10月20日〜10月26日のドイツのニュース



10月20日(月)

連立与党の年金に関する決定に激しい批判

(ベルリン)社会福祉連合、労働組合および野党は、連立政府の年金に関する決定
に対し、激しい怒りで応えた。社会福祉連合VdKは、社会民主党と緑の党の計画の
合憲性を検討させる方針である。多くの年金生活者が、月約20オイロの収入源に
なる、と同連合会長ヴァルター ヒルリンガーは計算している。社会福祉大臣ウラ
 シュミットは、これ以外には選択肢はない、として計画を擁護した。また彼女
は、年金生活者の負担を限定的に増やすことは、加入者の払込金の割合を19.5%に
固定するための代償である、これによって雇用は促進され、賃金付帯費用のこれ以
上の増加が避けられる、とも述べた。さらに来年は年金の会計を安定させるため
に、早期年金受給の奨励を中止する、とも述べた。

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ドイツ商工会議所 2004年の景気上昇を予測

(ベルリン)ドイツ産業商業会議所連合会の予想によれば、ドイツ
産業界は徐々に活性化する。2004年には2%の経済成長が可能であ
る、と執行部長ヴァンスレーベンはベルリンで同連合会の秋の調査
結果を発表した。正しのそのための前提として、社会福祉改革が実
行され、オイロの価格が上がり続けず、賃金の上昇が控えめなもの
に留まることを上げた。ただし数年間続く低調な投資と、労働市場
の構造的な問題のため、持続的にこの成長率を達成できるような潜
在な能力は低くなっている、とも述べた。彼は労働市場に関して
は、改善を期待しておらず、さらに10万人分の職場が失なわれる
恐れがある、と述べた。

イスラエル空軍 ガザ市を空から攻撃

(ガザ市)イスラエル空軍は数時間の間に、ガザ市を数度に渡って
攻撃した。パレスチナ側の情報によれば、すくなくとも急進派イス
ラームのハマスの2人と通行人1人が死亡し、パレスチナ人25人が
負傷したとのことである。イスラエル首相シャローンの公報は、こ
の攻撃はテロ組織との戦いである、と正当化した。シャローン自身
は議会で、パレスチナ大統領アラファトの権力を奪う、と威嚇し
た。彼はこれによって1カ月前に下して、激しい非難を浴びた内閣
の決定を再確認した。パレスチナ首相クレイはイスラエルの空爆を
批判した。

ヨーロッパ イランの核紛争を仲裁

(ベルリン)外相フィッシャーと仏外相ド ヴィルパン、英外相ス
トローは、火曜日テヘランでイランの核計画に関する会談を行な
う。この会談はイラン政府の招待で行われる。その際イラン政府に
再び、核計画に関する明確な問題に関して、世界各国の懸念を明確
に伝えることにしている。国際原子力発電機構は、イランに対し、
10月末までに核計画の詳細を公表するよう求めていた。




10月21日(火)

経済研究所 景気上昇を予想

(ベルリン)3年間にわたる景気停滞を経て、ドイツの経済研究所は2004年には
再び若干の成長に転じる、と予想している。ただし労働市場に関しては決定的な改
善は望めない、とベルリンで公表された主要6研究所の秋の予想では述べられてい
る。専門家は2004年には1.7%の成長があるものとの見方をとっている。一方、今
年に関してはこれらの研究所は、成長はないと見ている。研究所は今回春の予想と
は異なり、ドイツは2004年も、つまり3回続けて、オイロ安定策で定められてい
る国会財政の赤字の上限3%を、3.5%で上まわる、との見方を示している。

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イラン 核をめぐる対立で譲歩

(テヘラン)イラクは核計画をめぐる対立で、世界各国に対し大幅
な譲歩をした。仏外相ド ヴィルパン、英外相ストロー、独外相フ
ィッシャーとテヘランで会談した後、イラン政府は、ウランの濃縮
と燃料棒の再処理を中止し、核兵器流出阻止条約の追加議定書に署
名し、これにより国際原発機構の査察団は、イランの全ての核施設
に無条件に立ち入ることができるようになる、 と発表した。代わ
りに欧州3カ国の外相は、イランの原発の平和的利用の権利を承認
した。イランが核兵器を得るべく努力しているとの疑いを持つ米国
は、この譲歩を歓迎した。

