12月9日〜12月15日のドイツのニュース



12月9日(月)

シュレーダー イスラエルに軍事支援を約束

(ベルリン)イスラエル大統領モシェ カツアフはドイツ大統領ヨハネス ラオ、
首相ゲアハルト シュレーダーと会談を行い、主としてテロとの戦いについて話し
合った。シュレーダーはカツアフに、ペイトリオット型地対空ミサイルを提供し、
その他の分野でも支援を行なう、と約束した。ただし詳細は明らかにされなかっ
た。これに先立ち行なわれた会談では、ラオは近東和平がドイツの政治の主要目的
である、と述べていた。カツアフは政治会談の間に、ナチ時代の強制収容所のザク
センハオゼン記念施設で、ヨーロッパで殺害されたユダヤ人に花輪を捧げた。

     その他のニュース

イラクの武器報告書 検討開始

(ニュー ヨーク)国連と国際原子力発電機構の専門家が、イラク
の武器報告書の検討を開始した。彼らは、この報告が完全なもので
あるのかどうか、イラク政府は核兵器製造を行なおうとしていたか
どうかを調査することになっている。米露中英仏の安保理常任理事
国は、この報告書の完全な写しを持っている。一方、湾岸のカター
ルでは1週間の日程で米国主導の軍事演習が行われ、英米兵約千人
が参加している。そこでは主として本部と戦闘部隊の間の連絡の訓
練が行われることになっている。軍部代表は、イラクを含む仮想の
戦争計画に基づく行動である、と述べた。

社民党と緑の党 イラク問題で意見が一致

(ベルリン)新たに選ばれた緑の党の新幹部は、イラク問題で、社
会民主党との連帯を表明した。党首ベーアは、社会民主党とは意見
が違う、との報道を否定した。ベーアと政府報道官アンダは、連邦
政府は米国に対し、国際法上正当な軍事行動を取る場合には上空通
過権とドイツ国内の米軍事基地の使用を許可する、と強調した。米
国が独断で軍事作戦をとる場合には、独政府はそれには参加しな
い、とも語った。アンダはさらに、ドイツはイラク戦争に積極的に
は参加しない、とも強調した。

温室効果ガス排出量取り引きで合意

(ブリュッセル)気候の安定化を進めるため、EU各国は世界で初
めて、環境汚染をする権利を販売する制度を作ることで合意した。
それによれば、エネルギーを多く消費する業種は2005年から、汚
染を捨てる許可が得られる。これらの業種が、温室効果ガスの排出
割り当て以下しか排出しない場合には、残りの権利を販売すること
ができる。ドイツが圧力をかけたため、特定の業種、企業は2007
年末までこの取り引きの例外となる。独環境相トリティンは、この
制度導入で、企業はさらに環境保護に資金を当てることができるよ
うになる、と語った。




12月10日(火)

ノーベル平和賞受賞者カーター 予防戦争を行なわないよう警告

(オスロ)今年のノーベル平和賞を受けるジミー カーターは、国連を尊重するこ
とが、平和実現と貧困絶滅のための主動的な力となるよう求めた。元大統領はオス
ロで感謝の演説を行ない、米国に対しては大きな力は大きな知恵を意味しない、と
述べた。イラク紛争をにらんで78歳の彼は、いわゆる予防戦争を行なえば、悲惨
な結果を招きかねない、と警告した。ストックホルムでは、作家イムレ ケルテス
がハンガリー人としては初めてノーベル文学賞を受賞した。彼はブダペスト生まれ
の73歳で、彼が文学的にの表現したホロコーストの経験が、ヨーロッパにとって
改めて極めて重要であることを示した点が表彰された。

     その他のニュース

露政府 国連武器査察団に圧力をかけないよう警告

(モスクワ、バグダッド)ロシアは、国連武器査察団に圧力をかけ
たり、イラクに嫌疑を性急に書けることが内容警告した。武器査察
団は、イラク政府の武器報告書と査察団から、独自の結論をださな
ければならない、と露外相イワノフは力説した。火曜日には、破壊
された原子炉アル トゥワイタの4回目の調査を含め、5つの疑惑
の施設の調査を行った。査察団は60名以上に強化された。米大統
領ブッシュは9,200万ドルをイラクの野党に与えた。

