緊急体制をとっている。一方、イスラエル軍は数時間の軍事作
戦を行なった後、西ヨルダンランドのトゥルカレム市から再び撤退した。

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アラブ3カ国 要求提出

(シャルム エル シャイク)シリア、エジプト、サウジ・アラビ
アは近東会談招集のための条件を提示した。エジプト外相マヘルは、
3カ国の首脳会談の席上、パレスチナ大統領アラファト抜きに近東
会議はありえない、と語った。その他、3月末にベイルートで決議
された和平提案とすでにイスラエルと合意に達している協定を守る
ことが和平会議の条件である、とした。日曜日には締めくくりの声
明が公表されることになっている。

国防相 ドイツ海軍ジブチ派遣を賞賛

(ジブチ)連邦海軍はアデン湾派遣で、テロリストが通る可能性が
ある海路の警備を強化する。国防相シャルピングはこれを明言し、
艦船の捜査も行う必要があるかもしれない、と強調した。彼は土曜
日、ジブチのドイツ艦船を訪問し、テロ組織との国際的な戦いに国
防軍が貢献していることを宣伝した。彼は今までの作戦実施状況に
満足している、と表明した。現在アフリカの角では、独海軍の指揮
の下、英、米、スペインの艦船が任務についている。

自由民主党党大会 大幅減税を要求

(マンハイム)自由民主党は、大幅減税と労働市場の改革を提案す
る選挙綱領を決定した。マンハイムで開かれている同党の連邦党大
会は、賛成多数で、15%、25%、35%の3段階からなる税制案を決
定した。首相候補としては同党主ヴェスターヴェレが広い範囲から
賛成票を集めた。彼は日曜日にこれを受諾する方針である。会派長
ゲアハルトは、近東問題の論議で冷静な対処をとるように求めた。
党大会の参加者は全員一致で、イスラエルの生存権に制限を加えて
はならない、との動議を可決した。


5月12日(日)

自民党党首ヴェスターヴェレ 首相候補に指名

(マンハイム)自由民主党はようやく連邦議会選挙の首相候補を擁立した。党首グ
イード ヴェスターヴェレが、マンハイムで660人の代表を集めて開かれていた党
大会の最後に、ほぼ全員一致で首相候補に指名された。これに先立ち党大会では連
邦議会選挙の綱領が可決された。それによれば、自由民主党は特に解雇通知義務の
緩和と、税制の簡素化に力を注ぐ。その他、生涯労働時間の延長と、就職希望者の
仲介業務の民営化を推し進めるとしている。
キリスト教民主、社会同盟、社会民主党、緑の党は、自由民主党の選挙綱領を、社
会福祉に反し、恣意的である、と批判した。

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イスラエル 報復攻撃の可能性を残す

(エルサレム)イスラエルはガザ地区の軍事攻撃を断念した後も、
報復攻撃を行なう可能性がある、と国防相ベン・エリエゼルは発表
した。この地域は住民が過密で、大きな損失を出す恐れがあるため
攻撃は中止された。その他に多くの武装パレスチナ人が地下に潜伏
している可能性がある、とイスラエルの軍事専門家は発表した。一
方イスラム急進派ハマスは、新たに自殺攻撃を行なうと脅迫した。
ベツレヘムの聖誕教会に立てこもり、その後キプロスに移された13
人のパレスチナ人に関して、EUは月曜日に話し合いを行なう。

聖誕教会で礼拝

(ベツレヘム)ベツレヘムの聖誕教会では5週間にわたる包囲が終
わり、日曜日に礼拝が再開された。千人を越える人が出席し、ヴァ
ティカンから派遣された聖職者が式を執り行った。この礼拝の参加
者の中にはキリスト教徒もモスレムもいた。

米元大統領カーター キューバ到着

(ハヴァナ)米国元大統領カーターはキューバを5日間訪問する。
彼はハヴァナでキューバ大統領カストロの出迎えを受けた。カータ
ーは、カストロが1959年に革命を起こして以来、同国を訪問する
米国の代表としてはもっとも地位が高い人物である。ただし、カー
ターは私人としての訪問である、と発表している。カーターは米国
がキューバに科している貿易封鎖を中止すべきであるとしている。


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