5月10日〜5月16日のドイツのニュース



5月10日(月)

英国政府 イラクでの虐待で世論の圧力

(ロンドン)イラク人逮捕者に対する虐待問題で、英国首相トニー ブレアに続い
て、国防大臣ジョフ フーンも、虐待を受けたことが証明されているすべての人に
対し謝罪した。議会下院でフーンは、イラク人の逮捕者が虐待を受けた可能性があ
ると自分が知っているすべの事例の調査を行なう、2つの事例では調査は裁判を起
こすところまで進んでいる、と述べた。また彼は、何枚かの写真が本物であるかど
うか疑問を呈した。師父が情報を隠していた、との非難をホーンは退けた。週末に
英国政府は、すでに3カ月前には、国際赤十字委員会から、同国兵士によってイラ
ク南部で虐待が行なわれているとの非難が伝えられていたことを認めていた。これ
に対してフーンは、各大臣がこの報告について知ったのはつい最近のことである、
と述べた。

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シリー内相 アブ ゴライブ刑務所の措置を非難

(ワシントン)連邦内相シリーは、アブ ゴライブ刑務所のイラク
人逮捕者の虐待を厳しく批判した。この事件は、イラクで活動する
連合軍にとって、さらにはテロ組織との戦いにとって、手痛い打撃
である、と彼は述べた。シリーはワシントンで6月上旬に開かれる
G8内相、法相会議の準備に出席していた。

イラクで戦闘 死者発生

(バグダッド)イラクでは、急進的なシーア派の指導者エル サド
ルの支持者と、占領軍の兵士が、再び激しい戦闘を行なった。極め
て激しい戦闘は、バグダッドのシーア派が住む地域およびクファ市
で起きたと、伝えられている。米文によれば、蜂起勢力の35人が
死亡した。イラク北部のキルクークでは事故がおこり、南アフリカ
とニュー ジーランドの技術者2人とそのイラク人運転手1人が死
亡した。スンニ派の都市ファルージャでは、イラクと米国が共同で
初めての巡回を行なった。これは、治安情勢を改善するためにファ
ルージャ市民と結んだ協定の一部である。一方バスラの南では、蜂
起勢力が、石油輸送管に対する爆弾攻撃が起き、輸送管の一つが被
害を受けた。

フィッシャー 米国訪問に出発

(ベルリン)外相フィッシャーは、3日間の米国訪問に出発した。
彼は米国では、米外相パウエル、安全保障担当顧問ライスと会談す
る方針である。主要な議題は、イラク情勢と近東和平である。フィ
ッシャーは出発直前、米兵によるアブ ゴライブ刑務所でのイラク
人虐待を非難し、関係者の処罰を要求していた。




5月11日(火)

米軍 イラクでエル サドルに対する攻撃開始

イラクの米国部隊は、ケルベラにある急進派シーア派の聖職者モクタダ エル サ
ドルの本部への攻撃を開始した。この攻撃では、戦車とヘリコプターも使用され
た。目撃者の話では、死傷者が発生した。エル サドルは月曜日、支持者に対し
て、占領軍との戦いをより激しくするように呼びかけていた。
米外務省は、土曜日の時点ですでに、殺害された米国人実業家の遺体をバグダッド
近郊で発見していたことを認めた。テロ組織アル カイダと近い関係にある組織
に、この犯行の責任がある、としている。
オランダ政府は、イラクでオランダ兵士が死亡したことを受け、活動を今後も続け
るか検討している。オランダはイラクに1,300人を派兵している。

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米上院で イラクでの虐待問題を取り扱う

米軍少佐タグバは、イラクでの虐待問題は、米軍指揮官組織の機能
不全が原因である、と見ている。タグバは上院の軍調査委員会で、
憲兵隊には起立と教育が欠けていた、と述べた。タグバは1月に起
きた最初の虐待の疑いの解明に向けて、捜査を委託されていた。報
告書の中で彼は、バグダッド近郊にあるアブ ゴライブ刑務所の中
で起きた拷問と虐待について詳しく述べている。人権団体アムネス
ティ インターナショナルは、これより前に、イラクでの英軍に対
して強い非難を行なっていた。同団体の調査によれば、英兵はまっ
たく脅威でない非武装の一般市民を数人殺害した。

