12月23日〜12月29日のドイツのニュース



12月23日(月)

イラクと米国の緊張高まる

(ワシントン)米国とイラクの緊張は高まっている。イラク空軍は、同国南部の飛
行禁止区域で、米国のプレデター型無人偵察機を撃墜した。これは両国の軍部報道
官が発表したもので、内容は一致していない。米国参謀長リチャード マイヤーズ
は、今回の撃墜で情勢が悪化するとは思っていない、と述べた。米国政府は国連に
対し、イラク戦争が起きる際には、人道面での危機に対処することを提案した。国
連の救援組織は、約90万人の難民に食料を手配できるよう措置を講じ始めた。ま
た米国政府は、秘密情報機関CIAの職員が武器査察に参加することを進めるイラク
の提案を拒否した。ローマ教皇庁は、国連の賛成なしにイラクを予防攻撃してはな
らない、と厳しい言葉で語った。

     その他のニュース

ウクライナ旅客機 イランで墜落

(テヘラン)ウクライナの飛行機会社の旅客機がイラクで墜落し
た。イラン国営放送IRIBは、少なくとも乗客44人が死亡し、犠牲
者はおそらくウクライナ人であると報じた。墜落したアントーノフ
型機は、トルコからイラン中部のイスファハンに向かっていた。墜
落の原因については情報がない。

カブールのヘリ墜落は技術的な故障によるもの

(ベルリン、カブール)国防軍のヘリコプターがアフガニスタンの
カブールで墜落したのは、技術的な故障によるものと見られる。原
因は主回転翼の動力の故障であろう、と国防省報道官は発表した。
墜落機の調査では、銃撃を受けたことを示すものは見つからなかっ
た。土曜日のこの事故で死亡した7人の遺体は、クリスマスにはド
イツに運ばれる予定である。

首相 社会福祉制度の改革に賛成

(ミュンヘン)首相シュレーダーは、ドイツの社会福祉制度の改革
を第2期目の優先目標とする方針である。変化する世界経済の情勢
下にあって、経済の効率と社会福祉の公正の間でつりあいを取らね
ばならない、と彼は新聞のインタヴューに答えた。首相は、断固と
して改革に臨む準備を進め、その力を持てば、ドイツが社会福祉国
家であることは長期にわたって守っていける、と述べた。同時に彼
は労働のための同盟を改組することに賛成した。




12月24日(火)

連邦大統領 寛容を訴える

(ベルリン)連邦大統領ヨハネス ラオは、さまざまな文化圏の人間が平和的に共
に暮らせるように、と呼びかけた。彼はドイッチェ ヴェレで放送されたクリスマ
ス演説の中で、固定観念や先入見は、直にふれあうことで取り去ることができる、
と述べた。これに関して彼は、ドイツ国内で移民との融合を目指す多くの団体の活
動をはっきりと賞賛した。また彼は、世界各地で飢えや貧困と戦っているすべての
ドイツ人に対し、特別の言葉を送り、彼らはみなドイツの良い一面を伝えている、
と述べた。

     その他のニュース

教会 イラク紛争の政治的解決を要請

(ケルン)クリスマスのお祭りで、ドイツのプロテスタントとカト
リック両教会の代表者が、イラク紛争と近東紛争の政治的な解決を
求めた。人々が暴力的な紛争になれてしまってはならない、と述べ
た。プロテスタント教会評議会議長コックは戦争反対に立ち上がる
ようキリスト教徒に呼びかけた。ケルン大司教枢機卿マイスナー
は、大聖堂で開かれた説教で、イスラエル軍がベツレヘムにいるこ
とを批判し、イエスの生誕の町は戦場になった、と述べた。

イスラエル軍 ベツレヘム中心部から撤退

(エルサレム)キリスト教の信仰ではイエスの生誕の町とされるベ
ツレヘムでのクリスマスのお祝いのため、イスラエル軍は外出禁止
令を解除し、中心部から兵士を撤退させた。西ヨルダンランドの各
地のキリスト教徒、巡礼者、観光客はベツレヘムに入ることができ
る、と軍広報部は発表した。ベツレヘムがクリスマス期間中イスラ
エル軍に占領される事態は1994年以来のことである。軍は1ヶ月
以上前に、パレスチナ人の自殺攻撃があってから、この町に侵攻し
ていた。ガザ地区ではイスラエルの兵士が手榴弾を使用し、パレス
チナ側の情報によれば14才の少年を殺害した。

