11月28日〜12月4日のオーストリアのニュース



11月28日(月)

     国外ニュース

サッダームは裁判で初めての証言も後悔はなし

イラクの元独裁者サッダーム フセインは、初めて自分の犯罪に直
面している。シーア派の村落ドゥジャイルでの1982年の大量殺戮
の証拠が呈示された。一方彼は後悔をしているようすは見せなかっ
た。彼は微笑を浮かべながら、共に起訴された者たちを出迎えた。
そのほかにも彼は、「占領軍の兵士」による扱いに不満を述べ、裁
判官にどのように自分の裁判を執り行わなければならないかを述べ
た。予定されていた犠牲者の発言は結局行なわれず、裁判は延期さ
れた。

     国内ニュース

ハイダーは形式的にのみ未来同盟党首

先週金曜日にほぼ100%の賛成でケルンテン州未来同盟党首に選ば
れた、同州首相イエルク ハイダーは、「形式的に」のみ「連邦同
党の党首」である、と自分のことを見ており、それも次回の同党集
会までのことである、と考えている。月曜夜のラジオ局の討論番組
の中で彼は、未来同盟が「今後半年でオーストリア全土で創設」さ
れ、ケルンテン州では国民評議会へ同党が議員を送るために必要な
基本的な議席を得ることに自信をのぞかせた。「私はもはやオース
トリアのあちこちを歩き回る必要がなく、ケルンテン州に全力を挙
げることができる」と述べた。彼は間近に迫った国民評議会選挙を
見すえて、ケルンテン州では泥仕合を演じるつもりはなく、自由党
党首ハインツ・クリスティアン シュトラーヒェと対立したり、社
会民主党党首アルフレート グーセンバオアーが行進する場所を提
供したりしない、とも述べた。




11月29日(火)

     国外ニュース

イラクでの人質事件でドイツ政府は脅迫に屈しない方針

ドイツ外務大臣フランク・ヴァルター シュタインマイアー(社会
民主党)は、ドイツ政府はイラクで誘拐されたドイツ人女性に関す
る人質犯側の要求には屈伏しない、と明言した。「ドイツ政府は脅
しに屈しない」と彼は米国外相コンドリーツァ ライスとの会談
後、関連する質問に答えた。テレヴィ報道によれば、人質犯はドイ
ツ政府はイラク政府との協力を中止するように求めていた。シュタ
インマイアーはワシントンでの会談で、米国は誘拐されたドイツ人
ズザネ オストホフの捜査で、現地の情報を提供するとの約束を受
けた、との情報がある。また誘拐されたオストホフを、急進派がね
らっていた、との情報もある。また就任したばかりの首相アンゲラ
 メルケル(キリスト教民主同盟)にとっては、この人質事件は大
きな外交上の試練である。

     国内ニュース

クホールはヴァティカンの同性愛者に対する指示に反対

カトリックの政治家たちは、同性愛者の存在を主張する組織を法的
に承認するいかなる法律も阻止すべきである、との書簡をヴァティ
カンは出したが、オーストリアの政治家の多くはこれに理解を示し
ていない。国民評議会議長アンドレアス クホール(国民党)は
ORFの火曜日夜の番組のなかで、自分は「どこからのものであって
も指示」を拒否する、国民党は教会あるいはキリスト教の政治では
なく、キリスト教の責任に基づいて政治を行なう、と述べた。社会
民主党党首アルフレート グーセンバオアーは、「私はまず第一に
自分の両親に従うのであって、ローマ教皇庁の省の指示に従うので
はない、と述べた。環境大臣ヨーセフ プレル(国民党)は、ヴァ
ティカンの指示を「重要だと思っていない。私はローマだけでな
く、どこからの指示も必要としていない」とのべた。




11月30日(水)