外相フィッシャー 米国訪問

独外相フィッシャーは、英外相パウエルに対し、イラクでの虐待問
題を解明するよう求めた。パウエルとの会談後彼は、関係者は責任
を取らねばならない、と述べた。米国の友好国と同盟国は深く当惑
しており、米国は世界での指導的役割を果たす必要があるから、信
頼を取り戻さなければならない、と述べた。フィッシャーは水曜日
には、安全保障担当の顧問ライスと会談することにしている。フィ
ッシャーのほかに現在連邦内相シリーと法務大臣ツィプリースがワ
シントンに滞在している。

パレスチナ人 イスラエルの戦車を爆破

イスラエル軍と武装パレスチナ人がガザ市で交戦し、少なくとも
13人が死亡した。爆薬を積んだ輸送用装甲車が、パレスチナ人が
置いた地雷の上を通り、6人のイスラエル兵が死亡した。急進派イ
スラームのハマスの隊員が、殺害された兵士の遺体を持ち去り、そ
の後、これはイスラエルの拘束下にあるパレスチナ人逮捕者に対す
る交換で返す、と述べた。これはここ1年半でもっとも多く後を流
したイスラエル軍に対する攻撃である。首相シャローンは、武装パ
レスチナ人に対する攻撃を強める、と予告した。イスラエル軍は8
人のパレスチナ人を殺害した。




5月12日(水)

米上院「新たな虐待の映像は恐るべきもの」

米国の上院議員と下院議員は、米兵によるイラク人逮捕者の虐待の様子を写した写
真とヴィデオを見た。その後彼らは、恐るべき映像について語った。1千枚を越え
る写真の一部は、すでに公表された写真よりもひどい虐待の様子を写している、と
共和党会派長ビル フリストは述べた。米国将軍マーク キミットは、虐待の容疑
でさらに2人の兵士を軍法会議に送る、と予告した。
ヴァティカンの判断によれば、9月11日のテロ攻撃よりもこの虐待事件のほうが、
米国にとって大きな打撃となる。ヴァティカンの主席外交官ジォヴァンニ ラヨロ
は新聞で、このような事件がアラブ人の西側に対する憎しみを増加させるとして
も、驚くには当たらない、と述べた。

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斬首のヴィデオ 世界に戦慄を与える

米大統領ブッシュ、国連事務総長アナン、独外相フィッシャーは、
米国人がイラクで斬首にあったことを非難した。ブッシュは同時
に、米国政府はイラクでの使命を最後まで遂行するつもりであり、
テロリストに対してひるむことはない、と強調した。アナンは、殺
害が公開の見世物として演出されたことに驚いている、と述べた。
ワシントンにいるフィッシャーは、これは野蛮な行為である、と述
べた。これ以前に急進派組織は、男の頭が切り落とされる様子を写
したヴィデオを、インターネットで公開していた。一方米軍とシー
ア派の聖職者エル サドルの支持者が新たに戦闘を行ない、ケルベ
ラでは少なくともイラク人26人が死亡した。交戦はナジャフ、クー
ファ、バグダッドでも起きた、と報じられた。

フィッシャー 米国安保担当の顧問ライスと会談

イラク人逮捕者の虐待に関連して、外相フィッシャーは米国政府に
対して、国際刑事裁判所に関する協定に加盟するよう訴えた。これ
に加盟することは、道徳面での信頼性を回復する上で、前向きの考
えを持っていることを示したことになる、とフィッシャーはベルリ
ンの「ターゲスシュピーゲル」で述べた。一方彼は米国訪問の最後
に、安全保障担当顧問ライスと会談した。主要な話題は、来週にベ
ルリンで計画されているライスとパレスチナ首相コレイとの、近東
和平計画を再び軌道に乗せるための会談についてであったと見られ
ている。フィッシャーは数回に渡って、イスラエル人とパレスチナ
人とのあいだの交渉を仲介しようとしてきた。

近東での暴力 激化

ここ24時間で2度目となる急進派パレスチナ人による、イスラエル
軍の爆破事件が起きた。報道によれば兵士5人が死亡した。ガザ地
区南部にあるラファ市近郊で、これらの兵士たちが殺害された、と
急進派イスラーム組織「イスラーム聖戦」が発表した。これより
前、火曜日に起きた攻撃で殺害されたイスラエル兵6人の遺体を返
還する、と同組織は約束した。最近行なわれた攻撃への報復とし
て、イスラエルの軍用ヘリコプターがラファ市の目標を攻撃した。
ガザ市ではこれより前、イスラエル軍の攻撃でパレスチナ人5人が
死亡していた。