国連イラク武器査察団 イラクの科学者に質問

(バグダッド)イラクでの武器査察開始からまもなく1ヶ月経つ
が、国連の専門家は初めて正式にイラクの科学者に質問を行なっ
た。核の専門家の質問は、バグダッド工科大学で行われた。それと
並行して、隠されていると見られる武器の捜索を行なうため、国連
の調査団は少なくともバグダッド周辺の施設9ヶ所を訪れた。イラ
クの専門家に対する武器計画の質問は、国連決議1,441で明確に予
定されていたことである。米国は数日前からそれを実施するよう査
察団に求めていた。




12月25日(水)

兵士の遺体 ドイツへ

(ケルン)アフガニスタンの首都カブール近郊でのヘリコプター墜落事故から4日、
国防軍は事故で死亡した7人の兵士の遺体をドイツに持ち帰った。空軍の特別機が
ケルン・ボン空港に到着した。空港内での軍による追悼式には、多くの近親者のほ
か、国防大臣ペーター シュトゥルック、国防軍統合幕僚長ヴォルフガング シュ
ナイダーハンも出席した。
カブールでは、同機が出発する前、国際アフガニスタン保護部隊のドイツ兵が追悼
式で、犠牲者と別れを告げた。このヘリコプターの墜落は国防軍の海外派兵で最悪
の事故であり、おそらく技術的な故障が原因である。

     その他のニュース

教皇 クリスマスの祝福を与える

(ローマ)教皇ヨハネス パウル2世はクリスマス教書の中で、イ
ラク戦争を回避するよう呼びかけた。カトリック教会の最高位者で
ある彼は、近東の和平努力を改めて行なうように求めた。また教皇
は第3世界が飢えと貧困に苦しんでいることを指摘した。ローマの
ペテロ広場に集まった数万人の信者を前に彼は、伝統に則り内外の
信徒にクリスマスの祝福を与えた。彼はこの祝福の最中、クリスマ
スのあいさつを62の言語で行なった。

両教会 平和と人道を呼びかけ

(ベルリン)イラク危機の直面し、ドイツのキリスト教両教会の代
表者は、クリスマスの説教の中で、和平を訴え、より人道的な行動
を取るよう信徒に呼びかけた。カトリック司教会議の議長枢機卿レ
ーマンは市民に対し、病人、障害者、死に瀕している人に接する場
合もより人道的な態度を取るように訴えた。プロテスタント教会評
議会議長コックは、すべてのキリスト教徒が戦争に反対して立ち上
がるよう訴えた。

イラク 英米軍機を攻撃

(バグダッド)イラク空軍は、同国南部の目標地点を爆撃した英米
の軍用機に対して発砲した、との情報がある。この英米軍機はその
後クウェートに帰還した、とイラク国営通信社INAは伝えた。派遣
通信員の報道によれば、国連イラク査察団は水曜日、武器を隠して
いると見られる施設を少なくとも5ヶ所捜査し、とくにバグダッド
近郊のミサイル工場が重点的に調査された、とのことである。




12月26日(木)

クリスマスにも近東で暴力

(ラマラ)クリスマスの2日目、近東では新たな暴力事件が発生した。木曜日西ヨ
ルダンランドでイスラエル軍が手入れを行なった際、少なくとも7人のパレスチナ
人が死亡した。急進派と見られる数人が逮捕された。ガザ地区ではそれより前の夜
のうちに、パレスチナ人2人がユダヤ人入植地に進入しようとして死亡した。ベツ
レヘムではクリスマスの祝いが終わった後、イスラエル軍は外出禁止令を再施行
し、町の中心部を再び占拠した。クリスマス期間中、兵士は周辺地域に撤退してい
た。

     その他のニュース

ドイツの政党財団 トルコで裁判の対象に

(アンカラ)トルコの首都アンカラでは、ドイツの政党のすべて財
団の代表者に対していわゆる「スパイ裁判」の、被告の聴聞が行な
われた。弁護人は、証拠が不十分なためそもそもこの聴聞は行なわ
れてはならない、との訴えていたが、国家安全保障法廷はこれを却
下した。あわせて15人のドイツ人とトルコ人は、「秘密結社に属
し」「トルコの安全保障を脅かすような秘密の呼びかけを行なっ
た」件で最高15年までの禁固刑が言い渡される可能性があるが、
彼らはこれを事実無根であるとし、無実を訴えている。この訴訟の
背後には、環境保護派とトルコ政府との間で数年前から続いてい
る、西トルコの都市ベルガマ近郊での有毒物質を含む金の採掘をめ
ぐる対立がある。この裁判は1月30日まで続けられることになって
いる。

