2月17日〜2月22日のドイツのニュース



2月17日(火)

連邦政府 トラック通行料契約の破棄を通告

(ベルリン)数ヶ月に渡って延期され、数々の不具合が生じていた人工衛星を用い
たトラック通行料金の導入に関して、連邦政府は企業体トル コレクト社との契約
の破棄を通告した。同社が最近まで実施するとしていた提案が、これ以上守られる
見込みはなくなった、と連邦交通大臣マンフレート シュトルペはベルリンで行な
われた12時間に渡る交渉の後発表した。ドイツ電信電話会社とダイムラークライ
スラー社が中心となっている同社は、自らの提案を改善するために2カ月の猶予を
求めており、その後この通告が効力を発することになる、とも述べた。同社が政府
の通行料収入を得られなくなることに対する巨額の賠償責任を負うかどうかに関し
ては、仲裁裁判所が明らかにすることになっている。代わりにヨーロッパの高速道
路利用券を導入する、とシュトルペは予告した。連邦首相ゲアハルト シュレーダ
ーは、トル コレクト社を厳しく批判し、この威信に関る計画は政治的な原因では
なく、技術的な問題のために失敗に終わった、と述べた。

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専門家 トラック通行料徴収制度の失敗で印象の悪化を嘆く

(フランクフルト アム マイン)トラック通行料の徴収の暫定的
な断念によって、この計画に参加していた企業とドイツ工業の能力
に関する印象は悪化した、と産業界と政界の代表は見ている。キリ
スト教民主同盟党首メルケルは、この契約の解除通告は、ドイツの
工業界の現状にとって決定的に悪い前兆である、と述べた。一方産
業大臣クレメントは、これはよい機会である、と見ている。彼は、
トル コレクト社のような世界的な企業がこのような恥辱にただ耐
えていることはない、との期待を述べた。ドイツ工業団体連邦連合
会会長ロゴフスキーは、両者はさらに意見の一致を見るべく努力す
るべきだ、人工衛星を用いるこの方法は、他の徴収方法より技術面
では可能性を秘めており、輸出の花形となる可能性がある、と述べ
た。

シュレーダー 近東のテロと暴力の終結を要請

(ベルリン)連邦政府は改めて、近東のテロと暴力を終わらせるこ
とが平和的解決の土台になる、と述べた。連邦首相シュレーダーと
外相フィッシャーは、ベルリンを訪問しているパレスチナ新首相コ
レイに対し、ドイツはそのために協力する、と約束した。近東地域
の安定が目標であり、諸外国が提案している近東和平計画に基づい
た場合にのみ、和平実現に向けて新たに動きをもたらすことが可能
である、そのためには直接対話をすすめなければならない、ともシ
ュレーダーは述べた。その他、急進派組織のテロをおさえるために
さらなる措置を取らなければならない、とも語った。フィッシャー
は午前にイスラエル訪問から帰国したところであった。イスラエル
で彼は、同国政府と、隔離壁の建設を実質的に変更するよう求めて
いた。コレイはベルリンを出発し、ブリュッセルに向かった。

ユダヤ人入植地をめぐり新たな対立

(エルサレム)イスラエル首相シャローンが、パレスチナ人自治区
でのユダヤ人入植地の部分的明け渡しを計画しているにもかかわら
ず、イスラエル議会は巨額の助成金を出して、入植地の建設を促進
する方針である。議会の国家予算委員会は、建設促進のために約
1,700万オイロを認めた。野党とパレスチナの政治家は、この決定
を非難した。一方ガザ地区では、治安のための予防措置に憤慨した
パレスチナ人数千人が抗議活動を行ない、境界通過地点のエレスを
封鎖した。境界の通過地点の治安対策は、イスラエル人4人が殺害
された1月14日の自殺攻撃以降強化されていた。




2月18日(水)

イランの爆発事故で死者多数

(テヘラン)イランでは貨物車に積まれた燃料と化学物質が爆発を起こし、公式発
表では少なくとも180人が死亡した。ホラサン州の最新の報道によれば、それに加
えて数百人が負傷した。IRNA通信によれば、この列車はイラン北部のネイシャプ
ール市の近くで原因不明の脱線事故を起こし、火事を起こした。爆発は、それに続
いて消火作業中に起きた。この事故の現場は壊滅的な状況である。連結された貨車
はあちこちで炎上し、線路に沿って積み重なった状態になった。周辺の町村5つが
この爆発の爆風で大きな被害を受けた。
連邦大統領ヨハネス ラオと連邦政府はイラン政府にドイツ国民の弔意を伝えた。

