9月23日〜29日のドイツのニュース



9月23日(月)

社民党と緑の党 速やかに連立協議へ

(ベルリン)選挙での勝利を受けて、社会民主党と緑の党はできるだけ速やかに、
連立協議を行う方針である。連邦首相ゲアハルト シュレーダーは、おおむね対立
がなく迅速な交渉が行われる、と見ている。緑の党の代表フリッツ クーンは、交
渉は10月中旬の緑の党の党大会前にも完了する、との見通しを語った。シュレー
ダーは、連邦法務相ヘルタ ドイブラー・グメーリンは自ら次期内閣に入ることを
拒否した、と発表した。彼女は米国のイラク政策をアドルフ ヒトラーの手法にな
ぞらえたとして批判を受けていた。社会民主党の新会派長は、今まで事務長を務め
ていたフランツ ミュンテフェリングになる、とシュレーダーは語った。キリスト
教民主、社会同盟側では、キリスト教民主同盟党首アンゲラ メルケルのために、
会派長フリードリッヒ メルツは、その職を退く。キリスト教社会同盟党首のエド
ムント シュトイバーは断固として、そして建設的な野党の仕事を行なう、と述べ
た。反イスラエル発言で問題になった自由民主党の副党首ユルゲン メレマンは党
を窮状に追い込むのを回避するため、辞任する。ドイツ労働組合連合と使用者団体
連邦連合会は全般的に新政府との協力を行う用意がある、と発表した。

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米国 控えめな反応

(ワシントン)多くの政府の反応とは異なり、米国政府は、選挙の
勝利を祝う儀礼的な言葉を独首相シュレーダーに送るのを拒否し
た。外務省の公式態度表明では、ドイツの有権者は民主的な手続き
で意見を表明し、ドイツ政府と同じ関心を持つ問題で協力できるこ
とは喜ばしい、ととだけ伝えた。同省報道官バウチャーは、シュレ
ーダーの名前を挙げることは避けた。イラク政策に関する意見の違
いをにらんで、ドイツの選挙戦では極めて気掛かりな点がいくつか
あった、と述べた。

プロディ 寛容を求める

(コペンハーゲン)EU委員会議長プロディは独米間の緊張が高まっ
ている中、米国政府に寛容を求めた。ドイツの選挙戦の間に行なわ
れたような政治的な見解の発表が、反米的な公報活動と受け取るの
であれば、それは真の民主主義を誤用したことになる、とコペンハ
ーゲンで開かれているヨーロッパ・アジア首脳会談に参加している
彼は述べた。この会議ではEUとアジア25カ国の政府首脳が日間に
わたって国際テロと貿易問題について話し合いを行なっている。

米国議会 ブッシュのイラク政策を支持する模様

(ワシントン)米大統領ブッシュは、イラク攻撃で広い支持を受け
られそうである。上院議員数人の話によれば、民主党は危機回避と
和平実現のためにはっきり限定された提案をするように求めてい
る、とのことである。ブッシュは先週木曜日に攻撃に関する提案を
行っていた。国防相ラムズフェルドは、NATO加盟国と火曜日にワ
ルシャワで行なわれる非公式会談で、イラクの脅威に関する情報を
伝えるが、同国がテロリストとのつながりがある証拠は示さない、
と予告している。




9月24日(火)

ブッシュ ドイツ批判を続行

(ワシントン)ドイツ政府は米国大統領ジョージ W. ブッシュのイラク政策を批判
しているが、米国政府はこれを議事日程に取り上げない、と発表した。ドイツの選
挙戦が過熱したため、何事もなかったかのように振る舞うことはできない、と大統
領府報道官は発表した。米国外務大臣コリン パウエルはあるインタヴューに答え
て、両国関係は密接である、と語った。ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャー
は、ドイツ政府は両国の関係改善に熱心に取り組む、と語った。

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ドイツ・オランダ 部隊の指揮をとることを申し出る

(ワルシャワ)ドイツとオランダは、来年アフガニスタン国際保護
部隊の指揮を共同で引き継ぐ以降である。これは国防相シュトゥル
ックが、ワルシャワで開かれているNATO加盟国の国防相会議で明
らかにしたものである。これにより米国との緊張緩和に貢献できる
かもしれない、とシュトゥルックは語った。今回の会議では、
NATOの緊急介入部隊の創設を米国が提案した。2万人規模の機動
部隊が召集される予定である。