5月13日(木)

2007年までの税収不足 610億オイロに

ドイツの連邦、州、地方自治体は、2007年までに合わせて610億オイロの税収不
足に陥る。これは最新の税収予想によって明らかになったものである。連邦大蔵大
臣ハンス アイヒェルは、今年の国家財政だけでも、収入不足は最大110億オイロ
に上ると見積もっていた。彼は景気の状況が改善せず、連邦銀行に入ってくるお金
が予想より少なかったためである、とした。しかし彼は、これ以上支出削減の方針
を強化したり、増税をすることを拒否した。もしそんなことをすれば、今でも安定
しているとはいえない景気回復傾向に悪い影響を及ぼす、政府は国家財政の収入不
足を、民営化および新たな負債を増やすことで補うべきだ、とも述べた。
一方、キリスト教民主、社会同盟と自由民主党は、改めて支出削減と補正予算の策
定を求めた。ヘッセン州首相ローラント コッホは、連邦憲法裁判所に訴えを起こ
す、と圧力をかけた。

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ドイツ産業界 力を回復

輸出が大きく伸びたため、ドイツの景気は今年の始め、期待以上の
伸びを示した。第1四半期の国内総生産、つまり、連邦共和国内で
達成された支払いの総額は、2003年の最初の3カ月と比べて、実
質的に0.4%増加した、これは2001年の初め以降、最大の成長であ
る、と連邦統計庁は発表した。しかし専門家は、本当の景気回復に
つながる国内需要は、あいかわらず低い、と指摘している。連邦産
業相クレメントは、この報告を前向きに推移している兆しである、
と評価し、これによって政府の経済予想が正しいことが確認され
た、と述べた。政府の今年、1.5%の経済成長を予想している。

シュレーダーとシラク EU憲法制定で突破口が見つかると期待

6月中旬に行われる次回のEU評議会では、EU憲法制定に向けて突
破口が見つかる、と独首相シュレーダーと仏大統領シラクは考えて
いる。2人はパリで開かれた独仏閣僚会議の後、EU首脳会談では決
定に至る、との確信を述べた。憲法案は、加盟各国の議会での手続
きに送られるか、国民投票によって不成立に終わることもありうる
が、彼らはそれはありそうにない、と述べた。シラクは現在は「こ
こ60年で最悪の経済危機」であるが、仏独で取られている対策は、
まもなく景気回復によい影響を及ぼすだろう、と述べた。シュレー
ダーは改めて、オイロ安定化法案を「経済成長を促すような形で」
適用し、彼の言葉を使えば、経済回復の兆候を「だめにしてしまう
のではなく、下支えする」ことに理解を求めた。

ラムズフェルド バグダッドののアブ ゴライブ刑務所訪問

イラク人逮捕者の虐待に関する問題を受け、米国防相ラムズフェル
ドは、この刑務所の様子を見て回った。彼は悪名高いアブ ゴライ
ブ刑務所を突然訪問し、関係者には責任を取らせる、と改めて約束
した。彼は、水曜日に米国上下院に戦慄を巻き起こした1千枚を越
える写真の公開は拒否した。両院議員は、すでに訴訟を起こされて
いる7人の兵士以外にもこの事件に関ったものがいる、との疑いを
述べた。イタリアの軍事法廷は、イラク南部のナシリーヤの収容所
での拘束者の虐待事件に関する調査を開始した。




5月14日(金)

ポーランド首相退陣

新ポーランド首相マレク ベルカは、国会での信任投票で敗れた直後、閣僚ととも
に辞任した。大統領アレクサンダー クワシニエフスキは、政党に属さない財政の
専門家であるベルカは、議会が首相を誰にするかで合意しなければ、もう一度首相
候補となる、と述べた。ベルカは、政府の職務を当面続けて行なう。彼は金曜日夜
に行なわれた国会の投票で、188票を得た。262人の国会議員は、彼を信任するこ
とを拒否した。現在政権の座にある民主左派連合は、ポーランド議会では過半数を
持っていない。ベルカは5月上旬レシェック ミレルの後任として首相としての宣
誓を行なっていた。ミレルは、党内からの支持を受けられず、辞任していた。

