6月14日〜6月20日のオーストリアのニュース



6月14日(月)

     国外ニュース

赤十字 サッダームの釈放に期限を設定

国際赤十字委員会は、米国に対して元イラクの権力者サッダーム 
フセインの釈放に期限を設定した。米国およびイラクの新政権が国
際法に違反したいのでなければ、6月30日までにサッダームに対し
て訴訟を起こすか、あるいは釈放しなければならない、と同委員会
広報ナーダ ドゥマニは英国の新聞に対して述べた。「米国はサッ
ダーム フセインを戦争捕虜とみなしている。占領の終了時には、
訴訟の対象となっていない戦争捕虜は解放されねばならない」とジ
ュネーヴ協定を指摘して彼女は述べた。また報道によれば赤十字
は、6月末のイラク政府へ権力の移譲が行われる場合、米国の収容
所にいる数千人の捕虜の法的状態が不明確になることに不安をもっ
ている。

     国内ニュース

憲法裁判所 外国人の選挙権を審議

憲法裁判所は火曜日、ウィーンで計画中の外国人の選挙権に関する
公開の審理を行なう。この会議とそれに引き続いて行われる審議
に、6月30日まで続く憲法裁判所の審理の中で、決定が出せるかど
うかがかかっている。地方選挙で問題になっている点は、非EU市
民のうち5年前から継続してウィーンに住んでいる人は、能動的お
よび受動的な選挙権を地方議会選挙では得られるかどうかである。
社会民主党と緑の党の賛成で州議会では外国人選挙権が決定された
が、これに対して国民党と自由党は当面今年初めの閣議で異議を申
し立てた。4月に決定がでた後、憲法裁判所に上告していた。




6月15日(火)

     国外ニュース

イラクの2箇所で石油輸送管攻撃

イラクではこの1日の間に破壊活動により、重要な石油輸送管2箇
所が大きな被害を受けた。イラク北部の都市キルクークの消防によ
れば、火曜日午後キルクークの北約40キロの地点で、石油輸送管
の下に仕掛けられた爆薬が破裂した。この輸送管はこの地域だけで
なく、シリアとトルコに向けた石油輸出の上でも重要なものであ
る。爆発により大火災が発生した。これより前、イラク南部の港町
バスラ近くで主要な輸送管1箇所で破壊活動が行なわれ、石油が噴
出している、と米軍は報じた。一方アル カーイダの高官と見られ
るアブ ムサブ エル サルカウィは、月曜日に起きたバグダード
の自殺攻撃の犯行声明を出した。この攻撃では13人が死亡し、う
ち5人は外国人であった。

     国内ニュース

フィッシャー 国民評議会に別れを告げる

次期連邦大統領に決まっているハインツ フィッシャー(社会民主
党)は水曜日、30年以上に渡って務めた国民評議会を去る。彼の
後継者として第2議長に就任するのは、バルバラ プラマー(社会
民主党)である。彼の国会議員の議席は、社会民主党連邦事務長ノ
ルバート ダラボスが引き継ぐ。フィッシャーは1971年からほと
んど途切れることなく国民評議会議員を務めていた。80年代中盤
に教育大臣を務めた3年半だけがその例外の期間である。また12年
間に渡って同議会議長を務めた。7月8日にフィッシャーは連邦大
統領としての宣誓を行なう。




6月16日(水)

     国外ニュース

EU議長国アイルランド 2014年から委員会を小規模にする方針

EU議長国アイルランドは間近に迫ったブリュッセルで開かれる加
盟国の首脳会談に向けて、妥協案を提案する。この提案は、EU委
員会は2014年から現在の25カ国ではなく18カ国からなるものに
する、という内容のものである。また、EU憲法が発効した後に成
立する最初の委員会は、「1カ国1委員」の原則に従って構成され
ることになる。その後委員会は18カ国に縮小され、「厳密に公平
に持ち回りで担当するという原則」が導入される、とされている。
今度の首脳会談は木曜日から2日間の予定で行われる。オースト
リアは「1カ国1委員」の原則の維持に賛成していた。閣議での多
数決導入問題についてはアイルランドは、少なくとも55%の加盟国
が賛成するだけでなく、住民の65%が賛成する必要がある、との提
案を行なう。EU憲法集会はすでに、二重の多数という原則を提案
していたが、それは加盟国の50%の賛成、住民の60%の賛成を条件
とするものであった。

     国内ニュース

年金問題 ハイダーは一般社会保健法修正を求める方針

ケルンテン州首相イエルク ハイダー(自由党)は、昨年、国民党
と自由党が確定した年金改革を、部分的ながら緩和する方針であ
る。テレヴィ番組でハイダーは昨夜、「大量の一般社会保健法に基
づく加盟者のために、もう一度社会福祉を念頭において年金改革に
は修正する必要があるかどうか検討しなければならない。」と述べ
た。連邦首相ウォルフガング シュッセル(国民党)はそのような
計画に反対していることに対して、ハイダーは短いインタヴューの
中で、故アーデナオアー(元ドイツ首相、キリスト教民主同盟)
が、自分を妨害するものは日々賢くなる、と述べたことを指摘し
た。一方次期自由党党首に就任するウルスラ ハオプナーは、年員
改革で調整を行なうのはもう終わりである、改革は正しくかつ必要
なものであった、と述べた。




6月17日(木)

     国外ニュース

外国人人質2名 イラクで解放

イラクで数週間前に誘拐されたトルコ人とエジプト人のトラック運
転手2人が、木曜日解放され、イラク人の報道関係者に引き渡され
た。2人は、クウェートからイラクの米軍のために物資補給のため
の輸送中に、スンニ派の拠点ファッルージャ近郊で誘拐された。先
週、何者かが彼らを殺害すると威嚇していたが、後にはトルコとエ
ジプトで米国によるイラク占領に反対するデモを行なうように要請
していた。