社民党とCDU/CSU 新会派幹部選出

(ベルリン)キリスト教民主、社会同盟と社会民主党はそれぞれ、
新たな幹部の下で連邦議会の会派を結成した。選挙から2日、キリ
スト教民主同盟党首メルケルは、キリスト教民主、社会同盟の会派
の指揮をとることを引き受けた。これにより、彼女は女性として初
めて、国会の最大野党の最高幹部として首相と直接対決することに
なる。今までの会派長メルツが党内の批判を受けて、再任を断念し
た後、48歳のメルケルは過半数の賛成で選ばれた。一方、社会民
主党は党事務長ミュンテフェリングが、同党の連邦議会の会派の新
会派長になった。

労使 速やかな改革を支持

(ベルリン)選挙から2日、労使双方は労働市場と産業政策の改革
を速やかに行なうよう要請した。ドイツ労働組合連合とドイツ手工
業中央連合会は、ハルツ委員会の提案をすぐに実行することに賛成
である、と述べた。全金属産業使用者連合は、新たな出発を行なう
べく指示を出すよう求めた。ドイツ労働組合連合会長ゾマーは、失
業との戦いで連立政権と協力すると提案し、ハルツ計画の実施のほ
かに、民間公共双方の分野で投資を進める必要がある、と語った。




9月25日(水)

フィッシャー 米国訪問を発表

(ベルリン)ドイツ外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、独米関係改善のために米
国を近々訪問する。連邦政府は、現在のぎくしゃくした関係を終わらせることに重
大な関心を持っている、と彼は語った。政府報道官ウーヴェ・カルステン ハイエ
は、対イラク戦争に関する米国との意見の違いは、関係改善にむけた努力を行なっ
ているにもかかわらず、まだ残っている、と語った。国防大臣ペーター シュトゥ
ルックは、両国関係が速やかに改善される、との期待を述べた。また彼は、法務大
臣ヘルタ ドイブラー・グメーリンがブッシュをヒトラーになぞらえたとされる問
題で、米国が怒ることに理解を示した。

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米国の政界 イラク問題で対立

(ワシントン)米国でも、対イラク政策が対立に発展する可能性が
ある。野党民主党の首脳ダシュリーは、大統領ブッシュを、対イラ
ク戦に関する議論を政治的に利用しようとしている、と非難した。
新聞報道によればブッシュは、民主党が米国の安全を無視してい
る、と非難していた。ダシュリーはブッシュに謝罪を要求した。ま
た彼は、上院は大統領にイラク戦争を行なう白紙委任状を出すこと
はない、と明確に述べた。

NATOイラク政策を討議

(ワルシャワ)NATO国防相会談で、イラク政策に関する独米間の
意見の相違が再び明るみに出た。独国防相シュトゥルックは、イラ
クがテロ組織アル カイダと関係があることを示す証拠があるとす
る、米国防相ラムズフェルドとは対立する意見を述べた。ドイツは
武器査察団の派遣が最優先であると考えており、他の国がこの立場
に理解と支持をしてくれている、とシュトゥルックは述べた。
NATO事務長ロバートソンは、イラク問題は国連の問題であって、
NATOの案件ではない、と強調した。

社民党と緑の党 財政計画の協議で連立協議開始

(ベルリン)社会民主党と緑の党の連立協議は来週月曜日、財政計
画に関する話し合いで始まる。改革政策を実施に移し、堅実な財政
政策を取るためにはどんな可能性があるか、が問題になる、と社会
民主党党首で首相のシュレーダーは第1回の話し合いの後語った。
人事に関しては第1回の協議のあとで公表するとのことである。法
相ドイブラー・グメーリンに続き、家族相ベルクマンも次期政権で
はこの職につかない、との声明を出した。10月中旬の両党の党大
会までに協議は終了することになっている。




9月26日(木)

米国から和解の兆し

(ベルリン)外務大臣ヨシュカ フィッシャーによれば、連邦政府は対イラク戦争
に明確に反対を貫いている。この決定は変わっていない、とNATO事務長ジョージ
 ロバートソンとの会談をベルリンで行なった後、彼は語った。米国はイラクがテ
ロ組織アル カイダと関係している可能性を示す情報を提出したが、これの検討を
行う、とも語った。
独米危機に関しては米国大統領府は、和解の方向に向かっている。ドイツとの協力
関係を改善し、あらゆる課題を解決する方針だ、と大統領報道官アリ フライシャ
ーは発表した。