NATO事務長「NATOはイラク戦争に道徳的な義務がある」

(ロンドン)NATO事務長ロバートソンの意見では、NATOは米国
が主導しているイラク戦争を支援する「道徳的な義務がある。」テ
レヴィインタヴューで彼は、米国が単独で軍事行動を起こす可能性
はない、と述べ、米軍はイラク戦を単独で行なう能力はなく、近東
にある同盟国の基地を利用するよう提案されている、と語った。ト
ルコ首相アブドウラ グエルは、この戦争を阻止するために外交面
で積極的に動こうとしている。このため彼は、サウジ・アラビア、
ヨルダン、エジプトと会談を行ない、さらにはシリア、イランとも
会談を行なう可能性がある、とのことである。

南イラクで攻撃

(バグダッド)米英軍機は木曜日、イラク南部の軍事基地を攻撃し
た。バグダッドの南東300キロの基地へのこの攻撃は、無人偵察機
が月曜日に撃墜されたことの報復である、と米国中央司令部は発表
した。イラクの情報によれば、民間施設が爆撃され、3人が死亡し
た、とのことである。また米英軍機はイラク南北の地域でイラクが
現地のクルド人とシーア派の少数派を空から攻撃しないように、監
視している。イラクは1年前から飛行禁止区域の設定を、国家の主
権の侵害であるとして拒否している。




12月27日(金)

チェチェンの首都グロズヌイで大虐殺

(グロズヌイ)チェチェンではここ数年で最悪の流血の襲撃事件が起こり、少なく
とも46人が死亡した。ロシア文民保護省の情報では、負傷者数は70人を越える。
公式の情報では、ロシア寄りの政府の閣議を行なっているグロズヌイの建物の前
で、2人が大量の爆薬を爆発させ、自殺攻撃を行なった。政府の建物の一部は完全
に崩壊した。報道によれば、けが人の中には、カフカス共和国副首相シーナ バテ
ィシェワが含まれている、とのことである。チェチェン反政府勢力が攻撃声明を行
なった。モスクワでは、予防措置として安全対策が極めて強化された。

     その他のニュース

在パリロシア大使館攻撃を未然に予防

(パリ)フランス治安当局は、パリのロシア大使館に対する攻撃を
阻止した、との情報がある。内務省は、ここ数日テロ組織が、チェ
チェン反政府勢力がモスクワの劇場の人質事件で殺害された報復と
して、露大使館への攻撃を計画していた、と発表した。仏警察は
12月になって、イスラム教徒と見られる9人を逮捕した。

ユダヤ人入植地攻撃で 少なくともイスラエル人4人死亡

(エルサレム)西ヨルダンランドのへ部論のユダヤ人入植地の襲撃
事件で、重装備のパレスチナ人が、少なくとも4人のイスラエル人
を射殺した。この男が治安軍に射殺されるまでに、その他5人の入
植者が負傷した、とのことである。武装組織イスラム聖戦が犯行声
明を出した。これに先立ちパレスチナ人急進派組織ハマスは、イス
ラエルに対しテロ攻撃を行なう、と迫っていた。

米国 北朝鮮危機を平和的に解決する方針

(ワシントン、ピョンヤン)米国は、北朝鮮が実力で進めている核
計画に対し、軍事力を行使する可能性を否定した。大統領ブッシュ
の報道官は、平和的な解決を模索していると述べ、北朝鮮に譲歩
し、核計画を中止するよう求めた。これより前北朝鮮は国際原子力
発電機構IAEAの調査官に、即時出国するよう求めた。同機構は、
この命令に応じるつもりはない、と発表した。北朝鮮は、武器に使
えるプルトニウムを製造できるヨンビョン原子力発電所を再稼働す
る方針である。ベルリンでは北朝鮮大使館員を正式に外務省に呼
び、北朝鮮の行動に対する連邦政府の憂慮をはっきり伝えた、との
ことである。




12月28日(土)

米国 戦争の準備を進める

(ワシントン)米国は、今後予想されるイラク戦争の準備を進めている。国防大臣
ドナルド ラムズフェルドは、地上軍と戦闘機の追加配備を命じた、と米国では報
じられている。来週には兵士と軍備が、クウェート、バーレン、カタールその他の
湾岸諸国に移動することになっている。イラク政府はこれらの情報に反応していな
い。バグダッドの新聞では、戦争を告げる太鼓の響きはイラクを脅えさせることは
ない、と報じられている。

