1月6日〜1月12日のドイツのニュース



1月6日(月)

公勤務のスト 近づく

(ブレーメン)公勤務従事者の賃上げをめぐる対立の調停が失敗したことを受け、
連邦、州、地方自治体でストライキが行なわれる可能性が高まった。連邦内相オッ
トー シリーはすでに、調停官の勧告は受け入れられない、公の財政にとってはあ
まりに高すぎる、として退けていた。しかし彼はポツダムでの次回交渉で新たな提
案を行なう、と予告した。シリーは、使用者側は依然として交渉する準備があり、
水曜日には妥協がなされうることを楽観視している、と述べた。労働組合ver.diは
賃上げ交渉の調停交渉で総額3%の賃上げを正式に受け入れていた。

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社民党幹部 労働市場問題を協議

(ヴィースバーデン)社会民主党は、中流階級の利益になるよう
に、労働市場問題を取り計らう方針である。ヴィースバーデンで開
かれた非公開会議で党幹部は月曜日、産業大臣クレメントの提案を
協議した。この提案によれば、中間所得層に革新的な力を振るって
もらうだけでなく、中期的に税も40%に減税することも含まれてい
る。同党の一部は、産業界の活性化のためにより多くの資金を支出
することを求め、特に連邦銀行の外貨準備の半分を取り崩すべき
だ、と考えている。産業界の代表は、税の軽減と官僚主義からの脱
出を歓迎した。

自民党党首 党の独自性を打ち出すことを求める

(シュトゥットガルト)自由民主党党首ヴェスターヴェレは、党独
自の姿勢を打ち出すことに賛成し、党内の結束を呼びかけて、同党
内の方針をめぐる対立に決着を着けたい方針である。シュトゥット
ガルトで開かれた恒例の東方三王来朝の記念日の会議で彼は、同党
は独自の党の方針に基づいて進む道を決めなければならない、と述
べた。今後の最重要の課題としては、社会市場経済の革新、社会福
祉制度の改革、効果的な教育、外交政策をあげた。また彼は政府の
産業政策に厳しい批判を行なった。彼は改めて抜本的な減税を要求
した。

ドイツ企業の多くがイラクの武器調達に協力

(ミュンヘン)ドイツ企業は70年代以来、イラクの武器整備計画
を今まで公表されていた以上に、支援していた。安保理に提出した
イラクの報告書には、同政府の武器計画に貢献した98のドイツ企
業の名前が記載されている、とテレヴィで報じられた。主要ドイツ
企業が、イラクの通常、核、生物、化学兵器の調達を助けた、との
ことである。




1月7日(火)

社民党幹部 シュレーダーの方針を指示

(ヴィースバーデン)社会民主党幹部は非公開会議で、連邦首相ゲアハルト シュ
レーダーの産業および社会福祉政策を一致して支持した。同党議長団に引き続き執
行部も、産業大臣ヴォルフガング クレメントによる中流階級重視の計画に合意し
た。税の軽減と中小企業の資金集めの支援、官僚主義的な規則の廃止などが計画さ
れている。そのほか同党執行部と会派の幹部は、シュレーダーのイラク紛争に関す
る態度も認めた。シュレーダーは、今後予想される安保理での決定の際に、ドイツ
がどのような態度を取るか確定していない。

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CSU 改革で政府に協力

(クロイト)野党キリスト教社会同盟は連邦政府に対し、社会保障
制度改革他の重要問題で協力を持ちかけた。合理的な提案には反対
しない、とオーバーバイエルンのクロイトで開かれている同党の国
会議員の非公開会議の冒頭で、同党州組織会会長グロスは語った。
ただし彼は政府の移民政策は断固として拒否した。

公勤務の賃上げ交渉 使用者側が新たな提案を予告

(ミュンヘン)公勤務従事者の賃上げ交渉で、使用者側は新たな提
案を行ない、直前で労働争議を阻止するほうしんである。この提案
は水曜日にポツダムで行なわれる交渉の直前に示される、と各州の
交渉担当の代表バイエルン州蔵相ファルトハオザーの報道官が発表
した。新聞報道によれば、使用者側は他の負担が軽減されるのであ
れば、3%の賃上げを受け入れる準備を整えた、とのことである。

ドイツ経済研究所 成長予測を下方修正

(ベルリン)ドイツ経済研究所の予想によれば、景気回復は見えて
いない。同権救助は今年の経済成長予測を0.9%から0.6%に下げた。
おそらく2004年の成長も1%に達しない、と所長ツィンマーマンは
ベルリンで語った。産業労働相クレメントは、この予想を極めて大
胆だ、と評し、政府は当面経済成長の予測を1.5%から変更しない、
と述べた。