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「デイリー ミラー」紙 虐待の映像で謝罪

「デイリー ミラー」紙は、英国兵によるイラク人逮捕者の虐待の
証拠として提出した写真の公開について謝罪した。5月上旬に公表
した写真が偽造されたものであることを示す十分な証拠が出てき
た、「計算ずくで悪意ある欺瞞」にだまされた、と同紙の声明では
述べられている。編集長モーガンは、即刻辞任した。木曜日にはす
でに英国政府は、「デイリー ミラー」紙に掲載された写真は偽造
されたものである、としていた。

米国 シーア派の指導者エル サドルに対する圧力を強める方針

イラクの米軍は、急進派シーア派の指導者エル サドルに対する軍
事的な圧力を強め、投降させる方針である。目標は、エル サドル
のメーディ民兵の防衛力を削ぐことである、と軍部代表は語った。
イラクのシーア派が活動する州では、米兵とエル サドルの支持者
との間で激しい戦闘が金曜日にも起きた、と報告された。ナジャフ
とケルベラでの戦闘では、少なくとも10人が死亡した、と病院が
発表した。ナシーリヤでは夕刻連合軍のこの地域の本部が攻撃を受
けた。

イスラエル軍 ガザ市を攻撃

イスラエル軍は、再びガザ市の目標地点に攻撃を加えた。目撃者の
報告によれば、少なくとも2発のロケット弾が発射された。数時間
前には、ガザ地区南部で攻撃事件があり、イスラエル兵2人が死亡
していた。軍部の情報では、待ち伏せを受けて射殺された、とのこ
とである。エジプトとの国境地域では、数百メートルに渡って遮断
地域を拡大するため、イスラエル軍がパレスチナ人の家屋を撤去し
た。




5月15日(土)

ブッシュ「米軍はイラクに今後も長期間留まる」

(ワシントン)米軍は、イラクが自国を防衛できるようになるまで、同国に留ま
る、と大統領ジョージ W. ブッシュは述べた。イラクの安全を保障するという兵士
の最重要課題は7月も、その後も引き続き遂行される、とブッシュはラジオ演説で
述べた。これは外務大臣コリン パウエルと米国文民行政官ポール ブレマーが、
イラクの移行政権から要請があれば、米軍が撤退する可能性がある、と述べたこと
に対して応えたものである。イラク移行政権は、6月30日に政権を手にすることに
なっている。
イラク問題は、米国安全保障担当顧問コンドリーツァ ライスとロシア大統領ウラ
ジミール プーチンとの会談の主題でもある。ロシア政府はすでに、イラクの主権
を早急に回復することに賛成である、と述べていた。

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イラクのシーア派の拠点での戦闘 続く

(バグダッド)イラク南部にあるシーア派の拠点では、急進派の伝
道師エル サドルの支持者が、占領軍およびそれと連携するイラク
人と激しい戦闘を行なった。アマラの南では英国兵が、シーア派の
民兵16人を射殺した。巡礼者の町ケルベラでは、3人が死亡した。
イラクの首都バグダッドの南での攻撃では、米兵2人が死亡した。
ナシリーヤでも、エル サドルの民兵とイタリア軍の戦闘が、数時
間に渡って行なわれた、との報告があった。またイラク北部のモス
ルでは、榴弾が軍の徴兵本部に投げ込まれ、4人が死亡、17人が負
傷した。

米軍 きびしい尋問方法を禁止

(ワシントン)米軍は、イラクにいる兵士に対し、とくに厳しい尋
問方法を禁止した。眠らせない、食糧を与えない、厳しい体勢での
拘束、犬を使って圧力をかけること、数日間に渡って目隠しをする
等が禁止された、と国防省は発表した。30日を越えて独房に入れ
るのは禁止となった。また米国防省は、イラク人捕虜に対する尋問
でこのような手法が取られたことは、今まで地上部隊の司令官サン
チェスの許可の元、原則的に認められていたことも確認した。米軍
は逮捕者に対する虐待に関する調査を、アフガニスタンにも拡大す
る。米軍広報は、カブールで開かれた記者会見で、新たな告発を受
けたことを発表した。アフガニスタンでは、イスラームの戦闘員数
百人が、空軍の拠点バグラムを中心とする収容所に収容されてい
る。

