12月5日〜12月11日のオーストリアのニュース



12月5日(月)

     国外ニュース

国連特使「米国も人権を守るべき」と発言

国連人権委員会の特別報告者を務めるオーストリア人マンフレート
 ノーワクは、秘密監獄と推測される施設の件で、米国を批判して
いる。「米国も人権の最低水準の規則に拘束されている」と月曜日
のテレヴィ番組の中で述べた。責任者は国外にある秘密監獄を使う
ことによって、米国憲法の適用を避けようとしている、とも述べ
た。米国は、虐待することによって自白を引き出すことを関係者が
知っている国々に進出しており、虐待禁止を緩和することは、いか
なる情勢下でも支持できない、とノーワクは述べた。彼自身はずっ
と以前から、米国の秘密監獄が存在することを示す証拠を持ってお
り、ヨルダンあるいは船上で尋問が行なわれていた。ヨーロッパに
あるこの種の施設については、情報を持っていない、とも語った。
「ワシントン ポスト」紙によれば、独元内務大臣オットー シリ
ーに対して米国大使ダニエル コウツが、CIAが秘密裡にドイツ系
レバノン人クハレド エル マスリを拉致した、との情報をよせて
いた、と報じていた。「南ドイツ新聞」の情報によれば、首相府も
事情を知っていた、とのことである。

     国内ニュース

治安警察法が国民評議会で審議

国民評議会は火曜日、治安警察新法を可決する。この法律は主とし
て、「フーリガン」のデーターベイスの作成、スポーツ施設周辺の
安全地域の確保、個人が撮影したヴィデオを利用して執行すること
ができるようにする者である。同時に可決されるのは、新市民権法
である。この法律は、優先的な帰化希望者の待機期間を延長し、例
外とする場合の理由を増やし、言葉とオーストリアに関する知識の
ほか、確実な収入を求めている。




12月6日(火)

     国外ニュース

EU財政に関する英国の提案をグラサーは「不可能」と見る

オーストリア大蔵大臣カール・ハインツ グラサーは、英国がEU
予算に関して行なった提案を「不可能」であると評した。火曜日の
テレヴィ番組でグラサーは、この計画は「表面だけ見ると」オース
トリアの支払い額も減ることを意味するが、破綻することは避けら
れない、と述べた。一方で金持ちの諸国がより多くの資金を出すと
いう公正さが重要であるが、「英国の提案の中には明確な誤解があ
る」ともグラサーは述べた。それに関して彼は「英国の資金提供の
減額は続かない」と述べた。英国は80億オイロの減額を断念する
用意がある、とも述べているが、「公平な資金提供を行なうのであ
れば、英国は2百億オイロを支払わなければならない」とも語っ
た。EU財政の将来に関する英国の提案をめぐる外相会談は、水曜
日午前中にブリュッセルで行なわれる。

     国内ニュース

シュッセルはワシントンに米大統領ブッシュを訪問

連邦首相ウォルフガング シュッセル(国民党)は水曜日、ワシン
トンに出発する。そこで彼は木曜日に米国大統領ジョージ W. ブッ
シュの出迎えを受ける。次期EU評議会議長としてシュッセルは、
オーストリアがEU議長を務める間の重要な議案についての情報を、
ブッシュに伝えることになっている。オーストリアは、米国との関
係に大きな異議を認めている、と訪問にあたって首相府は発表し
た。火曜日の閣議後にシュッセルは、ヨーロッパ上空をCIAが飛行
した問題についても言及するつもりだ、と述べていた。




12月7日(水)

     国外ニュース

マイアミ空港で爆弾での脅迫事件 死者1人

マイアミ国際空港(フロリダ)で爆破予告があり、米国の航空会社
アメリカン航空の武装した客室乗務員が、乗客1人を射殺した。こ
の44歳の米国人は、自分の手荷物の中に爆弾を隠している、と脅
迫した、と米国の通信社CNNが国土防衛省の言葉として報じた。そ
の報道によれば、その後客室乗務員が、同機から降りる歳にこの男
に、立ち止まり床に伏せるように命じていた。この男がかばんの中
に手を入れ、命令を無視しようとしたため、警備員がターミナルに
つながるトンネルの中でこの男を射殺した。CNNによれば、この容
疑者は爆弾を持っていなかった。

