1月13日〜1月19日のドイツのニュース



1月13日(月)

政府 緊急の場合にはさらなる国債発行の方針

(ベルリン)連邦政府は緊急の場合には、より多くの国債を発行して、不景気が国
家財政に与える悪影響を穴埋めする方針である。今年の経済成長が、内閣の予想を
下まわる場合には、追加の支出削減策をとっても状況は改善されない、と大蔵省報
道官は発表した。すでに連邦産業大臣ヴォルフガング クレメントは、状況によっ
てはさらに高額の新たな負債もやむを得ない、と予告していた。それに対し、キリ
スト教民主、社会同盟と自由民主党は反対の意見を述べている。
連邦政府は公式に、2003年の国内総生産は約1.5%増加すると見込んでいる。しか
しクレメントは最高で1.5%へ予想を下げていた。

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国防軍投入に関する政府内部での議論

(ベルリン)連邦政府では、ドイツ国内で乗っ取られた飛行機への
国防軍投入に関する法解釈が分かれている。内務省は、これを可能
にするため基本法を改正すべきであるとの、国防相シュトゥルック
の計画に慎重な態度をとっている。内務省報道官は、危険が人間の
身体および生命に及ぶ場合には、現在の法律でも、撃ち落とすこと
ができるので、基本法の改正は無条件で必要とはいえない、と発表
した。この議論のきっかけになったのは、先週モーターつきグライ
ダーが乗っ取られて、フランクフルト アム マイン上空で飛び回
った事件である。キリスト教社会同盟党首シュトイバーはシュトゥ
ルックを支持して、この事件は、法的に灰色の状態があることを明
らかにした、と述べた。

米国 各問題解決のため北朝鮮にエネルギー支援を提案

(ソウル)米国は、北朝鮮が核兵器計画を断念する代わりに、エネ
ルギー供給で支援を行なう、と提案した。これは米国外務省部長ケ
リーが発表したもので、彼は、北朝鮮政府との対立は交渉で解決す
べきだ、と強調した。一方在モスクワ北朝鮮大使パクは、北朝鮮政
府は国際原発機構が、「米国の手先」として行動するのをやめれ
ば、核兵器拡散阻止条約からの脱退を取り消すかもしれない、との
べたものの、制裁措置を課した場合には宣戦布告とみなす、と強調
した。北朝鮮の国営放送では、反米的な表現が強められた。

ブレア イラク問題の平和的解決の可能性を強調

(バグダッド、ロンドン)国連査察団は、月曜日イラクで再び大量
殺戮兵器の証拠探しを行なった。一方英国首相ブレアは紛争を平和
的に解決する可能性がある、と再び強調した。彼は、サッダーム 
フセインは今や平和的な道をさぐり、武器を廃棄する可能性があ
る、と述べた。教皇ヨハネ パウロ2世は、イラク戦争に反対する
今までで一番はっきりした教書を発表した。一方米戦闘爆撃機は、
イラク南部の飛行禁止区域でイラクのミサイル基地を攻撃した。港
町バスラ近郊の爆撃では、精密な攻撃武器が投入された、と米国防
省は発表した。英米はここ数日、部隊の増強を強めている。




1月14日(火)

ブッシュ「イラクのもち時間は過ぎた」

(ワシントン)米国大統領ジョージ W. ブッシュは、イラク大統領サッダーム フ
セインに明確な言葉で警告した。火曜日にワシントンで彼は、猶予期間は過ぎた、
イラク政府は武装解除を決定し、国連の要求を満たそうとするきざしを示していな
い、と述べた。ポーランド大統領アレクサンダー クワシニエフスキが出席してい
る場でブッシュは、イラク人は大量殺戮兵器を放棄しなければならない、イラク政
府は11年間の時間を持っていたが、何もしなかったようだ、と述べた。

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英国警官 反テロ作戦中に死亡

(ロンドン)英国のマンチェスターで、反テロ作戦に参加していた
英国人警官が刺殺された。他に4人が負傷し、うち1人は重傷であ
る、と報じられた。テロ素容疑者として3人が逮捕された。それ以
上の詳細は発表されていない。

シュレーダーとフィッシャー パリへ

(パリ)首相シュレーダーと外相フィッシャーは火曜日、パリのエ
リゼ宮で仏大統領シラクとイラク危機およびEUの組織改革計画に
ついて話し合った。シラクおよび仏外相ド ヴィルパンとの非公式
首脳会談は、来週水曜日に行なわれる両国の有効条約締結40周年
の準備を行なう、最後の機会でもある。

