１０月１４日〜１０月２０日のドイツのニュース
１０月１４日（月）
SPDと緑の党 大幅な支出削減の方針で合意
（ベルリン）社会民主党と緑の党は2週間にわたる協議の末、次の任期中の連立協
定に合意した。予算不足を埋めるために、主として高所得者や企業むけの優遇税制
の廃止、労働市場での支出削減、新たなかなり高額の国債発行が予定されている。
緑の党が改正を要求していた、いわゆる夫婦分割課税には変更がない。年金の払込
金は来年は19.1%から19.3%に値上げされることになった。連邦大蔵大臣ハンス
アイヒェルは、これはドイツの将来を元気づける政策である、と述べた。野党キリ
スト教民主、社会同盟は、社会民主党と緑の党が約束をたがえた、と非難した。
その他のニュース
原発オブリグハイム 稼働2年間延長
（ベルリン）ドイツで最も古い原子力発電所、バーデン・ヴュルテ
ンベルク州のオブリグハイムは計画よりも2年間長く電力を供給す
ることになる。環境相トリティンは、同原発は2004年末に廃止さ
れる、と発表した。運転を行っているバーデン・ヴュルテンベルク
エネルギー社は、5年間の運転延長を求め、首相シュレーダーと
合意があると主張していた。ブッシュ バリ攻撃の背後にアル カイダの影を見る
（ワシントン、ジャカルタ）米大統領ブッシュは、少なくとも189
人の死者を出したインドネシアのバリ島の攻撃に、テロ組織アル
カイダが関係していると述べた。またバリ島を訪問した豪外相ダウ
ナーも同様のことを述べた。インドネシアの閣僚もまた、イスラム
急進派ウサマ ビン ラディンの組織がこの攻撃の背後にある、と
非難した。犠牲者の大半は豪州人と見られる。ドイツ人女性1人も
犠牲になった。外務省の情報によれば、ドイツ人8人が行方不明で
ある。クウェートで米兵狙撃事件
（クウェート市）クウェートでは1週間で2度目の米兵狙撃事件が
発生した。米国大使館によれば、2台の市民の車から発砲が行なわ
れたが、負傷者はいないとのことである。先週火曜日には同じよう
な事件が発生し、米海兵隊員1人が死亡、1人が負傷していた。こ
の犯人は他の米兵に射殺された。
１０月１５日（火）
連立与党 閣僚人事で合意
（ベルリン）連邦議会選挙から3週間と少し、社会民主党と緑の党は連立政権を維
持するための交渉で合意した。社会民主党は10、緑の党は今まで通り3人の閣僚を
出す、と社会民主党事務長フランツ ミュンテフェリングと緑の党代表クラオディ
ア ロートが発表した。通信社が一致して伝えるところでは、ライプツィヒ市長ヴ
ォルフガング ティーフェンゼー（社会民主党）が建設・交通大臣に、バイエルン
州元社会民主党党首のレナーテ シュミットが家族大臣に就任する、とのことであ
る。法務大臣候補は今のところ内務政務次官ブリギッテ ツュプリスである。連邦
首相ゲアハルト シュレーダーは水曜日、連立協定に署名する際に、閣僚一覧を発
表する方針である。
その他のニュース
産業界と野党 支出削減策を批判
（ベルリン）野党と産業界は、国家予算の不足を補う連立与党の計
画している財政政策を激しく攻撃した。市民の税負担増加と新たな
国債発行が特に批判されている。キリスト教民主同盟のメルケルと
バイエルン州首相シュトイバーは、連立政権は有権者を裏切った、
と非難した。メルケルはキリスト教民主、社会同盟が連邦参議院で
社会民主党の緑の党の案に抵抗する、と語った。年金掛け金の額だ
けでなく、失業保険の加入料も値上げされる、と発表された。バリ島攻撃の証拠
（ジャカルタ）約2百人の死者を出したバリ島攻撃で、インドネシ
ア当局は初めて証拠を見つけた。警察は、2人のインドネシア人に
対し捜査を集中している、と発表した。彼らは犯行現場のクタにい
た3人目の男と連絡をとっていた、とのことである。インドネシ
ア、米、豪、は、テロ組織アル カイダが土曜夜のこの攻撃を行な
った買おうせいがある、と見ている。米外相パウエルはインドネシ
ア政府に対し、テロリスト追及を強化するように要請した。独外務
省によれば、ドイツ人7人がなお行方不明である。バリ島に住むド
イツ人女性1人の死亡が確認されている。内相 EUによるテロとの戦いを強化するよう要請
（ルクセンブルク）連邦内相シリーはEUに対し、国際テロ組織との
