10月10日〜10月16日のオーストリアのニュース



10月10日(月)

     国外ニュース

ヴコヴァル殺戮事件のセルビア人に対する裁判開始

デン ハーグの国連戦争犯罪法廷では、火曜日から元セルビア人将
校3人に対し、1991年東クロアチアのヴコヴァル市での大量殺戮
容疑での裁判が始まる。この3人は、当時セルビアが占領していた
同市の病院に逃げ込んでいた250人以上の暗殺に責任がある、と非
難されている。セルビア人を中心とするユーゴスラヴィア軍は、約
400人を病院から追い出し、その半分以上を拉致し、殺害して共同
墓穴に埋めた。3人の元将校は、人間性に対する犯罪で5件、戦争
犯罪で3件の責任を問われている。

     国内ニュース

緑の党のフォッゲンフーバーは自分の党を批判

シュタイアーマルク州とブルゲンラント州で、期待を裏切る結果に
終わった緑の党は、党内から初めて党の内実に関する方針を批判す
る声が強まっている。同党所属で欧州議会議員ヨハネス フォッゲ
ンフーバーは「クライン新聞」に、同党は政治の大局が大きく変化
しているのについていけていない、と述べた。彼は「人々は自分が
なおざりにされており、不安に感じている。経済および社会福祉の
未来の問題が、決定を迫られている。社会的市場経済は維持できる
のだろうか。どのようにすれば新たな教育制度を発展させられるの
か。そのために緑の党のような政党は、社会と対立する方針を建て
てでも意味のある解答を出すことができるのでなければならない。
いくつかの個別の主題はもはや重要でないからである」と述べた。




10月11日(火)

     国外ニュース

シュレーダーは「新政権入りしない」ことを確認

ドイツ連邦首相ゲアハルト シュレーダー(社会民主党)は、間接
的ながら、キリスト教民主、社会同盟と社会民主党の連立による新
政権には加わらない、と予告した。「大連立がよくなるかどうか
は、そのうち解るだろう」とシュレーダーはベルリンでの第1回機
械製造業首脳会談で火曜日に述べた。「私はいずれにせよ、新政権
がよくなるように協力するつもりである。次期政権に参加しない場
合にも、現在抱えている問題を私は理解している」と述べた。現在
進んでいる連立協議について彼は、「大連立が成立することを望ん
でいる」と述べた。大連立は確実である、と見られているが、多く
の問題が未解決のままで、特に社会民主党の誰が副首相に就任する
かは未定である。新聞報道によれば、同党首フランツ ミュンテフ
ェリングがこれを引き受ける模様である。その根拠として、彼は同
党内部でのこの連立へ批判的な人への見本となることが挙げられて
いる。

     国内ニュース

ファン デア ベレンは社会福祉政策を重視する方針

緑の党の連邦代表アレクサンダー ファン デア ベレンは、同党
の現在の情勢から、社会福祉政策に努力をさらに集中させること
を、教訓として引き出している。原則的には連邦政治似関して緑の
党の掲げている主題は「極めて正しい」ものである、とベレンは昨
日のテレヴィ番組で述べた。ただし社会福祉と労働市場の課題に関
してはさらに力を集中させていかなければならない、とも語った。
また彼は、2006年国民評議会選挙前に、同党が連立の可能性を確
定する可能性はない、とも述べた。シュタイアーマルク州とブルゲ
ンラント州での選挙結果が悪かったことに関してファン デア ベ
レンは、選挙で結果を出すまでには6年半かかった、現在は2度目
の踊り場状態を経験しているのだ、と述べた。10月23日のウィー
ン地方議会選挙をにらんで、連邦政府に不満をもち、方針変化を選
択する有権者に向けて支持を訴える、とも語った。




10月12日(水)

     国外ニュース

アル カーイダはイラクで新たな攻撃を行なったと発表

イラクのアル カーイダ組織は、タル アファルで起きたばかりの
自殺攻撃の犯行声明を行なった。この攻撃で、30人が死亡し、35
人が負傷した、と警察は発表した。ただしインターネット上で発表
されたこの声明が本物であるかどうか、確認は取れていない。自殺
攻撃犯は水曜日、同市の軍と警察の新人募集事務所の前で待ってい
た数百人の人ごみの中で、爆死していた。9月上旬にはイラクと米
国の軍は、バグダードの北西450キロにある反乱勢力の拠点タル 
アファルに攻勢をかけはじめていた。それ以来反乱勢力と見られる
約160人が殺され、700人が逮捕されていた。