1月8日(水)

トルコで飛行機墜落 死者72人

(アンカラ)トルコ南東部で飛行機が墜落し、水曜夜の公式発表によれば、少なく
とも72人が死亡した。トルコ内務大臣アブドゥルカディル アクスは、事故にあ
った乗客77人のうち5人だけが生存している、と発表した。事故機はトルコ航空の
RJ-100型機で、イスタンブールを飛び立ち、ディヤルバキル空港近くの濃い霧の
中で軍基地に墜落した。墜落の原因はまだ不明である。

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公勤務の賃上げ調停 妥結へ向けた最後の試み

(ポツダム)公勤務従事者の賃上げ紛争は、労働争議に突入するの
を避けるべく、妥結に向け最後の試みに入った。ポツダムで開かれ
ている最終交渉の冒頭で、労組ver.diの会長ブシルスケは改めて、
ストライキを行なう準備があるとし、ドイツは歴史上最大の労働争
議の1つに突入する瀬戸際にある、と述べた。内相シリーは、スト
を行なう場合には、使用者側は今までの提案を撤回し、賃上げゼロ
の回答に戻る、と述べた。ブシルスケは、労働時間を延長する場合
には3%の賃上げをするとの使用者側の提案を、4百万人の失業者
にとってこれは誤った方向である、と述べた。

EU ドイツ政府に改革を求める

(ブリュッセル)EU委員会はドイツに対し、早急に支出削減と大
幅な改革を行ない、産業の成長を促進し、国家財政を秩序だったも
のにするよう求めた。2003年には赤字の上限の(GDP)3%を再び
越える可能性がある、とEU通貨担当委員ソルベスは、EUの赤字に
よる刑事訴追をにらんで述べた。5月21日までに、財政の健全化の
ために計画していたすべての手段を正式に取らねばならない、とも
述べた。一方ドイツ大蔵省は、景気刺激のために更なる改革の手段
を取る、と予告している。EU委員会はドイツのほか、フランスと
イタリアにも財政健全化の努力を強めるよう促した。

CSU 今後5年間の税制の安定化を要求

(ミュンヘン)キリスト教社会同盟は連邦政府に対し、中心となる
改革計画に協力するための条件として、税制の長期的な計画を安定
的に行なうことを求めた。オーバーバイエルンのクロイトで開かれ
ていた冬の会議で、同党は5項目の綱領を発表し、連邦政府は、産
業界と国民が信頼できるような、今後5年間の税に関する拘束力の
ある計画を提案しなければならない、とした。他には、賃金付帯費
用を40%に減額することが含まれている。一方、バイエルン州首相
シュトイバーの見通しでは、トルコのEU加盟をヨーロッパは来年
認める方向に行くだろう、とのことである。




1月9日(木)

賃上げ交渉 長引く

(ポツダム)公勤務従事者の賃上げの合意には、さらに時間がかかりそうである。
労使双方は、当初の予告とは異なり、妥協で合意しなかった。公勤務労組ver.diの
拡大賃上げ委員会は、協議に戻った。妥協案は賃金を1月1日にさかのぼって2.4%
上げる、という内容である。2004年にはさらに2度それぞれ1%の賃上げが予定さ
れている。かわりに、今回の賃金契約は27ヶ月のものとし、基本給の定期昇給は
2003年と4年には半分にする、との内容である。さらにドイツ東部の給与調整は、
高給取りに対しては2009年、そうでない人には2007年まで行なうことになって
いる。東西の給与は今なお同じではない。

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雇用確保のための戦いが最重要

(ベルリン)連邦労働大臣クレメントは、失業者の数があいかわら
ず多いため、さらなる雇用確保を最優先にする。他の課題はこれよ
り重要度が低い、と彼は連邦労働施設の最新情報の発表後語った。
それによれば12月には422万5千人が公式に失業している。11月
と比べて約20万人、昨年12月と比べて26万2千人増えており、こ
こ5年で最悪の状態である。しかしクレメントは、今年の失業者数
は平均で4百万人の大台を下まわる、との目標を立てているが、そ
の条件として世界経済が落ち込まないことをあげている。一方野党
側は、これは悲惨な数字である、と述べた。

ブリックス「イラクが違法な武器を所有している証拠はない」

(ニュー ヨーク)国連武器査察団長ブリックスは国連安保理で、
イラクの武器査察では今までのところ、大量殺戮兵器を隠し持って
いる証拠は見つかっていないことを認めた。また彼は12月に提出
されたイラクの武器報告書は不十分である、とも批判した。イラク
は、生物および化学兵器に関する公開の質問多数に、今後答えなけ
ればならない、と安保理15ヶ国による審議会の後で彼は語った。
イラク政府は、国連武器査察団の質問に答える準備がある、との声
明を出した。