イスラエル軍 ラマラに侵攻

(エルサレム)イスラエル軍は、戦車の支援を受け、西ヨルダンラ
ンドのパレスチナ人が住む都市ラマラへ侵攻した。テロ組織の基盤
に対する捜索を行なう、と軍公報は発表した。投石を行なうパレス
チナ人との衝突で、数人が負傷した、と通信員は伝えている。ガザ
地区ではこれより前、武装パレスチナ人組織ハマスとイスラーム聖
戦は、イスラエルによる空爆に対する報復を行なう、と威嚇した。
この空爆でガザ地区では月曜日、パレスチナ人13人が死亡し、そ
の多くは一般市民であった。イスラエルは急進派の威嚇に対し、治
安部隊に最高度の警戒態勢を取らせた。

米国 スーダンに和平を迫る

(ナイロビ)米国はスーダンに対し和平交渉を急いで締結するよう
迫った。外相パウエルはケニアの首都ナイロビに到着し、紛争の両
者が解決に近づくよう求めるつもりだ、と述べた。スーダン政府と
反乱勢力SPLAはケニアで、20年にわたって続いてきた内戦を終わ
らせるための交渉を行なっている。アラブのイスラーム系の北部と
キリスト教および精霊を信仰する南部の住民の間の紛争で、約2百
万人が死亡した。




10月22日(水)

外相フィッシャー 近東での交渉再開を要請

(ベルリン)連邦外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、イスラエルとパレスチナ側
に対し、交渉の席に戻るよう求めた。暴力が激しさを増すのに終止符を打たねばな
らない、と彼はイスラエル外務大臣シルヴァン シャロームとベルリンで会談を行
なった後述べた。シャロームは、イスラエルは交渉を行なう用意があると強調した
ものの、同国政府の政策を擁護した。彼はブランデンブルク州のオラニエンブルク
にある旧ナチ時代の強制収容所ザクセンハオゼンの記念施設を訪問し、自国の国民
を守ることはイスラエルの権利である、と述べた。彼はベルリンで連邦首相ゲアハ
ルト シュレーダーと会談し、南レバノンのシーア派のヒスボラ民兵との間で、捕
虜の交換を早期に行なえるようにするためにドイツが支援してくれることを望む、
と述べた。

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イスラエル 封鎖施設に関する国連決議を無視

(エルサレム)国連総会が非難しているにもかかわらず、パレスチ
ナ人居住地域との間での封鎖施設建設をイスラエルは続行する。住
民を攻撃から守るために、この柵の建設は続ける、と首相代行オル
マートは述べた。これに先立ち、ニュー ヨークの国連総会は、
EU提案した決議を賛成多数で可決した。この決議では封鎖施設の
建設中止が求められている。米国とイスラエルを含む4カ国だけ
が、この決議に反対した。国連総会の決議は、国連安保理決議と異
なり、拘束力を持たない。一方西ヨルダンランドでは、イスラエル
兵士との銃撃戦が起こり、パレスチナ人3人が死亡した。

専門家 イラクでの国連の任務を批判

(ニュー ヨーク)中立の専門家委員会は、国連に対し、イラクで
の活動での安全確保の措置で重度の過失がある、と非難した。攻撃
が行われるとの明確な警告があたにもかかわらず、夏にバグダッド
の国連の建物を守るために必要な対策を取らなかった、と述べてい
る。また米軍が国連の施設を防衛するための提案を行なったが、こ
れを拒否した、とフィンランド元大統領アハティサリ率いる委員会
の報告書には述べられている。8月19日のバグダッドの国連本部攻
撃では、22人が死亡し、その中には国連特別大使デ メロも含ま
れていた。

インド パキスタンとの緊張緩和にむけ提案

(ニュー デリー)インドは、敵対する隣国パキスタンとの関係改
善のための提案を行ない始めた。内相シンハはニュー デリーで、
そのための12項目の計画の提案を行なった。それによれば、分断さ
れているカシミール地方の国境を越える交通網を再開させることが
中心となっている。パキスタンはこれを好意的に受け止めている。
同時にインド政府は、インドからこの地域を分離させることを支持
するカシミール地方の集団の代表との交渉を行なう準備がある、と
も宣言した。