     国外ニュース

ブレアには「英国に対する割引」に関する話し合いを行なう用意

EUの財政計画は、「英国の負担金の割引」に関する議論で、再び
行き詰まった。今回英国政府は「部分的に」妥協する用意がある、
と「デイリー テレグラフ」紙は報じた。6月には英国政府は、EU
の分担金の減免に関して拒否したため、交渉が行き詰まり、首相ト
ニー ブレアが悪者にされていた。今回彼は、EU加盟国からの圧
力に屈し、EUの農業政策を変更する要求を取り下げる用意があ
る、とも報じられている。

     国内ニュース

キエフの大使館では2万8千の違法ヴィザが販売

キエフのオーストリア大使館では、あわせて2万8千の旅行者用入
国査証が販売されていた模様である、と「ニューズ」誌と地下鉄新
聞「ホイテ」が水曜日の最新版で先行して報じている。「ニュー
ズ」誌によれば、20を越える旅行会社がほぼ一年間に渡って毎週
きっかり50の入国査証を、国外に出発しようとしているウクライ
ナ人に販売していたほか、大使館員が「ひんぱんに賄賂」を受け取
っていた、とのことである。無料新聞「ホイテ」は、キエフ大使館
は2003年から4年にかけて、執務日には毎日、最大で160の入国
査証を違法に投げ売りしていた、と報じている。




12月1日(木)

     国外ニュース

イラクで誘拐されたドイツ人の家族は解放を訴える

イラクで誘拐されたドイツ人女性ズザネ オストホフの母親と姉妹
は、アラブ系放送局を通じて人質犯に対して、考古学者である彼女
とその運転手を生きたまま解放するように訴えた。「私たちはあな
たがたに、わたしの無実の姉妹とその同行者の命に危害を加えない
ように求めます」と姉妹のアンヤ オストホフはアル ジャジーラ
で木曜夜に発言した、とドイツ第2放送は報じた。「彼女は長い間
イラクで暮らし、イラクで活動していました。ズザネは病気の人々
に医薬品を運んでいました。彼女はイラク文化を愛しているので
す」と述べた。母イングリート ハラは「私の娘に関して慈悲をも
ち、娘とその同行者をできるだけ早く解放してくれるように切実に
訴えます」との感動的な発言を行なった。一方ドイツ政府は、犯人
側と接触することに成功していない、との情報がある。

     国内ニュース

グラサーはオーストリアがEU議長国の期間中の重要項目を発表

大蔵大臣カール・ハインツ グラサーは木曜日にイタリア産業大臣
ジュリオ トレモンティとローマで会談し、1月1日から半年間EU
評議会議長をオーストリアが務める間の重要項目を提案した。「我
々はヨーロッパの失業者1千9百万人に、はっきりした回答をしな
ければならないという点ははっきり解っている。最重要の目標は、
ヨーロッパの経済成長と雇用確保をはっきり進めるきっかけを産み
出すことである、とグラサーは述べた。EU委員会では、オースト
リアが議長を務める間に、各国の行動計画いわゆるリスボン戦略の
評価を行ない、EUの2007年から13年にかけての財政計画を取り
まとめることが課題になるが、その他官僚主義からの脱却と税制問
題も重視する、などと述べた。




12月2日(金)

     国外ニュース

イラクの誘拐犯は4人の人質を殺害すると脅迫

イラクで活動する西側の支援組織の職員4人を誘拐している犯人た
ちは、ヴィデオの中で、来週木曜日までに自分たちの要求が容れら
れなければ、人質を殺害する、と脅迫した。アラブ系のテレヴィ局
アル ジャジーラがこのヴィデオを金曜日に放送した。それによれ
ば、犯人たちは米国とイラクの刑務所に入れられているすべての被
収容者の釈放を要求している。このヴィデオには、カナダ人人質
2人が写った場面がある、とのことである。別の場面では英国人
1人、米国人1人の姿も写っている。彼らは先週土曜日に誘拐され
た。一方その前日に何者かに誘拐されたドイツ人ズザネ オストホ
フに関しては、彼女が生きている証拠はない。彼女の母親と姉妹
は、ヴィデオで誘拐犯に呼びかけを行なった。その中では誘拐され
たのは信仰告白を行なったイスラーム教徒で、娘を1人持つ思いや
りのある母親である、と述べた。

     国内ニュース

慈善の献金はまもなく税が控除されるようになるか?