外相 国連イラク武器査察団の派遣延長に賛成

(ワシントン)米英はイラク紛争に関して性急な結論を出すことに
反対した。武器査察団は任務を全うするために十分な時間を必要と
しており、1月27日の査察団の報告書の提出期限は、最終通牒であ
ると理解すべきではない、と英首相ブレアの報道官は発表した。米
大統領府報道官は、大統領ブッシュは査察に期限を設けていない、
と述べた。独外相フィッシャーは、国連査察団の活動延長に賛成
し、独政府はイラクの平和的武装解除を望んでいる、と強調した。
ドイツの国連大使プロイガーは雑誌のインタヴューで、ドイツは新
たなイラク決議は、イラク戦争を正当化する上で望ましいものでは
あるが、必要不可欠ではないと見ている、と述べた。




1月10日(金)

公勤務賃上げ交渉 妥結

(ポツダム)公勤務従事者の賃上げ紛争は、最終的に決着がついた。労働組合
ver.diの賃金交渉拡大委員会は、長期間にわたる交渉の末、使用者側との契約に合
意した。その結果、約3百万人の被雇用者に対し、3段階で4.4%の賃上げが行なわ
れることになった。この賃金契約は2005年1月まで有効である。また、ドイツ東
部の公勤務従事者の収入は2009年までに、西部の水準にまで完全に引き上げられ
ることになった。連邦首相ゲアハルト シュレーダーはこの合意を歓迎したが、地
方自治体とドイツ東部の州は、妥結した金額が高すぎる、と批判している。

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連邦政府 経済成長予想を下方修正

(ベルリン)連邦連立政府は、公式の経済成長予測を下方修正し
た。産業相クレメントは、昨年秋に出した1.5%の予測は維持でき
ないことを明らかにした。専門家と経済研究所の予測は0.6%と
1.1%の間である。1月下旬に発表される政府の予測はこの数値と全
く異なることはない、と彼は述べた。また彼は蔵相アイヒェルと今
年の経済成長予想に関して対立している、との新聞報道があるが、
クレメントはこれを否定したことになる。経済紙は、アイヒェルは
1.0%と予想しているのに、クレメントは1.5%と予想する方針だ、
と報じていた。

アル カイダと見られる人物 ドイツで逮捕

(フランクフルト アム マイン)ドイツ連邦刑事検察庁は、テロ
組織アル カイダに打撃を与えた模様である。政府筋の情報では、
フランクフルト空港でイエメン出身の男2人が逮捕された。彼らは
アル カイダの重要人物と見られている。新聞報道によれば、うち
1人は世界各地で行方を追求されているテロ組織の指導者ウサマ 
ビン ラディンを財政面で支えている人物である。連邦法務省広報
は、米国の法的協力要請に基づき2人を逮捕した、ということだけ
認め、詳細については発表しようとしなかった。

EU 対イラク戦反対の声

(ブリュッセル)EU内部では、今後予想されるイラク戦争に反対す
る声が強くなっている。EU外交問題の調整官ソラナは、イラクが秘
密裏に武器製造を行なっている証拠がないのに、戦争を始めるのは
極めて難しい、と述べた。EU委員会議長プロディは、紛争を平和的
に解決する道を探るよう求めた。独首相シュレーダーは、ドイツは
対イラク戦には参加しない、と強調し、連邦政府は国連決議の平和
的実施のために努力する、と述べた。




1月11日(土)

北朝鮮 ミサイル実験再開を検討

(北京)核兵器拡散阻止条約から脱退した北朝鮮は、今度はミサイル実験の再開を
検討している。1999年に合意に達した実験中止はこれ以上維持できない、ミサイ
ルの開発と輸出は北朝鮮の主権の一部である、と在中国北朝鮮大使チョエ ジン 
スは語った。また彼は北朝鮮は核兵器を製造することができる、と威嚇した。米国
が取ると予想される制裁措置は、宣戦布告と見なすとも彼は語った。一方韓国で
は、朝鮮半島にさらに多くの米軍が駐留することを求めて、数万人がデモに参加し
た。ロシアはこの紛争を圧力や、威嚇を用いて解決しようとしないよう警告した。