10月23日(木)

新規の負債 戦後最大を記録

(ベルリン)連邦は今年、戦後最大の新規負債を抱えることになる。大蔵大臣ハン
ス アイヒェルは予定の189億オイロではなく、434億オイロ以上を借り入れる、
と2003年追加予算を発表する際に公表した。負債増加の原因としてアイヒェル
は、景気の停滞に税収の減少と、高失業率による支出の増大を挙げた。ドイツは
2002年および3年に続き、来年もオイロ安定のための基準を満たさないとの見込
みを、彼はようやく認めた。今年は赤字の割合は国内総生産の4%以上になる。
2004年もオイロ安定化法案で予定されている3%の基準以下におさえることは不
可能である、とアイヒェルは述べた。

     その他のニュース

政府 最大2%の経済成長に期待

(ベルリン)連邦政府は来年の経済成長を1.5%から2%と見込んで
いる。その条件として、連立政府が計画している改革がすみやかに
実施されることを産業相クレメントは挙げた。労働市場の状況は、
景気刺激策で若干ながら上向きになっている、と社会民主党所属の
彼は述べた。政府の今年の経済成長予想は、以前の0.75%から0%
に下げられた。

野党 国家財政政策を厳しく批判

(ベルリン)野党各党は、今年のかつてない巨額の負債と産業の手
痛いは、連邦政府の破産宣告である、と評した。キリスト教社会同
盟党首で、バイエルン州首相シュトイバーは、政府の方針は全面的
に破綻している、記録破りの負債にもかかわらず、減税を早期に実
施するのは棄権である、と述べた。キリスト教民主同盟の国家財政
の専門家アオスターマンは、蔵相アイヒェルに辞任を求めた。自由
民主党党首ヴェスターヴェレは選挙の実施を求めた。

アナン イラク再建資金に協力を呼びかけ

(マドリード)国連事務総長アナンは世界各国に対し、イラク再建
のために巨額の資金を提供するように呼びかけた。スペインの首都
マドリードで開かれている国際支援国会議の冒頭で彼は、米国およ
びその同盟国に対し、イラク国内のさらなる安全確保に配慮するよ
う求め、資金さえあればイラク再建が成功するわけではない、と述
べた。この会合ではイラク再建の資金が調達され、その使途が決定
されることになっている。世界銀行と米国政府の見積もりでは、今
後4年間で約550億ドルが必要になる。資金提供国側は、その約半
分の額を約束している。この会議は2日間に渡って行われるが、お
よそ70カ国と30の国際機関が代表を送っている。




10月24日(金)

連邦議会 クンドゥス派兵への道を開く

(ベルリン)ドイツ連邦議会は広い賛成を得て、国防軍のアフガニスタン派兵を首
都カブールから北部のクンドゥスにまで拡大することを認める決定を下した。また
国会議員の多数が、ドイツが国際保護部隊ISAFへの参加を1年間延長することにも
賛成した。派遣される国防軍兵士の数は450人増えて、2,250人になる。国防大臣
ペーター シュトルックは、兵士派遣の理由として、アフガニスタン中央政府の権
威を拡大し、まもなく行われる選挙の安全を確保するためである、と述べた。この
採決が行われて数時間後、国防軍の兵士の第1陣はアフガニスタンに向けて出発し
た。

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アフガニスタンで武装解除活動

(クンドゥス)アフガニスタン大統領カルザイは、全国で約10万
人の民兵の武装解除活動を開始した。手始めに北部のクンドゥス市
では数百人が武器を放棄した。一方民兵は、金、食糧、衣服を支給
された。さらに彼らには職場が提供されることになっている。武装
解除の作戦は春に終わることになっている。武装解除作戦はアフガ
ニスタンの和平と再建のために欠かせない一歩である、と見られて
いる。北アフガニスタンの都市ハイバクでは、小型トラックを狙っ
たミサイル攻撃があり、子供2人を含め10人が殺害された。