戦いを早急に決定するよう求めた。彼はEU内相会議が開かれている
ルクセンブルクで、現在の進行には満足できない、と述べ、ヴィザ
の情報の警察による利用や、欧州全体での情報捜査が難しくならな
いようにするための提案をドイツは行う、と語った。
１０月１６日（水）
SPDと緑の党 連立協定に署名
（ベルリン）2週間にわたる話し合いを経て、社会民主党と緑の党は連立協定に
署名し、連立政権を今後4年間維持することを確定した。この協定は「改革、公
正、持続」を標語としている。再重大課題として、失業率と国の負債を減らすこと
が挙げられている。両党は女性、家族政策と、購買者保護、生態系に配慮した技術
革新を重点項目とする方針である。ベルリンの国立美術館での署名式後、連邦首相
ゲアハルト シュレーダーは、これは要求の高い、しかし現実的な計画である、と
述べた。
その他のニュース
連立政権の閣僚決定
（ベルリン）連立協定の署名と同時に、最終的な閣僚人事が決着し
た。次期内閣には社会民主党から4人が入閣する。交通・建築・東
部再建大臣には66歳の元ブランデンブルク州首相シュトルペが就
任する。今まで内務政務次官を務めていたツュプリースは法務大臣
になる。長い間バイエルン州同党首を務めていたシュミットが新家
族大臣になる。ノルトライン・ヴェストファーレン州首相クレメン
トはすでに労働・産業大臣になることが固まっていた。緑の党は4
人目の大臣を出すことを断念したが、環境大臣トリティンは、再生
可能エネルギーも担当することになった。CDU/CSUと産業界 連立協定を批判
（ベルリン）野党キリスト教民主、社会同盟は新内閣を後退と見て
いる。同会派長メルケルは、綱領だけでなく人事面も後退したこと
が示された、と述べた。また、この協定で損失を被るのは家族と能
力のある人たちであり、政府の活動は増税と国債の増発をした上で
なければ行なえない、とも述べた。主要な産業団体からも批判が起
きている。増税、社会福祉の高負担、国債の追加発行をしても、ど
れほど成長と雇用が促進できるかわからない、とドイツ工業団体連
邦連合会会長ロゴフスキーは語った。ドイツ 赤字の限界を超える
（ベルリン）連邦蔵相アイヒェル（社会民主党）は初めて、ドイツ
が今年オイロ安定法に違反することを認めた。国の赤字は、上限で
ある国内総生産の3%を越え、連邦予算には穴があくと語った。し
ばらく前には彼は、EU委員会に対し、ドイツの赤字は2.9%と予想
される、と報告していた。EU通貨委員のソルベスはドイツに対し、
通貨安定法に違反したとして、対策を実行するように迫った。最悪
の場合には罰金を払うことが求められる可能性もある。
１０月１７日（木）
米国 イラク決議で妥協の模様
（ニュー ヨーク）国連の対イラク新決議をめぐる対立で、外交筋によれば、米国
は譲歩する。安全保障理事会の他の理事国の抵抗にあって、米国政府は即時武力に
訴えることはしない、との妥協案を準備している、とニュー ヨークの外交筋から
は伝えられている。武器査察団がまず安保理に報告を行った後、安保理はその後の
決定を下す。ロシア外務大臣イゴール イワノフは、米英はロシアの異議を十分考
慮した新しい提案を一両日中に行なうだろう、と述べた。公式会議の開催が114カ
国の非同盟諸国によって提案されている。
その他のニュース
フィッシャー 10月末に米国外相と会談
（ワシントン、ベルリン）独外相フィッシャーは10月30日にワシ
ントンで米国外相パウエルと会談を行う、と両国外務省が発表し
た。イラク政策に関する意見の違いを含め、いろいろなことが議論
される、とのことである。独首相シュレーダーはイラクに対する軍
事攻撃の拒否を打ち出していたが、米国政府はこれに腹を立ててい
た。会談のもう一つの主題はNATOの東への拡大である。新連邦議会 役職で対立
（ベルリン）連邦議会は、議長の職をめぐる対立で、新たな任期に
入った。キリスト教民主、社会同盟の抗議の反対投票が多かったた
め、社会民主党のティールゼはここ30年で最低の賛成で、連邦議
会議長に選ばれた。キリスト教民主、社会同盟は議長代理の職を増
やすように求めていたが、与党社会民主党と緑の党は、これを拒否
していた。ティールゼは議員に対し、新議会の勢力が拮抗している
のは生産的な討論をする好機であると捉えるよう呼びかけた。また
