7月4日〜7月10日のオーストリアのニュース



7月4日(月)

     国外ニュース

G8首脳会談に対する抗議で90人が逮捕

スコットランドでのG8首脳会談を2日後にひかえ、首都エディンバ
ラではデモ隊と警官が衝突した。月曜午後には警察と衝突した約
90人のデモ隊が逮捕された、と英国の放送局BBCが報道した。逮
捕者の中にはいくつかの国の独立運動の首謀者が含まれている、と
のことである。20人ほどの警官とデモ隊が軽傷を負って、現地の
病院に運ばれた。警察は、これは暴力をいとわないデモ隊が画策し
た一種のお祭りである、と述べた。警察の広報は、これは「無責任
な行動」であり、エディンバラに集まった約千人の多くは平和的に
デモを行なっている、と述べた。水曜日からは、スコットランドの
グレンイーグルスで、主要工業国8カ国の代表が首脳会談を行な
う。会議の中心議題は、アフリカ支援と気候変動防止である。

     国内ニュース

亡命問題でアイネムは外国人法に賛成せず

元社会民主党の内務大臣カスパー アイネムは、外国人法に賛成し
ないつもりである。「クリール」誌に彼は、「(賛成するのは)与
党の国民党と自由党であって、社会民主党ではない」と述べた。こ
れより前に、社会民主党党首アルフレート グーセンバオアーは、
亡命法に同党の国会会派は全員一致で賛成すると信じている、と表
明していた。アイネムはこの亡命法には「外国人排斥の精神」が含
まれている、と見ている。とくにいくつかの点に関しては当惑する
ばかりである」とも述べた。司法施設ヨーセフシュタットの病院施
設長ハラルト ショッパーは共生栄養補給問題に関して、いかなる
場合でも強制的に栄養補給することは認められない、と述べてい
た。アイネムはこの法律的に複雑な問題に関して、この規定は明確
なものではないので、ウィーン地方議会の選挙では、左派への投票
が減少する恐れがある、と述べた。



7月5日(火)

     国外ニュース

クルド人殺害でオーストリア大使はイランの外務省へ呼び出し

イラン外務省は、イランの次期大統領マハムード アフマディネジ
ャドを報道機関が非難している件に関連して、在イランオーストリ
ア大使ミヒャエル シュチーゲルバオアーを呼び出した。チェコと
オーストリアでの最新報道では、アフマディネジャドは、1989年
にウィーンで起きた反体制派のクルド人3人の殺害に関与した疑い
がある、とされている。「我々は木曜日にオーストリア大使を呼び
出し、これに関する釈明を求めた」とイラン外務相広報ハミド レ
ザ アセフィは述べた。ウィーンの外務省はこれを火曜午後までは
確認していない。

     国内ニュース

人材不足を看守の代表が警告

限度を越える囚人がいるため、住民の安全が危険にさらされてい
る、とウィーン看守代表機関は発表した。緊急に人材を確保しなけ
ればならない、と同代表は述べた。「ますます囚人が増えているの
に、面倒を見る看守の数はますます減っている」とウィーン看守団
のアルビン シマは批判した。囚人の間でいらいらや攻撃衝動が強
まっており、多くの囚人がこの機に乗じて、過去数週間で数回起き
たように、脱走しようとしている、とも述べた。




7月6日(水)

     国外ニュース

マルタはEU憲法に賛成

EUは危機的状況に陥っているが、地中海の島国マルタはEU憲法に
賛成した。同国国会での批准が昨日午後、全会一致で成立した。野
党労働党も受け入れに賛成した。国会が全会一致でEU憲法に賛成
したのはこれが初めてである。2004年にEUに加盟したマルタは
EU憲法を承認した13番目の国である。一方ルクセンブルクでは来
る日曜日に行なわれるEU憲法に関する国民投票の行方が緊張感を
もって見守られている。結果がどうでるかは予断を許さない。フラ
ンスとオランダが国民投票で同憲法を拒否したことで、EUの危機
が生まれてきた。同憲法が発効するためには加盟25ヶ国すべてが
賛成する必要がある。

     国内ニュース

国民評議会は異論のある外国人法案を可決

国民評議会は木曜日、新たな亡命の規定と社会に溶け込むことをよ
り強く義務づける内容を含み、異論も出ている外国人法案を可決す
る。亡命に関する新たな規定は主として、在留資格のない人の強制
収容に関する規則の強化を含んでいる。こうした人々に対しては現
在最大で半年となっている収容期間を、2年間のうち10カ月へとす
ることができるようになる。特に異論が出ているのは、今後は心に
傷を負った亡命希望者も、医療上の手当を受けられ、別のEU加盟
国(あるいはノルウェー、アイスランド)がその件を担当する場合
には、国外追放できるようになった点である。またハンガーストラ
イキを行なっている人に対する強制栄養補給に関しても不満がでる
ことが懸念されていた。




7月7日(木)

     国外ニュース

エディンバラでは2回爆弾警報が誤って発令

木曜日のロンドンでのテロ攻撃後、G8首脳会談が行なわれている
グレンイーグルスからわずか70キロしか離れていないスコットラ
ンドの首都エディンバラでは、2回爆弾警報が出され、緊張が走っ
た。バスの中で見つかった疑わしい外見をした袋が、この地域の特
別攻撃隊に寄って破壊された後、この警告は誤りであった、と警察
は発表した。しばらく後に別の警報が出された。こちらは謎の袋が
ある商店で発見されたもので、これも同じように「管理下において
爆破」したが、爆弾ではなかった、と警察広報は発表した。両事件
で目抜き通りの会社や商店からは人がいなくなり、大幅な交通制限
が行なわれた。エディンバラのホテルには、詰めかけた2,500人の
報道関係者の多くと、首脳会談に出席する代表団の一部が滞在して
いる。