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独仏英首脳 EU革新の障害を取り除く方針

(ベルリン)独仏英は、EUに産業改革のための副議長職を設置す
る方針である。独首相シュレーダー、仏大統領シラク、英首相ブレ
アはベルリンで首脳会談を開き、これに合意した。それによればこ
のEU委員会副議長は、さまざまな分野の仕事を調整し、EUの経済
成長と雇用確保という目標に貢献することになっている。EU革新
にとしては特に、著作権問題、工業と科学の間の結びつきが弱い問
題、ヴェンチャー企業の資本、起業を行なう上での官僚主義的障壁
が名指されている。独首相シュレーダーは、イタリアおよび他の
EU加盟諸国からの三大国による「独裁」を警戒する批判から、こ
の会合を擁護した。

ディーン ブッシュの対立候補選出から身を引く

(ワシントン)民主党の予備選挙で上院議員ケリーが再び勝利した
ことを受け、候補者である元ヴァーモント州知事ディーンは、米国
大統領選挙戦から撤退する、と発表した。彼は長い間有力候補者と
見られていたが、今後は候補者としての活動を行わない方針である
が、市民運動の枠内で政権交代のために戦う、と述べた。ディーン
は、今までに17の予備選のいずれでも勝利することはできず、最
新のウィスコンシン州での選挙では完敗の3位であった。ケリーは
火曜日の投票で対立候補のエドワーズとほぼ同数の票を獲得した。
ケリーは60歳で、17の選挙のうち15で勝利し、共和党所属の大統
領ブッシュの最有力候補と現在では目されている。大統領選挙は
11月に行われる。

イラクで新たな自殺攻撃

(バグダッド)イラクでは新たな自殺攻撃が行なわれ、犯人を含め
13人が死亡した。占領軍兵士多数を含む約100人がヒラー市で起
きたこの攻撃で負傷した。米軍の情報によれば、爆薬を積んだトラ
ック2台に、治安部隊がポーランドの基地近くで発砲した。ポーラ
ンドは9月からイラクの5州で、9千人を越える国際部隊の指揮をと
っている。イラクの都市バクバでは、米兵が22人の蜂起の容疑者
を逮捕した。彼らのうち数人は、テロ組織アル カイダとの繋がり
がある、との話である。




2月19日(木)

フィッシャー 反ユダヤ主義を非難

連邦外務大臣ヨシュカ フィッシャーは、ヨーロッパの反ユダヤ主義と断固戦うこ
とに賛成だ、と述べた。ユダヤ人に対する敵意は、EUの基本的価値観の核心部分
に反するものだ、とブリュッセルで開かれているEU委員会とヨーロッパユダヤ人
評議会の研究会でのべた。彼は、ヨーロッパの人々が市民としての勇気をもって、
反ユダヤ主義、人種差別、不寛容と対峙しなければならない、と要求した。ノーベ
ル平和賞受賞者イーライ ウィーゼルは、反ユダヤ主義はヨーロッパの病であっ
て、ヨーロッパの側から取り組まなければならない、と指摘した。
これに先立ちEU委員会議長ロマーノ プロディは、EUはあらゆる手段を行使して
反ユダヤの潮流と対決する、と予告していた。

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キプロス交渉開始

キプロスでは、分割された地中海の同島を統一することをめぐって
最終協議が始まった。2時間強の冒頭会議ののち、国連特使デ ソ
トは、始まりは建設的な話し合いであった、と述べた。今後はギリ
シア系とトルコ系の両者の住民組織の政治面での代表者であるパパ
ドプロスとデンクタッシュが数日間に渡って交渉を続ける、と彼は
語った。国連の計画によれば、両者は国連事務総長アナンが提案し
た統一計画に合意をするため、3月22日まで時間的な猶予を持って
いる。一方、何者かが北キプロス首相タラトの自宅に爆弾による攻
撃を行ない、この話し合いに暗雲がたれこめている。この攻撃で
は、ガラスの破片で近隣住民1人が負傷をした、と警察は発表し
た。

アナン「イラクの選挙は6月末前には不可能」

イラクの選挙日程をめぐる問題で、国連事務総長アナンは、米国の
立場に歩みより、6月末までに投票を行なう可能性はない、とし
た。イラク特使ブラヒミとの会談後彼はニュー ヨークで、ブラヒ
ミの見通しによれば、選挙は6月末以前には態勢が整わず、実施は
不可能である、と述べた。これまでの計画では、米国は6月30日に
イラク暫定政府に権力を移譲する方針であった。イラクの治安組織
が同国の安定と統一を保証できるようになったら、米国はイラクか
ら完全に撤退する、と米国文民行政官ブレマーはバグダッドで述べ
た。一方バグダッドの西80キロのカルディーヤでは爆弾が爆発し、
米兵2人とイラク人1人が死亡した。