     国内ニュース

ブルゲンラント社民党は国民党との政党間交渉を開始

先の日曜日にブルゲンラント州州議会選挙が行なわれたが、社会民
主党は木曜日に国民党と今回の任期中の協力関係について、政党間
交渉を開始する。この高尚には、州首相ニースルと州首相代理フラ
ンツ シュタインドルのほか、両党所属の閣僚、州議会の会派長ク
リスティアン イレディッツとルドルフ シュトロマーが参加す
る。最初には基本的な考え方が示されるもようである。選挙後に
は、管轄の分担問題などの詳細について、両党間の見解の相違が明
らかになった。憲法で規定されている(党の得票の割合によって役
職を分担する)官職比例就任を元にすれば、社会民主党はあいかわ
らず4人、国民党は3人の閣僚を出すことになっている。両党は既
に、閣僚人事を変更しない、と予告していた。



10月13日(木)

     国外ニュース

イタリア国会は異論のある選挙法改革を可決

イタリア首相シルヴィオ ベルルスコーニが行なおうとしている選
挙法改革には異論が出ているが、昨日午後、この改革は、最初の障
碍を乗り越えた。イタリア議会の下院は、単純比例選挙制選挙の再
導入に賛成した。これは現在政権を握るの中央右派連合が来年春に
行なわれる国会議員選挙で、優位になるためのものである。野党は
採決に参加せず、野党議員は、抗議のため投票用紙を高く掲げ、振
り回した。この改革と同時に、各党に対して4%の障壁条項も導入
された。これによって、政党の候補者一覧に載らなければ、国会議
員選挙に参加できないことになる。ただしこの条件は連合を組んで
選挙に参加する政党に対しては、2%に下げられる。これは伝統的
に分裂する左派陣営の政党にとって打撃となる。その他に、最大の
票を得た政党には地下の議席の割り当てという「特典」がある。今
回の改革は1993年に、選挙区選挙と比例選挙を併用したとき以来
のものである。

     国内ニュース

首相は大学入学問題で裁判所の判断を批判

欧州裁判所がオーストリアはEU加盟国の外国人を大学に入学させ
るように判決を下したが、連邦首相ウォルフガング シュッセル
(国民党)は改めて、この判決を批判した。ドイツで入学を許可さ
れないような「二流のドイツ人学生」が、オーストリアでは大学に
通えることになる、と述べた。シュッセルはウィーンで開かれた昨
日の記者会見で、「移行期間なしで」今の冬学期の入学申請期間の
開始の時点でオーストリアにもたらされた「この判決には、根拠が
ない」と述べた。




10月14日(金)

     国外ニュース

イタリアでは厳しい支出削減予算が可決

イタリア政府は、約20億オイロの対策を定めた法を制定して、今
年の赤字の予想を維持する方針である。内閣は昨日ローマで小規模
な予算を採択した。これは、赤字を最大で国内総生産の4.3%に制
限するものである。最新の情報によれば、今年上半期の赤字は国内
総生産の5.1%である、と指摘されている。7月には政府は経済成長
の予想を下方修正し、赤字予想を2.7%から4.3%に増やしていた。
オイロ安定法で許されている赤字は、最大で国内総生産の3%であ
る。イタリアは2006年の赤字を3.8%に、2007年には2.8%に下げ
る計画である。各省庁の支出は11億5千万オイロ削減されることに
なっている。ただしこれに関して今までは目立った成果が上がって
いない。電力企業に対する税制上の優遇措置の削減によって7億
5千万オイロが国庫に入ってくることになっている。