チェコ外相 ベルリンに到着

(ベルリン)外相フィッシャーはチェコ外相スヴォボダに、イラク
問題に関するドイツの立場を説明した。ベルリンでの会談でフィッ
シャーは今一度、ドイツは湾岸地域での軍事活動には参加しない、
と明言した。スヴォボダは、チェコはドイツ同様クウェートに核、
化学、生物兵器の特殊部隊を派遣しており、国連の命令が下された
場合には、同地に留まる、と述べた。チェコ政府は前日、駐クウェ
ートのチェコ部隊の人員増強をするようにとの米国の要請を受け入
れていた。




1月15日(水)

国連の専門家 サッダーム フセインの王宮に入る

(バグダッド)イラクでは国連の武器の専門家が、大統領サッダーム フセインの
王宮の2度めの調査を行なった。査察団は水曜日、バグダッドの「旧王宮」として
知られている建物に4時間立ち入った。イラク側の情報では、彼らは居住用の建物
と退役兵の生活を支援する役所を調査した。一方国連査察団の派遣期限にかんする
議論が激しくなっている。査察団長ハンス ブリックスは、イラクの大量査察兵器
の調査にはさらに数ヶ月かかるとの声明を出したが、連邦首相ゲアハルト シュレ
ーダーは火曜夜パリで、この声明を支持した。これより前米大統領ジョージ W. ブ
ッシュは、サッダーム フセインの持ち時間は過ぎた、イラク政府は武装解除する
意欲を示していない、と述べていた。

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シリー 今後のイスラム組織の活動禁止

(ベルリン)内相シリーは、反テロ法に基づいて、イスラム組織の
活動を再び禁止した。主として大学で活動している組織ヒツブ ウ
ト・タヒリルは、イスラエルの生存権を否定し、反ユダヤ的な扇動
を繰り広げている、と彼は語った。シリーは2001年12月にイスラ
ム組織カリフの国を禁止していた。その他2002年8月に内務省は
資金調達団体アル アクサの活動を禁じていた。バイエルン州内相
ベックシュタインはこの措置を歓迎したが、さらにドイツのすべて
の武装イスラム組織を禁止するよう求めた。

シュレーダーとシラク EU改革案を提出

(パリ)フランスとドイツはEUの今後の体勢を決める共同提案を
行なった。パリで会談していた独首相シュレーダーと仏大統領シラ
クは、EU委員会議長は2004年のEU拡大以降は、欧州議会が選ぶ
よう提案した。その他提案には、EU評議会議長は数年後からは評
議会自身が選ぶことが含まれている。主として小国から、今までの
議長のあり方には多くの利点があるとして、批判が出ている。一方
外相フィッシャーは、この提案で欧州議会は政治的影響力を、EU
委員会は正当性を獲得する、と述べた。

チェコ大統領 決まらず

(プラハ)チェコでは新大統領の選挙の最初の試みがうまくいかな
かった。3度めの投票でもキリスト教民主党のピトハルトも保守党
のクラウスも議会で必要な過半数を集められなかった。これによ
り、現職のハヴェルの後継者選びは行き先が全く見えなくなった。
元市民権運動家であるハヴェルは憲法の規定で、これ以上の再選が
認められていない。彼は2月2日に任期が切れる。憲法によれば、2
回目の試みで新たに最大3回の投票が行なわれ、前にも出馬した候
補者も再び立候補できる。




1月16日(木)

イラクで空の弾頭発見 ブリックスさらなる協力を要請

(バグダッド、ブリュッセル)国連武器査察団はイラクで、化学兵器を搭載するた
めの空の弾頭11台を発見したが、この発見に関しては論評は使用としなかった。
広報によれば、南部のウチャイダル弾薬保存庫で見つかった弾頭は、きわめてよい
状況で、80年代後半にイラクが輸入した型に似ている、とのことである。査察団
長ハンス ブリックスはイラクに対する論調を強めていた。彼は国連査察団にさら
に協力するよう求め、戦争を避けるにはイラク指導部が協力するしかない、とEU
外交問題調整担当ハヴィエル ソラナとの会談後発表した。国連安保理では、米国
は当面査察の期限を限定する計画を断念した。
ロシア外務大臣イゴール イワノフは、「一部の米国筋」が査察団に対し圧力を加
えている、と批判した。外相代理アレクサンダー サルタノフはバグダッドで仲裁
の任務にあたっている。

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トルコ イラクに関する地域首脳会談を開催

(アンカラ)イラク戦争を避けるため、トルコはアラブ諸国4ヶ国
とイランとの地域首脳会談を開催する。シリア、エジプト、ヨルダ
ン、サウジ・アラビア、イランの大使にこの計画を伝えた、とトル
コ外務省は発表した。この会談は来週アンカラで開かれ、平和的解
決が可能になるよう、イラク首脳部に向けた訴えを採択する予定で
ある。トルコ首相アブドゥラ ギュルは5ヶ国訪問後、戦争を回避
する可能性はまだある、と強調していた。