パウエル ハイチの和平計画を発表

米国外相パウエルは米国とその他各国による、流血の騒乱に揺れる
ハイチの和平計画を発表した。この提案をハイチ大統領アリステッ
ドと野党の指導者に説明する、とパウエルは述べた。彼はこの提案
の詳細につて情報を示さなかった。彼はただ、この計画はアリステ
ッドの2006年2月の任期前の辞任を含んではいない、とだけ述べ
た。パウエルは、米国は民主的あるいは合憲的な規範を否定するよ
うないかなる解決も拒否する、と強調した。アリステッドは今ま
で、あらゆる辞任要求を拒否していた。一方反乱勢力側は、首都ポ
ルトー プランスまで行進を行なっている。彼らは10を越える市
町村から国の治安部隊を追い出している。




2月20日(金)

イラン 国会選挙

(テヘラン)注目を集めているイランの国会議員選挙は数時間の延長を行なって、
夜には終了した。予定より長く投票所を開いたのは、有権者が殺到したためであ
る、と公式には発表された。290議席をめぐる投票は、保守的な強硬派が中心の監
督評議会が2,400人以上の改革派の候補者を選挙から締め出したため、国の内外で
議論を呼んでいる。改革派性等位いくつかは、4,600万人の有権者に投票を行なわ
ないよう呼びかけた。一方聖職者で指導者のアヤトラ アリ ハメネイは、国民に
票を投ずるよう求めた。第1回の結果は、開票はほとんどが手作業によるものであ
るため、土曜日にようやく出るものと見られている。

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クチマ シュレーダーを訪問

(ベルリン)ドイツとウクライナは、産業面での協力を強化するこ
とで合意した。独政府はウクライナに対し、工業振興のため1,400
万オイロの信用供与を行なう。ウクライナ大統領クチマとベルリン
で会談を行なった独首相シュレーダーは、EUもウクライナとの産
業面での協力を拡大するよう努力すると約束した。一方クチマは、
ベルリンにある同国大使館が、スパイ活動のために悪用された、と
の非難を否定した。ドイッチェ ヴェレのインタヴューでこの非難
を行なった秘密情報部員は解任された。この将軍は以前、ウクライ
ナ政府から、ドイツにいるウクライナの反体制勢力を探り出す命令
を受け取っていた、と述べていた。

シュトルック プラハ入り

(プラハ)独国防大臣シュトルックは、チェコとドイツの軍隊の改
革に賛成である、と述べた。両国は、テロ組織と大量殺戮兵器の脅
威に対する対策を取る上で、同じ問題を抱えている、と彼はプラハ
で述べた。彼は首都プラハで主としてチェコの国防大臣コステルカ
および大統領クラウスと会談を行なった。チェコとドイツは国連が
主導するアフガニスタン国際保護部隊で協力しあっている。

キプロス会談で進展はほとんどなし

(ニコシア)キプロスの統一を目指す交渉の第二回目も、具体的な
前進は全くなかった。両民族の代表パパドプロスとデンクタッシュ
の会談の中心は、主として、中央政府の所在地、共通の国旗および
国歌をめぐるものである。主要な対立点の一つは、何人のギリシア
系キプロス人がトルコ北部にある自宅に帰れるか、というものであ
る。交渉は来週も続けられる。




2月21日(土)

イラン 保守派が国会議員選挙で勝利

(テヘラン)第1回の集計結果によれば、予想通り、イランの改革反対派が単独で
国会議員選挙の行方を決した。内務省の発表では、投票の約60%の開票後、保守派
の政治家が110を越える議席を獲得した。監督評議会は、政策の転換を行なう、と
予告した。多くの改革派が落選したため、今後イスラーム化を強めるが、それは一
般人の生活の中で信仰と道徳を浸透させることを目標としている、と同評議会がテ
ヘランで発表した。公式発表によれば、投票率は43%である。4年前の選挙では
67%であった。改革派は、投票率がさらに低いことを望んでいた。監督評議会が
2千人を越える自由主義的な候補者を締め出したため、自由主義陣営は投票を拒む
よう呼びかけていた。

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赤十字 イラクのサッダーム フセインを訪問

(ジュネーヴ)国際赤十字委員会の使節は、イラクで身柄を拘束さ
れている元権力者サッダーム フセインを訪問した。赤十字の広報
は、66歳のサッダーム フセインは家族宛の手紙を書いた、と述
べたが、彼の居場所と健康状態についての情報を発表することを拒
否した。一方、占領軍に対する襲撃で、ヨルダンのトラック運転
手、イラク人通訳および身元不詳の襲撃犯が死亡、米兵4人が負傷
した。日本はイラクの部隊をさらに140人増強した。これは既にイ
ラク南部のサマーワにいる百人規模の部隊を増強するものである。