     その他のニュース

イラク 科学者の名簿提出

(バグダッド)イラクは国連に対し、武器開発計画に参加した5百
人の科学者の名簿を提出した。国連報道官植木は土曜日バグダッド
で、これに名前が記載されているのは核、科学、生物兵器製造計
画、およびミサイル開発にかかわった人であり、名簿はアラビア語
で書かれており、国連職員が翻訳しているが、写しはニュー ヨー
クとウィーンに送られる、と語った。国連武器査察団は国連決議
1441により、イラクの科学者の話を聞き、質問のため海外に連れ
出すことが認められている。

国連安保理での投票に関する議論

(ベルリン)外相フィッシャーは、国連安保理でイラク戦争にドイ
ツが賛成することをめぐる議論を始めた。雑誌インタヴューで彼
は、賛成投票を行なう可能性がある、と語った。これを批判して、
緑の党副会派長シュトレーベレは、戦争に賛成することは考えられ
ない、と述べた。キリスト教民主、社会同盟と自由民主党の幹部
は、連邦政府はイラクに対する軍事攻撃の全面的な拒否の姿勢を、
徐々に捨て去る、と見ている。

韓国 外交手段による北朝鮮に対する圧力を強化

(ソウル)韓国は共産主義の北朝鮮に対する圧力を、外交手段によ
って強化する方針である。その計画によれば、中国とロシアは、問
題の核計画を中止するように北朝鮮に迫ってもらうため、北京とモ
スクワにできるだけ早く使節を派遣する、と韓国外務相報道官が発
表した。国際原子力発電機構は、引き上げを求める北朝鮮政府の要
求に従い、査察団を引き上げる。火曜日には北朝鮮を出国する。同
国の対決姿勢は世界各国から批判を受けている。EU外務委員ソラナ
は、EUは同国の電力問題は理解しているが、原子力発電の稼働で自
体が改善されるとは思えない、と述べた。




12月29日(日)

独中関係 かつてないほど良好

(北京)連邦首相ゲアハルト シュレーダーと中国政府代表朱鎔基によれば、ドイ
ツと中国の関係は新たな次元に到達した。シュレーダーの公式訪問の第1日目に北
京で両者は会談を行ない、イラク、北朝鮮、アフガニスタン問題に関して完全に合
意した、と強調した。シュレーダーは、産業、技術、文化面での交流をさらに拡大
することに賛成した。月曜日には首相は退陣することになっている大統領江沢民と
新中国共産党党首胡錦濤と会談する。その後彼は上海に行き、トンジ大学から名誉
博士号を受ける。

     その他のニュース

亡くなったドイツ兵の追悼式

(ボン)アフガニスタンで死亡した7人の国防軍兵士の追悼式に家
族、政治家、軍人が出席した。連邦大統領ラオは、ボンの大聖堂で
行なわれた礼拝で、7人は、ドイツにとって重要かつ不可欠な責務
に命を捧げた、祖国は果たしてくれた任務に対して感謝する、と述
べた。また彼は、多くのドイツ人がアフガニスタン派兵と国際テロ
組織との戦いへの参加を支持している、と強調した。死亡した兵士
は12月21日にカブールで、ヘリコプターとともに墜落した。この
事故の原因は技術的な故障である、と見られている。

グロズヌイの爆破事件捜査

(モスクワ)チェチェンの首都グロズヌイで起きた大規模な爆弾事
件では死者61人、150人を越える負傷者が出たが、ロシア当局は
重点的に黒幕を捜査している。チェチェン政府のバビッチはロシア
のテレヴィ番組で、死者の数は61人であるが、さらに増えるだろ
う、と述べた。3人の自殺攻撃犯は金曜日、トラックと四輪駆動車
に乗って、厳重な警備下にあったグロズヌイの政府の建物に突入
し、1トンを越えるダイナマイトに点火した。

シャローン 急進派対策強化

(エルサレム)ユダヤ人入植地への流血の攻撃を受け、イスラエル
首脳部は軍に対し、パレスチナ人急進派と見られる人物の一掃と逮
捕を強化するよう指示した。首相シャローンは日曜日、国防省モフ
ァスと「テロとの戦い」を強化しなければならない、との決定を行
なったことを認めた。金曜日ヘブロン近郊の入植地オトニエル攻撃
では、イスラエル人4人と攻撃した2人が死亡していた。急進派組
織イスラム聖戦が犯行声明を行なった。トゥルカレムでは兵士が日
曜日に10才の少年を射殺した。前夜にもガザ地区で11才の少女が
殺害されていた。



今日のニュースへ

過去のニュース(目次)へ inserted by FC2 system