     国内ニュース

ナチの損害賠償の最後の訴訟が終わる

イスラエル祭式信徒会IKGは今日午後、ナチ時代の犠牲者の損害賠
償をめぐって長年にわたって法的闘争が繰り広げられ、今なお決着
を見ていなかった最後の裁判がニュー ヨークの地方裁判所で終了
したことを確認した。これによって実際にこれ以上の訴訟が行なわ
れないかどうかについては、同会代表エーリカ ヤークボヴィッツ
はAPA通信に判断を述べなかった。これ以上の裁判が行なわれない
ことが、ナチ犠牲者あるいはその家族に対する、一般賠償基金から
の支払いの条件であった。国民評議会議長アンドレアス クホール
(国民党)も最後の裁判が棄却された後も、法的安全性が確保され
ているとはいえない、と見ている。




12月8日(木)

     国外ニュース

メルケルとシラクは英国のEU財政案は不十分と評価

ドイツとフランスは、英国が呈示したEU予算案を、不十分であ
る、と評価した。ドイツ首相アンゲラ メルケルとフランス大統領
ジャック シラクは、今日木曜日にベルリンで開かれた会合の冒頭
で、EU首脳会談に向けた準備のために、代案を練り上げる、と述
べた。EU首脳会談では長期にわたって大きくなっていた予算をめ
ぐる対立で妥協が図られることになっている。メルケルは、他の加
盟国の多くと同様、英国の提案は財政の見込みから見て「まだ不十
分」であるとの見解を持っている、と述べた。シラクは、フランス
にとって「絶対的に重要なのは、各国がEUの財政で公正な負担を
引き受けることである」と述べた。2013年までのEU財政に関する
英国の提案では、当初の8,710億オイロを8,470億オイロに減らす
計画で、減額分は新規EU加盟国の負担減にあてられることになっ
ている。

     国内ニュース

シュッセルはナチ賠償で法的安全性が得られたとの考え

連邦首相ウォルフガング シュッセル(国民党)によれば、ナチの
犠牲者に対する損害賠償に関し、これ以上の裁判が起こされない法
的安全性が得られた。「我々は最後の訴訟が却下されたことで、法
的安全性を獲得した」とシュッセルは米国大統領ジョージ W. ブッ
シュを訪問した際に行なわれた記者会見で述べた。シュッセルは、
クリスマス前にも2億1千万ドルの支払いを「一般賠償基金」から
開始できるのではないか、との見通しを述べた。国民評議会第二議
長バルバラ プラマー(社会民主党)は、この問題では国民評議会
議長アンドレアス クホール(国民党)とは意見を異にしている。
「現在成立している法的安全性を疑問視するのは認められない。法
的安全性は最終的に確定した」と彼女は述べた。




12月9日(金)

     国外ニュース

ストックホルムで「もう一つのノーベル賞」が授与

今年のもう一つのノーベル賞が、カナダ、マレーシア、ボツワナ、
メキシコの環境保護団体および人権擁護団体にストックホルムで授
与された。カナダ人モード バーロウとトニー クレアは、水の公
正な取り引きと水に関する基本的な権利の承認に関する世界的な活
動で突出していた。マレーシアのアイリーン フェルナンデスは、
女性に対する暴力との戦いと、移民および貧しい労働者の搾取に対
する活動が評価された。2百万クローネの賞金が授与される3つめ
の財団は、「カラハリの最初の人々」組織とその創設者で拘留中の
ロイ セサナに与えられた。この組織はボツワナのサン族(ブッシ
ュマン)の追放に反対して成果を上げた。賞金をともなわない栄誉
賞は、個人的な理由で出席しなかったメキシコの画家フランコ ト
レドに対して与えられた。彼は故郷のオアハカの建築的文化的遺産
の保護と修復に対する活動が評価された。「もう一つのノーベル
賞」はドイツとスウェーデンの出版社ヤーコプ フォン ユクスキ
ュルの財団が1980年から与えているものである。

     国内ニュース

フィンツは公務員の地位はまもなく変化する

大蔵政務次官アルフレート フィンツ(国民党)は、計画中の連邦
公務員法の修正案を1月に提出する、と予告した。「形式的な意味
では、もはや上級公務員は存在しなくなる。上級公務員と連邦業務
に従事する通常の契約公務員の違いはなくなる。公務に従事してい
る人を分類することは、いずれにせよもはや理解されない、とフィ
ンツは「シュタンダルト」紙の土曜版に述べた。これは事実上、公
務員採用の中止を意味し、残るのは機能上の解雇からの保護規定だ
けである。職務が複雑になればなるほど、解雇や配置転換からの保
護はより容易になる」とも語った。