     国内ニュース

年金改革の修正 国民党は自由党と異なる意見

自由党が最近行なった年金改革を弱める計画は、連立相手である国
民党内部には疑い、野党には悪意を引き起こした。社会福祉大臣ヘ
ルバート ハオプト(自由党)は、州首相イエルク ハイダー(自
由党)が求めた年金改革の修正を実施に移すということは考えられ
る、と述べた。そうすれば、改革を弱め、年金制度の収支均衡が同
時におこる、とも語った。一方国民党の社会福祉問題の専門家ワル
ター タンツィッツは、今回の年金改革は社会福祉上つりあいが取
れたものである、との信念を述べた。また彼は、ハオプトが創設し
た救済基金は、つりあいを取る上では余計なものである、と述べ
た。




6月18日(金)

     国外ニュース

マドリード攻撃 容疑者3人釈放

スペイン捜査判事ファン デル オルモは、3月11日の攻撃に関連
して逮捕された現地の容疑者3人を釈放した。彼らは、攻撃に使用
された爆薬を犯人に対して製造したとされるスペイン人の妻および
義兄弟である、とスペイン法務省は発表した。過去数週間の間に北
部の鉱業地帯アストゥリアで逮捕された10人の容疑者のうち、今
も逮捕されているのは4人だけで、中には爆薬を途中で輸送したと
される16歳の少年も含まれている、とのことである。既に昨日午
後デル オルモはモロッコ人3人を釈放した。3月にマドリードで
起きた攻撃では、通勤列車4本が攻撃を受け、191人が死亡し、
1,900人を越える負傷者が出ていた。

     国内ニュース

工業連合会長の「同じ賃金でのより多くの雇用を」発言に批判

次期工業連合会長に就任が決まっているファイト ソルガーは、同
じ賃金でより多くの職場を作るように求めているが、これに対して
大きな批判が昨日も続いた。「私には、労働時間問題では短縮が行
なわれるのはきわめて当然のことに思われる。60年代初めに労働
時間短縮が始まって以来、労働生産性がどれほど高まったか、容易
に想像できる」と個人企業労働組合会長ハンス サルムターは述べ
た。オーストリア職員労働者同盟事務長ウェルナー アモンもソル
ガーの提案を拒否し、「これは労働者のやる気を高める方法ではな
く」企業の国外流出の危険を最小限に留めるという意図は、労働者
の全面的な支持を得られるが、そのための他の手段があるはずだ、
と述べた。




6月19日(土)

     国外ニュース

プロディの後継者をめぐり さらに駆け引き

EU憲法の条文で合意した後、EU委員会議長ロマーノ プロディの
後継者をめぐる駆け引きが、欧州連合での議論の中心課題となっ
た。プロディは昨日、自分の後継者はよい指導者でなければならな
い、と述べた。オーストリア首相ウォルフガング シュッセル(国
民党)は、委員長候補になる可能性がある人物として名前が挙がっ
ているが、新聞に対して、自分にはそのような野望はない、と述べ
た。彼は連邦首相であることを望んでおり、欧州委員会の議長の職
を引き受ける野心はまったく持っていない、と述べた。この決定は
今後2週間以内に下されることになっている。

     国内ニュース

シャイプナー 法務省入りの可能性を否定

自由党は、退任が決まっている法務大臣ディーター ベームドルフ
ァーの後任に誰を任命するか、まだ決めていない。最近候補者とし
て名前が挙がっていた自由党会派長ヘルバート シャイプナーは、
法務大臣の席に着く可能性はない、と述べた。新聞で彼は、自由党
会派長としての仕事のほうがずっと重要である、と述べた。ただし
彼は、自由党内で現在の人事異動に関して早い決定を下すように求
め、できれば7月3日の党大会前に、決定を下すよう求めた。




6月20日(日)

     国外ニュース

シュトラサー「イスラエルはEU拡大計画にあてはまる可能性」

内務大臣エルンスト シュトラサー(国民党)は、イスラエルの
EU加盟が可能かという問題に対して、地中海地域はヨーロッパに
とって「重要である」と述べた。「私たちがどのような定義をする
かによって、ヨーロッパの範囲は決まってくる」とイスラエル訪問
中のシュトラサーはエルサレムで行なわれた記者会見で述べた。彼
は、英国はオイロもシェンゲン条約にも加盟していないが、EU加
盟国であることを指摘し、イスラエルは「より大きなEUの計画」
にはあてはまる可能性がある、と述べた。一方トルコのEU加盟に
関して彼は、否定的な見解を述べた。トルコは加盟交渉に向け努力
しているが、オーストリア人はトルコで休暇を取りたい時にヴィザ
を取らねばならないし、償還交渉を拒否しているのに、オーストリ
アは他の国々からよりもトルコからの亡命を数多く認めている、と
述べた。

     国内ニュース

新たな財政収支均衡交渉 開始

連邦、州、市町村の代表と、労使双方が月曜日、ウィーンの大蔵省
で、今年の財政収支均衡交渉の第1回の話し合いを行なう。収支均
衡に関する規定で、国の収入を地方公共団体にどのように分配する
かが定められる。合わせて約600億オイロが分配されることになっ
ている。新規定は2005年から2008年まで有効の規定である。会
談は秋に決着が着く予定である。大蔵大臣カール・ハインツ グラ
サーは、州と市町村はより多くの資金を得られると予想してはなら
ない、逆に構造改革を実施し、支出削減に着手すべきだ、と強調し
た。地方公共団体側は逆に、それはもはや不可能である、と見てい
る。州は繰り返し、減税が行なわれたため収入が減っている状況に
甘んじるつもりはない、と主張している。



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