イスラエル大統領 イラクに反撃すると威嚇

(ベルリン)イスラエル大統領カツアフは、イラクがスカッド・ミ
サイルで攻撃を行なった場合、1991年同様、大規模な反撃を行な
う、と威嚇した。彼はドイツ訪問の最後に、イスラエルを攻撃する
勢力は、それに見合う反撃を受けることになる、と新聞に語った。
前日独首相シュレーダーは、カツアフとの会談後、ドイツがイスラ
エルにペイトリオット型ミサイルの他にも軍事支援を行なうと期待
してよい、と語っていた。

社民党 首相が辞任をちらつかせて威嚇したとの報道を否定

(ベルリン)連邦首相シュレーダーが辞任をちらつかせて威嚇し
た、との噂がでているが、社会民主党はこれを否定した。首相は月
曜日の幹部会で、現在の困難な状況に関する「断固とした」報告を
聞き、決意を新たにするよう求めたのだ、と同党事務長ショルツは
語った。首相は「自分ならこれをより上手くやることができると思
う人が、それをやるべきだ」と述べたが、これを辞任を盾にした脅
しだと感じた人はいなかった、とも述べた。労働・産業大臣クレメ
ントも同様のことを述べ、シュレーダーの後継者には自分が適任で
あると言う話を持ち出すのは無意味である、と語った。




12月11日(水)

スカッド・ミサイル 行き先はイエメン

(サヌア)インド洋で停船を命じられて、調査を受けた北朝鮮の貨物船は、15機
のスカッド・ミサイルを積んでいたが、そのままイエメンへの航行を続けることが
できる。米国はイエメン政府の抗議を受け入れた、とイエメン政府報道官は首都サ
ヌアで発表した。スペインと米軍は、反テロ多国籍軍の依託を受けて、この船を月
曜日に拿捕していた。米国政府は、米国がこの船の捜査を行なうと決定したのは、
この船の目的地がはっきりしていなかったためであるが、この船はテロ組織を支援
している疑いがある国に向かっている可能性も否定できない、としている。イエメ
ン政府は水曜日、ミサイルを発注したことを認め、この納入を妨害しないよう、抗
議していた。

     その他のニュース

米国 核兵器使用で威嚇

(ワシントン)米国は、大量殺戮兵器での攻撃があった場合には、
核兵器を用いた反撃までも行なう、と威嚇した。これは、国会に伝
えられた大統領ブッシュの戦略上の命令で示されている。この命令
の中では、生物、化学、核兵器が使用された場合に、米国は「圧倒
的な軍事力で」対抗し、あらゆる可能性を検討する、とされてい
る。専門家は、米軍が作戦を実施する場合に、米軍ないしは同盟諸
国に対し生物、化学兵器をつ川に用に、とのイラクへの明確な警告
である、と見ている。一方国連武器査察団は、イラクでのこの種の
兵器の捜査を続けている。彼らは数箇所の疑わしい施設の捜査を行
い、その中には、以前イラクの核兵器開発計画の一部であった燐酸
塩工場も含まれていた。

米国防相「アフリカの角に米軍駐留を続ける」

(ドーハ)米国防相ラムズフェルドとカタール国防相ハマド ビン
 ジャブル エル タニは軍事協定に署名した。これにより、米国
はカタールの軍事基地アル ウデイドを利用できる保証を取り付け
た。これに先立ちラムズフェルドは訪問先のジブチで、米国は少な
くとも今後3、4年間はキャンプ レモニエルを使用する、と述べ、
アフリカの角での駐留を予告した。この荒れはてた国に駐留してい
る米軍兵を訪問した彼は、隣国イエメン、サウジ・アラビア南部に
いるテロリストを壊滅する、と述べた。

首相「ドイツAWACS守備隊の配置転換は行なわない」

(ベルリン)イラク戦争が起きても、管制偵察機AWACSに乗り組
む国防軍兵士を、同機から降ろすことはない、と首相シュレーダー
は語った。テレヴィ番組で彼は、それでも同盟国としての義務は果
たされる、つまり、ドイツが管制偵察機を保有しているのは、同盟
各国の防衛のためでもあるが、ドイツはイラクの戦闘行為には参加
しないということだ、と述べた。




12月13日(金)