12月10日(土)

     国外ニュース

クロアチアで再び数千人がゴトヴィナを支持するデモ

クロアチアでは昨日、元将軍アンテ ゴトヴィナをデン ハーグの
戦争犯罪所裁判所に引渡したことに抗議して、数千人がデモを行な
った。ゴトヴィナの故郷ザダルでのデモの主催者は、彼をクロアチ
アの裁判所に引き渡すように求めた。その他彼らは政府に対し、彼
に関する文書を弁護のために使用するように訴えた。クロアチア退
役兵連合は土曜日、スプリトでゴトヴィナを支持するするデモに参
加するように呼びかけた。この呼びかけは「すべてのクロアチアの
愛国者」に対して向けられたものである、と年金受給中の将軍リウ
ボ チェシッチ・ロイスは述べた。同組織は十万人の参加者がある
ものと期待している、とのことである。多くのクロアチア人はゴト
ヴィナを戦争の英雄とみなしていた。特に故郷では50歳の軍人で
ある彼は尊敬されており、市の中央門には彼の肖像が掲げられてい
た。1993年に彼は同市をセルビア人の攻撃から防衛していた。彼
は水曜夜にテネリファ島で逮捕され、土曜日にはスペインからデン 
ハーグに移されていた。彼は、嵐作戦」で発生した150人のセルビ
ア一般市民の死に責任がある、とされている。この作戦でクロアチ
ア軍の部隊は、彼の指揮下で、1995年8月にクライナを奪還し
た。

     国内ニュース

世論調査ではオーストリア人の過半数がEUに不信感

オーストリア人はEUに対して懐疑的な視線を持っている。時事問
題をめぐる世論調査によれば、過半数を越える人たちがEUとその
組織に対して不信感を持っている。7割の人が、10年前のEU加盟
は利益をもたらしていない、との意見を持っている。4分の3がオ
ーストリアはEUではあまりにも自らの意見を押し通せていない、
と思っている。まもなくオーストリアはEU議長国になるが、これ
に対してもオーストリア人の多くは大なり小なり冷淡な態度を取っ
ている。




12月11日(日)

     国外ニュース

イラクでは西側の4人の人質に対する最終通告が過ぎる

イラクで人質になっている外国人4人の命運に関する情報がないま
ま、犯人側が設定した最終期限が過ぎた。ほとんど名前が知られて
いなかった急進派組織は2週間前に人質を取り、イラクの収容所に
いる数千人の被拘禁者を釈放しなければ、彼らを殺害すると威嚇し
た。木曜日には「真実の刃」を自称するこの組織は、当初の期限を
土曜日に延期した。人質になっているのはカナダ人2人、英国人と
米国人それぞれ1人ずつである。彼らを解放するようにとの多くの
訴えにもかかわらず、日曜日までには人質に関して新たな情報はな
かった。同様にイラクで誘拐されたドイツ人ズザネ オストホフの
事件でも、ドイツ外務省は昨日までに新たな情報を得ていない、と
発表した。オストホフを誘拐した側は、ドイツがイランに協力しな
いように求めているが、ドイツ政府はこれを拒否している。

     国内ニュース

英国はEUの実質分担金を二倍にするよう提案か?

新たなEU予算に関する英国の提案が受け入れられれば、オースト
リアの実質分担金は2倍以上になるかもしれない。これは「クリー
ル」紙が、EUの内部の見積もりとして引用して報じたものである。
EU委員会は英国のこの提案を不十分である、として拒否した。そ
れによればオーストリアは2007年からEUのさまざまな奨励策から
の払戻金が撤廃された後には、EUに対して毎年9億オイロを支払わ
なければならないことになる。前年にはこの額は3億6千5百万オイ
ロである、とのことである。英国の提案によれば、オーストリアに
は生態系に配慮した農業や工業育成と農村復活のために、2007年
から13年の間に高額の資金が支払われる。東ヨーロッパの貧しい
地域のために、地域振興資金が重点的に支払われるため、オースト
リアに対する補助は減額されることになる。この期間全体で、EU
からオーストリアに支払われる額は20億オイロ削減される可能性
がある。



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