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ブッシュ イラクをめぐる対立解消の方針

(ワシントン)米国政府と議会は、イラク問題での意見の相違が小
さくなった、と大統領ブッシュは語った。懸案になっている、イラ
クに対する厳しい措置を求める決議に関する合意は、まもなく成立
する、と民主党と共和党の代表との会談後、ブッシュは発表した。
民主党とブッシュの間にはイラク政策をめぐって激しい対立が起こ
っていた。民主党は、大統領はこの問題を選挙戦のために利用して
いる、と非難していた。NATO事務長ロバートソンはベルリンを訪
問中に、この問題で独米間で意見の違いが解消できる可能性があ
る、NATO内部では加盟国間の対立が上手く仲介されてきた、と語
った。彼は、独外相フィッシャーとも会談した。

環境税増税 緑の党でも異論

(ベルリン)緑の党のロスケーは、2003年以降の環境税の増税を
求めているが、これは同党内部でも批判を受けている。社会民主党
との連立協議でこれを要求するのは役に立たない、と同党連邦議会
議員団は述べた。すでに社会民主党の新議員団長ミュンテフェリン
グは、これ以上の環境税増税に反対する、と述べていた。ロスケー
に対する批判は野党や工業団体からも出ていた。

緑の党議員団幹部 交代

(ベルリン)今まで緑の党連邦議員団の幹部を務めていたミュラー
とシュラオホは、再選のための立候補を行なわない。2人は会派の
同僚に書簡の形でこれを伝えた。彼らは新たな職務に従事したい、
と述べた。この交代はすでに予期されていた。ミュラーは法相ドイ
ブラー・グメーリンの後任になる可能性が話題に上っている。シュ
ラオホは首相府付国務大臣になる、との新聞報道がある。緑の党議
員団は新たな幹部を10月中旬に選ぶ方針である。




9月27日(金)

米国の和解の兆しに安堵

(ベルリン)ドイツ政府は、米国大統領府が独米関係を改善する方針なのを見て安
堵した。外務大臣ヨシュカ  フィッシャーは、米国のいらだちは取り除くことに
自信をのぞかせた。また彼は、ドイツの、イラクに対する軍事攻撃には参加しない
方針も強調した。米国大統領報道官アリ フライシャーは、イラク政策で意見の違
いがあっても、米国政府はドイツと今後も十分協力していく、と明言していた。外
務大臣コリン パウエルも、べいこくとドイツはよい友人であり続ける、と断言し
た。

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西アフリカでフェリー事故 死者数百人

(ダカール)セネガルを出発したフェリーが西アフリカの沿岸で沈
没し、数百人が死亡した模様。セネガル政府の情報では、約800人
の乗客と乗員を載せたフェリーが、木曜夜に豪雨で沈没した、との
ことである。何人が救助されたかはまだ不明である。政府は32名
の生存者がいる、と発表したが、最高200人が救助されたとの報道
もある。セネガル政府は3日間の国の服喪期間を定めた。外相フィ
ッシャーは、ドイツ政府の名前で哀悼の意を表わした。

コートディヴォワールのブアケから大量の難民

(アビジャン)コートディヴォワールでは、政府軍だ大攻勢を起こ
すのではないか、との恐れが広まっている。数千人の住民が、反乱
を起こした兵士が制圧した都市ブアケから逃げ出している。政府
は、ブアケと反乱軍が包囲したコルホゴを戦闘地域である、と宣言
した。フランス部隊が水曜日から1,200人を越える外国人、主とし
て仏、米、英国人を安全な地域に運びだしている。独外務省は、首
都ヤムスクロの北に滞在している全てのドイツ国民に対し、急いで
出国するように呼びかけた。

米英 厳しいイラク決議に同意を求める

(ワシントン)米英は他の常任国連安保理事国に対し、イラクに対
する厳しい決議の必要性を納得させる努力を強めている。このため
米国次官グロスマンは、パリで会談を行った。土曜日には彼はモス
クワで理解を求める。英国代表は中国にも要請することになってい
る。英米の計画では、イラク決議は同国政府が国連武器査察団の再
入国という条件を受け入れない場合には、軍事力で脅すものである
必要がある。仏露中各国は、厳しい国連決議に反対している。仏大
統領シラクは米大統領ブッシュとの電話会談で、国連の査察が失敗
した際に直ちにイラク攻撃にうつるあらゆる決議に反対する、と述
べた。




9月28日(土)

イラク戦に反対する大規模デモ ロンドンとローマで

(ロンドン)英国の首都ロンドンで数千人が参加して、近づきつつある対イラク戦
争に反対するデモが行われた。参加者は英国首相トニー ブレアと米国大統領ジョ
ージ W. ブッシュが戦争を進めている、と非難の声を上げた。国会議事堂からハイ
ド パークまでの抗議の行進には、平和団体、労働組合、教会及びモスレム組織に
属する人々のほか、ブレアの労働党の代表も参加した。
ローマでも数千人が路上に出て、イタリア共産党が組織した反戦デモに参加した。