個人による慈善の献金に対して税を控除することが、もしかすると
現実味を帯びるかもしれない。「クリール」紙の報道によれば、人
道支援組織の代表者からなる作業班は、免税制度で合意し、大蔵大
臣カール・ハインツ グラサーもこれを歓迎した。具体的には、最
大で収入の1割が税から控除できることになる、という提案であ
る。1月までに大蔵省との間で詳細がつめられることになってい
る。




12月3日(土)

     国外ニュース

チャヴェスの政党がヴェネズエラ選挙で勝利

ヴェネズエラでは土曜日に国会議員背虚が行なわれる。野党が激し
く分裂している中、大統領ウゴ チャヴェスは自分の政権の基盤を
確実なものにした見込みである。野党の大部分が、選挙に参加しな
いように呼びかけたが、それは選挙の実施法に「透明性が欠けてい
る」ことを理由としてあげている。一方政権側は、野党側を米国の
支持を受け「不安定な戦略」を取っている、と非難した。チャヴェ
スの政権党MVRは、現在も国会で多数を持っているが、野党が低調
に終わったため、4分の3の多数を得るものとみられている。この
選挙には約1,450万人が投票権を持っていた。

     国内ニュース

CIAの秘密飛行にオーストリアが非公式な抗議

CIAと見られる輸送機が2003年1月にオーストリア上空を飛行し
たとされる問題をうけ、連邦政府は米国大使館に非公式に抗議し
た。日曜日に発行されるウィーンの週刊誌「プロフィル」が、これ
を発行した。それによれば米国は、同機が米国政府の任務として飛
行機をしていたものであることを認めた、とのことである。緑の党
所属の国会議員ペーター ピルツは土曜日に、国防大臣ギュンター
 プラター(国民党)が、米国のどの官庁がこの輸送機を保有して
いたのか照会しなかった、と非難した。一方ドイツの「シュピーゲ
ル」誌は、ドイツ政府はCIAが4百回を越える秘密飛行をドイツで
行なっていたことを示す一覧表を手に入れていた、と報じた。米国
政府はこの問題で反撃に出ている。外相コンドリーツァ ライスは
数日後にはヨーロッパ各国を相手にする意向である。




12月4日(日)

     国外ニュース

シャロンの反対派ネタニヤフはイランを攻撃する方針

イスラエルの政治家ベンジャミン ネタニヤフによれば、イスラエ
ルはイランの核施設を空から攻撃し、イランの核計画を破壊すべき
である。「イスラエルは、イランが核の脅威となるのを許してはな
らない」と3月に行なわれる選挙で、現首相アリエル シャロンの
対立候補となるネタニヤフは述べた。シャロンが自分のリクード党
から離反する前には、ネタニヤフは同党の左派陣営に属する最も強
力な対抗馬であった。一方シャロンも、イランが核兵器保有国とな
るのを妨げなければならない、と述べていた。ネタニヤフは空爆を
提案することで、元首相メナヘム ベギンの伝統に自分が立ってい
る、と考えている。ベギンは24年前サッダーム フセイン体制下の
イラクに建設中であった原子炉の空爆を命じていた。この「大胆
な」手段で、ベギンはイスラエルに「20年間の平和」という成果を
あげたが、これを今私たちも行なうべきである、ともネタニヤフは
述べた。このような行動は、イランがイスラエルにとって現実的な
脅威であるから、必要である、とも述べた。

     国内ニュース

非合法労働に関する規則は当初から欠陥をもっている

非合法労働を禁止する規則をめぐる議論で、ある労働医療の従事者
に事情聴取が行なわれた。ウィーン総合病院の労働医療部門の部長
であるフーゴー リュディガーは、「政治の欠陥」が当初からあっ
た、と見ている。個人の負担の問題だけではなく、個人の負担能力
も問題であって、各人はそれぞれの仕方で大いに耐えていて、本人
の年齢と強さがその際には決定的な役割を果たしており、仕事の性
質によるものではない、と述べた。



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