     国内ニュース

ウィンクラーは対トルコの姿勢を擁護

外務政務次官ハンス ウィンクラーは、EU加盟交渉開始に関する
トルコに対するオーストリアの態度を擁護した。「オーバーエスタ
ーライヒ通信」の中で彼はオーストリアは上手に交渉を行なった、
と主張した。今後はトルコの加盟前に、EU側の受け入れ能力も考
慮しなければならない、とも語った。オーストリアはEUに対する
懐疑を表明したが、その際には前回のEU拡大が直接国境を接する
国々で起きた、という事情を指摘した。またウィンクラーは、トル
コに対する否定的な立場が他国と比べてオーストリアではっきり強
いわけではない、とも語った。ただし彼は、オーストリアがEU議
長国であるあいだには、まず信頼感の回復を行なわなければならな
い、ということを認めた。同時に彼は、オーストリアはナチの遺産
から抜け出し得ていないとの報道を退け、それは「腹立たしい紋切
り型の表現」に過ぎない、と述べた。




10月15日(土)

     国外ニュース

パキスタンは地震の被害を50億ドルと見積もる

巨大地震はパキスタンに総額約50億ドルの損害をもたらした、と
同国政府は発表した。これは、政府、民間および社会の基礎となる
施設の被害をまとめたものである、とパキスタン首相ショーカット 
アジーズは述べた。死者の数は正式に以前の2万5千人から、3万
8千人に引き上げられた。6万2千人が負傷した。地震後1週間たっ
て救援活動の中心はパキスタン北部での、家を失った人の世話にな
っている。国連は家を失った人は百万人、パキスタン政府は250万
人と見積もっている。家を失った人は当面、州が収容している。ア
ジーズはテントと毛布が必要である、と全世界に緊急支援を求めた。

     国内ニュース

末期と子供の患者の家族の負担を軽減

閣議は火曜日に、経済省と社会福祉省が提案した、末期と子供の患
者をもつ家族に対する負担軽減を決定する。具体的には、慢性疾患
の子供たちの場合には、今まで6カ月間認められていた職場を離れ
られる期間を、9カ月間に延長する、というものである。救済基金
からの財政支援を求めることができる人の収入面での上限も、500
オイロから700オイロに引き上げられる。今までの診療から見る
と、このような引き上げが必要である、と担当大臣ウルスラ ハオ
プナー(未来同盟)は述べた。末期と子供の患者を持つ家族の支援
の利用は、今まで政府の予想をはるかに下まわっていた。ハオプナ
ーによれば、特に上限の500オイロの収入の人たちは、毎月定額の
費用を支払わされて、極めて困難な状態であった、と述べた。




10月16日(日)

     国外ニュース

メルケルは閣僚人事を提案

ドイツでは、閣僚人事の確定と、連立交渉の正式な開始によって、
キリスト教民主、社会同盟と社会民主党は、連立にむけ決定的な2
つの段階を越えることになる。キリスト教社会同盟は、その代表エ
ドムント シュトイバーとホルスト ゼーホーファを連邦政治に送
り出すことを確認する方針である。午後開かれたキリスト教民主、
社会同盟の会議の後、次期首相アンゲラ メルケルは、閣僚人事を
正式に提案する方針である。午後遅うには、正式な連立交渉に向
け、初めて交渉担当が会合を行なうことになっている。最終的な決
定が出されるとは見られていなかった。9月18日に新たに選ばれた
連邦議会のその他の国会議員も、会派の会議に出席する。火曜日に
は連邦議会の結成会議が議事に上がっているからである。その中
で、国会の議長団の選挙が行なわれる。

     国内ニュース

シュタイアーマルク州で国民党は社民党に新たな提案を行なう方針

月曜午後、シュタイアーマルク州では、最後の政権交渉が社会民主
党と国民党の間で行なわれる予定である。そのため日曜日には、国
民党の幹部が話し合いを行なったが、その具体的な結果についての
発表はなかった。国民党は「苦情」をもっており、これについてシ
ュタイアーマルク州社会民主党党首フランツ フォーウェスとさら
に話し合いを行なわなければならない、と国民党主席交渉役ヘルマ
ン シュッツェンホーファーは会議後のべた。社会民主党の提案で
は、国民党は次期州政府で、産業、農業、科学、研究、財政、観光
の各大臣を出す計画で、社会民主党側は公正、社会福祉、教育、文
化、協力の各大臣を担当する計画である。



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