     国内ニュース

欧州裁判所の判断では大学への入学制限が確定

自国の大学への入学に関する欧州裁判所の判決によれば、地元大学
への入学制限は既にこの秋から適用されることがはっきりした。同
法廷は、現在の制度はオーストリアの高等学校卒業資格試験受験者
を優遇しているとして、オーストリア共和国に有罪判決を言い渡し
た。ドイツの大学が入学定員を定めているために、入学できないド
イツ人学生が難民となって、オーストリアへ押し寄せる懸念が出て
きた。教育大臣エリサベト ゲーラー(国民党)は、予告通りの対
応を取った。つまり大学の定員の制限を許可する法律を今日にも可
決する方針である。




7月8日(金)

     国外ニュース

ローマではイスラーム批判女性を上院議員に推す声

フォルツァ イタリア党の筆頭候補サンドロ ボンディは、文筆家
オリアナ ファラチ(75歳)を国会で終身上院議員に推した。今後
署名運動が行なわれ、それによってイタリア大統領カルロ アゼリ
オ チャンピがファラチをの任命を受け入れる決定を下すことにな
っている。ボンディは右派の新聞「リベロ」のインタヴューに応え
て、「これはロンドン攻撃に対する正しい反応である」と述べた。
イタリアの有名記者であるファラチは、彼女の書いたイスラーム批
判の本が「宗教に対する攻撃」を引き起こしたとして、イタリアの
裁判所で裁判を受けている。この裁判はイタリアのイスラーム教徒
社会が、宗教団体を中傷したとの容疑で起こしたものである。彼ら
はファラチの「理性の力」という本は、イスラームに対する侮辱で
ある、と見ている。同組織の弁護士は、異人種に対する憎しみを広
げる表現を流布することを差し控えるべきだ、と述べた。

     国内ニュース

ウィーンのクルド人殺害に関するとされる録音公開

1989年7月13日に暗殺されたクルド人3人と、暗殺部隊に属して
いたイランの代表団と思われる者たちの間での会話に関する録音と
されるものの記録が存在しているとの情報がある。イラン出身の元
評論家によれば、この犯行そのものについても述べられている。チ
ェコの新聞「プラヴォ」に対してアミル タヘリが語ったところに
よれば、新たにイラン大統領に選ばれたマハムード アフマディネ
ジャドが、この犯行の際に実際にその場に居合わせただけでなく、
この事件で負傷をっていた模様である。




7月9日(土)

     国外ニュース

脅迫を受けバーミンガム中心部から人が避難

ロンドンが爆弾で攻撃されてから2日、英国警察は土曜日午後、脅
迫を受けたため、バーミンガム中心部から数千人を退去させた。バ
ーミンガムは英国第2の都市である。対象となったのは多くのナイ
トクラブ、レストラン、バー等が集まる歓楽街で、警察の推定では
約3万人がいた。警察広報は、逮捕者はいない、人々に町の中心部
から離れ、家に戻るように求めた、と発表した。「脅迫の内容につ
いては立ち入らないが、この脅迫を本物と受け取った」とも述べ
た。人々は冷静に中心部を離れた、とのことである。報道によれ
ば、警察は疑わしい袋少なくとも1つを管理下に置いて、爆破し
た、とのことである。

     国内ニュース

企業に対する罰則は罰則の規模をめぐって対立

カプルンのケーブルカー事故では、一切の賠償保証請求が認められ
ず、関係者に責任があるとの証明は行なえなかったが、これが新た
な企業を対象とする刑法を作るきっかけとなった。1月1日から、
企業自身に対する責任が問えることになる。ただし、その刑罰の規
模をめぐって対立が続いている。




7月10日(日)

     国外ニュース

スレブレニッツァの大量虐殺から10年

月曜日にはスレブレニッツァの大量虐殺10周年の記念式が行なわ
れ、数万人が参加する予定である。ボスニアのこの年近くで行なわ
れる式典には、英国外務大臣ジャック ストロー、フランス外務大
臣フィリップ ドゥスト・ブラジの他、新外務政務次官ハンス ウ
ィンクラーが出席する。この式典には、身元が確認された犠牲者
610人の遺体が埋葬される。1995年7月11日に、ボスニアのセル
ビア人部隊が、国連が保護していた東ボスニアのイスラーム教徒の
飛び領土スレブレニッツァを占領した。その後セルビア人は約7千
8百人のボスニア人男性および少年を殺害した。

     国内ニュース

ヴラニツキ「社民党はBZOeの路線へ方針転換している」

社会民主党の元連邦首相フランツ ヴラニツキは、社会民主党の現
在の連邦政治の政策を批判している。「政治では、原則を守ると表
明することが重要である」とティロール新聞との対話でヴラニツキ
は述べた。EU拡大や亡命者などの問題で、「オーストリア未来連
合BZOeの路線に方針転換すること」は、有権者からは戦略と見ら
れるが、それは承認されることはない、「そのような急転換を行な
うと、新たに獲得できる支持者よりも、今まで支持してくれた人が
たくさん離れて行く」と述べた。またヴラニツキは、社会民主党が
内部での激しい対立を経て、強化した亡命法に賛成したことによい
感情を抱いてはいない、国民党が問題の多い法案を呈示したのに、
与党でない社会民主党内部で対立が起きてしまったからだ、とも語
った。また彼は国民評議会選挙は、2006年秋になってから行なわ
れる、との見方を示した。それに向けて努力をすれば、党首アルフ
レート グーセンバオアーが首相になる可能性もある、と語った。



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