ペイトリオット型地対空ミサイル 1月下旬にイスラエルへ

(ベルリン)独政府は、ペイトリオット型迎撃ミサイルをイスラエ
ルに引き渡すことに賛成した。あわせて128機のミサイルを搭載し
た装置2つを貸し出すとの条約に、と両国の政務次官が署名した。
これはイスラエルが2年間無償で貸与され、イラクが攻撃をした場
合に防御するためのものである。輸送は1月下旬に予定されてい
る。当初イスラエル軍はドイツ軍のフクス型輸送用装甲車を貸すよ
うに打診していたが、政府にはその後はこの要請を繰り返すことは
なかった、と国防省は発表した。

シリー 反テロ法のこれ以上の強化を拒否

(ベルリン)内相シリーは反テロ法をこれ以上強化することに反対
した。キリスト教民主、社会同盟は第3次安全保障対策を求めてい
るが、現状から見てそれは必要ない、と彼は連邦議会で語った。両
党の提案は安全保障の状態を改善するのには役立たず、無責任に国
民を不安にさせている、と語った。両党はすでに、反テロ対策の大
幅な拡大を含む動議を連邦議会に提案しており、それは国内で国防
軍を活動させるための基本法改正も含んでいる。シリーは、基本法
の現在の規定でも十分である、と見ている。




1月17日(金)

国連武器査察団長 ヨーロッパ訪問を終える

(ロンドン)英国首相トニー ブレアは、国連武器査察団を全面的に支援する、と
約束した。同団長ハンス ブリックスとの会談後、ブレアも査察を集中的に行なう
ことを歓迎した。また彼は、イラク大統領サッダーム フセインが武装解除を進め
ることを期待している、とも述べた。ブリックスはこの訪問を前にヨーロッパの数
ヶ国を通じて米国および英国の秘密情報機関に、サッダーム フセインの武器庫に
関する情報をより多くバグダッドの査察団に提供するよう、求めていた。ブレアの
この約束は、情報を提供する兆候である、と見ている専門家もいる。

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シュレーダー 憶測に抗議

(ベルリン)首相シュレーダーは、ドイツが国連安保理でイラク戦
争を拒否する投票を行なうとの憶測に抗議した。投票が行なわれる
のかどうか、また何についての投票が行なわれるのかがはっきりし
ないと、決定を下すことはできない、とシュレーダーはテレヴィ番
組で語った。投票の際には、今までの態度から、イラクの平和的武
装解除に賛成し、ドイツの軍事参加に反対する投票を行なう方針で
ある、とも述べた。これより前に国防大臣シュトゥルックは、ドイ
ツが軍事攻撃に賛成することはもはや考えられない、と述べてい
た。

災害救助組織 イラク戦争が起きた場合の惨状を警告

(ベルリン)ドイツの災害救助組織カープ アーナムルの団長ビー
アデルは、イラク戦争が起こる際には大規模な難民の発生を恐れて
いる。彼はラジオ番組で恐るべき予想を述べた。難民は封鎖された
国境に押し寄せ、イラク国内に施設が建設されねばならなくなる、
と述べた。ビーアデルはイラク訪問後、国民の状況は特に南部では
悲惨で、長年にわたる非常事態と経済封鎖のため疲弊している、と
述べた。

北朝鮮 ドイツの仲介に期待

(ケルン)北朝鮮は米国との対立で、ドイツの仲裁を期待してい
る。核をめぐる対立を解決するためには、他の国が影響力を行使
し、両国間の対話と非戦条約を成り立たせることが重要だ、ヨーロ
ッパの大国としてはドイツが大きな影響力を持っている、と在ドイ
ツ北朝鮮大使パイはテレヴィ番組で述べた。




1月18日(土)

原子力発電機構 イラクの核開発計画に関する秘密文書が存在する

(ワシントン)国連武器査察団は、イラクの各開発計画に関する情報を記載したと
見られる3千ページに及ぶ秘密文書を発見した。イラク政府は発表しなかったこの
文書は、イラクの科学者の家から発見され、おそらく80年代のもので、核兵器製
造の証拠となりうるものかもしれない、と国際原子力機構長モハメド アル バラ
ダイはテレヴィに語った。さらに彼は、イラクの抗議にもかかわらず、科学者の家
に対する調査を査察団は続行する、と語った。一方国連武器査察団長ハンス ブリ
ックスはイラクに対し、改めて協力が不十分であると非難し、日曜日にもバグダッ
ドを訪問し、イラク首脳部にこれを強く伝える、と述べた。