イラクへの支援 多額に上る

(マドリード)イラク支援国会議で、約70の参加国および国際組
織は合わせて330億ドルを同国再建のために支出する、と約束し
た。これはスペイン副首相ラトがマドリードで開かれたこの会議の
締めくくりに発表した。この額の中には、米国が会議前から約束し
ていた、200億ドル強も含まれている、と通信員は伝えている。2
番目に大きな額を出すのは日本で、50億ドルの提供を約束してい
る。クウェートとサウジ・アラビアはイラク支援にアラブ諸国とし
ては初めて参加した。世界銀行および国際通貨基金の見積もりよれ
ば、イラク再建には2007年までに560億ドルが必要とされている。

イタリアで百万人以上が年金改革に反対

(ローマ)ベルルスコーニを首相とする政府が計画している年金改
革に対する抗議として、イタリアでは数百万人が4時間に渡ってス
トライキを行なった。彼らは、3大労組のストの呼びかけに応え
た。一般人の生活はあちらこちらで遮られた。学校、銀行、郵便
局、博物館は閉鎖されたままである。病院では緊急治療だけが行な
われた。鉄道交通は大幅に遮断された。イタリアとドイツを結ぶ飛
行機および電車も運転されなかった。ローマ、ミラノ他の都市では
数万人が年金改革に反対するデモを行なった。政府は主として、年
金受給開始年齢を引き上げようとしている。




10月26日(日)

バグダッドのホテルにミサイル攻撃 死傷者発生

(バグダッド)バグダッドにある厳重に監視されていたホテル エル ラシドがミ
サイル攻撃を受け、米兵1人が殺害され、15任が負傷した。米国国防相代理ポール
 ウルフォウィッツは、この攻撃を受けた時このホテルに滞在していたが、負傷し
なかった。夜にはさらにバグダッド市街で2件の爆発が起きた。米軍が道路を封鎖
しているホテル エル ラシド周辺地域では、銃撃事件が起きた。米国外務大臣コ
リン パウエルは、同国政府はイラク戦の終了後大規模な攻撃にさらされているこ
とを認め、こうした長く集中的な攻撃を予想していなかった、と述べた。
米国大統領ジョージ W. ブッシュが5月始めに戦闘行為の終了を宣言してから、ほ
ぼ毎日続く攻撃で、百人以上の米兵が死亡した。

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イスラエル軍 パレスチナの高層ビルを爆破

(ガザ市)ガザ地区で死者を出した攻撃に対する報復として、イス
ラエル兵はパレスチナの複数の高層ビルを爆破した。住居および軍
の哨所を襲おうとしたパレスチナ人4人が射殺された。爆破された
ガザ地区の高層ビルは、いずれも14階建であった。これらはパレ
スチナ自治政府の所有物であった。このアパートカラハ金曜日にイ
スラエル兵が攻撃を受け、イスラエル人3人が死亡していた。

国防軍 クンドゥスの施設整備に着手

(カブール)国防軍の兵士27人からなる先遣部隊は、国際保護部
隊ISAFの北アフガニスタンのクンドゥスでの最初の任務を開始し
た。当面この部隊は、今後の派兵に向けた支援施設の整備を行な
う。春までには最大450人のドイツ兵がこの地域には駐留すること
になっている。派兵の課題は、現地の安全態勢の改革を支援し、元
兵士の武装解除を監視し、軍とその他の官庁が建設的に協力しあう
のを支援することである。アフガニスタンのこの地域の司令官モハ
メド ダウドは、ドイツ兵に対して協力を既に約束した。連邦議会
は金曜日に広い範囲が賛成して、派兵を認めていた。

緑の党 ドイツ軍の職業軍人化に賛成

(ベルリン)NATO事務長ロバートソンは最近、ドイツの兵役義務
の廃止を提案していたが、緑の党はこれを歓迎した。兵役義務によ
る軍は、あまりに費用がかかりすぎ、国防軍への新たな徴発を正当
化できる情勢にない、と同党会派の国会執行部長ベックは述べた。
ロバートソンはドイツに対し、国防軍の職業軍化を示唆しており、
世界対戦後、ドイツでは職業軍を構想することが難しかったが、世
界が変わればドイツも変わらなければらない、と新聞に述べた。た
だしこれは今日明日の問題ではないものの、多くのNATO加盟国
が、職業軍を新たな脅威に適切に対応するための唯一の方法である
と見ている、とも述べていた。



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