彼は、政治の対決がテレヴィのトークショー並になってはならな
い、とも警告した。70歳の内相シリーが、連邦議会の最年長議員
として議長を務め今回の議会を開会していた。EU安定法案にさらに批判
（ブリュッセル）オイロの安定性を保証するための欧州安定法案は
ますます強い批判にさらされている。仏、伊、独に続き、EU委員
会議長プロディが、厳格な条件に疑問を呈した。彼は「ル モン
ド」紙で、協定の中の融通の利かない規定を批判し、欧州各国の国
家財政を監督するためにより処理能力の高い機構を作るよう要求し
た。欧州中央銀行は、この法案を骨抜きにしようとの試みに抗議
し、オイロ使用国に対し、予算の原則を守るよう呼びかけた。今年
の負債が3%の限度を超えるドイツに対して、措置をとるかどうか
はこの議論ではまだ触れられていない。9月までの税収が4%不足し
ているため、ドイツ大蔵省は補正予算を準備している。
１０月１８日（金）
メレマン 資金疑惑で失脚の恐れ
（ベルリン）特別口座の党資金疑惑で、ノルトライン・ヴェストファーレン州自由
民主党党首ユルゲン メレマンは、同州同党により解任される可能性がある。党首
代理のウルリケ フラッハは、党首選挙を行うために、全党幹部の辞任を検討して
いることを認めた。彼女は、この非難があたっているなら党の勢力が失われてしま
う、と語った。同党の情報によれば、メレマンは84万オイロを特別口座の不正な
寄付金を分割して預金し、問題の反イスラエル的な内容の選挙ビラを作るのに利用
した、とされている。メレマンはこの非難を否定している。
その他のニュース
緑の党 連立協定を承認へ
（ブレーメン）緑の党代表クーンは、党員に対し、オブリンゲン原
発に関する対立を理由として、社会民主党との連立を破綻に追い込
まないように求めた。ブレーメンで開かれている連邦同党の党大会
で彼は、生態系に配慮した近代化が、今回の連立協議の確固とした
構成要素である、と強調した。また彼は、異論が出ているオブリゲ
ンハイム原発の2005年までの運転期間延長のため、この連立を難
しくしているのは、首相シュレーダーに責任がある、と述べた。約
750人の参加者が夜に、この連立協定に投票することになってい
る。イラク決議をめぐって今なお駆け引き
（ニュー ヨーク）国連安保理では合意の兆しがあるにもかかわら
ず、英米はイラクに対する軍事的独断の可能性を留保している。暴
力を行使するかどうかは、国連決議が得られるかどうかに関係な
い、と英外相ストローは語った。同様のことを米外相パウエルも語
った。外交筋の情報では、米国政府による妥協案は対イラク戦の白
紙全権を否定し、仏露が求めている国連安保理による2段階の決定
を内容として含んでいる。米国は、武器査察団の派遣と罰則の適用
をこの決議で決定したい、としている。イラク危機で首脳会談
（ベイルート）米国にイラク攻撃の可能性に関する議論が、ベイル
ートで開かれているいわゆるフランコフォニー会議の冒頭で行なわ
れた。仏大統領シラクは、イラク危機は平和的に解決しなければな
らない、と述べた。近東紛争およびアフリカ危機に関連しても彼
は、軍事的な冒険を行なわないように警告した。カナダ首相クレテ
ィアンも、イラク紛争の平和的な解決と国連決議の尊重に賛成し
た。アラブ連合事務長アムレ ムサは、国連武器査察団のイラクへ
の再入国を求めるシラクを支持した。この首脳会談には41カ国の
首相らが参加している。
１０月１９日（土）
緑の党 党幹部と議員の分離を継続
（ブレーメン）連邦議会選挙で成果を挙げてから4週間、緑の党は執行部が危機に
陥っている。ブレーメンで開かれている党大会では、党内での職務と国会議員を別
の人物にするとの原則を柔軟にするとの提案を執行部が行ったが、規則修正に必要
な3分の2の賛成がぎりぎりでえられなかった。これは、現党代表のクラオディア
ロートとフリッツ クーンが12月以降は党代表にはならない、ということであ
る。9月22日に連邦議会議員になっているからである。彼らは、国会にとどまるつ
もりだ、と発表した。
その他のニュース
シュレーダー 緑の党の連立賛成投票を歓迎
（ベルリン）連邦首相シュレーダーは、緑の党の多数が党大会で連
立協定に賛成したことを喜んだ。これは安定と今後の展望にとって