ハイチに最後通牒

(ポルトー プランス)ハイチでは国際和平代表団が、大統領アリ
スティッドの支持者および反対派に最終通牒を突きつけた。これ
は、火曜日までに双方が新たな超党派の政府を、中立の首相の下で
結成することを求めるものである。しかしこの提案にはアリスティ
ッドの退陣は含まれていない。大統領反対派はこの和平案を拒否し
ている。国内政治の危機を解決する唯一の可能性は、アリスティッ
ドの大統領辞任である、と反対派の指導者アバイドは述べた。首都
ポルトー プランスでは新たな衝突が起こった。赤十字の情報によ
れば、この衝突で少なくとも2人が射殺され、20人以上が負傷し
た。

イスラエル 日曜から隔離壁の一部を取り壊す方針

(エルサレム)イスラエルは、月曜に始まるデン ハーグの国際法
廷の聴聞の前に、世界各国から批判されている隔離壁のごく一部を
撤去する方針である。日曜日には軍が8キロ分の撤去を開始する、
と国防省は発表した。この方針変更により、西ヨルダンランドの村
バカ エル シャルキアは、パレスチナ人地域から完全な形で隔離
することはできなくなる。一方パレスチナ人数千人が、隔離壁に反
対して抗議活動を行なった。ナブルスでは2千人以上が路上に繰り
出した。ラマラ、ジェニン、カルキリヤでもデモが行なわれ、既に
200キロに渡って場所によってはパレスチナ人居住区俯角まで入り
込んだ形で建設された隔離壁に抗議した。




2月22日(日)

ハイチの反乱勢力 同国第二の都市に迫る

(ポルトー プランス)ハイチの武装反乱勢力は、同国第2の都市カパイシアンに
迫った。現地のラジオ局は、反乱勢力は国際空港を占拠し、警察および大統領ジャ
ン ベルトラン アリスティッドの支持者のうち武装した者と市の中心部で銃撃戦
を行なった、と報じている。反乱勢力は、警察本部を既に占拠しており、彼らを支
持するため大人数がデモを行なっている、とも報道している。
反乱勢力は大統領アリスティッドの辞任を求めている。彼らは諸外国の仲介者が提
案した和平計画に今まで賛成していない。この和平計画は、アリスティッドを
2006年まで大統領に留任させるが、権力の一部を奪う、という内容である。

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エルサレムで自殺攻撃 死傷者発生

(エルサレム)エルサレムで満員の乗客を乗せた路線バスで自殺攻
撃が行なわれ、犯人は破片爆弾で、少なくとも8人を殺害、約60人
が重傷者を含めて負傷した。大統領アラファトのファタハ組織に属
するアル・アクサ旅団が犯行声明を出した。彼らはガザ地区で15
人のパレスチナ人を殺害に対する報復であり、またイスラエルが西
ヨルダンランドに建設している隔離壁にも抗議するものである、と
している。イスラエル外相シャロームは、この流血の事態を見れば
隔離壁が絶対に必要であることがわかる、と述べた。犯行後、イス
ラエル軍はベツレヘム市の交通を遮断した。告白の文書によれば、
犯人はベツレヘムの出身である。最近イスラエルでは1月末に11人
が自殺攻撃で殺害されている。

イラン選挙後 不穏な事態

(テヘラン)イランの国会議員選挙では、大統領ハタミがこれまで
とってきた改革路線に反対する人たちが、勝利を収めた。同国内務
省に最新の数字によれば、194議席のうち124議席が保守派の候補
者に占められている。改革派は52議席を獲得し、中間派が8議席で
ある。投票率は、公式発表によれば、50%ほどである。また第1回
の結果発表後、衝突が発生した。学生の通信社によれば、選挙区イ
セーでは、知事官邸に押し寄せようとした有権者4人が死亡した。
ファルス州では治安部隊が、選挙で不正があったことを訴えるデモ
隊のうち少なくとも3人を射殺した、

シュレーダー トルコ訪問

(ベルリン)連邦首相シュレーダーは2日間の日程でトルコを訪問
する。連邦首相のトルコ公式訪問は、1993年以来初めてである。
シュレーダーは月曜日に首相エルドアン、大統領セゼル、野党の指
導者バイカルと会談する。会談の主要な話題は、トルコのEU加盟
希望である。連邦政府はこの希望を支持している。一方連邦大統領
ラオは、すぐに完全な加盟をすることに疑念を呈し、その前にトル
コはEU加盟の条件を満たすだけでなく、実際の生活面でも改善を
行わなければならない、と述べた。キリスト教民主同盟党首メルケ
ルは先週トルコを訪問し、特権的な協力関係を結ぶことを提案して
いた。



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