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米国軍艦 湾岸に向け航行中

(サン ディエゴ)軍艦7隻、兵士1万人からなる艦隊がカリフォル
ニアのサン ディエゴから、ペルシャ湾に向けて出発した。米国は
来たるべきイラク戦に備えて、2月中旬には最大25万人の兵士をこ
の地域に集結させる方針である。しかし米国参謀総長マイヤーズ
は、湾岸への派兵はいつでも取り消せると強調し、戦争への道を歩
んでいるわけではない、と語った。イラク大統領サッダーム フセ
インのいとこは、フセインが亡命するのではないかとの推測を否定
した。アラブの外交官の情報では、トルコ政府はアラブ諸国ととも
に、彼の亡命を計画している、とのことである。

シュトゥルック イラク戦の負傷米兵を飛行機で運ばせる予定

(ベルリン)国防相シュトゥルックはイラク戦争が起きた場合に、
負傷した米兵を、国防軍の病院施設を備えた大型飛行機で、戦争地
域から運び出させる方針である。彼はこのためにいわゆるメドエヴ
ァク機を投入するかも知れない、と述べた。イラクに同機を配備す
ることはないが、負傷した米兵をたとえばサウジ・アラビアからド
イツに運ぶ可能性はある、と述べた。現在のところクウェートに駐
留している核、生物、化学兵器対策の大型戦車も、クウェートや米
国の施設がこれらの兵器による攻撃にさらされた場合には、協力す
る可能性がある、とも述べた。

フィッシャー 改めてイラク決議を平和的に実施するよう要請

(アテネ)外相フィッシャーはイラクの武装解除のための国連決議
1441を、暴力を用いず実施するよう、改めて求めた。彼はアテネ
で、独政府の態度ははっきりしており、武力を用いることなくイラ
クの武装解除を行なう方針である、と述べた。フィッシャーはギリ
シャ首相でEU評議会議長シミティスおよび同国外相パパドレオウと
会談し、主として欧州に関する問題と近づいているイラク戦争につ
いて話し合った。




1月19日(日)

国際原発機構 イラクとの会談を評価

(バグダッド)国連武器査察団は、イラクでの会談で前進があった、と国際原子力
発電機構モハメド エル バラダイは語った。彼は、国連イラク武器査察団長ハン
ス ブリックスとともに2時間にわたってイラク政府代表と会談し、その話し合い
は建設的で、うまく運んだ、と語った。それ以上の詳細はさしあたり公表されなか
った。会談は月曜日も続けることになっている。
ブリックスが米国のテレヴィに語ったところでは、イラク側はさらに4台の弾頭を
発見した、と伝えてきた。先週には国連武器査察団は12台の化学兵器を搭載でき
る空の弾頭を武器庫で発見していた。米国大統領府は、この発見を憂慮すべきだ、
と発表していた。

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外相 イラク戦争を起こさないよう強く警告

(ベルリン)外相フィッシャーは、あらゆる手段を講じて、イラク
戦争を阻止する意志を示した。彼はまだ平和的に解決する可能性が
あり、いまやこの可能性を探り活用しなければならないが、外交的
な活動と並行して、イラク政府に対して必要な圧力もかけなければ
ならない、と語った。フィッシャーは今週末中立諸国と近東を訪問
する予定である。月曜日には彼は初めて国連安保理の特別会議に出
席する。

世界各地でイラク戦争に抗議

(マドリード、ブリュッセル)世界各地でイラク戦争に対する抗議
活動が行なわれた翌日、スペインの首都マドリードでは、紛争の平
和的解決を求めて約1万人がデモを行なった。呼びかけたのは平和
活動組織、政党、労働組合であった。ブリュッセルでは、イラクに
対する武力介入に反対し、ベルギーがこの戦争に参加することに抗
議して、約6千人が集まった。日曜日には米国だけで10万人以上
が、近東での武力の高まりに反対して抗議行動を行なった。ドイツ
でも数千人が抗議活動に集まった。一番盛り上がったのはローシュ
トックとテュービンゲンであった。

労働のための同盟で 労使双方の意見に隔たり

(ベルリン)労働のための同盟の改組は、首相シュレーダーが計画
している予備交渉が行なわれる前にも、失敗する可能性がある。こ
の会談で賃金政策を主題としてとりあげるかどうかが、その原因で
ある。ドイツ工業連邦連合は、新たな交渉を行なうための前提であ
る、としている。一方ドイツ労働組合連合と第三次産業労働組合
ver.diはこれを拒否している。1年前に行なわれた最後の会談は対
立したまま終わっていた。月曜日にはシュレーダーが産業側の代表
に続き、労働組合側とも会談をすることにしている。



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