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対イラク新決議 ロシア相変わらず慎重な態度

(モスクワ)ロシアは、英米による国連安保理の対イラク新決議案
に対して、慎重な態度をとっている。英米の外交官との会談後、露
外相イワノフは、ロシアは国連武器査察団がイラクにできるだけ早
く再入国できることを望んでいる、とだけ述べた。決議案では、イ
ラク政府に対し7日間のうちに大規模な武器査察を受け入れること
が要求されている。これを拒否した場合には、イラクに対し武力が
行使される恐れがある。イラク政府はこの決議案を拒否している。
ポーランド大統領クワシニエフスキは、同国はイラクに対する軍事
攻撃に参加する、との声明を出した。

トルコでウラン押収

(アンカラ)トルコ警察は、同国南西で、兵器に使用可能なウラン
を押収し、2人を逮捕した。警察によれば、押収されたのは旧ソ連
産ウラン約16キロである。逮捕された2人のトルコ人は、500万ド
ルでそれを売るつもりであった、とのことである。先週ようやく、
英国政府はイラクに関する報告の中で、イラクは核兵器製造のた
め、南ア産のウランを購入しようとしていた、と発表していた。

世界銀行とIMFの会議に対する抗議活動

(ワシントン)数千人がワシントン中心に集まって、国際通貨基金
と世界銀行の年次会議に抗議を行なった。抗議は主として、両者の
発展途上国での役割と米国のイラク攻撃の可能性にむけられてい
る。3千人を越える警官が動員され、衝突が起こらないようにして
いる。会議の主題は、貧困国が抱える負債の解消である。その他、
両者はいくつかの国の金融危機を防ぐ緊急措置についても話し合
う。




9月29日(日)

イスラエル軍 米国の圧力でアラファトの本部から撤退

(ラマラ)米国の強い圧力を受け、イスラエル軍は、10日間にわたって続けてき
たパレスチナ大統領ヤセル アラファトの本部の包囲を解いた。戦車と兵士は、西
ヨルダンランドのラマラの一角からも撤退した。イスラエル首相アリエル シャロ
ーンの報道官は、部隊の一部は本部の近くに駐留し続け、そこに滞在しているパレ
スチナ人テロリストと目される人物の逮捕を行なう、と発表した。イスラエルがこ
の包囲をしたのは、このテロリスト容疑者の引き渡しを求めてのことであった。ま
た同国政府は、アラファトと手配者名簿に載っていない協力者はいつでもラマラか
ら出ていくことができる、とも発表した。

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より厳しいイラク決議 過半数の賛成を得られず

(ワシントン、ロンドン)英米は国連安保理で、イラクに対する強
硬な決議の支持を得られなかった。仏露は米英の高級外交官の訪問
を受けたが、決議案に反対した。英首相ブレアは、ブラックプール
で開かれた労働党党大会で、仏政府の計画に従い、前後して投票が
行なわれた2つの対イラク決議を採択する可能性がある、と初めて
示唆した。今までイラク政府には、国連武器査察団に無条件に協力
する決議を受け入れるよう求められており、これに協力しない場合
には軍事力に訴える、ということになっていた。

蔵相 支出削減を提案

(ベルリン)連邦蔵相アイヒェルは約百億オイロの支出削減案を提
出し、増税をめぐる議論を和らげる方針である。月曜夜に行なわれ
る連立協議で、支出と補助金を削減することで、来年の国家予算の
総額を削減する提案を行う、と彼は新聞に語った。2003年から6
年の経済成長は、毎年1.5%と見ている。一方、キリスト教民主、
社会同盟と自由民主党、産業界は、社会民主党と緑の党が議論して
いる増税に激しく反対している。キリスト教民主、社会同盟は、連
邦参議院でこの計画をくじく方針を打ち出した。産業界は首脳会談
の拒否をちらつかせた。社会民主党内部からも批判の声が上がっ
た。

在サウジ・アラビア大使館で自動車爆弾 ドイツ人の死者

(リヤド)サウジ・アラビアの首都リヤドで自動車爆弾が爆発し、
ドイツ人1人が死亡した、と外務省が発表した。同省報道官によれ
ば、リヤドのドイツ大使館がこの事件の舞台となった。サウジ・ア
ラビア当局は、アルコール密輸団に関連する犯行の可能性があり
る、と主張した。内務相によれば、テロ攻撃であることを示す証拠
はない、とのことである。



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