EU首脳会談 新規に10カ国の受け入れへ

(コペンハーゲン)EUは過去最大の加盟国受け入れを決めた。粘り強い議論の末、
加盟15カ国の首脳はコペンハーゲンで開かれている首脳会談で、加盟希望国10カ
国との交渉を終えた。2004年5月1日に7,500万人の国民を持つエストニア、ラト
ビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、スロヴェニ
ア、マルタ、キプロスをEUに受け入れることになる。これにより新たなヨーロッ
パが誕生する、とデンマーク首相でEU理事会議長アンデルス フォッホ ラスム
センは語った。
特にポーランドはこの会議で財政支援問題でEUにさらなる譲歩を求めた。同国は、主として外側の国境を守るために、1,330万オイロの追加支援を受けた。EUは拡
大のために総額408億オイロを支出する決定を行なった。

     その他のニュース

NATO EU介入部隊を支援

(ブリュッセル)数年にわたる粘り強い交渉の結果、NATOはEUに
対し、欧州独自の介入部隊を創設する際には、これを支援する、と
約束した。NATO評議会はブリュッセルで、NATOの軍事活動計画
及び指揮能力にEUが参加することを認めることを決定した。NATO
事務長ロバートソンは、これにより両組織の戦略的な協力態勢が実
効性を持つことになった、と語った。NATOの決定により、6万人
規模のEU介入部隊を創設するうえでの障害がなくなった。この部
隊は主として人道的並びに平和維持のための措置に投入されること
になっている。

コソヴォで自動車爆弾 負傷者多数

(プリスティナ)セルヴィアのコソヴォ州の首都プリスティナでは
自動車爆弾が爆発し、30人以上が負傷した。コソヴォ平和維持部
隊の報道官と国連警察は、繁華街の一角で爆発が起こり、負傷者は
すべてアルバニア人である、と発表した。その他に大きな物的被害
も発生している、とのことである。この攻撃の背後関係に関しては
何も発表できなかった。

労組 ハルツ提案は不十分

(ベルリン)ハルツ提案は、失業との戦いで効果を上げるには十分
ではない、と労働組合は見ている。ドイツ労働組合連合会長ゾマー
は新聞インタヴューで、ハルツ提案で予定されている迅速な職業斡
旋では新たな雇用を作り出すことはない、より多くの雇用を生み出
すためには、政府は公的な投資を増やし、中所得層をより支援し、
官僚主義を打破することが必要だ、と述べた。さらに、パート労働
が企業と被雇用者双方にとってより魅力的なものになるようにする
べきだ、とも語った。また彼は、税金をやみくもにあげ、補助金を
削減しようとしているとの印象だ、とも述べた。




12月14日(土)

EU拡大 広く支持を集める

(コペンハーゲン)デンマークのコペンハーゲンで開かれているEU首脳会談で、
金曜日に決定された10カ国のEUへの加盟は、全ヨーロッパで広く支持されてい
る。連邦首相ゲアハルト シュレーダーは、これはヨーロッパにとって、ドイツに
とって重大な日である、と述べた。また彼は、EUを政治的によりよく運営してい
くために、EUの各組織の改革を行うよう促した。新規加盟国の首脳は、新たな時
代が始まった、と述べた。一方トルコ大統領アーメット ネクデット セゼルは、
EUが2005年までトルコのEU加盟会談を開始しないとしたことに失望した、と語
った。トルコではおおむね肯定的に報道されており、「EUへの道が開かれた」あ
るいは「2010年には我々はヨーロッパ人である」などといくつかの新聞には掲げ
られている。

     その他のニュース

連邦政府 新利子税を計画

(ベルリン)連邦と各州の間の財産税をめぐる対立は、新たな利子
税で解消される見込みである。複数の報道機関が、今後利息による
収入に一律25%の課税を行う計画がある、と報道した。課税逃れに
対する恩赦も話題に上がっており、連邦政府はまもなく計画を呈示
する、とも報じられた。大蔵省は、利息に対する課税を導入するこ
とだけを今のところ認めているが、詳細については明らかにしてい
ない。キリスト教社会同盟党首のシュトイバーは、基本的にこの新
たな規定に賛成しているが、特に高額所得者及び資産家が重い負担
をしている、と指摘した。