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米国 湾岸地域にさらに35,000人派兵

(ワシントン)米国は、湾岸地域に出兵を開始して以来最大の部隊
の移動を行なって、イラクに対する圧力を強めている。国防相ラム
ズフェルドが、約35,000人の兵士に来週湾岸地域に移動するよう
命令したことを米国防省は認めた。これにより湾岸地位生きに駐留
する米兵の数は約10万人になる。英国は航空母艦「アーク ロイア
ル」を湾岸地域に派遣した。数日後にはさらに15隻の艦艇が続くこ
とになっている。これは過去20年で最大の英国海軍部隊の派遣であ
る。

ペイトリオット型ミサイル まもなくイスラエルへ

(ベルリン)ドイツのペイトリオット型地対空ミサイルのイスラエ
ルへの輸送が間近に迫っている。国防省は、このミサイルの2つの
装置を譲り渡す契約は来週にも署名される見通しである、と発表し
た。輸送がいつになるかはイスラエルにまかされている。このペイ
トリオット型装置は8つの発射装置を備えており、それぞれの発射
装置には4発のミサイルが入っており、あわせて64発のミサイルが
発射できることになる。対イラク戦が起きた場合、イスラエルはこ
のミサイルでイラクの攻撃を防ぐ方針である。

テロの容疑者 当面ドイツに留める

(フランクフルト アム マイン)テロ組織アル カイダの隊員と
見られる2人が逮捕されたが、彼らは当面ドイツに留まる。フラン
クフルト地方裁判所は、この2人ののイエメン人に対する拘留命令
を出した。広報によれば、フランクフルト高等裁判所が、米国の引
き渡し依頼にこたえるかどうかを決定することが必要で、それまで
は2人はヘッセン州の刑務所に置かれる、と発表した。米国のほ
か、イエメンも2人の引き渡しを求めている。彼らは金曜日に米国
の要請で、フランクフルト空港のホテルで逮捕された。




1月12日(日)

OPEC 一日あたり150万バレルの原油増産

(ウィーン)石油輸出国機構の石油大臣は、イラク危機とヴェネズエラのストライ
キによる値上がりを防ぐため、産出の増加を決めた。OPECは算出の上限を、現在
の日産2、300万バレルから、2,450万バレルに引き上げた。ただしヴェネズエラ
のストによる減産分は、この措置でも完全には埋められていない。
今後の供給確保にとっては、OPECの産出量がもっとも大きいサウジ・アラビアの
増産が決定的に重要である。サウジ・アラビアの石油大臣は、同国が2週間後には
一日あたり1千万バレルへの増産がが可能である、との報道を認めた。現在原油価
格は1バレルあたり約30ドルである。1バレルは159リットルである。

     その他のニュース

6万2千人の米兵に進発命令

(ワシントン)米国はここ24時間だけでも6万2千人の兵士を湾岸
地域に派遣した。米国での報道によれば、国防相ラムズフェルド
は、さらに2万7千人に対する派遣命令に署名をした、とのことで
ある。3万5千人がすでに進発命令を受け取った。ドイツに駐留し
ている米国兵士も初めて湾岸地域に向け出発している。一方米国と
同盟を結ぶ国の中でも、イラク戦争に反対する声が高まっている。
このため、米国政府は戦争の計画を進めるのがより困難になる、と
新聞は伝えている。とくにもっとも密接な連合国英国は、国連によ
るイラク武器査察団により多くの時間を与えるべきだと迫ってい
る、と報じている。

公勤務の賃上げ 離脱する州多数

(ベルリン)公勤務従事者の賃上げ交渉がまとまったあと、今度は
大規模な労働協約からの脱退が発生している。使用者同盟からの脱
退を検討する州と地方自治体が増えている。労働組合ver.di会長ブ
シルスケと内相シリーは、そのような措置をとらないようにと警告
し、自治体の財政改革に賛成する、と述べた。ベルリンが死傷者同
盟から脱退した後、ドイツ東部の州も同じ措置を検討しているが、
さらに西部の州でも労働協約連合からの脱退を検討しているところ
が増えている。バーデン・ヴュルテンベルク州は、脱退を計画して
いる、と同州首相トイフェルは発表し、ラインラント・プファルツ
州、バイエルン州、ザールラント州も同じような計画を発表した。

ドイツ労働組合連合「高額所得者は賃上げを断念すべき」

(ハンブルク)ドイツ労働組合連合は、熟練労働者と高額所得者
は、パート労働と労働時間短縮を全国で行なう計画である。これに
参加できるすべての被雇用者は、1年から2年の期間付きで労働時
間を短縮することになる、と同会長ゾマーは新聞に語った。これは
フォルクスヴァーゲン社の週4日労働と同じ目標を目指しており、
このパート労働採用は、企業側に新たな雇用をする余地を与えるた
めのものである、とも述べた。同連合の見積もりによれば、今年
25万から30万の新たな職場が産み出される可能性がある。



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