よい兆しである、と社会民主党党首である彼は語った。社会民主党
は日曜日に党大会で連立協定を承認する方針である。ノルトライン・ヴェストファーレン州FDP メレマン解任を計画
（ドュッセルドルフ）ノルトライン・ヴェストファーレン州自由民
主党党首メレマンは、同党連合に解任される可能性がある。月曜夜
には彼は特別会議を開いて、メレマンが84万オイロの資金の入っ
た選挙専用の特別口座に関して政党法に違反した、との非難につい
て話し合うことにしている。連邦同党首ヴェスターヴェレによれ
ば、メレマンはその席で辞任を決定するか、党除名処分のいずれか
が行なわれる可能性がある、とのことである。メレマンは病気で
11月下旬までこの非難に解答しない方針である。蔵相 予算の大幅改善に期待
（ベルリン）連邦蔵相アイヒェルは税収の大幅な減少と予算に穴が
空くことを予想している。彼は新聞に11月の税収見込みから考え
られることだ、と述べた。キリスト教民主、社会同盟の党首メルケ
ルとシュトイバーは、両党が政権についている州は、連邦参議院で
与党社会民主党と緑の党が計画している支出削減法案の成立を阻止
する方針である、と強調した。「シュピーゲル」誌の報道では、主
要6経済研究所は今年及び来年の経済成長予想を大きく下方修正し
た。秋の予想では、2002年は0.4%、2003年は1.4%となってい
る。
１０月２０日（日）
アイルランドがニース条約を批准したことに 各国満足
（ダブリン）EU加盟国と加盟希望国は、アイルランドがニース条約に賛成したこ
とに満足した。アイルランド首相バーティ アーヘルンは、この批准は歴史的な勝
利である、と語った。EU委員会議長ロマーノ プロディは、EUは拡大して東欧及
び南欧の10カ国を加えるという目標に近づいた、との声明を出した。公式発表に
よれば、第2回目の投票で、63%の有権者がこの条約に賛成した。投票率は約49%
であった。昨年6月に行なわれた第1回の国民投票では、アイルランドはこの条約
を拒否していた。EU加盟希望国10カ国の受け入れは、12月にコペンハーゲンで行
なわれるEU首脳会談で各国及び政府の代表によって決定されることになっている。
その他のニュース
SPD連立協定を承認
（ベルリン）緑の党に続き、社会民主党も連立協定に賛成した。特
別党大会に参加した522人の代表のうち反対したのは1人だけだっ
た。同党首で連邦首相のシュレーダーは、今回の連立協定のうち特
に、家族及び子女政策、労働市場と健康保険制度の改革を高く評価
した。その他彼は緑の党と合意した支出削減政策を擁護した。世界
経済の状況が流動的なため、負担が国民に及んでいる、とも述べ
た。また彼は、基本的価値観を共有していることを民主社会党が受
け入れた場合には、同党の党員を社会民主党に受け入れる、とも予
告した。社会民主党事務長ミュンテフェリングの後継者には、ハン
ブルク市同党主ショルツが選ばれた。メレマン 辞任
（ドュッセルドルフ）自由民主党のメレマンは、政治上の職から即
時身を引く、と発表した。彼はノルトライン・ヴェストファーレン
州同党首及び州議会の会派長も辞職する、と準備された声明の中で
述べた。彼は自分自身と家族にこれ以上政治的な攻撃が加えられな
いようにしたい、と述べた。メレマンは特に、選挙戦中にまいたビ
ラの資金の出所がはっきりしないために非難を受けていた。月曜日
には同州同党の幹部会が、メレマンを失脚させるために、集団辞任
を検討していた。ユダヤ人入植地撤去後のイスラエルの危機
（テル アヴィヴ）西ヨルダンランド北部のユダヤ人の小入植地の
撤去後、イスラエル政府内部に危機が生じている。急進派の入植者
とイスラエル安保部隊が再び衝突し、ナブルスの南にある駐在施設
で少なくとも9人の警官が負傷した。土曜日には約40人の入植者と
警官が怪我をしていた。首相シャローンは入植者によるこの暴力事
件を激しく非難した。それに先立ち国防大臣ベン・エリエゼルは、
シャローンが入植地からの撤退を正式に支持しないのであれば、彼
の労働党は連立を離脱する、と圧力をかけていた。入植者と近い立
場の国民宗教党は、撤退を理由として、連立から離脱することを検
討している。シャローン自身は日曜日、西ヨルダンランド南部のヘ
ブロンから軍を部分的に撤退させることに賛成した。