ドイツ海軍 反テロに行動を制限したまま

(ジブチ)アフリカの角を訪問している国防相シュトゥルックは、
東アフリカ沿岸へ派遣されたドイツ兵は、国際テロ組織との戦いで
重要な貢献をしている、と評価した。海路は安全に確保されてい
る、と護衛艦メクレンブルク フォアポメルンを査察した彼は語っ
た。国際部隊がいるだけで、相手の気をくじく効果がある、とも述
べた。彼は兵士に対し、派兵は反テロ作戦「永遠の自由」に限定さ
れる、と約束した。イラク戦争が起こった場合、米国がNATOを通
じてドイツ艦船を派遣するように要請するのではないかとの観測を
彼は否定した。

内相 ユダヤ博物館を評価

(ベルリン)内相シリーはベルリンのユダヤ博物館を、反ユダヤ主
義や外国人に対する憎しみと戦う要塞かつ有効な手段である、と評
価した。相互理解と寛容」賞の授与式で彼は、この博物館の「立案
者のバイツとフォン ピーラーに対し、この博物館で公開されてい
る記録が示すナチの犯罪があったにもかかわらず、力強いユダヤ人
の社会がドイツに新たにできることを望む声を表わしたのがこの博
物館である、と述べた。さらに、連邦が監督するこのベルリン博物
館は、2000年前からユダヤ人社会がどれほど広く、ドイツの歴史
の一部となっていたかを訴える施設である、とも語った。




12月15日(日)

イラク 宣戦布告なしの戦争

(バグダッド、ロンドン)イラクは飛行禁止区域で新たな攻撃を行なった後、米英
は既にイラクに対し「宣戦布告を行なわずに戦争」を行なっている、と非難した。
イラク外務大臣ナジ サブリは、国連に対しこの攻撃を止めさせるように求めた。
米国は予想される戦争に向けて、予備役兵と州兵27,000人を警戒待機に入らせる
方針である。英国は2月に6隻の軍艦を湾岸市行きに派遣する。国連イラク武器査
察団は人員を増強し、査察範囲を拡大した。特に元原子力研究所、ミサイル工場数
箇所、医薬品研究施設の調査を行なった。

     その他のニュース

イラクの反対勢力 新たな戦略を模索

(ロンドン)さまざまな政治路線をとるイラクの50を越える反体
勢力の組織はロンドンに集まり、さらに共同の戦略を求めて議論を
行っている。330人の代表者が作業班を作り、約百ページの草案を
検討している。この案は主として、連邦制度と将来の自由選挙を含
んでいる。参加者の意見がほぼ一致しているのは、権力の交代が行
われた場合には、クルド人及びその他の少数派に大きな自治権を保
証しなければならない、ということである。暫定政権を作る準備
は、米国の圧力を受け議事日程には上がっていない。反対勢力内部
での激しい権力争いで大統領サッダーム フセインに対する抵抗を
弱めることがないようにするためである。ロンドン会議の成果は月
曜日の最終声明で呈示される

国防相 クウェート部隊訪問

(クウェート)国防相シュトゥルックは、国際反テロ作戦でクウェ
ートに派遣されているドイツ兵の訪問を続けている。イラクとの国
境で核、生物、化学兵器を調査するフクス型戦車とともに駐留して
いる約50人の国防軍の兵士と会った。クウェートでの記者会見で
も彼は、ドイツ兵には「永遠の自由」作戦での国際テロ組織との戦
いだけが任されている、と述べた。また彼はイラク大統領サッダー
ム フセインとテロ組織アル カイダには関連がないと思うので、
イラク攻撃は反テロの戦いの枠組みの中で行なわれるわけではな
い、とも語った。

ドイツ人は新たな利息税を覚悟しなければならない

(ベルリン)ドイツ国民に新たな利息税が課される。首相シュレー
ダーは、利息に対し一括支払い型の税金を導入するという計画が政
府にあることを認めた。新聞報道では、彼は欧州の他国の例になら
うものであると述べた。どのようにして、外国の秘密資金が再びド
イツに流れ込むのかも再検討しなければならない、とも語った。労
働組合は週末に、この利息に対する税金は、大きな異論を巻き起こ
した財産税の代わりに導入されるものだと抗議した。財産税の再導
入に努力してきた社会民主党所属の州首相の中には、これに譲歩す
るとの態度を示したものもいるが、条件としてこの税は州が利用で
きるものとすることをあげた。



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