シュレーダー イスラームの軍隊をイラクに置くことに賛成

(ベルリン)イラクの安全確保は、長期的にはイスラーム諸国から
なる部隊によってのみ保証されうる、との見通しを連邦首相シュレ
ーダーは述べた。テレヴィインタヴューで彼は、米国が指揮する連
合軍が、自分の安全確保以外に、同国の安全確保のために多くの事
をなし得ないのではないか、との疑問を述べた。NATOもより多く
の安全をもたらすことはないのではないか、とも述べた。彼はま
た、ドイツ政府はイラクにドイツ兵を派遣しない、との立場を強調
した。




5月16日(日)

ライス 虐待事件は米国の汚点

米国はその部隊を早期にイラクから引きあげることはない、と安全保障担当の顧問
コンドリーツァ ライスは述べた。ARDのインタヴューで彼女は、米国は任務を断
念したり放棄することはない。権力のイラク人への移譲は、計画通り6月末に行な
う、とも述べた。またあらためて、イラク人逮捕者の虐待を、米国にとって大きな
醜聞であり、イラク派兵に際してはジュネーヴ条約の意義は自明のものである、と
述べた。事件を厳しく解明し、関係者に対して刑事訴追を行なうことで、米国は民
主主義のどこが独裁政治とは異なるのか、示すつもりだ、とも述べた。ライスはベ
ルリン滞在中に、外務大臣ヨシュカ フィッシャーおよびパレスチナ首相アーメド
 コレイと会談することにしている。

     その他のニュース

パウエル「米国はイスラームの神政政治を受け入れる」

米国政府は、イラクを今後イスラームの神政政治の国としても受け
入れる準備がある、との方針を初めて示した。インタヴューでこれ
に関して質問を受けた外相パウエルは、あらゆる統治形態は自由選
挙の結果として選ばれるのであれば、受け入れざるをえない、イラ
ク国民は将来も、イスラームの信仰を土台とするというのは明白で
ある、と述べた。パウエルの言葉は、今までイランの例にしたがっ
て、イラクを神政政治の国として扱うことを強く拒否していた米国
行政が、方針転換を行なうことを示唆している。一方米軍は、イラ
クの暫定政権に権力を移譲した後も、安全確保に配慮することに賛
成である、と現イラク内相サミル スマイディは述べた。彼はバグ
ダッドで、イラクの新たな部隊はまだあまりに力がなく、6月30日
以降の平安と秩序を保証できない、と述べた。

ナシリーヤで激しい戦闘が続く

イラク南部のシーア派の拠点では、占領軍と蜂起勢力の間の衝突が
続いている。急進派聖職者エル サドルの支持者2人が、イタリア
軍とナシリーヤで激しい交戦で死亡した。ここでは占領軍の本部か
らは人が退去した。ケルベラでは蜂起勢力は数回に渡って、押収し
た武器の倉庫として米軍が使用しているモスクを攻撃した。バスラ
では少女2人を含むイラク人4人が、英国の基地を狙ったものと見
られる榴弾攻撃で死亡した。バグダッドでは米兵1人が、道路脇に
埋められた爆弾の爆発で死亡した。占領軍の現地人協力者もあいか
わらず攻撃を受けている。その際バグダッドやマームディヤでは合
わせて3人の通訳の女性が死亡した。

ガザ地区で衝突 死者発生

イスラエル兵は、ガザ地区でパレスチナ人3人を射殺した。軍の情
報によれば、この3人はイスラエルとの境界の隔離壁を突破しよう
とした、とのことである。一方イスラエルは、ガザ地区にあるパレ
スチナ人の家を破壊する、と予告した。家屋数百の撤去が予定され
ている、と軍首脳のヤーロンがイスラエルの閣議で述べた。イスラ
エル側によれば、これらの家の中には、武器密輸業者の作ったトン
ネルがある、とのことである。最高裁判所はこれに先立ち、ラファ
市のパレスチナ人から出ていた、家の撤去に反対する抗告を退けて
いた。ラファでは、エジプトとの国境にある封鎖地帯を拡大するた
めに、すでにイスラエル軍が90の家屋を破壊した。



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